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肺がんの手術1年後、乳がんトリプルネガティブが発覚。 手術後の放射線の影響は?

[管理番号:2187]
性別:女性
年齢:61歳
初めて、質問させていただきます。
2003年に右乳がんで全摘出。
抗がん剤を4クールで止めました。
2006年に首のリンパに転移。
 抗がん剤、放射線、ハーセプチンで完治。
2015年1月と3月に肺がん(転移ではなく原発でした)左肺下葉切除。
2015年11月に乳がんの定期健診で、左乳房に影が見つかり12月に癌と特定。
針細胞診で、2003年の再発ではなく原発と判明。
トリプルネガティブで増殖率は70%と言われました。
最初は、温存での手術でとの話でしたが、その場合放射線をしないといけない。
全摘だとしなくてよいと言われました。
昨年、肺の手術をした後、動悸がしたりして息苦しく感じることがあります。
放射線が肺に影響を与えないのでしょうか?
ネットで見ると、肺にも影響がありそうなのですが。
温存にするか、全摘荷するか迷っています。
アドバイスをお願いいたします。
また、その後抗がん剤を言われているのですが(まだ何をするかは聞いていません)
できれば、抗がん剤をしたくないのですが、再発の可能性は高いのでしょうか?
また抗がん剤をするとすれば、どのようなものがあるのでしょうか?
手術は2月○日の予定です。
ご意見をお聞かせください。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「2015年11月に乳がんの定期健診で、左乳房に影が見つかり12月に癌と特定。針細胞診で、2003年の再発ではなく原発と判明。」
⇒乳癌が「対側乳腺に転移」することはないので、当然と言えます。
 
「最初は、温存での手術でとの話でしたが、その場合放射線をしないといけない。全摘だとしなくてよいと言われました。」
⇒その通りです。
 
「昨年、肺の手術をした後、動悸がしたりして息苦しく感じることがあります。放射線が肺に影響を与えないのでしょうか?」
⇒「大いに」影響を与えます。
 「放射線肺臓炎」の可能性もあるので、「左肺下葉切除」後に「照射は避けるべき」と思います。
 
「温存にするか、全摘にするか迷っています。」
⇒全摘を推奨します。(放射線照射は避けるべきでしょう)
 
「また、その後抗がん剤を言われているのですが できれば、抗がん剤をしたくないのですが、再発の可能性は高いのでしょうか?」
⇒ステージ(腫瘍径もリンパ節転移の有無も)や核グレードなどの情報が全くないので、「再発の可能性」について議論することはできません。
 ただし、「乳癌の治療は早期だから、抗がん剤が要らないとか、進行しているから必要」というようなものではありません。
 あくまでも「サブタイプ(質問者の場合はトリプルネガティブ)」によって決まります。
 ○トリプルネガティブである以上、「最大浸潤径が≦5mmなどで無い限り」抗がん剤が必須となります。
 
「抗がん剤をするとすれば、どのようなものがあるのでしょうか?」
⇒トリプルネガティブの「gold standard」は「アンスラサイクリン+タキサン EC(AC)x4⇒wPTXx12(DTXx4)」となります。
 ★但し、質問者は2003に抗がん剤4クールとあります。
 これは時代背景からして「FEC(もしくはCEF)」だと思います。
 いずれにしろ、「アンスラサイクリン(ファルモルビシン)が使われている」ので注意が必要です。
 アンスラサイクリンは(その心毒性により)生涯投与量(800-900mg/m2)が決まっています。(その後の再発治療ではハーセプチン+タキサンを使っていると推測します)
 その意味で、「アンスラサイクリンが過剰投与となる可能性」を極力排除しなくてはなりません。
 ○質問者の場合には(その意味で、非アンスラサイクリンである)「TC」を選択すべきだと思います。(過去の化学療法歴・投与量を詳細に調べる必要があります)