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ER受容体90%、PGR受容体1%未満の乳癌について

[管理番号:8481]
性別:女性
年齢:54才
病名:浸潤性乳管癌
症状:
投稿日:2020年4月25日

初めまして。
お忙しいところ申し訳ありません。

今年の3月上旬に乳房温存手術を受けた者です。

4月上旬に手術後の病理結果が次のように出ました。

※浸潤性乳管癌
※腫瘍の大きさ2cm
※リンパ節転移なし
※脈管侵襲 リンパ血液ともにあり。

※組織学悪性度グレード1
※HERS 2+→追加検査で陰性
※Ki-67 5%未満
※ER受容体90%、PGR受容体1%未満

担当医からはKi-67が5%未満なので抗がん剤はやっても効かないと説明を受け、ホルモン感受性タイプなので、アリミデックス1㎎を10年服用しましょうと言われました。
その時は
は納得して帰って来ましたが、私の癌細胞をやっつける武器はこのホルモン剤だけかと思ったら太刀打ち出来るのかと思い始めてしまいました。
自分なりに色々調べましたが、わからない点があります。
そこで先生に質問です。

①ER受容体90%と言う事は、癌細胞のうちの90%のみにホルモン剤がよく効いて癌細胞が消滅するなり消失し、残りの10%は身体の中で生き続けてしまい将来転移を引き起こすのでしょうか?

②もし、そうであるならば、効かないと言われた抗がん剤が残りの10%の癌細胞に効く事はないのでしょうかはないのでしょうか?

③PGR受容体低値又は陰性だとホルモン療法の効果が薄いと指摘する記事も読みましたが、
先生が今まで診て来られた患者さんもそのような傾向がありますでしょうか?

お忙しところ申し訳ありません。
ご教示頂ければ幸いです。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「ER受容体90%と言う事は、癌細胞のうちの90%のみにホルモン剤がよく効いて癌細胞が消滅するなり消失し、残りの10%は身体の中で生き続けてしまい将来転移を引き起こすのでしょうか?」
⇒考え方に根本的な誤りがあります。

 もしも微小転移が体内に存在していた場合には「十分に効果を発揮」し「ある程度以上破壊」されれば「癌細胞は生き残れない」可能性は高いのです。

「PGR受容体低値又は陰性だとホルモン療法の効果が薄いと指摘する記事」
⇒根拠薄弱

「先生が今まで診て来られた患者さんもそのような傾向がありますでしょうか?」
⇒ありません。
 ご安心を。

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

完全閉経ではない場合のホルモン療法について。
性別:女性
年齢:55歳
病名:浸潤性乳管癌 (腺管形成型)
症状:
投稿日:2020年6月23日

田澤先生、こんにちは。

以前、管理番号8481で質問した者です。

その節は超御多忙中にもかかわらず、貴重なご意見を賜りました事深く感謝致します。

 
私の今現在の状況としましては、19回の放射線治療を終え、アリミデックスの服用が3か月目に入っています。

今日は新な質問です。
先生の貴重なお時間を割いてしまい申し訳ないです。

10年位前から子宮筋腫があり、定期的に婦人科の方に通院して、年に1回血液検査をしております。
今年も先週に血液検査を行い、その結果を昨日聞いて来ました。
色々血液検査の項目がありましたが、気になる項目として、E2(エストラジオール)、FSH(卵胞刺激ホルモン)の数値です。

去年→E2…5、FSH…32.73(単位は省略)
今年→E2…6、FSH…51.73 
 
この数値を見て、婦人科の主治医は「まだ完全には閉経してないようですね。」とぽろっと仰仰ってました。

私は、1年半前から生理がないので閉経したものとばかり思ってましたので驚きました。

乳がん手術後に、乳腺外科の主治医とこれからの治療方針についてお話した時に、その主治医から、「閉経してますか?」との質問に、私は自信をもって「閉経してます!!!」と答えアリミデックスを
えアリミデックスを10年服用する事なりました。
その時は、特別にE2、FSHの血液検査もせずに、私の一声で薬が決まりました。

今更ながら、アリミデックスは今の状況の私に合ってるのか不安になって来ております。
乳腺外科の主治医と相談する前に、田澤先生の貴重なご意見を伺いたいと思いまして、
質問させて頂きます。

①アリミデックスは閉経後の患者さんには有効との事でしたが、私のような微妙なE2、FSHの数値でのアリミデックスの服用は有効ですか?

②上記のようなE2、FSHの数値の場合、田澤先生ならば、どのホルモン薬を服用させますか?(このような状況でしたら、他のホルモン薬に変更致しますか?)

③完全閉経した時は、E2の数値は0になるのですか?

お忙しいところ申し訳ありません。
ご教示頂ければ幸いです。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

一般論として閉経とは「最終月経から1年以上経過」とあります。

この定義の中には「E2やFSHなどの値による縛り」はありませんので、「実際には(血液検査的には)閉経とは言えないが(臨床的に)閉経」という方が存在しているのです。

質問者は(厳密に言えば)上記に該当するようです。

「①アリミデックスは閉経後の患者さんには有効との事でしたが、私のような微妙なE2、FSHの数値でのアリミデックスの服用は有効ですか?」
⇒根本的な勘違いがあります。

 閉経でないのにanastrozoleを内服することの弊害は(効果があるのか?ではなく)「結果として月経再開を促す=予後に悪影響を与える」なのです。
 ○敢えて回答するなら…
   (月経再開さえなければ)十分、有効です。

「②上記のようなE2、FSHの数値の場合、田澤先生ならば、どのホルモン薬を服用させますか?
(このような状況でしたら、他のホルモン薬に変更致しますか?)」

⇒この数値を見てしまえば、タモキシフェンとします。(ただ、「最終月経から1年以上経過」している方には敢えてホルモン値は測定しないため)

「③完全閉経した時は、E2の数値は0になるのですか?」
⇒5未満です。