[管理番号:4064]
性別:女性
年齢:42才
3月に自治体から無料の検診のお知らせが来たので受診したところ、左の石灰化を指摘され、
総合病院を受診、数回の検査を経て、ようやく9月に(8月の検査)右に乳がんであると診断されました。
それから田澤先生が絶対お勧めしないCTや骨シンチの検査があり(転移なし)、10月に結果的に左右両側の温存手術を受けました。
現在、ホルモン療法(タモキシフェン10年)と放射線療法(両側25回)を受けています。
診断がついてからこのサイトを見つけていつもいつも励まされてきました。
でも、田澤先生が骨シンチ勧めないよ、遠隔転移ないよ、とこのサイトの中でおっしゃっていますが、
自分のこととなるとなかなか受け入れられないものですね・・・
ちょうど報道やらブログやらである有名人が騒がれ始める時期に重なってしまい、
もしかしたら自分も・・・と思うと、手術にこぎつけるまでは本当に落ち着かない日々でした。
3月 自治体の無料の検診(マンモ)を受診し、左の石灰化を指摘される。
半年後の再検査でもいいけど、念のためと総合病院を紹介される。
4月 総合病院受診。
左乳腺針生検。
『良悪性の鑑別が問題となる乳頭状病変が採取されています。
HE染色では神経内分泌への明らかな分化は確認できませんでした。』
ただ、エコーで右もあやしいので次回調べたいとのこと。
7月 右穿刺吸引
『良悪性鑑別困難』
乳房MRI
『腋窩、胸骨傍リンパ節に有意な腫大なし。
骨に明らかな主要性病変なし。
背景乳腺の染まりが強く造影MRIは評価困難』
はっきりと白黒つかず、次回もう一度左右ともに検査することに。
8月 左乳腺
『22㎜、10㎜の検体、2本。
硝子化の目立つ乳腺組織。
今回は乳頭状病変も含まれ
ていない。』
右乳腺
『Invasive ductal carcinoma of the breast,needle biopsy
不整な管状構造や胞巣構造を形成している。
pap-tub~scirrhous.
Nuclear atypia=2,Mitotic counts=1,Nuclear grade=1』
ここでようやく右が乳がんであるとの診断が下る。
受け取ったデータの中に記載はないが、しこりは4.4㎜くらいとのこと。
9月 CT及び骨シンチ
『明かな骨転移をみとめない』
10月 乳房温存手術及びセンチネルリンパ節生検
『右乳がん
5.0×4.5×1.5cm 割面では病変は不明瞭。
組織学的には#3に1.5㎜大の病変を認める。
その長径は約10㎜である。
ごく一部に単個から数個の胞巣が炎症の目立つ間質内に認められ、浸潤巣と考えられる。
間質浸潤と考える。
脈管侵襲を認めない。
切除断端は陰性。
背景乳腺には乳腺症性変化がやや目立つ。
rt/C,0.2mm(浸潤の大きさ)
Ducal carcinoma with microinvasion(pap-tub)
g+,f-,ly(-),v(-)
margin:(-)
ER:J-score 3b(80%)
PgR:J-score 3a(20%)
HER-2:スコア1
MIB-1:12%
左乳がん
4.0×3.0×1.5cm
組織学的には4割面にわたって病変を認める。
入管内や小葉を充満するように
増殖する
乳管癌であり、一部にコメド壊死を伴う。
浸潤部は確認できない。
脈管侵襲なし。
切除断端は陰性
lt/C,12×5×20㎜(病変の拡がり)
Non-incasice ductal carcinoma,ly(-),v(-)
margin:(-)
ER:J-score 3b(100%)
PgR:J-score 3a(60%)
HER-2:浸潤巣ないので判定外ですが、膜に陽性になっている細胞を散見します。
MIB-1:20%
センチネルリンパ節 左右ともに転移を認めない。』
以上がこれまでの手術までの経緯と検査の結果です。
あとは参考までに
20代なかば、左に線維腺腫を指摘されたことあり。
33歳で子宮内膜ポリープ除去。
34歳11か月で1人目、40歳6か月で2人目を出産。
先生に教えていただきたいのは、
①病理の結果の読み方
ERやPgRやHER-2が陰性とか陽性とかはっきりした記載でないので
この3aや60%などの数値が意味することがわからない。
どこからどこまでが陽性
(陰性)なのか。
またMIB-1とは、Ki-67と同じなのか?
②この結果からの術後の治療は放射線とホルモン療法でよいのか?
③ホルモン療法に関して、8年くらい前に子宮内膜ポリープの除去手術を受けているのですが、
またできやすくなるのか、また子宮がんにもなりやすくなるのか、
そこに関する検査はどのくらいの期間でどんな検査を受けたらよいのか?
④察するにまた骨シンチやCTを勧められる気がするのですが、
今後の検査はどのような検査をどのくらいのスパンで受けていくのが良いのか?
(今週のコラムにもありましたが、初診で遠隔転移はないけど再発の場合は・・・
ということでまた少しびくびくしています。)
やはり、3か月に1回の診察と、3~6か月に1回の血液検査でよいのか?
3月の検査でひっかかってから10月に手術するまでだいぶ時間がかかってしまいましたが、
最初の無料検診の先生も、総合病院の先生も6か月か1年後の再検査でいいと思うけどなぁ・・・
と言いつつも、でももう1回針刺してみていいかなぁと、白黒はっきりするまで検査してくださり、
結果として小さいうちに除去できてよかったなと感謝しています。
最初にも書きましたがこのサイトには本当に精神的に助けられました。
ここを見つけてからは他の情報を検索して振り回されることをやめることができました。
これからもぜひ続けて頂きたいです。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
初診(4月)から診断(8月)まで「4カ月!」
大変ご苦労様でした。
一つ一つの手技の精度が上がることを切に願っています。
「ERやPgRやHER-2が陰性とか陽性とかはっきりした記載でないので この3aや60%などの数値が意味することがわからない。」
⇒ 久しぶりに以下の引用をしますので、良く見てください。★3aはJ-scoreの★の部分です。つまり3aも60%も立派な陽性です。
「ER & PgR の数値とは一体どのようなやりかたで出されているのでしょうか。色の濃度なのでしょうか。」
⇒基本的には「染まっている割合」です。
100の細胞の内1個が染色されれば「1%」となります。
この%を用いた判定法がJ-scoreです。
J-score
Score 0:染色される細胞が無い
Score 1 〃 1%未満
Score 2 〃 1~10%
Score 3 〃 10%以上(50%未満を3a★, 50%以上は3b)
Score 0を陰性
Score 1,2を境界域
Score 3を陽性
⇒更に「染まっている割合」と「染まっている濃度(強度)」の組み合わせがAllred
scoreです。
Allred score
染色細胞割合(PS) 1:染色される細胞が0~1/100
2: 〃 1/100~1/10
3: 〃 1/10~1/3
4: 〃 1/3~2/3
5: 〃 2/3~1
染色強度(IS) 0:全く染まっていない
1:弱く染まっている
2:中間程度に染まっている
3:強く染まっている。
♯判定基準 染色細胞割合(PS)+染色強度(IS)=TSとして3以上を陽性
どこからどこまでが陽性
(陰性)なのか。
「またMIB-1とは、Ki-67と同じなのか?」
⇒その通りです。
「②この結果からの術後の治療は放射線とホルモン療法でよいのか?」
⇒その通りです。
左右とも「ルミナールA(ホルモン療法単独)」です。
「③ホルモン療法に関して、8年くらい前に子宮内膜ポリープの除去手術を受けているのですが、またできやすくなるのか」
⇒ポリープは無関係です。
「また子宮がんにもなりやすくなるのか、」
⇒子宮体癌のリスク上昇はあります。
「そこに関する検査はどのくらいの期間でどんな検査を受けたらよいのか?」
⇒婦人科で子宮内膜のエコーをして「内膜の肥厚」をチェックしてもらえばいいのです。(半年~1年)
「④察するにまた骨シンチやCTを勧められる気がするのですが、」
⇒それらの検査は不要です。
「今後の検査はどのような検査をどのくらいのスパンで受けていくのが良いのか?」
「やはり、3か月に1回の診察と、3~6か月に1回の血液検査でよいのか?」
⇒その通りです。
「3月の検査でひっかかってから10月に手術するまでだいぶ時間がかかってしまいました」
⇒本当に大変でしたね。
やはり診断精度は重要なのです。