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エコー検査の結果 乳腺炎又は炎症性乳がんかもと言われました

[管理番号:5987]
性別:女性
年齢:35歳
妊娠8ヶ月後半に、急に左胸の上に、大きなしこりが出来赤く痛みだしました。
2週間くらい経つと、又左胸の下の方に2つ大きなしこりが出来、赤く痛み出しました。
不安になり、乳腺専門ではないですが、外科として見ている乳腺のところで、エコー検査を受けたところ、乳腺症と診断されました。
乳管が太めであり、脇のリンパは炎症によるものと書いてました。
出産してお乳が出るようになってから、更にオッパイがガチガチになりしこりの炎症も酷く、マッサージを受けたりしましたが、全く改善されず、熱もでたり、そんな酷い時にやはり不安で乳腺専門のクリニックでエコーを受け、炎症性乳がんかもと診断されました。
画像では乳管がボコボコして、脇のリンパも腫れてたみたいです。
とうとう次の日一箇所自壊してしまいました。
それから、薬でオッパイを止めてもらい、少し楽になりましたが、しこりは変わらずあり、押さえると痛くその部分は赤く炎症してます。
菌の培養も陰性で、炎症性乳がんかもと不安です。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
メール内容は理解しました。
「肉芽腫性乳腺炎を知らない」典型的な乳腺外科医による診療であり、このQandAでもしばしば登場しています。
『管理番号5602 肉芽種性乳腺炎か炎症性乳がんか不安です』も参考となるでしょう。
『今週のコラム112回目 このようにステロイド治療開始後「最初期」には一見病状が悪化して見え、心配される事も少なくありません』も、ご参照ください。
指摘したいのは以下
1.炎症性乳がんに炎症無し。
 本物の乳腺外科医なら、「炎症性乳がんに炎症無し」ということを理解している筈ですが、今回の乳腺外科医は…
 
 ★炎症性乳癌は(炎症は実際になく)「皮膚全体が真っ赤となり硬くなる」ために『あたかも炎症があるかのように見えるだけ』です。
  炎症性乳癌は「皮下のリンパ管が癌細胞により閉塞したために、真っ赤になる(熱も痛みもありません)」だけなのです。
 「乳腺炎?」を疑っている時点で「炎症性乳癌かも?」などというのは、全くナンセンスなのです。
2.肉芽腫性乳腺炎の経過に似ている。
 「大きなしこりが急にできる」(たった2週間で)「大きなしこりが2つできた」
 ⇒このように「しこりが急にできる」ことが肉芽腫性乳腺炎の特徴です。
  更に①無菌性である
    ②(肉芽腫性乳腺炎を知らない乳腺外科医からは)癌かも? と疑われる。
    ③腋窩リンパ節も炎症性(反応性)に腫れる
    ④自壊する(肉芽の炎症が強くなるとドロドロに壊死?して破けることは、典型的な経過と言えます)
★私が、このメール内容を読む限り「肉芽腫性乳腺炎」しか回答は無いと思います。
 今回のメール内容では(自壊するような)「明らかな炎症があるのに、炎症性乳癌を疑う」など、(大変残念ながら)乳腺外科医としては経験不足と言わざるを得ません。(結局、その医師が「肉芽腫性乳腺炎」どころか、「炎症性乳癌」さえも知らないということのようです)