術後の治療

［管理番号:9943］
性別:女性
年齢:38
病名:乳がん
症状:
投稿日:2021年12月14日

はじめまして。

術後の治療について相談させて頂きたく投稿させて頂きます。

術前抗癌剤後（EC→パクリタキセル）、左全摘術を行いました。

①術後の治療について、抗癌剤を内服にするか点滴にするか選択するよう言われました。

主治医からは、効き目や予後はどちらの治療でも同程度、仕事復帰するなら内服の方が楽かなと。

また、ハーツー陽性なので抗癌剤と併用でハーセプチン・パージェタを3週間毎のペースで点滴すると。

全摘をしたので術後抗癌剤は不要なのではと疑問に感じています。

田沢先生はどのような治療を行いますか。

病理結果は下記の通りです。

リンパ転移　レベル1Ⅰ3/6　レベルⅡ0/0
T1、N1、M0
ER、PR:陽性
（手元に結果がなく、治療選択の上で必要な情報があれば次回受診時に確認します）

②抗癌剤は必要であれば、内服で良いなら時間的な事もあり点滴より内服を選択した
いです。

その場合はどの薬剤を選択すれば良いのでしょうか。

③抗癌剤＋ハーセプチン・パージェタ（6回）
→抗癌剤終了後し3～4週休薬後に放射線25回
→ホルモン療法＋ハーセプチン・パージェタ（12回）

の予定との事なのですが、上記で適した治療になっていますか？
全摘でリンパ転移3個なので放射線は必要ないかと思うのですがいかがでしょうか。

田沢先生の見解教えて下さい。

こんにちは田澤です。

「①術後の治療について、抗癌剤を内服にするか点滴にするか選択するよう言われました。」
⇒どちらも誤り！

　まず内服とはcapecitabineのことだと推測しますが、それは明確な「適応外診療」です。
　★是非、『今週のコラム１３６、２８０，２８５，２８６』を熟読してください。
（capecitabineの適応外診療については正直「辟易」しています）

　また術前にanthracyclin＋taxaneをしているのだから術後に「点滴の抗がん剤を行う理由も根拠も」全くありません。

「全摘をしたので術後抗癌剤は不要なのではと疑問に感じています。」
⇒これは質問者の勘違い！

　放射線の適応はあくまでも抗がん剤「前」のリンパ節転移の状況で判断されるべきであり、術前抗がん剤後の手術病理での判断ではありません。
　★このメールには記載がありませんが、術前抗がん剤前の画像評価で「リンパ節転移が４個以上」と判断されていれば（手術病理で３個だとしても）適応があるのです。

「田沢先生はどのような治療を行いますか。」
⇒田「澤」ですが…

★術前に抗がん剤をしているのだから術後には「抗がん剤は行いません」
　なので以下のようになります。

　１．抗がん剤前の画像でリンパ節転移４個以上との所見であったならば
　　⇒ＰＭＲＴ（全摘後放射線）⇒trastuzumab+pertuzumab x18

　２．抗がん剤前の画像でリンパ節転移が３個以下との所見であったならば
　　⇒（放射線はせずに）　trasutuzumab + pertuzumab x18