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乳がんについて

[管理番号:5858]
性別:女性
年齢:42歳
田澤先生こんばんわ。
こちらのページで勉強させていただいてます。
お忙しい中、質問に答え乳がん患者さんの不安を解消している先生の姿には、こんなお医者さんもいるのかと感動します。
いろいろな質問をみていて、私も疑問に感じたことを教えていただきたく、
よろしくお願いいたします。
1、術前が、非浸潤性乳管癌で乳房温存などで摘出して術後病理により微小浸潤なりがみられる場合
0、5ミリまでは抗ガン剤の適応はないということですが、0、5ミリまでは癌細胞が血液に入り込む可能性がほぼないから全身治療をする必要性がないということですか?
ときどき、微小浸潤でも遠隔てんいを、したというのを見ることがありますが、先生が診た患者さんでも、そういうかたは、いらっしゃいましたか?微小浸潤でも非浸潤癌の場合、全摘すればほぼ根治なのですよね?
それは、やはりまれで、田澤先生の言い回しを拝借しますが、飛行機がおちてこないかビクビクしながら外を歩くぐらいのものなのですか?
2、非浸潤癌で、微小浸潤ありは全摘でも、温存でも予後にかわりはないというのは、遠隔転移をする確率が、どちらの場合でも変わらないとの解釈であっていますか?
温存で局所再発して、それが浸潤だった場合もそれにより全摘にくらべ遠隔転移率が上昇とかはしないのですか?
3、血行性転移というのは、浸潤した癌細胞が血液にはいりこむことにより起こると、田澤先生の解答で読みましたが、
温存や全摘の手術や、マンモトームや外科生検時の出血や摘出などが原因で血行性転移が起こることもありうるのですか?
だからといって、治療との天秤にはかけられないことはわかっていますが。
4、全摘や温存の手術は術者により、当然のことながら、差があるということは認識しています。
それは結果的に遠隔転移には関係なく局所再発の確率が術者により変わってしまうという解釈であってますか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「0、5ミリまでは抗ガン剤の適応はないということ」
⇒5ミリの誤りですね?
「0、5ミリまでは癌細胞が血液に入り込む可能性がほぼないから全身治療をする必要性がないということですか?」
⇒確率の問題というよりも、実際に「その大きさ」で再発するケースが非常に少ないことが明白だからです。
「ときどき、微小浸潤でも遠隔てんいを、したというのを見ることがあります」
⇒乳癌の患者さん総数がどの位だと思いますか???
 日本国内で年間7万人(もっと増えているかもしれません)として (その様な患者さんが)7万人に1人いたとして、(それを基準に)治療をすると思いますか?
「先生が診た患者さんでも、そういうかたは、いらっしゃいましたか?」
⇒記憶では、ありません。
「微小浸潤でも非浸潤癌の場合」
⇒用語的に誤っています。
「全摘すればほぼ根治なのですよね?」
⇒その通りです。
「それは、やはりまれで、田澤先生の言い回しを拝借しますが、飛行機がおちてこないかビクビクしながら外を歩くぐらいのものなのですか?」
⇒その通り。
 
 宝くじで1億円当選する人は年間かなりの数(数100人?)要る筈ですよね?
 一生の間に、ご自身が1億円当選すると期待しますか?(本気で、期待していたとしたらスミマセン)
「2、非浸潤癌で、微小浸潤ありは全摘でも、温存でも予後にかわりはないというのは、遠隔転移をする確率が、どちらの場合でも変わらないとの解釈であっていますか?」
⇒浸潤癌でも同様です。
「温存で局所再発して、それが浸潤だった場合もそれにより全摘にくらべ遠隔転移率が上昇とかはしないのですか?」
⇒これは当然誰しも考え付く事なので…
 このQandAでも何度もコメントしていますが…
  まず、温存乳房内再発自体の確率が低い
  (温存乳房内再発したとして)浸潤癌として見つかる確率が更に低い
  (温存乳房内再発して、更にそれが浸潤癌として再発したとして)その浸潤癌が遠隔転移を起こす確率が、更に更に低い
 お解りですか??
  最終的に「温存乳房内再発したら、それが浸潤癌であり、しかも遠隔転移の原因となった」という確率は「かなり低い」のです。(それ位確率が低いと、統計的に有意差はでないのです)
「生検時の出血や摘出などが原因で血行性転移が起こることもありうるのですか?」
⇒ありません。
「それは結果的に遠隔転移には関係なく局所再発の確率が術者により変わってしまうという解釈であってますか?」
⇒そういうことです。