[管理番号:614]
性別:女性
年齢:48歳
はじめまして、3年前から小さなしこりがあったのですが、この半年で15㎝くらいで重くなり、受診したところ、左乳房嚢胞内乳頭腫と診断され、その日に水が溜まっているので抜きましょうと言われ、180ccの水と血が溜まってました。
検査で、癌とは判断できないが、疑わしいとの診断で、嚢胞ごと取りましょうと手術待ちの状態です。
術前説明で、嚢胞内の腫瘍が癌であれば追加の治療が必要と言われました。
1度には出来ないのか?追加の治療はどのような事なのか分からず教えていただければと思います。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「3年間で15cmですか?」何故それまで放っておいたのですか?
病院でも、そのように言われたでしょうから、ここでは不問とします。
回答
「左乳房嚢胞内乳頭腫」「15㎝」「180ccの水と血」
⇒悪性の可能性が高いです。
「嚢胞ごと取りましょうと手術待ちの状態」「癌であれば追加の治療が必要と言われました。1度には出来ないのか?」
⇒当然です。
「乳癌の確定診断がついていない」以上、最初から乳がんとしての手術「①十分切除マージンをとる②リンパ節を摘出(センチネルリンパ節生検)」はできないのです。
質問者様から 【質問2】
ご回答いただきありがとうございます。
確定診断出来てないからと言うことで、理解できました
後、状態の部分で、記入不足の点がありました。
嚢胞内の腫瘍は1㎝くらいで、嚢胞は水と血を抜き、5㎝くらいになりました
聞きたいのですが、嚢胞内の非浸潤癌としても、嚢胞摘出だけでは何がその後の心配な点になるのですか?
それと非浸潤癌として、どのような今後の治療が、最適と思われますか?
先生の不問の質問に答えますと、1㎝くらいは、わかっていながら、病院の門をくぐるのに躊躇してたのと、専門病院の予約が中々取れませんでした
15㎝くらいになったのは、この3ヶ月くらいです。
また質問で申し訳ありませんが、色々自分でも調べてみたのですが、嚢胞は外傷性で…等とありましたが、なぜ出来るのですか?
癌からのものならば、袋の中の侵出液は、はっきりと癌細胞はでないのですか?
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
嚢胞内腫瘍ですね。
少し勘違いがあるように思います。
回答
「嚢胞内の非浸潤癌としても、嚢胞摘出だけでは何がその後の心配な点になるのですか?」
⇒癌の場合には、「安全のため(つまり、取り残しがないように)」切除マージン(つまり切り代)をつけて切除するべきです。
嚢胞内にとどまっていたとしても、壁の部分が少しでも残存すると「局所再発」の元となるのです。
「それと非浸潤癌として、どのような今後の治療が、最適と思われますか?」
⇒追加切除で「きちんとマージンを付けた」乳腺の追加切除+放射線(温存乳房照射)です。
「嚢胞は外傷性で…等とありましたが、なぜ出来るのですか?」
⇒「外傷」ではできません。
通常の「嚢胞」は乳腺全体が線維化などを起こし硬くなり、乳管がそれにより「閉塞」することで「乳管内分泌物が貯留」して生じます。
○ただ、質問者の場合は「通常の嚢胞」ではなく、あくまでも「乳管内の腫瘍が、(腫瘍からの分泌物と共に存在する」もので「嚢胞ではなく、腫瘍」なのです。全く異なります。
「癌からのものならば、袋の中の侵出液は、はっきりと癌細胞はでない」
⇒通常の「嚢胞内癌」であれば、「嚢胞内腋に癌細胞は証明されない事の方がむしろ多い」です。
しかし、質問者の場合は「血性でしかも180mlもあれば」その中に癌細胞が証明できる可能性は高いのではないかと思います。
質問者様から 【質問3】
分かりやすいご回答いただきありがとうございます
来週手術を控え、色んな事が駆け巡り
質問させていただきたいのですが
嚢胞は硬いですか?水と血を抜いた後硬く感じ、一部分プニュプニュした感じで、全部が腫瘍に思えたりします。
固まりは5㎝くらいあります
乳頭からの分泌物は、私はありませんでした、出ない事もありますか?
切開は、乳首上左側横に5㎝くらい切る予定ですが妥当と思われますか?
乳輪だと、傷が分からないとは言ってました、下側だと少し遠いと、術後の傷は気にしないので、術後の痛みが一番ない方法でと言っています
最終決定は入院時決めましょうと言われてます
今後、気をつける事とかありますか?
生理が、術前1週間に終わる予定が、未だ来ず、妊娠の可能性はありません、手術と重ならないかと不安です。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
かなり大きな嚢胞内腫瘍で質問をいただいた方ですね。
回答
「嚢胞は硬いですか?水と血を抜いた後硬く感じ、一部分プニュプニュした感じで、全部が腫瘍に思えたりします」
⇒嚢胞は内部が液体で充満すると、弾性のある感じですが、「水を抜くと」腫瘍部分が少し硬く感じる筈です。「液体が残っている部分は「ぷにゅぷにゅ」するでしょう。
「乳頭からの分泌物は、私はありませんでした、出ない事もありますか?」
⇒あります。
乳管との連続が絶たれてしまうと分泌は無くなります。
「切開は、乳首上左側横に5㎝くらい切る予定ですが妥当と思われますか?」
⇒妥当です。
癌も疑われる状況なので、皮膚切開は「安全に大きく」がいいと思います。
「今後、気をつける事とかありますか?」
⇒特にありません。
腫瘍にあまり触らずに、「体調管理だけ」気をつけてください。
質問者様から 【質問4】
いつもお忙しい中丁寧なご回答ありがとうございます
手術前に、もう1つ質問したいのですが
刺針して、水と血を抜いた事は大丈夫なのですか?
拡がりだったりの心配はないのですか?
180ccありましたが、先生の経験上、どのような方が居たのか聞いてもいいですか?
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
もうそろそろ手術ですね。
回答
「水と血を抜いた事は大丈夫なのですか?拡がりだったりの心配はないのですか?」
⇒注射器で外に出している分には大丈夫です。
心配ありません。
「180ccありましたが、先生の経験上、どのような方が居たのか聞いてもいいですか?」
⇒多い方は、それこそ500cc位の方もいて、そのような方は抜いても抜いても直ぐに貯留し大変でした。
私の経験上、大量で「血性」の方の殆どが癌でした。
やはり大きさが参考になります。大きければ大きいほど癌のリスクがあります。
質問者様から 【質問5 手術終わりました。】
いつもお忙しい中、ご返答ありがとうございます。
無事に手術は終わりました、細胞診の結果待ちです。
嚢胞破らず摘出できましたと、退院時の精算が出来ないと言われました、細胞診出ないと病名が変わるからとのことで、癌か、乳頭腫かとの事でしょうか?
術式からのオペであって、そのような事はあるのでしょうか?
田澤先生から 【回答5】
こんにちは。田澤です。
「嚢胞破らず摘出できました」というのは何よりです。
回答
「退院時の精算が出来ないと言われました、細胞診出ないと病名が変わるからとのことで、癌か、乳頭腫かとの事でしょうか?」
⇒病名が「癌」なのか「良性(乳頭腫)」では術式(それに伴う点数:料金)が全く異なるのです。
「術式からのオペであって、そのような事はあるのでしょうか?」
⇒それが日本の医療保険点数制度です。
「全く同じ手術」をしても「癌と良性疾患」で変えているのです。
質問者様から 【感想6 傷口から出血が…】
いつも分かりやすく、ご回答くださりありがとうございます
皆さんがお書きになってるように、先生みたいな方がいらしゃること本当に救われる気持ちでいっぱいです、大変お忙しいと思います、そんな中本当にありがとうございます。
術後1週間では、細胞診断結果はまだ出ていませんでした
微妙なのか、東京の方まで送り、検査を依頼するとの事でした。
術後次の日退院し、当日は39℃代の熱と、パンパンに腫れ、赤みの炎症、クーリングで、次の日には熱は下がり、3日間クーリングして、炎症はおさまりました
受診時、エコーしてくださり、水が溜まったり、異常はないといわれました。
10日が経過し、今日仕事から帰り、下着にに出血がありました
これは傷が開いているのか?様子見て受診した方がいいですよね。
とりあえず、オプサイトテープ固定をしときました。
先生には、色々と気持ちを助けていただき、結果が出ましたら報告します。
質問者様から 【質問7 今後の決断】
いつもありがとうございます。
結果嚢胞内乳頭癌、非浸潤との結果でした。
色々説明を受けましたが、頭の中はそっか~とかけめぐり、聞くことも聞けず、先生教えてください。
ER+100%
PgR+100%
HER2/neu:Score 0(negative)
MIB-1 5%
CK19強陽性
DCIS断端陽性
すいません、教えてください。
それと、手術は、部分か、全摘かどちらがいのでしょうか?
何が1番いいのでしょうか?
田澤先生から 【回答7】
こんにちは。田澤です。
「半年で15㎝くらいで重くなり」という血性の嚢胞内腫瘍ですから、「非浸潤癌との診断」(浸潤部分がなかった)ことは「寧ろ、安堵すべきもの」とも思います。
回答
「ER+100% PgR+100% HER2/neu:Score 0(negative) MIB-1 5% CK19強陽性 DCIS断端陽性」
⇒多くの人が見たら羨ましいような「極めて大人しい」非浸潤癌です。
手術に関しては、「(嚢胞内に貯留した時点で)15cmの大きさ」だった事が気になります。
また、その量だと「穿刺の過程で、(もしかすると)癌細胞が漏れた」可能性も否定できません。
「リスクを最小限にするには」間違いなく、「全摘」です。
(非浸潤癌なので)これで根治となります。
ただ、「温存も可能」なのかもしれません。
担当医の意見はどうなのでしょう?
私は診察していないので、なかなか「その事は判断困難」です。
質問者様から 【質問8 結論がでない】
いつもありがとうございます
良いと思っていいのか?それでもこれからを考えると、何がいいのか?
先生の言う、今の状態だから、全摘=根治がベストなのかと思っています。
けど全摘への不安、抵抗が…
主治医の先生は
全摘、そこまではいき過ぎとも思う
部分切除、後放射線しなくてもいいかとも思う
部分切除、後放射線
今のまま、今後放射線でもいいかとも思う
手術の方向で考えてほしいと言われました。
切除した、腫瘤は8.5㎝ 嚢胞内白色調隆起部3cm
決断できずいます。
田澤先生から 【回答8】
こんにちは。田澤です。
腫瘍径が大きい事が気になりますが、主治医の「全摘、そこまではいき過ぎとも思う」という意見からは「十分、温存で大丈夫」と確信があるようです。
ここは、(実際に診察している)主治医の目を信頼してもいいのでは?
質問者様から 【質問9 結論がでない】
先生いつもありがとうございます
沢山の方のQ&Aとても参考になり、先生のご尽力に感謝いたします
再度質問なのですが、非浸潤癌と診断され、断端陽性の為
部分切除を受けた場合、更に切除したものから、癌の見つかる場合はあるのですか?
先生の経験上いらっしゃいましたか?
摘出腫瘍は、中は空洞で血が溜まっていたようです
結論はまだ出ません、担当医の先生ともう少し話をしてみたいと思ってます。
田澤先生から 【回答9】
こんにちは。田澤です。
「部分切除を受けた場合、更に切除したものから、癌の見つかる場合はあるのですか?先生の経験上いらっしゃいましたか?」
⇒「目に見えるような」癌は無いでしょう。
ただ、「断端陽性である以上、」顕微鏡で見れば癌は残っている可能性は高いと思います。
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |