[管理番号:5968]
性別:女性
年齢:32歳
乳がんと診断されてからこちらのページを何回も読み返し、勉強させて頂き、
乳がんに対して全く知識のない状態から初めて質問させて頂きます。
今まで乳がん検診はしたことがありませんでした。
年末に右胸の乳首の下に2cmのしこりを見つけ年が明けすぐに予約し、針生検の結果、乳がんと告げられました。
2018年1月(中旬)日・・・超音波で6時17×11×19mmのしこり確
認し針生検
2018年1月(中旬)日・・・針生検の結果、一次報告として乳がんと告げ
られる。
2018年1月(下旬)日・・・二次報告をもらう予定です。
1月(中旬)日の一次報告の時点でクリニックの担当医に大きな病院へ紹介状を書いてもらいすぐ予約しなさいとの事で大きな病院へ電話をしました。
早くても2月(上旬)日に診察となりますとのことで、まだ先ですが予約をしている状況です。
乳がんと告げられた際、頭が真っ白で、ほとんどぼーっとしていて自分の一次報告の内容がわかりません。
なので紹介状を綺麗に開けて落ち着いてから見ました。
内容は・・・
臓 器:乳腺
病理組織診断:一次報告
adequate:invasive ductal carcinoma scirrhous (2a3),malignant
所 見:検体は2個採取されています。
ともに浸潤癌を認めます。
核クロマチンの粗造と濃染を示す不整形核を持った高N/C比のcarcinoma cellsが線維性間質内に索状に増殖しています。
Invasive ductal carcinoma, scirrhous(2a3)に組織分類しました。
組織学的波及度:f
浸潤様式:INFc
腫瘍間質:scirrhous
乳管内成分:(+)
組織学的悪性度(SBR):管腔形成3、核異型2、核分裂数1、
grade2
(取り扱い規約):核異型2、核分裂数1、grade1
ER、PgR、HER2については追加え26日にご報告いたします。
右6時2cmの腫瘍を触知、超音波に右6時17×11×19mmの石灰化を
伴う腫瘍を認め針生検で乳がんの診断となりました。
不整な形のhypoechoic mass,内部に小石灰化を伴います。
・・・など書いてあります。
両親に見せたところ、仕事で健康に関しての事に詳しく、色んなかたにお聞きしたところ、
スキルス性癌は進行が速いと聞いてます。
2月(上旬)日に大きな病院で診察の予約をしている状態ですが、そこから詳しい検査が始まると思います。
手術を希望していますが、おそらく1か月半か2か月先になる気がします。
その期間に転移をして悪化する事で不安が消えないせいなのか、
リンパもしこりも痛みます。
ズキズキし、落ち着き、ズキズキし、落ち着きの繰り返しです。
昨日、某クリニックでお話しだけ聞きに伺ったのですが、やはりスキルスが気になると言われ、その方の経験は長年お医者様をしていて3人目の症例とのことでした。
そのくらい珍しいものなんでしょうか。
進行が速いのに手術をすぐしていただけないのでしょうか。
おそらく骨シンチやCTを予約した病院は進めてくると思いますが先生の質問ページを拝見していてMRIで良いと。
被爆する必要はないと記載がありました。
しかし転移していることが不安です。
32歳、今年妊娠を希望していたので絶望しています。
2013年に子宮頸がんの円錐切除術をしていて、ただでさえ不安です。
ご返信よろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
今回のメール内容には本当に腰を抜かしました。(勿論、比喩です。心配なさらない様に。)
題名の「スキルス乳がん」から、「もしかして、とんでもない勘違いをしているかな??」との予想はあったのですが…
このQandAを(どっしり腰を据えて)半分も読めば「乳がんの硬癌に何の意味も無い」ことを、すぐに気づくことでしょう。
「胃癌でいうスキルス胃癌」と混同しているようですね。
○事実は、乳がんは70%を占める浸潤性乳管癌と、その他の「特殊型」(30%)に分けられます。
この浸潤性乳管癌は「硬癌」と「乳頭腺管癌」と「充実腺管癌」の3つにほぼ均等に分けられます。
私の感覚では
浸潤性乳管癌70%(硬癌:25% 乳頭腺管癌:25% 充実腺管癌 20%)
特殊型30%(小葉癌、粘液癌、アポクリン癌など)
○つまり硬癌は乳癌全体の1/4を占めています。
それを「長年お医者様をしていて3人目の症例」とは????
この医師の「長年」とは「1カ月」のこと??(随分「短すぎる」長年ですね)
私は1カ月間で30症例の乳癌手術をしていますが、「その1カ月間に、7~8症例位が硬癌ということになります。(当然ながら)硬癌を気にした事はありません」
「(取り扱い規約):核異型2、核分裂数1、grade1」
⇒この意味が解りますか??
グレード1ですよ?
♯ 硬癌は大人しいタイプが多く、「典型的な硬癌はグレード1で、サブタイプもルミナール」です。
「スキルス性癌は進行が速いと聞いてます。」
⇒とんでもない勘違いです。
「スキルス胃がん」と勘違いしていますね??(天と地ほども違います) 実際の乳癌の「硬癌」は大人しい物が多く、その典型例が「核異型2 核分裂1 核グレード1」となるパターンです。(このパターンは非常に多く、患者さんには「大人しいタイプで良かったですね」と言っています)
「リンパもしこりも痛みます。」「ズキズキし、落ち着き、ズキズキし、落ち着きの繰り返し」
⇒これは病状とは1000%無関係です。是非『今週のコラム 111回目 大事なことは、これら①~④の病気など世の中には無いのです。それは(我々医師には)自明なことなのです。』をご一読ください。
事実は、「その(無駄に脅かされている)ストレスが卵巣を不安定にして、それによる刺激症状」にすぎません。
ご安心を。
「やはりスキルスが気になると言われ」
⇒こんなことをいう乳腺外科医はありえません。
その医師は、、勿論「乳腺外科医ではない」そうですね??
「その方の経験は長年お医者様をしていて3人目の症例とのことでした。」
⇒質問者がとても可哀想です。
とんでもない「無駄な心配を強要されている」ことに「怒り」さえ感じます。
「そのくらい珍しいものなんでしょうか。」
⇒もう解りましたね??
事実は 乳がんの1/4を占める「最も典型的(平凡)な乳がん」であり、質問者は更に典型的な「大人しい硬癌(核異型2 核分裂1 核グレード1)」と言えます。
「進行が速い」
⇒1000%間違っています。
今すぐ「考えを改める」必要があります。
それも「今すぐに」改めましょう。
「おそらく骨シンチやCTを予約した病院は進めてくる」「しかし転移していることが不安」
⇒そんな無駄な検査はしないようにしましょう。
早期乳癌で「遠隔転移」などありません。
32歳で「これから妊娠を希望」しているならば、「絶対に、無駄な被爆を避ける」こと。 それだけは守ってください。
「先生の質問ページを拝見していてMRIで良い」
⇒完全な勘違いをしているようです。
そもそも
MRIは(乳腺内の拡がり診断目的であり)「術式決定のための検査」です。
CTや骨シンチは「遠隔転移を見るための全身検査」です。(当然、早期乳癌の若い女性に行ってはいけません)
「32歳、今年妊娠を希望していたので絶望しています。」
⇒全く無駄な心配をしているようで、とても悲しく感じます。
事実は…(事実をしっかり見据えることをお勧めします。 あまりにも周りの人達が誤った情報で質問者を無駄に苦しめている事に憤りを感じます)
1.単なる「典型的な大人しい早期癌」である。
2.かなりの確率で「ルミナールタイプ(ホルモン療法が効くタイプ)」である(26日に説明される予定ですね?)
3.(2により)術後はホルモン療法を行う事になりますが、(妊娠出産希望なら)「妊娠出産⇒ホルモン療法」の順番で何ら問題ないのです。『術後の妊娠出産と治療についてお悩みの方は、管理番号5903『術後の治療と妊娠、出産について』をまずはご一読ください。』をご一読を。
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