［管理番号:1990］
性別:女性
年齢:42歳
田澤先生、こんにちは。
乳がんとわかって、こちらのHPに出会い、Q＆Aで勉強させてもらっています。
田澤先生のコメントに毎回励まされ、少しずつ前向きな気持ちでいられるようにな
り、とても感謝しています。
過去にもいくつか質問でありましたが、温存と全摘について相談させてください。
私は、左胸に１センチほどのしこりがあり、非浸潤が７ミリ、浸潤が３ミリ、リンパ
節転移なしで、いまのところステージ１ということです。
グレード１、広がり診断は
割と限局、Er＋、PgR＋、HER2＋です。
１２月２５日に手術できることが決まり、主治医は、温存を勧めるけれど、希望があれば全摘でも構いません、ご自身で決めてくださいと言われ、8日の診察で術式の確定をします。
過去のQ＆Aなどを参考にし、メリット・デメリット、局所内再発率について確認しました。
温存でも全摘でも最終的に予後は変わらないということで理解していますが、いくつか疑問があります。
①「温存でも再発したら全摘することで、予後は同じになる」ということでしょうか？言葉は不適切かもしれませんが、「再発した場合、全摘すればまだ間に合う」ととらえてよいでしょうか。
②再発したガンが、もし悪性度の高いものになっていたり、リンパに転移することで、ステージが変わり、予後は変わってしまうのですか？また、新たにガンができた場合、それも悪性度が高かったり、転移やステージに変化があれば、リスクは大きいでしょうか？
予後は同じでも、温存はやはりリスクがあり、不安材料が残っています。
小さな子供がいるため、再発は何としても避けたいのですが、全摘に踏み切ることができません。
自分で決断することだとわかっていますが、答えが出ずに苦しんでいます。
私のような患者の場合、田澤先生は術式をどう考えるか、アドバイスいただけますと幸いです。
また、手術してみないとわからないとは思いますが、いまのところ非浸潤が７ミリ、浸潤が３ミリというのは、どう捉えたらよいでしょうか。
少しでも心配を減らして、前向きな気持ちで手術、治療に臨めたらと考え、それほど心配しなくてもよい状況であればと願っています。
ご回答をどうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「温存か、全摘か？」
温存術が誕生して以来、繰り返されてきた、「永遠の問題」と言えます。
『①「温存でも再発したら全摘することで、予後は同じになる」ということでしょうか？言葉は不適切かもしれませんが、「再発した場合、全摘すればまだ間に合う」ととらえてよいでしょうか。』
⇒その通りです。
 
『②再発したガンが、もし悪性度の高いものになっていたり、リンパに転移することで、ステージが変わり、予後は変わってしまうのですか？また、新たにガンができた場合、それも悪性度が高かったり、転移やステーに変化があれば、リスクは大きいでしょうか？』
⇒「温存による局所再発」は「その際に、（再手術として）全摘する」ことで「最初から全摘」と予後が変わらないのです。
　その意味では「乳房内再発したことで、悪性度が上がってしまったり、リンパ節転移を新たに起こす」確率は低いのです。
　その確率が低いからこそ、「温存も、全的も予後は一緒」と言えるのです。
 
『予後は同じでも、温存はやはりリスクがあり、不安材料が残っています。小さな子供がいるため、再発は何としても避けたいのですが、全摘に踏み切ることができません。
自分で決断することだとわかっていますが、えが出ずに苦しんでいます。私のような患者の場合、田澤先生は術式をどう考えるか、アドバイスいただけますと幸いです。』
⇒「1cmのしこり」で「拡がり診断は割と限局」であれば「乳房温存術でいい」と思います。
　その状況であれば、「乳房内再発はめったに無い」です。
　全摘しなくてはいけない理由が見当たりません。
 
「手術してみないとわからないとは思いますが、いまのところ非浸潤が７ミリ、浸潤が３ミリというのは、どう捉えたらよいでしょうか。」
⇒私にも「１ｃｍの腫瘍で非浸潤が７mm、浸潤が３mm」という状況の意味を計り兼ねています。
　「針生検を行った所、非浸潤癌の中に3mm程の浸潤部分を認めた」ということでしょうか？
　何れにせよ、「手術をして、病変全体を評価」しなくては「全体像（最大浸潤径）」はわかりません。
 
「少しでも心配を減らして、前向きな気持ちで手術、治療に臨めたらと考え、それほど心配しなくてもよい状況であればと願っています。」
⇒大丈夫です。
　極めて予後の良い「早期乳癌」です。
　一つだけ気になるのはＨＥＲ２＋となっていますが、ＨＥＲ2が陽性（３＋）とい
う意味でしょうか？（１＋は陰性、２＋の場合はＦＩＳＨの追加オーダーが必要です）