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HER2陽性乳ガン 術後一年再発

[管理番号:8524]
性別:女性
年齢:44歳
病名:HER2陽性乳ガン
症状:2018年10月乳がん告知。
右胸にしこり、腋窩リンパ節転移。
ステージ3cでHER2陽性乳ガン。
11月より術前化学療法EC×4回ドセタキセル、ハーセプチン、パージェタ×4回 2019年5月手術 部分切除 液窩リンパ節郭清 右乳腺52×51×21mm Invasive carcinoma of no special type 術前化学療法の組織学的治療効果はGrade 1b相当 腋窩リンパ節 レべル1+2=0/6 レべル3=0/2 pN2a(5/13) ハーセプチン、パージェタ×18回 放射線30回 2020年2月に治療終了。
2020年5月術後一年検診で再発。
腋窩、鎖骨上下のリンパ節
投稿日:2020年5月14日

①田澤先生ならどんな治療をすすめますでしょうか?
②抗がん剤が効いて胸膜のしこりが消失すれば根治も視野に入りますか?
③鎖骨上下や腋窩の転移は手術した方が良いですか?
2018年10月乳がん告知。

右胸にしこり、腋窩リンパ節転移。

ステージ3cでHER2陽性乳ガン。

11月より術前化学療法EC×4回ドセタキセル、ハーセプチン、パージェタ×4回
2019年5月手術
部分切除 液窩リンパ節郭清
右乳腺52×51×21mm
Invasive carcinoma of no special
type
術前化学療法の組織学的治療効果はGrade
1b相当

腋窩リンパ節
レべル1+2=0/6
レべル3=0/2
pN2a(5/13)
ハーセプチン、パージェタ×18回
放射線30回
2020年2月に治療終了。

2020年5月術後一年検診で再発。
腋窩、鎖骨上下のリンパ節にしこり。
(エコー診断)
胸膜にしこり。
(CT診断)
肺、肝臓に転移なし。

腋窩より針生検。

5/(中旬)に骨シンチの予約を取り、5/(下旬)に針生検の結果説明と今後の治療方針を決めましょうとの事です。

胸膜に転移したとなれば遠隔転移となるそうで、子供も小さく、今後がとても不安です。

主治医より、『針生検の結果がHER2陽性であればハーセプチンをすすめる。』『手術はしない。』『強めの抗がん剤(ハラヴェン等)をやる選択肢もある。』と言われました。

田澤先生のご意見をお聞かせ下さい。

よろしくお願いします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「①田澤先生ならどんな治療をすすめますでしょうか?」
⇒私であれば…

 局所と全身に分けて考えます。
 局所:腋窩、鎖骨上下のリンパ節
 全身:胸膜

 局所の焦点
  1.「手術可能な状況なのか?」です。(術後でしかも、放射線後だと、難しい可能性もあります)
  2.照射後と、ありますが、(再発部位が)照射野に重なっているのか?

 全身の焦点
  胸膜転移とありますが、「胸水貯留」や「呼吸困難(症状は無さそうですが)」など、緊急性がある状況なのか?

 上記を検討する必要があります。
 胸膜転移に緊急性が無ければ、局所治療を先行させる場合も多い。
 胸膜転移に緊急性があれば、抗癌剤が先行となります。(主治医がハーセプチン単剤で治療している様子からは「緊急性は無さそう」という印象です)

「②抗がん剤が効いて胸膜のしこりが消失すれば根治も視野に入りますか?」
⇒可能性はあります。
 ただ、(最初から根治ではなく)まずは「画像上完全緩解」⇒(その状態を)「長期維持」 から始めるべきです。

「③鎖骨上下や腋窩の転移は手術した方が良いですか?」
⇒上記記載通り…

 手術可能なのかは画像所見次第です。(鎖骨上リンパ節は通常手術しませんが、もしも「照射野にふくまれており、照射できない」場合には検討してもよい)

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

HER2陽性乳ガン 術後一年再発
性別:女性
年齢:44
病名:
症状:
投稿日:2020年5月21日

田澤先生、先日の質問にはわかりやすく答えて頂きありがとうございました。

骨シンチの検査が終わり、5月下旬の検査結果を待つのみです。

先日の先生のご回答にあった『手術可能か?』についてはわかりません。

次回の診察で質問してみます。

腋窩、鎖骨の上下は照射したので再発部位と重なっていると思います。

胸膜転移については、緊急性はないとおっしゃっていました。

下旬の診察までに考えることが多く、再度質問にお答え頂きたく、メールさせていただきました。

①CTの画像で『胸膜転移の疑いを否定できない』と診断されましたが、針生検は腋窩からのみでした。

胸膜に転移があるかどうかというのは画像のみでしか診断できないのでしょうか?
腫瘍マーカーはみておりません。

胸水がたまっていないので、細胞をとったりはしないのでしょうか?勉強不足な質問ですみません。

②胸膜転移の症状は、『咳』と書いてあるものが多いのですが、胸の痛みはありますか?鎖骨の下あたり、胸の中央がたまにズキンとするのですが、ガンによる痛みなのでしょうか?

③主治医から『ハーセプチンをすすめる』と言われた時に『ハーセプチン終了から2ヶ月で転移があることから、あまり効かない可能性がある』と言われました。
先生のご経験からもそのような事は考えられますか?
ハーセプチンであれば普段と変わらない生活ができるので理想的ですが、効かない可能性があるものを使うのも不安です。

④私のがんの増殖のスピードは早い方だと思われますか?今は緊急性がないのかも知れませんが、早い段階で緊急性が出てくるのか、不安です。

⑤田澤先生であれば、ハーセプチンでいきますか?それともハラヴェンでしょうか?

検査結果の出る前の、不安なことばかりの質問になってしまいました。

子供達が小さく、なるべく側に居てやりたいと思っています。

後悔のない選択をしたいと思っております。

よろしくお願い致します。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

今週のコラム 227回目 乳癌治療の実際 「全身治療(薬物療法)」vol. 2 再発治療』をご参照のこと

「胸膜に転移があるかどうかというのは画像のみでしか診断できないのでしょうか?」
「胸水がたまっていないので、細胞をとったりはしないのでしょうか?」

⇒その通り。

「鎖骨の下あたり、胸の中央がたまにズキンとするのですが、ガンによる痛みなのでしょうか?」
⇒違うような印象です。

「③主治医から『ハーセプチンをすすめる』と言われた」
⇒そもそも…

ハーセプチン単剤で治療を行う発想は私にはありません。

「画像上の完全緩解」を目指すのであれば、(もしもHER2陽性であれば)
「trastuzumab+pertuzumab+eribulin」とすべきだし、
 (もしもHER2陰性ならば)「eribulinもしくはbevacizumab+paclitaxel」とすべきです。

 ★上記治療で目標達成(完全緩解もしくは、それに「準じた」状態)したのちに、trastuzumab+pertuzumab(抗がん剤抜き)とします。

「ハーセプチンであれば普段と変わらない生活ができるので理想的ですが、効かない可能性があるものを使うのも不安」
⇒ハーセプチン(trastuzumab)単剤で効果を期待するのはナンセンス(いい状態を
「維持」することは期待できるが)です。

「④私のがんの増殖のスピードは早い方だと思われますか?」
⇒術後1年での再発は、「早期再発」となり「遅く」はありません。

「⑤田澤先生であれば、ハーセプチンでいきますか?それともハラヴェンでしょうか?」
⇒上記③の回答どおり(trastuzumab単剤など「ありえない」選択)

 
 

 

質問者様から 【質問3 】

HER2陽性乳ガン 術後一年再発
性別:女性
年齢:44歳
病名:HER2陽性乳ガン
症状:2018年10月乳がん告知。
右胸にしこり、腋窩リンパ節転移。
ステージ3cでHER2陽性乳ガン。
11月より術前化学療法EC×4回ドセタキセル、ハーセプチン、パージェタ×4回
2019年5月手術 部分切除 液窩リンパ節郭清 右乳腺52×51×21mm Invasive carcinoma of no special type 術前化学療法の組織学的治療効果はGrade 1b相当
腋窩リンパ節 レべル1+2=0/6 レべル3=0/2 pN2a(5/13) ハーセプチン、パージェタ
×18回 放射線30回 2020年2月に治療終了。
2020年5月術後一年検診で再発。
腋窩、鎖骨上下のリンパ節
投稿日:2020年6月13日

いつも田澤先生の回答やコラムに励まされています。

ありがとうございます。

前回の質問からの経過、新しい質問をさせてください。

よろしくお願い致します。

5月中旬に骨シンチ、針生検の結果報告がありました。

●HER2陽性ではなく、トリプルネガティブ。

●骨に転移はない。

●腋窩と鎖骨上下のしこりは照射と重なり手術不可。

●胸膜にしこりの疑い。

とのことで、早速治療を始めて行きましょうとのことでした。

たくさんの薬の選択肢があり、主治医の先生は私の生活に合わせて選択しようと言って下さいました。

田澤先生の回答にあったアバスチン+パクリタキセルも選択肢にありましたが、主人が6月中旬から転勤してしまうことや子供達の学校の分散登校もあり、自宅で治療できるティーエスワンの内薬ということになりました。

5月下旬から飲み始めて2週間経ちました。

副作用は特に感じず、引っ越し準備や子供の送り迎え等、普通にすることができました。

2週間での血液検査でも問題なく、続けられるとのことでした。

薬は効いていますか?と聞くとまだわからない、との回答でした。

更に2週間飲んで、その後2週間休薬だそうです。

血液検査の結果を見せて頂くと、腫瘍マーカーの記載はありませんでした。

腋窩のしこりの痛み、術側の腕の浮腫、しびれがあり相談すると、リンパが腫れている。
薬が効き始めたら楽になるはず。
とのことでした。

また、テセントリクが使える結果が出たとのことで、腋窩のしこりが大きくなるようなら薬を切り替えていこうと言われました。

ここから質問です。

①ティーエスワンの効き目は一般的にいつ頃から表れるのでしょうか?
自分でしこりの大きさを確認しながらこのまま2週間服用するのが良いのかわからなくなってしまいました。

②薬が効いているかどうかは腫瘍マーカーでわかるのでしょうか?
私の血液検査には腫瘍マーカーの記載はありませんでした。

希望すれば調べて下さるのでしょうか?

③田澤先生であればティーエスワンをすぐに止めてテセントリクに切り替えますか?
再発治療についての先生のコラムによれば、第1ステップとしてテセントリクを使用するとあります。

飲み始めたばかりで、効果もまだわからない状態で切り替えても良いのでしょうか?
テセントリクが合わなかった場合、ティーエスワンの選択肢は無くなるということになりますか?

④質問③の回答でテセントリクに切り替えるとした場合、7月上旬の次回診察まで待っていて大丈夫でしょうか?
増殖スピードの早い癌とのことで、それも不安になります。

HER2陽性乳ガンからトリプルネガティブに変わってしまい、薬の選択も変わり、色々と迷っています。

ティーエスワンは、私は副作用を感じないので助かるのですが、同時に効いているのか不安になっています。

勉強不足に加え、選択に迷い自己判断できない情けない質問で申し訳ありません。

どうかよろしくお願い致します。

 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。

再発治療にスタンダードはありません。
参考になるのは『今週のコラム 240回目 もしも目標を『肝転移をコントロールして、(QOL目的でもいいから)手術してしこりを切除する』としていたら』です。

「①ティーエスワンの効き目は一般的にいつ頃から表れるのでしょうか?」
⇒TS-1は効果と副作用のバランスが悪く(私見)、私が用いる(もしくは患者さんに提案する)ことはありません。

「②薬が効いているかどうかは腫瘍マーカーでわかるのでしょうか?」
⇒質問者のように局所再発の場合には「腫瘍マーカーは必ずしも上がっていない」可能性があります。(胸膜転移の程度も軽いなら)

 その場合には、「画像診断(この場合エコー所見)」のみでの効果判定となります。
 ★もしも腫瘍マーカーが上がっていれば(当然ながら)「画像所見とマーカーの両方」で効果判定となります。

「希望すれば調べて下さるのでしょうか?」
⇒調べていない筈はありません。(常識的に)

「③田澤先生であればティーエスワンをすぐ
に止めてテセントリクに切り替えますか?」

⇒そうなります。

「飲み始めたばかりで、効果もまだわからない状態で切り替えても良いのでしょうか?
テセントリクが合わなかった場合、ティーエスワンの選択肢は無くなるということになりますか?」

⇒私は「そもそも」TS-1は使いません。

 画像上完全緩解を目指すなら
 1. Atezolizumab+nab-paclitaxel
 2. Bevacizumab+paclitaxel
 3. Eribulin

「④質問③の回答でテセントリクに切り替えるとした場合、7月上旬の次回診察まで待っていて大丈夫でしょうか?」
⇒それほどの緊急性はなさそうですが(だからTS-1をやっているとも言えます)