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胸骨の腫れについて

[管理番号:7212]
性別:女性
年齢:43歳
病名:
症状:

田澤先生
はじめまして。

長文になってしまい申し訳ありませんが、先生のご意見を頂きたくよろしくお願いいたします。

2019/1末に左胸内側下部の温存手術を行い、先日病理診断の結果がでました。

・浸潤性乳管がん、1.8センチ
・トリプルネガティブ
・核グレード3、Ki67:56%
・リンパ節転移なし、侵襲なし
・術前針生検はルミナール型、術後病理診断でトリプルネガティブ

・術前検査はCT、骨シンチ、MRI、腫瘍マーカーを実施。
MRIで胸骨の腫れを指摘される(他は乳がん以外指摘なし)
・術前に「まずは腫瘍を取る、恐らく胸骨は大丈夫だと思うが念のため術後PET-CT検査を行い、
その結果を見て放射線の範囲を決める」と説明を受ける
・術後主治医曰く「胸骨リンパへの流れは確認できなかったが、腫れを認めた」
「手術などの影響で一時的に腫れた、という可能性もある。
リンパの流れを見ても、胸骨に行っているとは考えにくい」

今週末にPET-CT、その後検査の結果と抗がん剤の説明を受け、術後治療を開始する予定です。

胸骨にがんが確認された場合、ステージ1が根治ギリギリの3Bに変わると説明を受けました。

■質問
①胸骨にがんが認められた場合、乳がんの転移と考えるのが妥当でしょうか?もしくは別のがんが同じタイミングで見つかったと考えるのか、または違う見立てになるのか、田澤先生でしたらどのようにお考えになりますか?

②MRIのみ胸骨に所見ありの場合、PET-CTでわかることは「胸骨の腫れが何なのか」だけでしょうか?ステージ4に該当するがんが見つかる可能性はどれくらいあるとお考えでしょうか?

③一連のプロセス(手術→PET-CT→治療開始)について、例えば手術前にPET-CTを受け、胸骨にがんが認められられた状態で手術に臨んでいたら、もしかしたら何かしら手を打つことができたのではと考えてしまいます。
田澤先生でしたらどうアプローチされますか?

術後の病理診断で、悪性度、増殖能の高いがんだと診断されましたが、腫瘍が小さいうちに手術ができたことは幸運であり、それらを前向きに捉えて治療に臨みたいのですが、手術前と手術後で諸々の結果が下方修正されたように感じており、
気持ちの持って行き方に苦慮しています。

以上、よろしくお願いいたします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

文面を読みましたが、質問者のいう「胸骨の腫れ」とは「傍胸骨リンパ節」のことのようです。
以降「胸骨⇒胸骨傍リンパ節」と読み替えて回答します。

「①胸骨にがんが認められた場合、乳がんの転移と考えるのが妥当でしょうか?もしくは別のがんが同じタイミングで見つかったと考えるのか、または違う見立てになるのか、田澤先生でしたらどのようにお考えになりますか?」
⇒腫瘍が「内側下部」とあるので、「胸骨傍リンパ節」に転移がある可能性はあります。
別の癌由来ではありません。

「②MRIのみ胸骨に所見ありの場合、PET-CTでわかることは「胸骨の腫れが何なのか」だけでしょうか?ステージ4に該当するがんが見つかる可能性はどれくらいあるとお考えでしょうか?」
⇒遠隔転移のことですか?
ほぼ無いでしょう(確率的に)

「田澤先生でしたらどうアプローチされますか?」
⇒手術先行で間違いありません。

もしも本当に「胸骨傍リンパ節」に転移があれば、術後照射野に含めます。

質問者様から 【質問2 胸骨の腫れについて】

性別:女性
年齢:43歳
病名:
症状:

田澤先生

管理番号7212にて先日質問をさせていただいた者です。
お忙しい中ありがとうございました。

PET-CTの検査結果が出る前ですが、診察予約を
入れ主治医から改めて説明をいただきました。

「胸骨の腫れ=胸骨傍リンパ節の腫れ」
「手術時胸骨傍に腫れは確認したが腫瘍は認めなかった(あれば切除していた)」
「ホルモン受容体:ER10%、PgR 0% HER2タンパク:0」
「センチネル生検で0/2(陽性/調べた個数)だったが、腋窩リンパに転移がないとは言い切れない」
「何もなければステージ1、胸骨傍リンパ節に転移があった場合、1つの転移だけであれば2a、胸骨傍1個と腋窩に転移があったら3C」
「術後治療は、抗がん剤→放射線→ホルモン療法」
「胸骨傍に転移があった場合照射範囲に含める」とのことでした。

以下、追加でご意見を伺いたくよろしくお願いいたします。

①実際センチネル陰性で、腋窩リンパ・胸骨傍リンパに転移が見つかる確率はどれくらいでしょうか?

②治療の順番について、田澤先生でしたらどのようにお考えになりますか?
・日本乳癌学会ガイドラインでは、抗がん剤と放射線とどちらを先にしても治療後の効果に差はないが、遠隔転移を減らす目的で抗がん剤治療を先に行うのが一般的とありました。

https://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g4/q34/
・アストラゼネガの乳がんの情報サイトには、センチネルで転移なしと判断し腋窩リンパ郭清を省略したものの、手術後の検査で転移ありとなった場合は「腋窩リンパ節郭清(または腋窩照射)→術後治療(化学/ホルモン)と記載がありました。

https://www.nyugan.jp/ope/lymph.html
ぜひ田澤先生のご意見を伺いたく思います。

以上、よろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「①実際センチネル陰性で、腋窩リンパ・胸骨傍リンパに転移が見つかる確率はどれくらいでしょうか?」
→そんな数字はないし、全く無意味な話です。

純粋に「センチネル陰性で、腋窩リンパ・胸骨傍リンパに転移が見つかる確率」を統計でみれば「限りなくゼロ」となるでしょうが…
実際は個々のケースで異なる案件と言えます。

つまり「腫瘍が内側(胸骨傍にどれくらい近かったのか?)」であったり、(PETを含めた)画像所見で腫大所見がある場合には、(それらの無いケースと比べれば)当然(胸骨傍リンパ節の)転移の確率は上がるでしょう。(その数字もありません)

「②治療の順番について、田澤先生でしたらどのようにお考えになりますか?」
→抗がん剤→放射線(PS転移の疑いが残るようなら、照射野に入れる)