[管理番号:6506]
性別:女性
年齢:42歳
いつも参考にさせていただいております。
5月に左胸全摘、リンパ節郭清をしました。
主治医からは年齢、閉経前ということもあり、抗がん剤の使用を強く勧められていますが、
田澤先生のご判断もお聞かせください。
状況:
主治医の方針は、
抗がん剤(アンスラサイクリン+タキサン)→放射線→ホルモン
・浸潤がん
・大きさ 2.8×2.6cm
・リンパ節転移 2/13 (lvⅠ 2/12、lvⅡ 0/1)
・核グレード2
・エストロゲン受容体+ 8/8
・プロゲステロン受容体+ 7/8
・HER2 ほぼ陰性(2+)FISH 増幅なし
・Ki-67 47%(術前です。
術後は検査していません)
主治医からはホルモン療法のみの場合と抗がん剤を併用した際の再発率の差について明確な説明をもらっていません。
自分としては差の程度によってはホルモン療法のみの選択を希望しているのですが、主治医の選択肢には入っていないようです。
オンコタイプdxについては年齢が若く、閉経前でリンパ節転移もあるためやる必要がないとのことでした。
田澤先生の「Oncotype DXで勘違いしていませんか??」を読ませていただき、希望を持ったのですが、
知人にも見てもらったところ、3つの臨床試験が閉経前・リンパ節転移陽性を「含む」試験の検体を扱ったものであり、
閉経前・リンパ節転移陽性のみを対象とした試験でないとすると、それ以外の検体がOncotype DXの検定結果に対し支配的であった場合、
閉経前・リンパ節転移陽性においても有用であるとするのは疑問ではと言われました。
ご紹介いただいている臨床試験の内容まで確認できておらず申し訳ありませんが、
①閉経前・リンパ節転移陽性に対してもoncotype DXの予後予測が有効である根拠はありますでしょうか?
②私の現状でホルモン療法のみと抗がん剤併用時の再発率の差はどの程度でしょうか?
③また、田澤先生なら抗がん剤の併用が必要とご判断されますか?
恐れ入りますがお教えください。
宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
まず、主治医と私の考え方は全く異なりますがご容赦ください。(「でも、私の主治医はこう言ってるんですけど…」的な再質問をされても、同じ回答しかできないことを予め記載しておきます)
「主治医からは年齢、閉経前ということもあり、抗がん剤の使用を強く勧められて」
⇒どちらも、抗癌剤を勧める根拠にはなりません。(ちなみに、リンパ節転移も同様)
☆ただ、シンプルに、
Ki67=47%だから(手術標本全体での評価でないことに問題はありますが)、ルミナールBとして抗癌剤を勧める事自体には何ら、誤りはないと思います。
(ただ、勧める理由がおかしいということです)
「オンコタイプdxについては年齢が若く、閉経前でリンパ節転移もあるためやる必要がないとのこと」
⇒誤り。
実際に「閉経前、リンパ節転移あり」でも検証されています。 ☆「Oncotype DXで勘違いしていませんか??」に記載してある通りです。(実際に学術のものにも確認しています)
「閉経前・リンパ節転移陽性に対してもoncotype DXの予後予測が有効である根拠はありますでしょうか?」
⇒勿論!
上記コメント通り。(信じるか信じないのかは、質問者にお任せします)
「②私の現状でホルモン療法のみと抗がん剤併用時の再発率の差はどの程度でしょうか?」
⇒不明です。
それが知りたかったら(Ki67の値からはルミナールBの可能性が高いとはいえ)OncotypeDXすべきです。
「③また、田澤先生なら抗がん剤の併用が必要とご判断されますか?」
⇒まずは「手術標本でKi67をオーダー」するか、(もしもそれをしないなら)
「OncotypeDX」を勧めます。
上記のどちらもしないのであれば、(術前組織診でのKi67を根拠とするしかなく)その場合はルミナールBとしてTCを勧めます。