[管理番号:11120]
性別:女性
年齢:40
病名:左乳癌
症状:
投稿日:2023年5月22日
お忙しい中、このようなご活動をありがとうございます。
先日、左全摘手術をして頂き、病理及びオンコタイプの結果を受け取りました。
その場で説明もしていただきましたが、理解が追いつかない部分もありました。
自分の癌の状態をきちんと理解し、最適とおもわれる再発予防治療に望みたいと思っております。
田澤先生のご見解をお教え頂けらたら幸いです。
どうか宜しくお願い致します。
【経緯】
・健康診断のマンモにて、初の要精密検査判定(多形成/集簇性:新出)
・マンモトーム生検にて悪性診断
【病理結果】
1)腫瘤のサイズ
①組織標本上の大きさの最大値:35×18mm
②乳腺における広がりの最大値:55×30mm
2)組織型
Invasive ductal carcinoma, scirrhous type, with predominant intraductal component
3)浸潤範囲:f
4)断端:ー
5)静脈侵襲:V0(CD31)
6)リンパ管侵襲:Ly0(D2ー40)
7)リンパ節転移:pN0(0/2)sn
8)EIC:+
9)ADH:+
10)核グレード:3
①核異型スコア:3
②核分裂像:2
11)組織学的グレード:3
①腺管形成スコア:3
②核異型スコア:3
③核分裂像スコア:2
12)ER:+100% 3b
13)PR:+100% 3b
14)HER2:ー
15)ki-67:10-40%
16)Allred score : PS 5 + IS 3 = 8
【オンコタイプ】
・RS:12
・9年遠隔再発率:3%
・化学療法の上乗せ効果:<1%
・ER陽性10.3
・PR陽性8.7
・HER2陰性8.1
【今後】
・タモキシフェン10年
・リュープリン5年の予定
【質問】
①上記の結果により、手術の時点では、骨転移・遠隔転移はなかったものと考えられるのでしょうか。
術前は乳房MRI・血液検査のみで、CTや骨シンチは行いませんでした。
②ステージは何になるのでしょうか。
浸潤箇所は5箇所(最大で7mm、他5mm以内)あったときいています。
しかし病理腫瘤サイズの大きさの最大値に35×18mmとあり、すこし混乱しています。
③サブタイプは何になりますでしょうか。
先生の以前のコラムに「Ki67が中間値(20~40)の場合にはOncotyp
eDXで(AなのかBなのか)決定します」とございました。
ルミナールBでしょうか。
④ERとPGの数値について
パーセンテージが大きいとホルモン療法が効きやすいというようなことはあるのでしょうか。
⑤再発予防治療について
オンコタイプの報告書に「治療方針決定は、その他の病理検査を含む症状について
得られる全ての情報を考慮した上で」のような文言がありました。
私の場合、Grade3であり、複数の浸潤箇所があったとのことで、心配になっておりますが、
主治医の先生は、化学療法の上乗せ効果が<1%とのことにより、化学療法はやりませんとのご見解でした。
一般的に、オンコタイプを最終決定に活用しうるというその心は、
病理の顕微鏡?検査より、遺伝子レベルの検査のほうが信頼性及び客観性がある、ということでしょうか。
(そもそもの疑問ですみません)
田澤先生でしたら、どのような追加治療をご提示されますでしょうか。
最後に、、
⑥全摘の場合のマンモトーム生検箇所について
以前のQA:生検でガン細胞が散らばる可能性があるか、というご質問に対し、
”正確には「一次的には少量の癌細胞が(針の通り道に)存在することがありますが、時間経過と共に(死滅して)消失していく」という事です。
「100%消失する」と断言できる医師は誰も居ないと思います。
それでも「マンモトーム生検が必要な検査」と容認されている理由は
1:診断を早くつける方が「患者さんの利益」となる
2:乳房温存術の場合は「術後放射線照射」が必ずかかるので、実際にそれが原因で局所再発する事はない。
(少なくとも私の経験ではゼロです)
3:乳房切除の場合は(通常、術後放射線は無い)ので、必ず「針の通り道を皮膚まで含むように」切除ラインを設定しています。”
とご回答頂いており、勉強させて頂きました。
上記3の切除ライン設定については、一般的なことで、
多くのお医者様がガイドライン等で当たり前にしていることなのでしょうか。
以上、長くなりすみません。
子供もまだ小さいので、救って頂いた命と思って感謝しながら、
前向きに再発治療に取り組みたいと思っております。
お忙しいところ恐れ入りますが、どうぞ宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
①上記の結果により、手術の時点では、骨転移・遠隔転移はなかったものと考えられるのでしょうか。
⇒病理結果から推測するのではなく、通常「確率的に」遠隔転移は(初発時には)ありません。
術前は乳房MRI・血液検査のみで、CTや骨シンチは行いませんでした。
⇒私も、一切行いません。(手術の時点で遠隔転移を伴っているケースは極めてまれな為)
②ステージは何になるのでしょうか。
浸潤箇所は5箇所(最大で7mm、他5mm以内)あったときいています。
⇒1期(ステージは最大浸潤径で決まり、多発でも足し算はしませんよ)
③サブタイプは何になりますでしょうか。
⇒無論、low riskなのでルミナールA(相当)ですよ。
④ERとPGの数値について
パーセンテージが大きいとホルモン療法が効きやすいというようなことはあるのでしょうか。
⇒ありません。
一般的に、オンコタイプを最終決定に活用しうるというその心は、
病理の顕微鏡?検査より、遺伝子レベルの検査のほうが信頼性及び客観性がある、ということでしょうか。
⇒根本的な理解が必要ですね。
OncotyepDXの結果はその遺伝子変異の結果が(過去の様々な臨床試験の実際の症例での)「再発リスク」及び「抗がん剤が必要なのか?」に統計学的に有意差をもって妥当(正しい)ので信頼できるわけです。
***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/5/31
***
質問者様から 【質問2】
健康診断の結果等について
性別:女性
年齢:40
病名:
症状:
投稿日:2023年11月27日
管理番号:11120
市川プラザID:○○○
田澤先生、以前も術後に質問をさせて頂いたものです。
その節はありがとうございました。
また教えて頂きたいことがあり、質問させてください。
2023年4月に左全摘手術(ステージ1、最大径8mm、オンコ12)をして頂き、
現在タモキシフェンとリュープリンの再発予防治療をしております。
主治医の先生の術後定期検診のお考えは、年1回のマンモ・エコー・血液検査でした。
術後にエコーオーダーがないことに不安があり、また、田澤先生に一度エコーしていただきたいという思いで、2023年7月に市川を予約させていただきました。
その際に右に気になる6mmのしこりがあるとのことで、後日セレロをしてきただきました。
結果、乳腺症の診断でした。
そして10月の健康診断で以下の結果を受け取りました。
<乳がん検査結果>
・マンモグラフィー:異常なし
・エコー:右)乳腺腫瘤を認めます。医療期間での経過観察を続けてください。
<血液検査でhighとなったもの>
・中性脂肪:292mg/dl
・クレアチン:0.75mg/dl
【質問】
健診クリニックによりますと、
「右の腫瘤は外側CD領域にあり、サイズは7.6×4.8
境界線・形・硬さ・血流から積極的に癌を疑うものではないですが、
今夏に組織診したしこりと同じものかはわからない。経過観察を続けてください」とのことでした。
(診察歴は全てお伝えしておりました)
①乳腺症のしこりはできたり消えたりが短期間に起こりますか?
②今回のご指摘は田澤先生に確定診断していただいたものと同じと考えられますでしょうか?
③経過観察は必要でしょうか。
また100前後だった中性脂肪が跳ね上がっていました。
コレステロールやその他の数値でhighなものはありませんでした(クレアチンを除いて)。
④タモキシフェンやリュープリンの副作用の一つと考えられるのでしょうか。
(治療は継続したいため、食事や日常生活に注意していこうと、勉強中です。)
また現在リュープリンで生理はとまっておりますが、
⑤私のような場合でも、先生がコラム等で教えてくださっている、
「卵巣が不安定となる⇒(不安定な)ホルモンによる刺激症状」というのはありえますでしょうか。
(たまに右胸や脇にチクチクを刺激を感じます)
田澤先生のランニングや屋上でのお食事や、発信内のライフスタイル、とても参考になります。元気がでてきます。
いつも、大変貴重なご活動、ありがとうございます。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
①乳腺症のしこりはできたり消えたりが短期間に起こりますか?
②今回のご指摘は田澤先生に確定診断していただいたものと同じと考えられますでしょうか?
③経過観察は必要でしょうか。
⇒7月の所見を確認しましたが(IDより)全く同部位なので同じ所見を見ています。
それは無論100%確定診断済なので、当然経過観察不要です。
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/12/13
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