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胸のつかえる感じ、背中の痛みがあります

[管理番号:162]
性別:女性
年齢:41歳
昨年の2月の人間ドックでは乳がん検診のマンモではなにもひっかかりませんでした。
1年後の今年の2月に再度人間ドックにて乳がん検診の結果、両方の石灰化あり 局所的非対称性陰影 と診断され、精密になりました。
翌日、乳腺外科にて、確かに両側に石灰化があるが、右側は良性の石灰化だが、心配なのは左胸の内側のほうの石灰化だそうです。パラパラっと集まりがあるとのこと。エコーをやりましたが不明とのことで、他の病院でマンモトームの検査を行うことになりました。
マンモトームの検査が行われるのはまだ2週間も先です。
そこで質問です。
私は昨年の6月に運動中に前十字靭帯を切ってしまい、それからというもの、体中がいたかったり、筋トレしたりすれば、すぐに体がいたくて、腰もいたいし、背中もいたくなります。それにひどいときは胸のつかえもあり、おまけに右足はいつも血の巡りも悪く、持病のパニック障害もありいつも体や頭痛がひどく、デパスは毎日かかせない日々でした。 
去年の乳がん検診ではなにもでなかったので、全く疑うこともありませんでした、今年精密ででてしまったので、すべてのことが乳がんからきているものなのでは?とすごく不安です。
頭痛もいつもでそのたびに脳のCTをとったりいろいろとしていましたが、問題ありませんでした。
首も年中いたいので、その時もレントゲンなどとると、石灰化もあるし、ストレートネックだね、といわれていました。
現在の症状ですが、
1.胸がつかえるかんじ
2.背中の背骨の一部分が痛い 
3.腰は相変わらず痛い
4.みぞおちあたりが痛い
5.首の部分が痛い
ただ、去年の6月にけがしてからは本当にいつものことなのであまり意識していなかったのですが、ここで乳がんの疑いがあるといわれて、すべてがあてはまってしまうと思い、もしかして進行性のがんではないかと、検査前からかなり落ち込んでしまっています。
次にマンモトームの検査をするときに、この症状をいえば、MRIなどもとってもらえるものでしょうか。
あまり調べるのはよくないと思いつつ、ネットばかりみては自分とあてはまるので、初期にみつけたのに、進行性のがんでは?といまからかなり憔悴しています。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「乳癌検診で要精査」となると、いろいろな事が関連して思えてしまう。という悩みだと思います。
 それでは回答します。

回答

「すべてのことが乳がんからきているものなのでは?」
⇒「乳がん」とは関連ありません。
 「エコーをやりましたが不明」ということより、
 「左の集簇性石灰化」が「もしも、癌だったとしても⇒間違いなく早期」です。
 進行している事は絶対にありません。
 ⇒ご本人が気にされているような症状(骨関連のようですが)の原因となることはありません。安心してください。
 
「次にマンモトームの検査をするときに、この症状をいえば、MRIなどもとってもらえるものでしょうか」
⇒「心配ありません。必要ありません。」と言われるでしょう。
 それでも、希望すれば撮影してくれるかも知れませんが、「無駄な検査」だと思います。
 まずは、きっちりとマンモトーム(ステレオガイド下マンモトーム生検)に集中してください。
 
●「要精査となり、乳癌かもしれない?」となると、誰しも不安になります。
 私は、非常に沢山の経験があるので、「転移を疑わなければならない状況が、どの程度のものか」完全に解っています。
 質問者は「進行乳癌などということは、絶対にありません」
 
◎「2週間後のマンモトーム生検(ステレオガイド下マンモトーム生検の事だと思いますが)を、きちんと受けて」 確実に診断してもらってください。
 早期発見に勝る治療はないのです。
 
 

質問者様から 【2】

今回は質問ではありません。
田澤先生にどうしてもお礼を言いたくて。。
まさか、数多い中のいろいろと込み入った質問にわざわざ答えていただけるなんてとてもとてもうれしかったし、とても安心しました。
私は石灰化の精密と言われて以来先生のブログが本当にわかりやすくて、何度もおとずれては勉強させていただいています。
だれにでもわかりやすく説明していただけるその姿勢に深く感謝いたします。
先生の一言でこれからのマンモトームの検査がんばって受けてきます。
本当に勇気つけていただきありがとうございました。

田澤先生から 【2】

 こんにちは。田澤です。
 こちらこそ、「乳がんプラザ」を閲覧していただきありがとうございます。
 今後は「皆が気になる質問」コーナーを充実していく予定なので、それらも参考にしてください。
 また「質問」があったら、遠慮なくお願いします。
 「あなたが質問する事で、それを見た誰かが安心する」こともあると思います。
 「ステレオガイド下マンモトーム生検」の結果が「心配無い結果」であることを願っています。
 
 

質問者様から 【質問3】

先日、○月○日受診させていただき、△月△日にマンモトームの検査、□月□日に結果と予約をさせていただきました◎◎と申します。
直接先生にお会いして、本当にこのブログの書いてある通りのとても親身な先生で、こんなに安心できるような診察ときちんと人の心をみながらはなしてくださる姿勢の先生だったので、本当に思い切って病院を変え、田澤先生のところに診察していただき本当にありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。
先生は、不安な私に対して、やさしく何か不安や疑問があったらメールしてくださいと言っていただき、本当にありがたいと思いました。
正直検査してみなければ、きっと先生だってわからないことだし、聞いても仕方がないと思っているのですが、やはり検査や結果の日まで気持ちの浮き沈みがありメールしてしまいました。
先生からはメールでもその痛みは違いますといわれているので、何度きいても同じと思っているのですが・・不安になってしまい。
先日診察をしていただいたときに、入念に胸のエコーをしていただき、いろいろと説明をきいたので、右の胸の良性のこともきちんと理解できました。
左の件に関しては、これから検査なので、その結果だと思っています。
胸のはりや、直接エコーしていただいたので、その件に関しては、もう納得しているのですが、気になるのはやはり体調のことです。
去年からずっと胸がつかえる感じがあり、いつも肺のあたりやみぞおちのあたり、肩に違和感があります。
背中や、首筋も痛いし、もし悪性だったとしたら、本当にがんの種類がたちの悪いがんだったら、進行性のがんではないか?とぐるぐると同じことの繰り返しです。
石灰化初期で発見されても、ガンの種類がよくない場合もありますか。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 大変「過分な評価」をいただき身が引き締まる思いです。ありがとうございます。
 「癌かもしれない」と言われて「不安にならない」方はいませんし、いろいろな事が「その事と結び付けられてしまう」不安があるのだと思います。
 それでは、「私の診療経験」から回答します。
 なお、人物を特定する記載は全て伏せますが、内容は全て私が「実際にマンモグラフィーを見て、超音波をした」状況を基にお答えします。

回答

「去年からずっと胸がつかえる感じがあり、いつも肺のあたりやみぞおちのあたり、肩に違和感」
⇒これは「乳腺症に随伴する諸症状」だと思います。
 30歳代後半から「卵巣機能が不安定」となり、乳腺(及び、その周辺 背中~肩など)に痛みが頻発するようになります。(症状の程度にはかなり個人差があります)
 実際に「外来診療」をしていると、「30歳代後半~40歳代~50歳代閉経期」の方で同様の症状の方が結構受診されます。
 
 
 ◎症状には、「波」があり「その周期」はまちまちです。
 質問者の場合には、「乳癌かもしれない」という精神的なストレスの影響は大きそうです。
 これは、「精神安定剤(デパスなど)」の内服という方法もありますが、一番は「確実な診断」だと思っています。
 「~かもしれない」という「解らない事による不安」は「確実な診断」こそが唯一の解決法だと思います。
 
「進行性のがんではないか?」
⇒(もし癌だとしても)間違いなく早期です。
 「石灰化所見のみ」で「超音波で不明」である乳癌は「非浸潤癌」が殆どです。(万が一、浸潤癌であっても微小浸潤程度であり、進行癌はありえません)
 
「石灰化初期で発見されても、ガンの種類がよくない場合もありますか。」
⇒大丈夫です。
 石灰化で発見された乳癌で、「きちんとした治療」をすれば「根治」します。
 

乳癌の種類(サブタイプ)と病期(進行度)について

 きっと、インターネットで調べてみると、「乳癌には悪いサブタイプ」があり、「早期であっても、転移再発をおこす」みたいな「不安をあおるような」記載もあるかもしれません。
 確かに、ある一定の状態まで進行すれば「トリプルネガティブ」とか「HER2(ハーツー):ハーセプチンなど分子標的薬により劇的に予後改善しましたが」のようなサブタイプの場合は予後不良ともなります。
 ただし、「マスを作らない、石灰化のみの段階」ではそれら「サブタイプ」については意識する必要はありません。
 「十分早期」であれば、「サブタイプ」を気にする必要はないのです。
 ※サブタイプについてはホームページの「乳癌の分類」の「免疫染色によるサブタイプ」や「intrinsic subtype」を参照してください。
 ◎安心して「ステレオガイド下マンモトーム生検」を受けてください。