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石灰化について

[管理番号:6111]
性別:女性
年齢:48歳
48歳 独身 子どもなし
かかりつけ
江戸川病院
・泌尿器科
・スポーツ医学科
・リハビリ科
〇〇病院
・婦人科(江戸川病院に婦人科がないため)
田澤先生、お世話になります。
病院では朝早くに受付をしても診察は夕方となるくらい忙しい外来をお持ちで、患者の待ち時間よりも先生の診察時間の方がよほど大変な上、
高度な検査や手術をなされ、更にはこのようなHPまで立ち上げて患者の不安要素を減らそうとご尽力ありがとうございます。
最近こちらのQ&Aを数十件読ませていただきました。
私自身、まだ検査待ちなので、回答は出来ないと思うのですが、スポーツ選手のために最悪の時にどうなるのだろう?と気になって1週間後の大会遠征も気が気ではなく質問させていただくことにしました。
前置きが長くなりましたがが。
江戸川区の検診で、2018年2月7日に江戸川病院にてマンモを行いました。
胃がん検診ではバリウムが出来ないため、近所の開業医で胃カメラを受診しました。
約2週間後に乳がんと大腸がんの要精密の結果が届きました。
それを持って近所の開業医に胃カメラの結果を聞きがてら乳がん、大腸がんの再検査の相談に行きました。
胃がんは異常なし。
精密検査については大学病院の方がいいだろうと言われました。
江戸川病院と〇〇にかかっていることを伝えると、大腸カメラだけなら江戸川病院OK、でも手術になるなら〇〇か大学病院、乳がんの検査は初めから設備とドクターの整った〇〇または大学病院を勧められました。
ネットでざっと調べたところ、そもそも〇〇はランキングにも入っておらず、一位は〇〇〇〇、二位は〇〇〇だったのですが、直感的にどちらにも好印象がありませんでした。
当初、私個人の考えでは設備だけでいうなら大学病院でしょうが、ドクターは研修医や当番制で常に同じドクターに説明-手術-フォローとしてもらえない(その上実験台になるかも)のように感じたのでとりあえずまずは検査を受けてみようと両方とも他科でかかっている江戸川病院で予約をしました。
乳腺の方は(予約後に乳がんについて調べてたどり着いたこのウェブで知ったのが、乳腺専門の田澤先生にマンモの読影をしていただき、先日の診察も先生だった偶然に感謝しています)4月末に田澤先生にマンモトーム生検をしていただきます。
癌だった場合は先生は手術とおっしゃいました。
ここのサイトの「石灰化の3部作Aさんのページも拝見しましたが、早期でも先生は手術+放射線と回答なさっていますが、(下記)
T医師
「術後、必ず行うのは放射線です。抗癌剤の適応は無いでしょう。抗癌剤はある一定以上の大きさを持った浸潤癌であり、かつホルモン療法が効きにくいなどのが適応条件ですが、現時点でその可能性は、ほぼありません。
 ホルモン療法の可能性はありますが、それは術後病理組織検査結果が全て判明した時点で改めて相談しましょう。
話を整理しますと、術後放射線療法は間違いなく行います。
ホルモン療法は術後相談しますが、抗癌剤は予定していません。」
私には治療なしとおっしゃいました。
放射線なしで大丈夫なのでしょうか?
また摘出手術の際にセンチネルリンパ節生検を行うのですよね?
その検査の後遺症で腕が浮腫むとか上がらないというコメントを目にします。
そうなるとプレーができなくなるのでは?と不安です。
私の場合は石灰化が3-4年前のマンモでも映っていた(他の病院)にも関わらず、様子見と言われていたのに、今回は先生に要精密と報告を作ったいただき、マンモトーム生検を受けるチャンスをいただきました。
また石灰化でも1/4が癌だったとの臨床結果を見ると、偶然に先生に読影してもらえたことは本当にラッキーだったと思います。
まだマンモトーム生検が4月末なので結果が出るのは今から2-3ヶ月先ですが、万が一悪性だった場合、本当に手術だけで他の治療は必要ないのか?
センチネルリンパ生検の身体に与えるダメージがどのくらいかをお聞きしたく質問させていただきました。
どうぞよろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「「術後、必ず行うのは放射線です。」
「話を整理しますと、術後放射線療法は間違いなく行います」

⇒原則論です。(ガイドライン通り)
 実際には、①「高齢者」や②「極めて狭い範囲の乳癌」、③「長期間(6w間)の連続通院が困難」の場合には省略することもしばしばあります。
 質問者の場合には②を見たし、なおかつ試合があるので③に問題がありそうなので、「十分省略可」という認識を持っています。
「私には治療なしとおっしゃいました。放射線なしで大丈夫なのでしょうか?」
⇒極めて狭い範囲(マンモで4mm程度)なので、かなり大きめに切除することで
「術後照射無」という対応も十分可能です。
「また摘出手術の際にセンチネルリンパ節生検を行うのですよね?」
⇒ガイドラインでは…
 非浸潤癌の診断で(画像上)「極めて狭い範囲」の場合には「センチネルリンパ節生検を省略してもよい」となっています。
 質問者の場合には、まさに「それに、ピタリと該当」しています。
「万が一悪性だった場合、本当に手術だけで他の治療は必要ないのか?」
⇒上記通りです。
 
「センチネルリンパ生検の身体に与えるダメージがどのくらいか」
⇒殆どありません。
 が、敢えて行う必要も無いと想像します。
 
 

 

質問者様から 【質問2 石灰化について】

性別:女性
年齢:48歳
田澤先生お世話になります。
患者ID ○○
管理番号6111 「石灰化について」で質問させていただいた者です。
その際にはご丁寧な回答ありがとうございます。
その後もここの質問/回答は全て読ませていただいております。
本来なら診察時に聞けばよいのでしょうが、緊張して忘れてしまいそうなので先に聞くことをお許しください。
4月(下旬)日にマンモトーム生検をしていただきました。
検査結果、石灰化が癌であった場合には病変組織の診断(組織型、ホルモン受容体、HER2受容体、組織学的悪性度、Ki67の診断)も同時に分かるものでしょうか?
放射線治療省略の件は理解できました。
ただ全摘ですよね?全摘をもって完治、治療なしという解釈であっていますでしょうか?
上記質問に被りますが、ホルモン受容体、HER2受容体、組織学的悪性度、Ki67が悪くても全摘をもって治療なしなのでしょうか?
例えばHER2陽性、Ki67高値でも抗がん剤は必要ないのでしょうか?
度重なる先生のご回答からルミナールAである場合には化学療法による上乗せはないから適応外であることまでは整理できています。
またルミナールAでもHER2陽性であれば抗HER2療法単独はできないので化学療法+抗HER2治療を行うということですよね?
ご多忙な中、また質問したい方が多い中、貴重な一枠をいただき申し訳ありませんが、ご回答(説明)いただければ幸いです。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
質問者の病理はまだ不明なので、あくまでも一般論として回答します。
「検査結果、石灰化が癌であった場合には病変組織の診断(組織型、ホルモン受容体、HER2受容体、組織学的悪性度、Ki67の診断)も同時に分かるものでしょうか?」
⇒これは違います。
 1.浸潤癌だった場合
  まずは、癌の診断⇒その後改めてサブタイプのオーダーとしています。
  理由は(保険審査期間から)「癌と言う確定診断のないのに、同時に(本来癌でないと、適応のない検査である)免疫染色を行うとは何事だ!」と保険査定されたことが過去にあったからです。
 2.非浸潤癌の場合
  そもそもサブタイプの検索は行っていません。
  適応があるのはER, PgRですが、(私は)非浸潤癌では全身療法を行うつもりはないので行いません。 
  HER2やKi67は(そもそも)浸潤癌でしか適応が無い検査ですので当院では(当然)行っていません。(ただし、ある種の病院では非浸潤癌に平気で、これらの検査もオーダーしていることには憤りを感じています)
「全摘をもって完治、治療なしという解釈であっていますでしょうか?」
⇒非浸潤癌の場合には全摘で根治となります。
 ただし、非浸潤癌の場合には(その拡がりによっては)「温存手術で放射線省略」もしています。
「上記質問に被りますが、ホルモン受容体、HER2受容体、組織学的悪性度、Ki67が悪くても全摘をもって治療なしなのでしょうか?」
⇒非浸潤癌では、そもそもそんなもの(HER2やKi67は当然ながら)ホルモン受容体も測定しません。
「例えばHER2陽性、Ki67高値でも抗がん剤は必要ないのでしょうか?」
⇒もしも浸潤癌ならば必要になります。
「またルミナールAでもHER2陽性であれば抗HER2療法単独はできないので化学療法+抗HER2治療を行うということですよね?」
⇒そもそも
 HER2陽性の時点で(ルミナールAではなく)「ルミナールB(HER2陽性)」と定義されます。
 ♯ルミナールAはHER2陰性であることも必要条件なのです。
 ○もしもルミナールB(HER2陽性)の場合には、(質問者が理解されている通り)「抗HER2療法(抗癌剤+ハーセプチン)」が必須となります。(浸潤径5mm以上の場合)