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全摘術後の出血と腫れ

[管理番号:12614]
性別:女性
年齢:46
病名:右乳ガン全摘
症状:全摘後の出血と腫れ(黄色の水疱あり)
投稿日:2025年03月31日

田澤先生、こんにちは。
はじめて投稿いたします。

先日、右胸乳ガン全摘。退院後、胸が腫れ、注射をしたところ内出血していました。

その数日後、浸出液もでて皮がめくれ、内出血は傷口を縫ったところからドス黒い血が大量に出て追加縫合して貰いました。

内出血した胸上側は縫合箇所から出ましたが、胸下から背中にかけて腫れがひきません…注射しても液が取れず、主治医から自然吸収をまつと言われてます。

○腫れと水疱について
内出血部分は紫に腫れてます…更に腫れることもありますか?皮膚がめくれた箇所は、テープをはり自然治癒を待ってますが、他に早く治る方法はありますか?薄い黄色の液も出て水疱も数個あります…針をさして液を抜くべきですか?

○出血について
以前の投稿883で田澤先生は、「出血」ですが、私は「手術中も術後も」出血させない手術をしている
との投稿を拝見しました。

私の場合は、内出血した日に洗濯やら家事をしました。高いところに洗濯物を干しました。洗濯物は少し重かったかもしれません。
入院中のドレーンは、術後数日後で固まっていたが、5日目でドレーン抜かれました。

今更ながら、出血の経緯にご見解頂けたらと思います。また、この内出血の影響で後に再発や転移等に影響はあるのでしょうか?

因みに、主治医からは経緯は不明だから細い静脈が切れただろうと聞いてます。
宜しくお願いいたします。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

私事で恐縮ですが…
ここ江戸川病院に赴任(この4月で丸11年を超えて12年目となりましたが…)してからは、11年間で3000件以上の手術数となりますが(1例の例外もなく)ドレーンは入れていません。
なので、流石に私の頭から「ドレーンを入れる手術」という発想が消えているので、なかなかイメージしずらい。

一つ確実に言えるのは、「ドレーンを入れる手術」は(そもそも)「ドレーンありき=閉創の時点で(所謂)ドライでなくてもよい」という(私から見れば)不完全な状態で手術が終了しています。
だから術後に出血すること「そのもの」を想定内としているわけです。
ただ「想定内の出血=ドレーンから数日で排出して治まる範囲」が(微妙に思惑を外れて)「想定内より多い出血=ドレーンが詰まって内部に血腫形成」となり質問者の状態となったわけです。

大雑把に言えば、質問者の様な状態は(私から見ればとんでもない「想定外」ですが)最初からドレーンを入れる=想定内の出血からみれば、「チョット想定より多かっただけ」と言えます。

ドレーンを入れずに閉創するためには、(勿論)その時点で術野が「スーパードライ」でなくてはならず、もしも術中の操作で出血を許していると「それは不可能」なのです。
「閉創時にスーパードライとするためにはどうあるべきか?」まさに、それこそが(私にとっての)手術手技なのです。

○腫れと水疱について
内出血部分は紫に腫れてます…更に腫れることもありますか?皮膚がめくれた箇所は、テープをはり自然治癒を待ってますが、他に早く治る方法はありますか?薄い黄色の液も出て水疱も数個あります…針をさして液を抜くべきですか?

⇒内出血は「自然吸収(徐々に下へ落ちていきます:腹の方向へ)」を待つしかありませんし、皮膚にできた水泡を破っても「感染機会が増すだけ」で何ら意味はありません。
清潔にして、「自然吸収を待つ」しかないと思います。

○出血について
以前の投稿883で田澤先生は、「出血」ですが、私は「手術中も術後も」出血させない手術をしている
との投稿を拝見しました。

⇒冒頭に記載した通りです。
「ドレーンを入れる」ということは「出血(だけではなくリンパ漏もですが)は想定内」という手術だという「裏返し」です。
だから「出血を許容している」わけだから、「少しだけ、それが想定を外れただけ」とも言い換えることが出来ます。

私の場合は、内出血した日に洗濯やら家事をしました。高いところに洗濯物を干しました。洗濯物は少し重かったかもしれません。
入院中のドレーンは、術後数日後で固まっていたが、5日目でドレーン抜かれました。

⇒「ドレーンが固まっていた」というのが一つの手懸りとも言えます。
量が多くても「サラサラ(つまり出血にリンパ液がある程度混じっている状態)」であれば詰まったりはしません。
「詰まった」ということは(リンパ液以上に)「出血量が多くて、濃かった」という事実を示しています。

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/4/21
***

  

質問者様から 【質問2】

全摘術後の出血と腫れ
性別:女性
年齢:46
病名:右乳がん
症状:
投稿日:2025年04月23日

田澤先生、とても詳しくご回答いただき、ありがとうございました。

ドレーンについての補足とご指摘もありがとうございました。参考となりました。
その後…血腫が大きくなり切開して再縫合となり、現在の症状は残りの血腫の自然吸収を待っております。

病理結果が出ましたが、2点気になることがあり、ご相談させてください。

まずは結果の詳細
右乳がん 腺管形成型
浸潤径 5mm
広がり 35*12*5mm
核グレード2
組織型グレード1
Ki67 15%
脈管侵襲 血管V0 リンパLy0
断端 陽性
ERとPGR 伴に陽性
Her2 陰性
センチネルリンパ 0/0

①断端陽性の理由と追加手術
主治医曰く「断端部分はホルマリン漬けの過程で消失した。全摘なので乳管はとっているため、取り漏れはない。」とのこと。皮下組織も少ないようなので追加切除は薦められてませんが、私の希望次第で皮下組織の削除(追加手術)はできるそうです。
ガンあるかないか分からない皮下組織を更に切除する必要があるのでしょうか?私の場合はガンの広がりが広く…断端陽性となった理由にもなりますか?

②センチネルリンパ生検 追加の必要性
術中診断では「取ったが転移はなかった」,また病理結果の報告時も「リンパ転移なし」と聞いてます。が….術後の結果(電子カルテ)には0/0と記載がされていた事を見てしまいました….。分母が0とはどのような意味でしょうか? 術中にリンパを取ったけれど、それは実はリンパではなかったため、0という結果=そもそもリンパが取れてなく検査できてなかったのでしょうか?もしリンパ取ってない場合、私は再度センチネルリンパ検査を行った方がよいのでしょうか?

余談ですが、、私は原発乳がん2回目です。前回は右胸乳がん温存手術を行い放射線治療を行ってます。
何かの記事で大きい腫瘍の方や放射線治療済みの方は、センチネルリンパの場所特定等しずらく、正しく検査ができないこともあると読みました。その様な背景があるのでしょうか。

私の場合は稀なケースで恐縮ですが、ご意見いただければ幸いです。
お忙しいところ失礼いたしました。よろしくお願いいたします。

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

①断端陽性の理由と追加手術
主治医曰く「断端部分はホルマリン漬けの過程で消失した。全摘なので乳管はとっているため、取り漏れはない。」とのこと。皮下組織も少ないようなので追加切除は薦められてませんが、私の希望次第で皮下組織の削除(追加手術)はできるそうです。
ガンあるかないか分からない皮下組織を更に切除する必要があるのでしょうか?私の場合はガンの広がりが広く…断端陽性となった理由にもなりますか?

⇒全摘後の取り残し(断端陽性)については、その医師の手術手技の問題なので「その担当医次第」だと思います。私にその医師の代わりに「それを保証」することはできません。

②センチネルリンパ生検 追加の必要性
術中診断では「取ったが転移はなかった」,また病理結果の報告時も「リンパ転移なし」と聞いてます。が….術後の結果(電子カルテ)には0/0と記載がされていた事を見てしまいました….。分母が0とはどのような意味でしょうか? 術中にリンパを取ったけれど、それは実はリンパではなかったため、0という結果=そもそもリンパが取れてなく検査できてなかったのでしょうか?もしリンパ取ってない場合、私は再度センチネルリンパ検査を行った方がよいのでしょうか?

⇒「センチネルリンパ節として提出した者は、実は脂肪だけだった」ということだと思います。
一度センチネルリンパ節生検をしていると(それが、今回のような失敗だったとしても)リンパ管が損傷されている筈なので難しいと思います。
その医師に責任を持って3か月に1回エコーしてもらうようにしましょう。

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/5/14
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