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乳管拡張と今後の治療について

[管理番号:4728]
性別:女性
年齢:36歳
はじめて質問をさせていただきます。
お忙しいところ大変恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
4年前より、乳房痛で近所の乳腺クリニックを受診しております。
通院歴は、
【2013年】
02月→初めての強い乳房痛で、近所の乳腺クリニックを受診、エコー問題なし(のう胞有)
【2015年】
10月→再度強い乳房痛で受診、両側性乳頭分泌(潜血:左+、右-)
有、マンモ・エコーとも悪性所見なしで経過観察(6ヶ月後エコー)
【2016年】
05月→エコー問題なし(のう胞有)で経過観察(6ヶ月後マンモ・エコー)
11月→マンモ、エコーとも問題なし(のう胞有)で経過観察(6ヶ月後エコー)
【2017年】
04月→エコーにて、両側性びまん性乳管拡張有(乳頭腫かも?現在乳頭分泌は無し)で両乳房造影MRIを受けるよう指示
05月→造影MRIにて、「両側乳房外側のCD領域主体に乳腺実質の増生が目立ち、管腔状の脂肪抑制併用T2強調像にて高信号域も目立っている。
指摘のように乳管拡張が疑われる像である。
その他にも両側乳腺には全体に微小のう胞像が散在している。
Dynamic study早期相で微小点状や斑状の増強効果を認める。
拡散強調像では全体に斑状の高信号域が認められる。
ADC値は上昇している部分が目立っている。
両側ともDynamic
curveを作成したが、moderate rapid-persistent patternを示している。
非特異的な所見である。
両側腋窩に有意なリンパ節腫大は認められない。
まとめ、両側乳房CD領域主体の乳管拡張、両側多発乳腺のう胞、全体像としては乳腺症や乳腺炎が疑われるが、指摘のようにintraductal
papillomaの可能性は考えられる」との診断結果、以前に潜血性乳頭分泌があったこともあり経過観察(6ヶ月後エコー)
となっております。
今回、お伺いしたいのは
①主治医より「乳管拡張が多いから安心のために精度の高いMRIではっきりさせよう」と言われ造影MRIを受けましたが、こちらのサイトで、
MRIは確定診断にならないという記載を見つけ戸惑っております。
私のケースもそちらに該当するのでしょうか。
また、その場合確定診断はどの検査になるのでしょうか。
②主治医には、今後の選択として確定診断ではなく経過観察を勧められたのですが、現在不妊治療中のため、はっきりしない状態で経過観察をして今後不妊治療を中断することになるのが不安です。
現状で経過観察というのは、妥当な選択なのでしょうか。
③是非田澤先生に診ていただきたいと思い7月末に市川の予約を入れさせていただきました。
もし確定診断できる検査がありそれをする場合、
7月末に伺う際に田澤先生にお願いすることは可能でしょうか。
また、
もし可能である場合、それまでは不妊治療をストップしておくべきなのでしょうか。
以上となります。
MRIの所見含め、長くなってしまい申し訳ございません。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
どうしても指摘したいのは…
診断目的でMRIを撮影するのは無意味。
被爆が無い分、身体には優しいがお財布には(国にとっても)痛い検査である。
両側乳管拡張など気にする所見ではなく、乳腺症という診断となるでしょう。(女性ホルモンにより乳腺に線維化がおこり、結果として乳管が閉塞して拡張する。またそれが増生する)
「以前に潜血性乳頭分泌があったこともあり経過観察(6ヶ月後エコー)」
⇒そもそも、この判断は誤りであり「乳頭分泌の意味を理解していない」と言わざるをえません。
「私のケースもそちらに該当するのでしょうか。」
⇒そのとおり、全く無意味な検査です。
「また、その場合確定診断はどの検査になるのでしょうか。」
⇒(私であれば)
 超音波で「腫瘤非形成性病変」があれば、マンモトーム生検するし、(腫瘤非形成性病変が無く)『単なる乳腺症に伴う乳管拡張など、経過観察も不要』とします。
 ○ここで鍵は「自分で超音波をして、癌の可能性があるのかは(MRIではなく)
自分の超音波で判断する」ということなのです。
 自分自身の超音波を信用しきれずに「MRIに頼る」発想自体が問題なのです。
「主治医には、今後の選択として確定診断ではなく経過観察を勧められ」
⇒自分自身の診断に自信が持てないのです。
 ここでMRIで「正常」とでれば「MRI的免罪符」を振りかざそうというところだったと思いますが、(はっきりとは、そうならなかったので)「保険をかける(万が一癌だった時の言い訳のために)ために」経過観察として逃げざるをえないのだと思います。
「現状で経過観察というのは、妥当な選択なのでしょうか。」
⇒妥当ではありません。
 常に100%の確定診断を求めるべきなのです(少なくとも、患者さん側で「経過観察」よりも「確定診断」を望む場合には特に)
 ○実際には「超音波」をして、絶対に良性とは言い切れない所見があれば、組織診断(腫瘤非形成性病変のように一様ではない組織にはバネ式針生検では不十分で、マンモトームにより組織を広範囲に採取することです)を行う。これで確定診断となります。
「もし確定診断できる検査がありそれをする場合、7月末に伺う際に田澤先生にお願いすることは可能でしょうか。」
⇒「良性と100%言い切れない所見」が本当にあれば、当然、そのままマンモトームします(ご本人希望なら)
「もし可能である場合、それまでは不妊治療をストップしておくべきなのでしょうか。」
⇒(確率的には低そうですが)癌の可能性が残っている訳ですから、(不妊治療の中でも採卵などはいいですが)万が一「癌の診断となってしまった場合、その時点で妊娠が成立している事態は避ける」ということです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生こんにちは。
この度はお忙しいなか、とても丁寧なご返答をいただきありがとうございました。
先日婦人科を受診しまして、婦人科の先生に7月末まで妊娠をしないようにすることと採卵の相談をしてきました。
その際、採卵時に卵巣を刺激することで(もし腫瘍があった場合)腫瘍も刺激してしまう可能性があるため、採卵も7月末まで待った方がいいと伺いました。
そうしますと、不妊治療を4周期おやすみすることになってしまいます。
もちろん健康体であることが大前提の不妊治療ですので、現状それも仕方のないことだとわかってはいるのですが、どうしても気が急いてしまい、勝手を承知の上、もし可能であれば現状の予約よりももう少し早く先生に診ていただけないだろうかと思い、再度ご連絡をさせていただきました。
また、こちらのサイトで、江戸川病院の当日受付での受診についての記載があったのですが、待たせていただければ、当日受診が可能という認識でよろしいのでしょうか。
予約患者さんの「予約時間からの大幅な遅延」という記載もあったので、当日受診は(緊急でなければ)ご迷惑なのかとも思い判断に迷ったため、大変恐縮ではありますがお伺いさせていただいた次第です。
また、継続的な乳房痛があることと、先生の79回目コラムの「血性分泌で半年以上(前医で)経過観察されている場合、今からでも遅くありません。早期発見が重要なのです。」に私も該当するのかもしれないという不安も、診察を早めていただくことが可能かを思いきってお伺いするきっかけとなりました。
ご多忙のところ、度々ご面倒をおかけいたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
そもそも
「採卵時に卵巣を刺激することで(もし腫瘍があった場合)腫瘍も刺激してしまう可能性があるため、採卵も7月末まで待った方がいい」
⇒これは誤りです。
 他科のこととなると「逃げ腰」となる気も解らないでもありませんが…
 専門医の私が「いい」と言っているのだから、「採卵に何ら問題なし」です。
 ★もう1度受診して、「乳腺外科医から、採卵はOKと言われた」と言って、是非「採卵してもらって」ください。
「待たせていただければ、当日受診が可能という認識でよろしいのでしょうか。」
⇒全くお勧めしません。
 それに、「当日受診」では決して(その日には)針生検(CELEROやMMTEどちらとも)は行いません。
 結局、「7月の市川」で検査することになるのです。
 
「「血性分泌で半年以上(前医で)経過観察されている場合~」に私も該当」
⇒完全に間違っています。
 現在、単孔性の血性分泌が継続している訳ではないでしょう?
 「過去に血性分泌があった」など、なんの意味もないことです。
「診察を早めていただくことが可能か」
⇒不要です。
 前医で(無駄とは言え)「MRIを撮影」して「半年後で大丈夫」とされているのだから、緊急性はないのです。
 ○本当に緊急性のある人が、他にたくさんいらっしゃることの認識は必要です。