[管理番号:4177]
性別:女性
年齢:29歳
初めまして。
いつも乳癌プラザを拝見させていただいてます。
私は12月半ばに乳房部分切除術を施行した既婚、29歳(間も無く30歳)です。
今後の妊娠についてと抗ガン剤の必要性について質問したいです。
まずは私の術後病理診断の結果をお伝えします。
浸潤性乳管癌(硬癌)
腫瘍サイズ 1.6×1.3×1.3cm
リンパ侵襲 なし
脈管侵襲 なし
センチネルリンパ節転移 なし
エストロゲン受容体 陽性
プロゲステロン受容体 陽性
Her-2 score: 0 陰性
MIB-1 index:22%
核グレード 2
組織グレード 2
?主治医は検査結果ではルミナールB と記載されているが、BもどきでルミナールBよりのルミナールAもしくはルミナールAよりのルミナールBでしょうと説明をしてくれました。
術後補助療法は
放射線治療25-30回+リュープリン+タモキシフェン5年間(プラスαタモキシフェン5年間)の予定で主治医は再発リスクは中間だが抗ガン剤まではしなくていいとのことで抗ガン剤はしない方向で考えています。
妊娠のタイミングについて、以前、田澤先生の質問・回答にホルモン療法を後回しにし妊娠出産する場合と先にホルモン療法をしてから妊娠・出産する場合では再発リスクは数字で出るほどの違いはないと思う。
という内容を拝見し、私も術前のサブタイプはルミナールAだったため、
放射線治療の後、ホルモン療法は開始せず先に妊娠を先行したいと思い手術前に主治医に相談をしました。
しかし、主治医はあまりお勧めしない、先にホルモン療法をすることを勧めると回答をされたため、術後の病理診断の結果を見た上で再度相談することにしました。
そして、術後の病理診断の結果が出たため、再度妊娠のタイミングについて主治医に相談しました。
私としては先に妊娠先行の希望はあるのですがそれは諦め、せめて2-3年間ホルモン療法をして、一旦中断、妊娠・出産後ホルモン療法再開をするという方向で相談してみました。
ですが、主治医は最低5年間ホルモン療法をきっちりしてから妊娠をする方が良いと回答をもらいました。
現在、乳癌術後の妊娠希望をするホルモン療法中断の安全性を評価する臨床試験はやっているがまだ安全性がわかっていないのもあり、なんとも言えないと説明を受けました。
主治医は5年後でもまだ30代半、そんなに急がなくてもいいのでは?と言うのですが、、、5年間は長すぎます。
そこで、オンコタイプDXも受けることにしました。
オンコタイプDXの結果が低~中間リスクであれば、ホルモン療法2-3年間をして、一旦中断の方向で考えようと思ってます。
このような考えでいいのか田澤先生のご意見も伺いたく質問させていただきました。
①妊娠のタイミングについてオンコタイプDXの結果は重要視してもいいのでしょうか?
②重要視しない場合、妊娠のタイミングはどうしたらいいでしょうか?
③重要視した場合、私の上記考えでもいいのでしょうか?
④抗ガン剤は低リスク~中間リスクであれば、受けない方向で考えてますが万が一高リスクの結果が出た場合受けた方がいいでしょうか?
⑤ホルモン療法せず先に妊娠を先行してもいいと思われますか?(この意見もやはり聞いておきたくて、、、。)
お忙しいとは存じますがよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1c(16mm), pN0, luminal
「?主治医は検査結果ではルミナールB と記載されているが、BもどきでルミナールBよりのルミナールAもしくはルミナールAよりのルミナールBでしょうと説明をしてくれました。」
⇒実際はルミナールA(の確率が高い)と思います。
「主治医は最低5年間ホルモン療法をきっちりしてから妊娠をする方が良いと回答」
⇒どうも、私には…
根拠もないのに「感覚だけ」で「患者さんの人生設計に口出しする」担当医の気がしれません。
「オンコタイプDXの結果が低~中間リスクであれば、ホルモン療法2-3年間をして、一旦中断の方向で考えようと思ってます。」
⇒OncotypeDXの使い方を誤っています。
「妊娠のタイミングについてオンコタイプDXの結果は重要視してもいいのでしょうか?」
⇒無関係です。
OncotypeDXはあくまでも「化学療法の上乗せ」の有無をみるためのものです。
「リスクが低い=妊娠出産が先でもいい」とか(逆に)「リスクが高い=妊娠出産は後回しにすべき」という意味合いはありません。
「②重要視しない場合、妊娠のタイミングはどうしたらいいでしょうか?」「③重要視した場合、私の上記考えでもいいのでしょうか?」
⇒OncotypeDXの使い方に誤りがあります。
普通に「妊娠出産を先行」でいいと思います。
「④抗ガン剤は低リスク~中間リスクであれば、受けない方向で考えてますが万が一高リスクの結果が出た場合受けた方がいいでしょうか?」
⇒そう思います。
そのためのOncotypeDXです。(高リスクとなる可能性はかなり低いですが…)
「⑤ホルモン療法せず先に妊娠を先行してもいいと思われますか?(この意見もやはり聞いておきたくて、、、。」
⇒その通りです。
質問者様から 【質問2 】
ホルモン療法中断後の妊娠について
性別:女性
年齢:31歳
病名:乳がん
症状:ホルモン療法中断
こんにちは、2年前、田澤先生にご相談させていただいた者です。
ご無沙汰しております。
管理番号4177
あれから、私は主治医の提案したホルモン療法を2年間、その後中断し妊娠というスケジュールでホルモン療法を行ってきました。
先週、術後2年目の検査を行い、再発もなく、ホルモン療法の中断を主治医にお願いしました。
主治医はリュープリンだけ中断し、生理が再開するまではタモキシフェンを内服し続ける方が良いと言われました。
ですが、私はここで両方止める予定でこの2年間がんばってきたこともあり、両方止めたいと申し出ました。
主治医は渋々ですが、両方中断することを許可してくれました。
ですが、本当は5年間しないといけないし、若いからリスクもあると何度も釘を刺されました。
(主治医は先に卵子凍結をし、5年間のホルモン療法後妊娠をすれば良いのではと思っているみたいです)
また、排卵誘発剤は使用してはいけないこと、生理が再開し、1年間妊娠しなければホルモン療法を再開するという方向で説明を受けました。
そこで田澤先生にご質問ですが
①リュープリン中止後、中々生理がこない場合、生理を起こす薬(これもホルモン剤になると思いますが)は使用してはいけないでしょうか?
9月の下旬にリュープリン3ヶ月製剤を打っています。
来年春頃までは自然に来るように待つ予定ではいてます。
②排卵誘発剤の使用は禁止とされましたが
排卵誘発剤を使用は再発のリスクが上がるのでしょうか?
(ただし、フェマーラは使っても良いと説明されました。)
③1年経っても妊娠しない場合、ホルモン療法を再開した方がいいのでしょうか?
また、再開した場合、次の妊娠までどのくらいするのでしょうか?
32歳になるので、できるだけ妊娠を先までのばしたくないです。
お忙しいとは存じますがどうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
妊娠出産や不妊治療についてはエビデンスがないにも関わらず、「してはいけない」的な意見を持っている乳腺外科医は沢山います。
以下の回答は、あくまでも「私の意見」であり、それらの医師達がどう考えるのか?
とは無関係です。
「①リュープリン中止後、中々生理がこない場合、生理を起こす薬(これもホルモン剤になると思いますが)は使用してはいけないでしょうか?」
→構いません。
「排卵誘発剤を使用は再発のリスクが上がるのでしょうか?」
→上がりません。
(以下、参照のこと)
乳癌診療ガイドライン 疫学・診断編 2018年版
2016年に発表されたアメリカ生殖医学会(ASRM)のガイドラインでは「不妊治療に用いられる薬剤は乳がんリスク増加にかんれんしていないという適正なエビデンスがある」とされている。
「③1年経っても妊娠しない場合、ホルモン療法を再開した方がいいのでしょうか?
また、再開した場合、次の妊娠までどのくらいするのでしょうか?32歳になるので、できるだけ妊娠を先までのばしたくないです。」
→1年経ってから、考えましょう。
「更に1年延長するのか?」その時に考えればいいのです。(今から「1年後を心配」するなどナンセンスです)
質問者様から 【質問3 】
第二子について
性別:女性
年齢:32歳
病名:乳癌
症状:
ご無沙汰しております。
以前、田澤先生に相談をしました者です。
この度、第一子を授かり、現在妊娠7ヶ月になりました。
リュープリン 中断後4ヶ月過ぎに生理が再開し、その2ヶ月後に授かることができました。
出産予定日は来年の2月です。
その節は大変お世話になりました。
今回、先生にご相談したいことは第二子の妊娠のタイミングについてです。
まだ第一子を出産していないのに第二子の事を相談するのは早過ぎるのではないかとかなり悩みましたが、ホルモン療法の再開の兼ね合いもあり、早いですが計画を立てたいと思い相談させていただきました。
通常は出産、授乳後ホルモン療法を再開し、残りの3年間行うと思いますが、終了後に第二子の妊娠をしようと思うと、今回のようにスムーズに妊娠すれば良いのですが私の年齢も35歳を過ぎ、第一子とのきょうだい差も空いてしまう為、なるべく早めに第二子を妊娠したいと思ってしまいます。
質問①
ホルモン療法を再開させずに授乳後、なるべく第一子と間を開けずに第二子の妊娠をしたいのですが、残りの3年間きっちり行ってから第二子の妊娠をした方がいいのでしょうか?
質問②
ホルモン療法を先に再開させた場合、ホルモン療法を1-2年で再度中断し、第二子の妊娠をしてもいいのでしょうか?
質問③
ホルモン療法を再開させる場合、授乳は途中断乳した方がいいのでしょうか?
その場合目安は何ヶ月くらいがいいのでしょうか?
お忙しいとは存じますがよろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
妊娠おめでとうございます。
「質問①
ホルモン療法を再開させずに授乳後、なるべく第一子と間を開けずに
第二子の妊娠をしたいのですが、残りの3年間きっちり行ってから第二子の妊娠をした方がいいのでしょうか?」
→「間を空けずに」でいいでしょう。
「質問②
ホルモン療法を先に再開させた場合、ホルモン療法を1-2年で再度中断し、第二子の妊娠をしてもいいのでしょうか?」
→中途半端にホルモン療法を挟むくらいなら、「間を空けずに」妊娠でいいのでは?
「質問③
ホルモン療法を再開させる場合、授乳は途中断乳した方がいいのでしょうか?
その場合目安は何ヶ月くらいがいいのでしょうか?」
→断乳する理由がありません。
「授乳」自体もリスクを下げるのですから。
質問者様から 【質問4 】
今後の治療について
性別:女性
年齢:34
病名:乳癌、再発、遠隔転移
症状:
投稿日:2021年9月27日
ご無沙汰しております。
いつも大変お世話になっております。
昨年出産した息子は順調に成長し、毎日元気いっぱいに過ごしております。
この度、最終質問から状況が変わった為、再度、田澤先生のお力も借りたいと思い投稿しました。
今までの経緯(引越しを2回しているため、主治医も2回変わっております。)
2018年12月ホルモン療法中断
2019年4月に夫の転勤のため、遠距離転居。
2019年6月妊娠発覚。
2019年11月実家帰省時に初診時から診てもらっている病院で採血、エコーを受ける。
異常なし、出産後に転居先の病院で術後のフォローをしてもらうように紹介状をいただく。
2020年2月第一子出産。
乳腺炎になり、助産師さんの紹介で転居先の乳腺外科クリニック受診。
先生から術後のフォローもしていただけるとのことで、転院。
(紹介先の病院とは別)
第二子の件も相談し、田澤先生と同じく、間を空けずに妊娠、出産その後ホルモン療法再開で良いでしょうと意見をいただく。
2020/8月まだ第二子を希望しないこともあり、また月経再開もしたため、ホルモン療法の再開をしたいと伝え、ホルモン療法再開。
ただし、主治医よりステージ1でローリスクだし、リュープリンはしなくてもいいでしょう。
と説明を受け、タモキシフェン単独で再開。
2021/1月術後の定期検診で血液検査と胸部レントゲン施行。
レントゲン異常なし。
CA15-3が26とやや高め。
妊娠中の検査時とほぼ同じかやや下降しているのでそれほど心配することはない、3ヶ月後に血液検査再検するよう説明を受ける。
2021/4月夫の転勤で再度遠距離転居。
2021/5月転居先の病院転院。
リュープリンも併用した方がいいと
説明を受けたが、前医からリュープリンは不要と言われ今に至るのに気持ちの切り替えができないむねを伝え、タモキシフェン単独続行。
2021/6月血液検査再検。
CA15-3は34とやや上昇。
3ヶ月後再検。
2021/9産後一度もCTを撮影していない為、血液検査と単純CT施行。
CA15-3は47と上昇、CTで肝臓に腫瘍が見つかり、肝転移疑いでPETCTを施行。
PETCTの結果、多発肝転移4cmを認めた。
骨、肺(小結節はあるが非得意的のため経過観察)に転移は今のところないです。
主治医からは肝転移とはいえ、症状もなく、今すぐ生命を脅かす状態ではないので、ガイドラインに沿って、まずはホルモン療法から始めましょうと説明を受け、
LA-RHa(ゾラデックス)+アロマターゼ阻害剤(レトロゾール)+CDK4/6阻害薬(ベージニオ)を開始しました。
よく効けば2年はもつので、薬の効果が薄れてきたら抗がん剤を使う予定とのことです。
尚、脳に関してはMRIを予定しております。
質問①主治医からは根治はできなく、延命治療になるので、最初からきつい抗がん剤を使うと、ずっときつい治療を使い続けないといけなくなると説明を受けました。
田澤先生の質問を見てみると抗がん剤未使用であれば抗がん剤が良く効く可能性が高く、画像上のCRを目指してその後ホルモン療法+分子標的薬で長期維持を目標にするのがいいと見て、正直ホルモン療法からスタートすることに不安があります。
再発治療にスタンダードはないことは理解しています。
質問②ホルモン療法先行で治療する場合、効かなくなった時とは、どういった状況で抗がん剤に移行するのでしょうか?例えば肝転移巣が縮小したが再び増大とかでしょうか?他の部位にできてからだと遅い気がして、、、。
質問③肝転移は多発していますが、サイバーナイフやトモセラピーの併用は効果あるのでしょうか?
質問④手術から4年9ヶ月で再発遠隔転移になりなってしまいましたが、増殖スピードはそんなに早くはないでしょうか?長期予後は期待できますか?
質問⑤たらればになりますが昨年ホルモン療法を再開した時にリュープリンも併用していたら結果は違っていたのでしょうか?
その時に本当に不要なのか自分できちんと調べていれば良かったです。
ただ間を開けずにすぐに妊娠していたらもっと大変な状況になっていたと思うので、タモキシフェンだけでも早めに再開してよかったのかなと前向きに考えております。
絶望の中にいますが、術後のホルモン療法を途中で中断し、妊娠出産したことに全く後悔はしていないです。
今は小さい息子の為にもできるだけ長く生きたいと思っております。
その為にも前向きに治療を頑張りたいです。
お忙しいところ申し訳ございませんが、どうかご返信よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは田澤です。
肝転移とのこと、お気持ちお察しします。
「質問①主治医からは根治はできなく、延命治療になるので、最初からきつい抗がん剤を使うと、ずっときつい治療を使い続けないといけなくなると説明を受けました。
田澤先生の質問を見てみると抗がん剤未使用であれば抗がん剤が良く効く可能性が高く、画像上のCRを目指してその後ホルモン療法+分子標的薬で長期維持を目標にするのがいい」
⇒そう思います。
「病変が画像上ある状態」を維持するよりも、「病変が(画像上)消失した状態」を維持したほうが安心感があります。
「質問②ホルモン療法先行で治療する場合、効かなくなった時とは、どういった状況で抗がん剤に移行するのでしょうか?例えば肝転移巣が縮小したが再び増大とかでしょうか?」
⇒腫瘍マーカー(CA15-3)が「いい指標」となりそうです。
「質問③肝転移は多発していますが、サイバーナイフやトモセラピーの併用は効果あるのでしょうか?」
⇒あります。
できれば全身療法で縮小させて(数的に)ターゲットを絞れる状態にしてから、
「drug holiday」の前に行うといいですね。
「質問④手術から4年9ヶ月で再発遠隔転移になりなってしまいましたが、増殖スピードはそんなに早くはないでしょうか?」
⇒DFI(disease free interval)といいますが、4年以上なので十分に長いと思います。
再発後生存期間はDFIの長さが関係します。
長期コントロールを目指しましょう。
「質問⑤たらればになりますが昨年ホルモン療法を再開した時にリュープリンも併用していたら結果は違っていたのでしょうか?」
⇒DFIがもう少し伸びた可能性はあります。
質問者様から 【質問5 】
セカンドオピニオン
性別:女性
年齢:34
病名:再発、遠隔転移
症状:
投稿日:2021年10月15日
いつも大変お世話になっております。
ご回答していただきありがとうございました。
今月、先生のセカンドオピニオンの予約をとりました。
積極的に治療をしたいと思います。
また、今のクリニックの先生から特にセカンドオピニオンを勧めてこなかったこと、ガイドライン以外の方法は断ってくるかもしれないので、抗がん剤治療をすることになれば、手術をしてもらった先生の病院に転院しようかと考えております。
(ただ、その先生は5年間ホルモン療法をすることを強く勧めてきたので、今回再発したことでほらやっぱりと言われるのが正直嫌です。
そうはいってられないですが)
セカンドオピニオンよろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答5】
こんにちは田澤です。
「今月、先生のセカンドオピニオンの予約をとりました。」
⇒QAの回答と同じになりますが…
今のクリニックから転院する際の理由として「セカンドオピニオンの返事」を使うといいでしょう。