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胸椎転移の今後の治療

[管理番号:6924]
性別:女性
年齢:44歳
病名:
症状:

この様な機会を設けていただきありがとうございます。

2017年3月に第3子妊娠中の乳がんが判明し2017年5月に出産、左乳房切除術を受けました。

術前のCT検査では遠隔転移はありませんでした。

術後病理結果は
ホルモン陰性、HER2(3+)
浸潤部23×16×20mm
硬癌、NG(3)、HG(3)
センチネル2/7(2mm、0.5mm)
でセンチネルリンパ節生検のみでした。

術後治療はFEC×4、ドセタキセル+ハーセプチン×4、ハーセプチン×13を2017年7月から行い2018年9月までおこないました。

先月2018年10月に肋骨と背中が痛み自宅近くの整形外科に行ったところ胸椎が圧迫骨折しており、脊柱に複数骨転移していることが判明しました。
臓器には転移しておりません。

圧迫骨折部は放射線を照射し終えランマーク治療をはじめました。

術後治療中のドセタキセルではアレルギーがおき、手足、背中、腹の皮が剥け赤紫色になりましたが、回数が4回なので主治医と相談しやり遂げました。

現在入院中で今週金曜日に胸椎補強手術を受けるが、その際に生検の話しが昨日でてどうしたら良いか迷っています。
整形外科医の話では放射線照射をしており生検しても必ずがん細胞が採取できるとは限らない。

脊柱管を弄るので後遺症のリスクがあがる。
当初の手術目的は今より動けるように帰ること。
他に転移した時に生検したら良いのではないか。

乳腺科では術後治療すぐの骨転移判明でハーセプチンが効いていたのか
効いてなかったのか知りたい。

田澤先生でしたら生検を勧めますか。
勧めませんか。

また、生検を行いハーセプチンが効いていた時の今後の治療、効いてい
なかった時の今後の治療、生検しなかった時の今後の治療での抗がん剤を教えていただきたいです。

主治医に骨転移が判明した際、ドセタキセルはアレルギーがあり使いたくないのでアバスチンとパクリタキセルはと尋ねましたら、HER2陽性タイプは他にも良く効く薬があるとパージェタのパンフレットをいただきましたのでアバスチン使用は考えてないようです。

お忙しいとは思いますがよろしくお願いします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「田澤先生でしたら生検を勧めますか。」
→勧めません。
 リスクを冒してまで行う必要はありません。

「HER2陽性タイプは他にも良く効く薬があるとパージェタのパンフレットをいただきましたのでアバスチン使用は考えてないようです。」
→勿論です。

 抗HER2療法を優先すべきです。
 Trastuzumab + partuzumab + 抗がん剤となりますが…

 その抗がん剤の選択肢はさまざまありますが…
 ドセタキセルにアレルギーがあったのなら、敢えてpaclitaxelは避けて「eriblin」でもいいでしょう。

 
 

 

質問者様から 【質問2 胸椎転移の今後の治療】

性別:女性
年齢:44歳
病名:
症状:

先日は質問に御回答いただきありがとうございました。

胸椎の補強手術では生検は行わず後遺症もなく無事に退院することができました。

田澤先生にも抗HER2療法を優先すべき。
薬剤はパージェタ+ハーセプチン+エリブリンと教えていただき主治医にお願いしましたが臨床段階と言われてドセタキセルのアレルギーがあるためパージェタ+ハーセプチン治療がはじまりました。

エリブリンは2投1休でほぼ毎週通院になり子どももおり遠いため通院が負担のなるのでは言われました。

FEC、ドセタキセルでは骨髄抑制で毎回フィルグラスチムを打っておりました。

今回の治療では初めから抗がん剤がないことに不安を感じています。

退院してから管理番号6910「術後化学療法後の肺転移について」を見ました。

私が術後治療でドセタキセルを行なっていた時はステロイドは2日しか処方されておらずアレルギー症状が出たのは5日後位でした。

ステロイドを長めに処方していただきドセタキセルを加えいただくか、減薬してドセタキセルを行う。
もしくはもう一度エリブリンをお願いする方がいいのか迷っております。

主治医にはこれから長いので初めから頑張らなくていいのではというようなことを言われました。

でも臓器に転移のない今が頑張り時ではないかと思っております。

前回と同じ様な質問で申し訳ございませんがどの様な治療が良いのか教えてください。
お願い致します。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

敢えて(リスクを冒してまで)ドセタキセルを(再度)使用する必要はないでしょう。
Eriblinは非常にいい薬剤です。『今週のコラム 138回目 効果と副作用のバランスがとれた抗がん剤で「いい状態を維持」するやり方があることを知ってもらいたいのです。』参照のこと。
質問者自身が「2投1休」頑張ればいいのです。
通院をまずは3か月位、頑張ってみましょう。

 
 


 

質問者様から 【結果3 】

骨転移で抑えられております
性別:女性
年齢:45歳
病名:左乳がん術後多発骨転移
田澤先生の診察:[診察なし]
田澤先生の手術:[手術なし]

2018年10月に多発骨転移が判明した際の化学療法でのレジメンをご教示頂きありがとうございました。

2018年11月からランマークとパージェタ+ハーセプチンがはじまり、その後主治医にもう一度お願いしエリブリンを加えていただき2019年1月から10月までの12クール、エリブリン+パージェタ+ハーセプチンを行いました。

エリブリンで好中球不足のため2割の減薬、一時的な肝機能低下、ハーセプチンによる慢性心不全、パージェタを加えてから爪囲炎からの肉芽、爪が割れたり肌荒れなどの副作用はありますが抗がん剤と分子標的薬が良く効いて転移した骨が硬化しており内臓に転移することなくがんが抑えられているとの事で11月よりエリブリン抜きのパージェタ+ハーセプチンにランマークを続ける事になりました。

主治医からはこのタイプ(HER2 陽性)は数は多くはないがなかには完治(寛解)する人もおりこのままいい状態が続けば完治(寛解)もありえる。がんが悪さえおしてきたら抗がん剤を加えたり、違う薬を使って抑えていい状態を維持していけば良いとの言葉もいただけました。

1月から10月までは好中球不足による化学療法の延期や心機能低下による検査や治療でほぼ毎週の通院でしたが心臓も投薬継続により改善され通院も少なくなりました。

不安が全く無いわけではありませんが治療効果で良い結果が出て希望が持てましたことに大変感謝しております。
ありがとうございました。

季節がら寒さが厳しいですので田澤先生を頼りにしている患者が私も含め全国におりますのでお体ご自愛ください。

<Q&A結果>

 
 

 

質問者様から 【質問4 】

骨転移後、対側乳房術後の治療について
性別:女性
年齢:47
病名:
症状:
投稿日:2021年10月29日

以前質問させていただきその節はありがとうございました。

今回状況に変化があったため再度質問致します。

2017年5月に左乳房切除術を受けました。

術後病理結果
ホルモン陰性、HER2 (3+)
浸潤部 23×16×20mm
硬癌、NG (3)、HG (3)
センチネル2/7
ki67 50%

術後治療は
2017年7月から2018年9月までFEC×4、ドセタキセル+ハーセプチン×4、ハーセプチン×13を終えて直ぐに胸椎の病的骨折で多発
骨転移が判明し、骨折部に放射線と固定術を行い
2018年11月~現在 ランマーク、
2018年11月~12月 パージェタ+ハーセプチン×2、
2019年1月~10月 ハラヴェン+パージェタ+ハーセプチン
×12、
2019年11月~2021年9月 パージェタ+ハーセプチン×32を行いました。

2019年6月~現在、ハーセプチンによる慢性心不全で循環器内科で内服治療を受けています。

今回、2021月6月に右乳房にしこりを見つけ、検査した結果乳がんでした。
内臓転移がなければ手術をしていただけるとの事で初
めてPET-CT検査をしました。
結果、骨折部に集積はあるが内蔵には転移がないため先月に右乳房切除術を受けました。

骨折部の集積は脊柱外側は手術の影響と思われるが内部は癌が残っている可能性もあるので経過観察の予定です。

術前のCNB検査での病理診断報告書では
組織型 ILC、 pleomorphic type
組織学的異型度 NG3
乳管内進展成分 あり

コメント
高度な核異型を有する浸潤癌です。
孤在性、線状に増殖する部分
が散見され、免疫染色を施行したところ、E-cadher inの発現は減弱~消失しており、多形型の浸潤性小葉癌の所見です。

免疫染色 ER(+、10%) PgR(-、< 1%) HER2 (3+)、
ki67 LI (20%程度)

術後は病理組織診断報告書から抜粋した結果の紙をいただきました。

浸潤性小葉がん
浸潤部 25×24×15mm
リンパ節転移なし
核異型度 1
ホルモン陰性
HER2 3+
左乳癌による転移

と記載されていました。

以前今週のコラム205回目を見ており主治医も新たな癌と仰っていたと思うので異時性乳がんと認識しました。
針生検の結果
HER2陽性と判明後、主治医に左とサブタイプが同じで硬癌と小葉癌は似ているので転移でしょうと言う様なことを説明されておりましたが転移とは認識していませんでした。

今回の術前に骨転移後の治療でパージェタ+ハーセプチン治療が効いており内臓に転移がないので今回の術後もパージェタ+ハーセプチン治療をそのまま続けると言われていて納得していましたが、術後の結果を聞いて家に帰って結果を見ていたらそれで良いのか疑問が湧いてきました。

硬癌が転移して小葉癌になることはあるのか?
左も小葉癌だったのか?
転移と言われているが転移ではないのでは?
もし転移なら転移を抑えられなかったのに薬剤変更をしなくても良いのか?
カドサイラを使うのは?
今回初めてPET-CTをしたので骨折部分の癌は一度は消えたのか
残っていたのかはわかりませんがハラヴェンが効いているうちに止めたと思います。

パージェタ+ハーセプチンならハラヴェンを一定期間加え、その後パージェタ+ハーセプチンにしても良いのでは?
と何度も同じことを繰り返し考えてしまいます。

ドセタキセルにアレルギーがあり軽度の慢性心不全があります。

田澤先生ならどの様な治療を勧めますか?
お忙しいとは思いますがご教授いただけますようお願い申し上げます。

 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは田澤です。

対側乳腺への転移などないので、(普通に)原発でしょう。
左乳癌術後骨転移の治療を変更する理由がありません。
ご参考に。

 
 


 

質問者様から 【結果5 】

胸椎転移の今後の治療
性別:女性
年齢:47
病名:
田澤先生の診察:[診察なし]
田澤先生の手術:[手術なし]

早々のご教示ありがとうございました。
検査結果の用紙に転移の記載がなければ今までの治療を続けることに納得していたので田澤先生に原発、左乳癌術後骨転移の治療を変更する理由がありませんで迷いが晴れました。
現在の治療を心穏やかに続けることができます。
ありがとうございました。

<Q&A結果>

 
 

 

質問者様から 【質問6 (質問4 結果2)】

骨転移後、対側乳房術後の治療について
性別:女性
年齢:47
病名:
症状:
投稿日:2021年11月10日

以前質問させていただきその節はありがとうございました。

今回状況に変化があったため再度質問致します。

2017年5月に左乳房切除術を受けました。

術後病理結果
ホルモン陰性、HER2 (3+)
浸潤部 23×16×20mm
硬癌、NG (3)、HG (3)
センチネル2/7
ki67 50%

術後治療は
2017年7月から2018年9月までFEC×4、ドセタキセル+ハーセプチン×4、ハーセプチン×13を終えて直ぐに胸椎の病的骨折で多発骨転移が判明し、骨折部に放射線と固定術を行い
2018年11月~現在 ランマーク、
2018年11月~12月 パージェタ+ハーセプチン×2、
2019年1月~10月 ハラヴェン+パージェタ+ハーセプチン×12、
2019年11月~2021年9月 パージェタ+ハーセプチン×32を行いました。

2019年6月~現在、ハーセプチンによる慢性心不全で循環器内科で内服治療を受けています。

今回、2021月6月に右乳房にしこりを見つけ、検査した結果乳がんでした。
内臓転移がなければ手術をしていただけるとの事で初めてPET-CT検査をしました。
結果、骨折部に集積はあるが内蔵には転移がないため先月に右乳房切除術を受けました。

骨折部の集積は脊柱外側は手術の影響と思われるが内部は癌が残っている可能性もあるので経過観察の予定です。

術前のCNB検査での病理診断報告書では
組織型 ILC、 pleomorphic type
組織学的異型度 NG3
乳管内進展成分 あり

コメント
高度な核異型を有する浸潤癌です。
孤在性、線状に増殖する部分が散見され、免疫染色を施行したところ、E-cadher inの発現は減弱~消失しており、多形型の浸潤性小葉癌の所見です。

免疫染色 ER(+、10%) PgR(-、< 1%) HER2 (3+)、
ki67 LI (20%程度)

術後は病理組織診断報告書から抜粋した結果の紙をいただきました。

浸潤性小葉がん
浸潤部 25×24×15mm
リンパ節転移なし
核異型度 1
ホルモン陰性
HER2 3+
左乳癌による転移

と記載されていました。

以前今週のコラム205回目を見ており主治医も新たな癌と仰っていたと思うので異時性乳がんと認識しました。
針生検の結果
HER2陽性と判明後、主治医に左とサブタイプが同じで硬癌と小葉癌は似ているので転移でしょうと言う様なことを説明されておりましたが転移とは認識していませんでした。

今回の術前に骨転移後の治療でパージェタ+ハーセプチン治療が効いており内臓に転移がないので今回の術後もパージェタ+ハーセプチン治療をそのまま続けると言われていて納得していましたが、術後の結果を聞いて家に帰って結果を見ていたらそれで良いのか疑問が湧いてきました。

硬癌が転移して小葉癌になることはあるのか?
左も小葉癌だったのか?
転移と言われているが転移ではないのでは?
もし転移なら転移を抑えられなかったのに薬剤変更をしなくても良いのか?
カドサイラを使うのは?
今回初めてPET-CTをしたので骨折部分の癌は一度は消えたのか
残っていたのかはわかりませんがハラヴェンが効いているうちに止めたと思います。

パージェタ+ハーセプチンならハラヴェンを一定期間加え、その後パージェタ+ハーセプチンにしても良いのでは?
と何度も同じことを繰り返し考えてしまいます。

ドセタキセルにアレルギーがあり軽度の慢性心不全があります。

田澤先生ならどの様な治療を勧めますか?
お忙しいとは思いますがご教授いただけますようお願い申し上げます。

 

田澤先生から 【回答6】

こんにちは田澤です。

「田澤先生ならどの様な治療を勧めますか?」
⇒すでに左で抗HER2療法を行っているのだから、(それまでの)治療方針を変えて「新たな治療」をする必要はありません。
 左の治療継続でいいでしょう。