Site Overlay

術後抗がん剤中のリンパ節転移

[管理番号:6283]
性別:女性
年齢:38歳
 
田澤先生 はじめまして。
いつも拝見しております。
 
35歳の時より毎年11月に乳がん検診(エコーのみ)を受けており、これまでは今のところ問題なしという所見でした。
昨年(2017年)8月に右胸のリンパ近くにしこりを発見し、
検診を受けている病院で診てもらいましたが、(技師さんによるマンモグラフィー、エコー)、
経過観察で大丈夫とのことでした。
 
その後約1ヶ月で倍の大きさになっている感じがしたので、
再度同じ病院を受診したところ(技師さんによるエコー)
医師より前回9㎜だったが今回11㎜になっている。
 
悪性の可能性も否定できない。
悪性の可能性は低いと思うけどゼロではないと言われ心配でしたので、紹介状をいただきました。
紹介された病院での2017年10月の初診時のエコーで、7割の確率でがんと言われ、
同日組織診を行い、その結果乳がんと確定し、MRI、術前検査を受け、11月下旬に手術を行いました。
手術前の説明では1センチのためリンパへの転移は95パーセントないと言われ、
手術に臨みました。
 
しかし、手術後の説明でリンパに転移があったと告げられました。
2個中1個が3.5㎜で、2㎜の微小転移は2個までなら郭清しないので、
3.5㎜と転移なしで合わせて4㎜以下なので郭清はしなかったと説明をうけました。
 
以下が、結果となります。
浸潤癌(乳房部分切除+センチネル)
硬癌
腫瘍浸潤径(大きさ)0.8cm
脈管侵襲 ly1,v0  リンパ節転移1/2(3.5㎜)  断端
 -
核異形度 1
ホルモン感受性 ER +   PgR  +
Hercep Test(erbB-2) +
KI-67 50-60%
上記の結果により、TCbH(3w毎×6回)、ハーセプチン1年、放射線治療、ホルモン治療が決定しました。
手術後、ドレーンをしなかったからなのか分かりませんが、水が溜まり、
12月に5回ほど病院へ水を抜きに行きました。
2018年1月より抗がん剤治療を開始しました。
 
4月(上旬)日が5回目の化学療法でしたが、抗がん剤治療2回目くらいの時より
手術したのとは反対の左胸にしこりのようなものを感じたので、今回化学療法後、胸のエコーをしていただきました。
(技師さんです)
左胸はのう胞と脂肪のかたまり?があるみたいなことを言われたのですが、
右胸(術側)のエコーをされた際、リンパ節にある手術跡を何度も確認し、
鎖骨のところも確認していました。
悪いものがみえるのか心配になり、
悪性の可能性はありますか?と聞いたところ私(技師さん)からはお答えできないと言われました。
技師さんが答えられないことは分かりますので、その場ではありがとうございましたと退室したのですが、心配で仕方ありません。
結果は次回の診察日5月(上旬)日(6回目・最終の化学療法日)と言われています。
 
今思うと一度もリンパのエコーをしていません。
乳がん検診の病院でも乳房だけのエコーでしたし、
紹介された病院でもエコー画像を持って行ったので、それを診て医師が組織診するためにエコーをしこり部分にのみあてていました。
そこで教えていただきたいのですが、
 
① 5回目の抗がん剤を終えたばかりで2週間ほどは副作用でほとんど寝たきりのような状態なのですが、すぐにでもエコーの結果を聞きに行ったほうがいいでしょうか。
(病院まで1時間半ほどかかります)
 
② 乳がんプラザを拝見していると術後の抗がん剤中にに再発はないとあるので、昨年11月の手術での取り残しでしょうか。
 
③ もし悪性だった場合、抗がん剤は効いていないということでしょうか。
その他にも1回目の抗がん剤投与後に足のの付け根のリンパにしこりを発見し、4回目の投与後に右腕の肘と手首の間に小さなしこりを発見しました。
 
④ リンパへ3.5㎜の転移があったにもかかわらず、郭清しなかったのは問題だったのでしょうか?
 
⑤ もしリンパへの転移が分かった場合、どのようなことをするのがいいのでしょうか?
(手術で郭清するのか、残り1回の抗がん剤と放射線治療のみでいいのか、両方した方がいのか、また別の療法があるのか?)
 
⑥ 田澤先生に診てもらうことはできるのでしょうか?
 
まとまりのない文章で申し訳ございせん。
先生のご意見を伺えればと思います。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
 
「すぐにでもエコーの結果を聞きに行ったほうがいいでしょうか。」
⇒どう考えても「緊急性は無い」ことは間違いありません。
 予定通りで問題ありません。
 
「昨年11月の手術での取り残しでしょうか。」
⇒まずは「結果を確認」してから考えるべき事です。
 あまり「仮定」で物事を考え進めるのはお勧めしません。
 
「③ もし悪性だった場合、抗がん剤は効いていないということでしょうか。」
⇒無関係です。
 そもそも抗癌剤は「再発予防(目に見えないレベルの癌細胞が相手)」であり、
(万が一取り残しであった場合の)リンパ節に効果が無くても仕方がありません。
 
「足のの付け根のリンパにしこりを発見し、4回目の投与後に右腕の肘肘と手首の間に小さなしこりを発見」
⇒これらは1000%無関係な所見です。(主治医にもそう言われましたね?)
 
「リンパへ3.5㎜の転移があったにもかかわらず、郭清しなかったのは問題だったのでしょうか?」
⇒それは、術前の取りきめがあった筈ですが…
 
「もしリンパへの転移が分かった場合、どのようなことをするのがいいのでしょうか?」
⇒勿論、手術で郭清です。
 抗癌剤は(そもそも)全身の再発予防なので「郭清手術前」に行ってしまっても構いません。(郭清手術⇒術後残りの抗癌剤でも問題なし)
 (郭清した場合)放射線をすると「浮腫のリスク」となるので、放射線は勧めません。
 
「⑥ 田澤先生に診てもらうことはできるのでしょうか?」
⇒その前に…
 まずは5月に主治医に結果を聞いてからですね。

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

パージェタの適応拡大について
性別:女性
年齢:38
病名:乳がん
症状:

管理番号:6283でお世話になった者です。

その後先生に診察していただきました。
ありがとうございま
した。

今回新たにお伺いしたいことがありますのでよろしくお願い
いたします。

この度パージェタが術後補助療法の適応となり、HER2陽性の
の乳がんに効果があるとされますので、そのことについての質問
質問になります。

病理結果
浸潤癌(乳房部分切除+センチネル)
硬癌
腫瘍浸潤径(大きさ)0.8cm
脈管侵襲 ly1,v0
リンパ節転移1/2(3.5㎜)
(2個中1個が3.5㎜で、2㎜の微小転移は2個までなら郭清し
ないので、
3.5㎜と転移なしで合わせて4㎜以下なので郭清はしなかっ
た)
断端 -
核異形度 1
ホルモン感受性 ER +   PgR  +
Hercep Test(erbB-2) +
KI-67 50-60%

現在の治療状況
・2017年11月(下旬)日 温存手術
・2018年1月(中旬)日~5月(上旬)日 TCbH(3w毎×6回)
・5月(下旬)日 ホルモン開始
・6月(上旬)日~7月(中旬)日 放射線(30回 内部分照射5回)
・6月(下旬)日 ハーセプチン単剤(7回目)
・7月(下旬)日~10月(上旬)日 ハーセプチン単剤(8~11回目)
残りはパーセプチン7回、ホルモン5年

このパージェタですが、
①HER2が2+の場合でも有効であると考えていいのでしょうか?
②副作用が心配なのですが、試してみる価値のあるものなのでしょうか?
こちらを投与する場合次のどちらの方が効果が見込めるのでしょうか?
③残りのハーセプチン7回のみ同時にすればいいのでしょうか?
(残り7回だけでは意味がありませんか?)
④開始(残りハーセプチン7回を含む)から1年した方がいいのでしょうか?

とにかく再発、転移はしたくないという思いが強くあります。
しかし副作用も心配です。

田澤先生が以前、「補助療法として認められる」薬は「本当にいいにいい薬」なので、「補助療法はきっちりと行う」ようにしましょうというお言葉もありましたので、積極的に主治医にパージェタを取り入れてもらうようお願いするのかを悩んでおります。

お忙しいところ恐縮ですが、ご教授いただけますと幸いです。

よろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

Pertuzumab(パージェタ)の適応拡大については、
新規の患者さんから(最初から)併用するのが一般的だとは思います。
ただ、(途中までHERを行っている)患者さん自身から「残りに追加してほしい」と言われれば、対応することになりそうです。

「①HER2が2+の場合でも有効であると考えていいのでしょうか?」
⇒勿論!

 2+はFISHで陽性ならば3+と同等です。

「②副作用が心配なのですが、試してみる価値のあるものなのでしょうか?」
⇒質問者自身が積極的であれば、そう思います。

「こちらを投与する場合次のどちらの方が効果が見込めるのでしょうか?」
「③残りのハーセプチン7回のみ同時にすればいいのでしょうか?(残り7回だけでは意味がありませんか?)」
「④開始(残りハーセプチン7回を含む)から1年した方がいいのでしょうか?」

⇒ハーセプチンもパージェタも(術前術後の補助療法としては)「適応が1年間」で、(更に)「パージェタ投与は(必ず)ハーセプチンと併用」なので

 実際のところ…
 上記③しか選択肢がありません。(④は適応外となります。 ハーセプチン終了後にパージェタ単独投与となってしまうため)