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再発で病名は変わるのか?

[管理番号:12543]
性別:女性
年齢:51
病名:
症状:
投稿日:2025年03月07日

質問の機会をくださり、ありがとうございます。
32歳で右葉状腫瘍と言われ、手術したら病理は乳管内乳頭腫。

43歳の時、再度、同じ箇所にしこりができ、再発と言われ手術したら、良性のしこりの一部にDCISがあり、翌月に全摘。
病理がDCISだったので、以後無治療、経過観察でした。(ホルモン陽性、Her2陰性、乳管癌、ki67は12%)

このたび、同じ箇所にしこりができ、局所再発と言われ手術したら、病理が浸潤性小葉癌でした。
手術まで2か月あったので、タモキシフェンを飲んだら、一ヶ月でしこりが16ミリ→10ミリにエコーで小さくなっていました。

病理は、ホルモン陽性、Her2陰性、グレード分類は1、ki67は5%、浸潤径は23×12ミリ、断片陰性。

前回と今回では、手術した病院が異なります。(乳房再建したため、形成外科がなく、手術できないと言われたため。今回、インプラントは抜去です。)

放射線25回は受けるスケジュールが組んであります。ホルモン剤10年、ベージニオ2年の予定でした。

前病院と、今回の病院で、病理の結果が変わりました。前回の時、たまたま病理の部分が乳管癌できただけで小葉癌の部分もあったのか?もしくは、今回、全摘でも残っていた乳腺に新たに小葉癌として発生したのか?
これをどう考えるか?
病名でベージニオが使えるかどうかが変わる、と言われました。
主治医はベージニオを飲む方を勧めると言うので、病名は局所再発になりました。

田澤先生でしたら、どちらの病名にしましたか?私の場合、手術して病名が変わるのが3回目です。こんなこと、あるのでしょうか?

また、ベージニオの他に使う薬を放射線後までに考えておく、と言われました。田澤先生でしたら、内服と注射、何の薬を選びますか?生理は毎月きています。

また、今の段階では手術で治癒切除と考え、さらなる再発、余命は考えなくてもよいでしょうか?

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

前病院と、今回の病院で、病理の結果が変わりました。前回の時、たまたま病理の部分が乳管癌できただけで小葉癌の部分もあったのか?もしくは、今回、全摘でも残っていた乳腺に新たに小葉癌として発生したのか?
これをどう考えるか?

⇒乳管内乳頭腫は、(同一乳管に)癌を伴っていることはあるので、初回の再発は単純に「32歳時に摘出した乳管内乳頭腫の同一乳管に存在していた極小さな癌が増殖」と思います。
2回目の再発は(全摘して僅かに残存した乳腺から発生ではなく)もともと存在していた癌の取り残しと言えそうです。★

田澤先生でしたら、どちらの病名にしましたか?
⇒実際に「局所」再発なのだから「再発乳癌」です。

私の場合、手術して病名が変わるのが3回目です。こんなこと、あるのでしょうか?
⇒上記★参照

また、ベージニオの他に使う薬を放射線後までに考えておく、と言われました。田澤先生でしたら、内服と注射、何の薬を選びますか?生理は毎月きています。
⇒再発治療とはいえ、Ki67=5%であれば抗癌剤は無理には勧めません。

ただ同じCDK4/6inhibitorでも(abemaciclibではなく)palbociclibを用います.
閉経前なのでpalbociclib+letrozole+LH-RHagonistとなります。

また、今の段階では手術で治癒切除と考え、さらなる再発、余命は考えなくてもよいでしょうか?
⇒浸潤癌である以上、再発リスクは(高くはありませんが)存在するので、それをより下げるためにCDK4/6inhibitorを行うのです。
ただし、余命を考える必要はありませえん。

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/3/29
***

  

質問者様から 【質問2】

イブランスを選んだ理由
性別:女性
年齢:51
病名:
症状:
投稿日:2025年03月29日

田澤先生、
先日は、解答をありがとうございます。

自分なりにも調べました。イブランス、ベージニオは副作用こそ違え、効果、かかる会計も同じような印象なのですが、先生がイブランスを選んだ理由を教えていただけますか?
やはり、副作用の下痢でしょうか?
下痢のコントロールは、薬(下痢止め等)でできる、と見ますが、仕事中に困るほどの下痢なのでしょうか?
できれば、フルタイムで仕事を続けながら生活したいです。(仕事が大好きと言うよりも、治療費を稼ぐため)

このサイトでいろいろ勉強していたので、私が、「それほど悪くない結果ですよね」と言ったら、主治医が、「浸潤径が少し大きめなんだよね」と、つぶやいたのが気になります。
浸潤径がかなり大きいですか?
術前最後の診察のエコーで、タモキシフェンを服用し、しこりが16ミリ→10ミリに小さくなっている、と言われました。

「化学療法って、やったことあったっけ?」と聞かれました。これは、転院しているし、念のため聞いたのでしょうか?
過去の管理番号・4695です。

また、放射線科の医師より、ブースト照射を5回追加提案され、主治医も了承し、30回に変更になりました。乳腺の主治医は、心臓に当たる可能性があるから、ブーストはやらない、と言っていました。
放射線は、地元の病院です。放射線科の医師は、再発だから、念のため、ブースト追加したいと、主治医に提案していました。

以下、病理の結果です。
所見
術式・右乳房部分切除術
術前治療・なし
検体・右乳腺、皮膚
癌の占拠部位・A(内上部)
癌の組織型・浸潤性小葉癌
病理学的グレード分類・
 (A)核異形スコア 1点
 (B)核分裂像スコア 1点(8個以下/10HPF、SWH10x視野数26.5)
 (C)腺管形成(tubule formation)スコア 3点(腺管形成は腫瘍の10%未満である)
※核グレード分類(A)+(B)・Grade 1(2点)
※組織学的グレード分類(A)+(B)+(C)・G rade 1(5点)
癌の大きさ・浸潤病巣の大きさ約23x12mm、乳管内進展病巣を含めた大きさ約23x12mm
脈管浸潤・リンパ管Ly0(H &E染色による判定)、静脈V0(EM染色による判定)
組織学的波及度・f(乳腺外脂肪)
T分類・p T2(最大径が20mmをこえるが50mm以下)
切断段端・陰性・・・切離面からの最短距離2mm、部位・側壁側(ブロックNo.10)

【原発巣における癌の免疫組織化学】
ER・・・Allred score:Total Score(6)=Proportion Score(4)+Insensity
Score(2)

PgR・・・Allred score:Total Score(6)=Proportion Score(3)+Insensity
Score(3)

Her2 score・・・0(染色像がみられない、または、≦10%の腫瘍細胞にかすかな/かろうじて認識できる不完全な膜染色が認められる:陰性)[ASCO /CAPガイドライン「(2018)」

Ki-67 index・・・約5%(間質浸潤部、hot spot)

コメント:主に索状あるいは孤在性に増殖し、免疫組織化学的にAE1 / AE3陽性かつE-cadherin陰性の腫瘍細胞からなる浸潤性小葉癌です。

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

CDK4/6inhibitorにはご存知のようにpalbociclibとabemaciclibがあります。
違いとしては
1.発売時期 palbociclibの方が早いため、長期的使用による経験がある。
2.適応 どちらも転移再発乳癌には適応がありますが、術後補助療法としての適応はabemaciclibにしかない
3.副作用 やはり(palbociclibは日常生活に影響のあるような程度の副作用はないが)abemaciclibでは下痢がある。

自分なりにも調べました。イブランス、ベージニオは副作用こそ違え、効果、かかる会計も同じような印象なのですが、先生がイブランスを選んだ理由を教えていただけますか?
やはり、副作用の下痢でしょうか?
⇒おっしゃる様に下痢(上記3)と実際には1もあります。
私はpalbociclibの使用経験が豊富で、その分信頼感があるのです。

♯一般に(その主治医同様に)abemaciclibを勧める理由としては上記2だと思いますが(直接比較はないが2をもとに『abemaciclibの方がいいんじゃない?』という発想になっているようです)実際に症例経験が豊富な私から見ると(効果は)全く同様です。
だったら「明らかに忍容性の高いpalbociclibを選択しない理由は無いのです」
ご参考に。

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/4/16
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