[管理番号:4284]
性別:女性
年齢:45歳
初めて質問します。
45歳女
昨日、大学病院にて乳癌を宣告されました。
ルミナールA
浸潤性
しこりはMRIで見る限り最長7cm
グレード1
ステージ2~3
HER2 (1+)
胸が痛くて待ち望んでいた手術は科学療法の後だそうです。
(しこりを小さくしてから)
ER(8)
PGR(8)
ki-67(8.3%)
ルミナールAは科学療法があまり効かないにもかかわらずしこりを小さくしてから手術した
いと先生がおっしゃって、
術前の科学療法で治療を進めています。
(まだ検査段階ですが…私の希望は通りません)
科学療法で小さくならなくても半年間は投与、大きくなるようなら中断して即手術することもあるとか。
科学療法は術後にして手術先行で受けることはこの場合難しいでしょうか?
先生の言葉に説得しきれないまま不信感ばかりがつのります。
是非、田澤先生のご意見をお聞かせ下さい。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
質問者が全く正しい。
その大学病院の考え方は誤りです。
「しこりを小さくしてから手術したいと先生がおっしゃって」
⇒誤りです。
「自分が手術しやすい、しにくい」を基準にして治療選択することは誤りです。
「科学療法は術後にして手術先行で受けることはこの場合難しいでしょうか?」
⇒実際に診察していないので正確なコメントはむずかしいですが…
皮膚所見はどうですか?
広範な皮膚浸潤などがなければ、腫瘍がどんなに大きくても手術可能です。
質問者様から 【質問2】
【管理番号】4284です
お忙しい中ご丁寧な回答ありがとうございます。
前向きに治療に挑めそうです。
もうひとつ質問させてください。
紹介状を書いてくれたクリニックのエコーの診断によると、大きなしこりは「ほぼ良性、一部に悪性あり。」との事で①葉状腫瘍の疑い②悪性腫瘍(癌)の疑いでした。
良性腫瘍である線維腺腫らしきものを確認できるも、増大の仕方や悪性と思われる部分をもっての診断でした。
線維腺腫は癌化しないことを考えると、増大する前からあった部分(全体の1/3くらい)は良性腫瘍ではないかと思いますが、
乳腺症をはじめとするこの類いの鑑別は、癌を含め、難しいのでしょうか?
大学病院の先生が言った「このしこりは100%がんです」の言葉が頭から離れません。
大学病院で言われるまま術前科学療法したとしたら、良性腫瘍(あったとして)は癌といっしょに小さくなるものでしょうか?
それとも、こういう質問自体がナンセンスでしょうか?
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
物事はシンプルに考えましょう。
今回の腫瘍は「針生検で癌と診断」されているのですよね?
そうすると「増大する前からあった部分」というのも(実際は)「形状として良性が疑われていただけ」で、「そもそも癌だった」ということです。
ただ「大人しい」ので増大するまで時間がかかったのでしょう。
質問者様から 【質問3】
田澤先生、こんにちは。
先日は田澤先生に診て頂きありがとうございました。
診察にて手術可能だということでひと安心しています。
また質問させていただきたいのですが、
私の特徴としてしこりの大きさがありますが(9年間放置しました)、浸潤性乳管癌なので通常ならば浸潤径を考慮するところだと思いますが、診ていただいた通り「しこり=胸全体」
であり「胸を含め胸周りの皮下脂肪がほとんど無くなった」状態です。
皮膚がひどく浸潤してないから手術可能になったと解釈していますが、
1)この様なマージンをとれない摘出でも浸潤径を測ることができるのでしょうか?
胸筋に浸潤していた場合はそこまで測るのでしょうか?
2)通常は全摘で断端陽性はないとの事ですが、大胸筋への浸潤がみられれば陽性になりますか?
胸筋を合併切除する場合は胸筋の断端も見るのでしょうか。
3)残された皮膚や胸壁への微小転移は放射線でどの程度無くせるものでしょうか?
4)腫瘍径でステージを測るとの事ですが10センチ程あるのでそれなりのステージと
考えていいんですよね?(リンパ節転移もみられるため)家族に聞かれているのですが実際は
どのくらいでしょうか?
ルミナールAの粘液癌で大人しいとはいえ、ここ1年の変化が著しく最近では痛みが
ひどく
眠れない夜も多くなり、一日中胸の事を考えています。
これまで分泌物、ただれ、赤み、ひきつれ、へこみ、どれも該当しなかったからここまで大きくしてしまったのですが、
ここ1~2ヶ月で表面が凸凹してきた部分がありその為ひきつれがみられる様になりました。
手術までに顔を出すのではないかと心配でなりません。
術後療法の心構えとして、上記の質問をさせていただきました。
ご回答を宜しくお願いします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「1)この様なマージンをとれない摘出でも浸潤径を測ることができるのでしょうか?胸筋に浸潤していた場合はそこまで測るのでしょうか?」
⇒測定します。
「最大径」だから、「胸筋浸潤しても変わらない(水平方向となるでしょう)」と思います。
「2)通常は全摘で断端陽性はないとの事ですが、大胸筋への浸潤がみられれば陽性になりますか?胸筋を合併切除する場合は胸筋の断端も見るのでしょうか。」
⇒深部断端といいますが、この場合には「胸筋も合併切除」するので「胸筋の断端」もみます。
「3)残された皮膚や胸壁への微小転移は放射線でどの程度無くせるものでしょうか?」
⇒そもそも、放射線は「予防照射」です。(一部の例外を除いて)
局所は手術で取り除けると考えています。
「4)腫瘍径でステージを測るとの事ですが10センチ程あるのでそれなりのステージと考えていいんですよね?(リンパ節転移もみられるため)家族に聞かれているのですが実際はどのくらいでしょうか?」
⇒cT4b, cN1となるのでcStageⅢBとなります。
質問者様から 【質問4】
田澤先生、こんにちは
先日は病理結果報告ありがとうございました。
術前
浸潤性乳管癌with粘液癌
ルミナールA
cT4bN1M0,cStageⅢB
ki-67:8.3%
HER2 (1+)
術後
微小乳頭癌and粘液癌
ルミナールA
pT4bN2M0,pStageⅢB
MIB-1 LI:20.5%
HER2 (0)
浸潤径68×68×44㎜
リンパ節転移4/5
転院前の大学病院では取り残しが出るとか摘出不可能とか言われていた腫瘍を難なく取り除いて下さり、深部断端陰性と聞いた瞬間、
【回答3】で「局所は取り除けると考えています。」が現実になったと鳥肌が立ちました。
(心強く感じ嬉しかった言葉です)
しこりは【回答2】で田澤先生が仰った通りに、一見良性腫瘍に見えた浸潤癌(ほぼ最大径95%)でした。
3ヶ月前には良性だと思っていたしこりです。
癌が確定したとたんにステージⅢでした。
10年前に「治療法はない、閉経したら治る」と言われて閉経まであと少しと抱えてきましたが痛みがひどく診察したのが治療の始まりでした。
今は、癌告知から2ヶ月と3週。
ルミナールという言葉を生まれて初めて聞いたその日に秘書さんへメールをしてから駈け足で今では術後のトモセラピーを3週間終え、病理結果後ホルモン療法も始める事ができました。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
まだまだ勉強中ですが結果を見て少し気になるところがあり質問させていただきます。
①郭清したリンパ節数
最大径18㎜の硬いリンパ節など肉眼的転移を含めレベルⅡ(の一部)までリンパ節郭清していただきましたが、リンパ節転移4/5との結果からは分母が少なく感じます(センチネル並み?)転移が10個や20個あったら…の話がちらっとあったのでてっきり30個位は郭清されていると思っていました。
脂肪に埋まった状態で脂肪ごと郭清するから病理に出さないとわからない事だとは思いますが、もしリンパ節が少ない体質ならば局所再発した場合すぐに手術不能域まで達してしまうのではと思うのですがそういう事でしょうか?
また、腋下郭清しなくても予後は同じということで、治療法を決定できる後遺症の少ない範囲内で郭清を行っているのでしょうか?
②脈管浸襲について
リンパ節転移が見られればリンパ浸襲は当然+が出ますよね(結果ly3)。
静脈浸襲v0でしたがので少し驚いています。
決してイコールではないこともわかりますが、リンパ節転移がリスク因子なので…浸潤性微小乳頭癌の性質がリンパ浸襲、転移をおこしたと考えて静脈浸襲v0は喜んでいいでしょうか?
組織学的に特殊型+特殊型の結果が出て戸惑い、科学療法を選択しなかった事が間違だったかとも一瞬思いましたが、結局 特殊型のサブタイプが治療法を決めるんだ、とのシンプルな考えにたどり着きました。
長くなりましたが、上記質問にご回答戴けますよう宜しくお願いします。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
「①郭清したリンパ節数」
⇒リンパ節数は個人差があります。
質問者の場合には「郭清すべきリンパ節」がその数だったということです。
(転移している場合を除き)「それ以外のリンパ節を郭清する意味はない」のです。
♯其の区別がつかない者が(無駄に破壊するような)郭清すると「無駄な浮腫の原因」となるのです。
「浸潤性微小乳頭癌の性質がリンパ浸襲、転移をおこしたと考えて静脈浸襲v0は喜んでいいでしょうか?」
⇒あれだけの腫瘍径だから、リンパ管侵襲は大きくなりがちです。
リンパ管侵襲は「局所因子」なのです。
v0は「局所の状況に比べて全身再発率が低い可能性がある」期待を抱かせてくれます(質問者のいうように) ただ、実際には脈管侵襲の意味合いは?です。