[管理番号:10221]
性別:女性
年齢:51歳
病名:乳癌
症状:
投稿日:2022年4月12日
田澤先生こんにちは。
いつも私たち患者に親身に回答してくださりありがとうございます。
術後の治療方針について難しい選択に直面し、以下、質問させていただきます。
51歳、初めての乳がんで左胸部分切除術(温存)を3月初旬に受けました(術後、放射線治療あり)。
術後の病理検査の結果、リンパ節に微小転移2個。
核グレード(組織型)2。
径18㎜×10㎜(浸潤部) 。
エストロゲン
(95%)、プロゲステロン(35%)陽性、HER2陰性。
Ki67 5%(術前生検ではKi67 20%)。
ステージⅡa。
ルミナールA
(とBの間?)。
術前の生検と術後の病理検査(Ki67の数値)に違いがあり、予後に関し長期的な治療方針の判断材料が欲しかったため、オンコタイプDX検査を受けました。
結果は、【RS23、タモキシフェン単独の9年遠隔再発率は9%。
化学療法の上乗せ効果は <1%】でした。
術後の病理検査の結果で担当の先生は、抗ホルモン剤への感受性が高いという見立てで、ホルモン療法だけでいいという意見でした。
しかし、オンコタイプDXの結果(①RS数値が23と中間値であること②微小転移があったことなど)から、化学療法を上乗せすることも考慮に入れる必要があり、判断するのが難しいケースだという話になりました。
私が閉経しているかどうかはっきりしない状況であることも、抗がん剤の上乗せ効果があるかどうかの判断をしにくい要因になっているようです。
先日ホルモンに関する血液検査を受け(結果待ちです)、今後閉経前か閉経後かを判断し、治療方針が決まる予定です。
担当していただいている先生は、こちらが質問すればきちんと話をしてくれます。
しかし、今後微妙なところは患者本人の意思にゆだねられそうです(RS数値23 中間値による抗がん剤を使用するかどうかなど)。
私も抗がん剤の上乗せ効果の割合が低いのであれば、抗がん剤治療は避けたい気持ちが強いですが、恩恵があるのだとするならば、受けておくべきとも考えます。
田澤先生のオンコタイプDXに関する『OncotypeDXのRSの解釈について迷った方は、これをご覧ください。』および
『今週のコラム143回目 「リンパ節転移無」においては51歳以上ではRS26から、50歳以下ではRS21から化学療法によるbenefitがある』を参考に拝読しました。
また、4月12日に更新されたばかりの『今週のコラム 269回目 Rx PONDER (中間解析) その解釈』を読ませていただきましたが、現時点では十分に理解できませんでした。
そこで、近々に治療方針を決める際、以下のことについて不安なので田澤先生に教えていただきたいのです。
1.オンコタイプDXをした結果、①RS再発スコアが中間値だった、②微小転移がある私のようなケースでは、化学療法をするかどうかを患者はどのように判断したらよいのでしょうか(主治医から患者に委ねられた場合)。
2.閉経前と閉経後でホルモン治療に化学療法の上乗せを行うかどうかの判断の違いを具体的に教えてください。
3.化学療法を行うとする場合、どのようなものが良いと考えられるのでしょうか
(抗がん剤の種類や組み合わせなど…)。
いろいろ考えて気持ちが揺らぎ、自分のわずかな知識では判断することが難しいので、田澤先生から参考となる意見や見解をお聞かせいただければ助かります。
よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは田澤です。
以下、『今週のコラム 269回目 Rx PONDER (中間解析) その解釈』からの抜粋
化学療法推進派
pN0
閉経前では RS 21- 抗癌剤推奨
閉経後では RS26- 抗癌剤推奨
pN1
閉経前では 全例 抗癌剤推奨
閉経後では RS26- 抗癌剤推奨
閉経前と閉経後の違いは「卵巣抑制にあるはず」派 (私も)
pN0
閉経前では RS 21- 25 TAM+LH-RHagonist RS 25 抗癌剤推奨
閉経後では RS26- 抗癌剤推奨
pN1
閉経前では RS -25 TAM+LH-RHagonist RS26- 抗癌剤推奨
閉経後では RS26- 抗癌剤推奨
★本来は、自分が上記どれに当て嵌まるのか?ご自身で判断してほしかったのですが
…(そのための、「お知らせ」でした)
質問者は「閉経前」「N1]「RS=23]なので
化学療法推進派の解釈では
pN1
閉経前では 全例 抗癌剤推奨 ⇒ここに当て嵌まります。★
閉経前と閉経後の違いは「卵巣抑制にあるはず」派 (私も)の解釈では
pN1
閉経前では RS -25 TAM+LH-RHagonist RS26- 抗癌剤推奨 ⇒ここに当て嵌まります。★
★★理解できましたか?
「化学療法推進派」の意見によれば「抗がん剤推奨」となるし、「閉経前と閉経後の違いは卵巣抑制にあるはず派」の意見によれば(抗がん剤は不要で)「tamoxifen +LH-RHagonist」となります。
質問者の主治医が「化学療法推進派」なのか?「閉経前と閉経後の違いは卵巣抑制にある筈派」なのか?によって、上記どちらかとなります。(因みに私は後者なのでtamoxifen + LH-RHagonistを推奨します)
上記は、是非再度コラムを読み込んでご理解ください。(同じ質問はもうしないように、お願いします。)
***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2022/4/20
***
質問者様から 【結果2】
(前回タイトル)オンコタイプDXのRS中間値の場合の術後の治療方針について
性別:女性
年齢:51歳
病名:乳がん
田澤先生の診察:[診察なし]
田澤先生の手術:[手術なし]
田澤先生、こんにちは。
前回はお忙しい中、ご回答くださりありがとうございました。
田澤先生から頂いたコメントで改めて自分の状況を整理することができ、気持ちが落ち着きました。
前回の報告とともに感謝の気持ちをお伝えしたく、投稿させていただきます。
【前回の質問事項の報告】
前回の質問時の内容に一部変更がありました。
「閉経前」か「閉経後」かを判断する血液検査結果待ちでしたが…
「エストラジオール測定」、「FSH」、「LH」等の数値から「閉経後」と判断されました。
【「pN1」 「閉経後」 RS23、タモキシフェン単独の9年遠隔再発率は9% 化学療法の上乗せ効果は <1%】
同結果をもとに、主治医から下記の治療の説明を受けました。
【術後の治療方針について】
「閉経後」⇒抗がん剤なし ホルモン療法アロマターゼ阻害剤(レトロゾール)による治療
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「閉経後では「RS≧26 抗がん剤必要」
★ 上記通り、RSが25までは(閉経後は)ホルモン療法だけでOKなのです。
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田澤先生が前回の回答ないしコラムで示してくださった治療方針です。
自分のRSの数値(RS23)が高リスク寄りですが、田澤先生でしたら、「閉経後」のホルモン療法に関して、どのような治療方針をたてますか。
何か先生のアドバイスがございましたらお願いいたします。
「QandA」が更新される度に、先生がどれほどの時間と労力を費やして患者さんひとり一人に寄り添った回答をしてくださっているか…。
自分を含め、多くの方の疑問や悩みに丁寧に答えて下さり、本当に感謝しています。
そして、田澤先生と共にこのサイト等の運営等に携わってくださっているスタッフ関係者の皆さまにも、この場をお借りして感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
(本当にありがとうございます。)
今回は質問とは違う内容になり迷いましたが、報告と感謝の気持ちをお伝えしたくてメール(送信)しました。
私は、治療方針に迷いが生じた時、田澤先生の明確な回答(治療方針など)に助けられました。
先生のお陰で正しい情報を得ることの大切さを知り、前向きに病気と向き合えるようになりました。
これからもお忙しく大変だとは存じますが、お身体をご自愛いただき、この「QandA」や「先生のコラム」等が永く続くことを心から願っています。
これからも質問や相談等をさせていただくことがあると思います。今後ともよろしくお願いいたします。
本当にありがとうございました。
<Q&A結果>
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【結果】の送信は、【質問】として扱わないので
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2022/5/23(本日から質問可能)
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