[管理番号:8615]
性別:女性
年齢:44歳
病名:
症状:胸のしこり、乳頭分泌(黄色)、脇の下のしこり
投稿日:2020年6月8日
質問、失礼いたします。
乳腺の硬結や嚢胞が両側に多い為、毎年、かかりつけの乳腺外科で、エコーとマンモグラフィーで診察を受けていました。
先月末の診察で、経過観察をしていた左の乳腺症の硬結が、大きくなり、エコーで乳腺のゆがみが見られるから、と細胞診をされました。
細胞診では、異型な物は出ませんでしたが、組織針をする為大きな病院に紹介されました。
まだ診察のみでこれから、マンモトーム生検と乳腺MRIなのですが、自分自身でよく見ると、乳頭が下がっていたり、脇の下に5ミリ位のしこりに気付き、これは良くないだろうなと感じています。
もしこれが癌なら、1年前の診察やそれ以前の診察の時には、なぜわからなかったのでしょうか…。
組織針は一度もしていません。
この硬結自体は5年前位に見つけ、現在のかかりつけの乳腺外科で何年も乳腺症と言われ、安心してしまってこの1年の大きさや硬さの変化に気付かなかった自分を悔やんでいます。
現在、皮膚の上からで4センチ弱ある感じです。
左の乳房の他の部分も右に比べ硬い事に気付きました。
先生にどういうものか聞いても、悪いものではないと思うんだけど、一部に癌があるのか、乳腺症にも悪いものがあるからなのかよくわからないと言われ、とにかく早く大きい所に行ったと追い出されてしまいました…。
乳腺症で一部に癌があったり、悪い乳腺症というものがあるのでしょうか?
自分で調べてみても結局よくわからなく途方にくれています。
早く見つけたくて、診察に通っていたのに…。
これは、もし癌だとして最初から癌だったのでしょうか…。
この大きさはよくないだろうな…と思うと絶望しかなく、眠れなくなり、食べられなくなってネットを見ていた所、乳がんプラザのQ&Aを知り読むうちに、田澤先生の一つ一つのお言葉に心が救われました。
こんなにも真摯に考えて答えておられる先生をもっと早く知っていたら…。
癌と確定されたら、(7月(上旬)日が結果の日です。)ぜひ先生の治療を受けさせて頂きたい、と考えております。
その場合どのような手順で申し込んだらよろしいでしょうか。
本当は検査自体も江戸川病院で受けたいのですが、紹介先の検査をキャンセルする人などはいないのかな…、とあれこれ考えております。
お忙しいなか、勝手な事を言いまして、大変申し訳ありませんがよろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「細胞診では、異型な物は出ませんでしたが、組織針をする為大きな病院に紹介」
⇒ここには大きな問題を「2つ」指摘せざるを得ません。
問題点1.細胞診は何の意味があるの??
今回、細胞診で「異型な物はでませんでした」が、紹介となりました。
(もしも)「異型な物が出ていたら」⇒やはり紹介となったということですよね?
★つまり、細胞診の結果にかかわらず紹介するのならば、『何のための細胞
診??』(そう思いませんか?)
問題点2.自施設で組織診が出来ない点
これは、大問題だと感じていて『今週のコラム 155回目 生検できないクリニックでの経過観察、まさに「ホラー級」の恐ろしさです』でも取り上げています。
「もしこれが癌なら、1年前の診察やそれ以前の診察の時には、なぜわからなかったのでしょうか…。」
⇒極論かもしれませんが…
自分で組織診をしない(できない?)医師が正確な診断ができる筈がない。
何故なら、診断とは「(組織診による)確定診断を(自分の)画像診断にfeedbackすることの積み重ね」だからです。
確定診断には(細胞診では不十分であり)組織診が必須であるとなってから、15年は経過しています(私は、その移行期も経験しています)
それなのに、いまだに「大きな病院で組織診を」などといっている意味が解りません。
★その施設で日常的に組織診を行っていない以上、正確な診断を期待することは不可能なのです。(あくまでも私見)
「組織針は一度もしていません。」
⇒その施設では「できない」ようです。
残念なことです。
ただ、それが「非常に稀ではない」ことは上記コラムにでてくる「QA6872」をみれば解ります。
「悪いものではないと思うんだけど、一部に癌があるのか、乳腺症にも悪いものがあるからなのかよくわからない」
⇒良性は未来永劫良性だし、悪性は最初から悪性です。
「癌化」などと言う言葉は、医師にとって大変便利な言葉ですが、正しくありません。
「とにかく早く大きい所に行ったと追い出されて」
⇒「大きな病院頼み?」
私が知っている開業医である「泉〇〇乳腺クリニック」のK村先生(引退してしまったかもしれません)は…
(当時)「大学病院の医師」や(我々)東〇公〇病院の医師が頼りにする乳腺外科医でした。
因みに、K村先生は、東〇公〇病院を一代で「東北最強」に育て上げて、満を持して開業されたのです。
私にとって開業とは『全てを知り尽くして、(他の医師がお手上げでも)最後の砦となれる医師』が行うものだと勘違いしていました。
「乳腺症で一部に癌があったり、悪い乳腺症というものがあるのでしょうか?」
⇒誤り。極めて(医師にとって)都合のいい解釈です。
「これは、もし癌だとして最初から癌だったのでしょうか…。」
⇒勿論そうなります。
ただ、質問者が癌なのかはまだ結論がでていません。
そのクリニックの医師も(診断を信用することはできないながら)『悪いものではないと思うんだけ
ど』と、コメントしているのだから、癌と決めつけることはできません。
「癌と確定されたら、その場合どのような手順で申し込んだらよろしいでしょうか。」
⇒手術相談メールしてください。
「本当は検査自体も江戸川病院で受けたいのですが、紹介先の検査をキャンセルする人などはいないのかな…」
⇒正直な話・
むしろ「診断こそ」当院で受けるべきでしょう。
このメールを読む限り、その「大きな病院で100%確定診断できる」と確信は持てません。
★「大きな病院の医師を信用できない」という意味ではなく、『乳腺症を疑っていて、あれっ?癌かも?』みたいな所見は腫瘤非形成性病変を想像します。
それだと、(100%確定診断するためには)MMTEを使うべきだし、(そこの医師が)上手く使えるとは限らないと危惧しています。
このQAにも多く登場しますが…
針生検しておいて、(良性とでても)「癌で無い部分にたまたま当たっているだけかもしれないから、3か月後経過観察ね」みたいな医師が多いのです。
組織診は100%確定診断でなくてはなりません。
針生検で、そんな言い訳をするくらいなら、「癌で無い部分にたまたま当たることの無いように」MMTEで究極まで広範囲に採取すればいいのです。
〇 同じ後悔をすることのないように「ベスト」を尽くしてください。