[管理番号:1355]
性別:女性
年齢:56歳
地方在住、独身です。
6月に手術後、FEC100x4回 ドセ75mgx4回 放射線治療の予定です。
腫瘍径 1.1cm リンパ節転移 (3/10) 核グレード3 Ki値ー80% トリプルネガティ
ブです。
現在の状況です。
FEC4クール点滴1週間後、38度越えの熱が、クラビット服用3日でさがらず、
(白血球も300)FNで、入院となりました。朝夕の抗生剤の点滴と、皮下注射(フィ
ルグラスチム)を5日間しました。
空咳が出ることを訴え、6日目に,X線とCTにて薬剤性間質性肺炎と診断されました。
その後7日間、朝のステロイド点滴と夕方の抗菌剤内服によって、X線とCRPが正常に
なったいうことで退院となりました。血液検査では、原因は解らなかったとのことで
すが、皮下注射が一番怪しいかと想像します。(FECの沢山の副作用で、身も心も落
ち込んでおります)
次に予定しておりましたドセ75mgは、既に予定より2週間延びております。間質性肺
炎は、繰り返しやすいし甘く見てはいけない、という呼吸器科のドクターの見解で,
ドセ点滴をやめるべきか,再発予防のために受けるべきでしょうか。(沢山の副作用
に悩まされました、FECですが、充分いいお仕事してくれて、効いてくれたような気
もいたします,)
ドセの副作用や,間質性肺炎の不安をかかえながらも、うけるべきでしょうか。
次に控えます放射線治療時も間質性肺炎や、放射性肺炎になりますでしょうか。
先生の高度で豊富な医療知識と経験から、どうぞよろしくご指導くださいますよう御
願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
手術術式の記載が無いのですが「腫瘍径11mm」であることから「温存手術」であるこ
とが推測されます。
それであれば、「術後照射が前提」の術式であるので、「術後照射は、何とかやりた
いところ」です。
♯逆に言うと、「乳房切除」であれば、「敢えて危険を冒してまでも」照射すべきで
はないと思います。
回答
「ドセ点滴をやめるべきか,再発予防のために受けるべきでしょうか」
⇒辞めるべきだと思います。
「術後補助療法」は「身体の危険を冒してまで」行うものではありません。
「間質性肺炎」は「化学療法時の副作用としては、最も注意すべきもの」と言えます。
「次に控えます放射線治療時も間質性肺炎や、放射性肺炎になりますでしょうか」
⇒難しいところです。
そもそも「抗がん剤治療」は「放射線肺臓炎のリスク」となります。
抗がん剤で「間質性肺炎」を起こした後に、「放射線照射」は、やはりリスクのあ
る選択と言えます。
○しっかりとした「根拠」が有るわけではありませんが、「半年程度、間質性肺炎の
再燃が無いか」確認してからの「放射線照射」がいい様に思います。
質問者様から 【質問2】
先生、早速御回答いただいて有り難うございます。
2週間の入院後、退院して1週間、もんもんと悩んでおりましたが、
手術にも,抗がん剤投与にも深い裏付けのあられます先生の力強いお言葉に,ドセ点
滴治療を見送る決心がつきました。ありがとうございます。
間質性肺炎は,やはり1度なってしまいますと再燃の注意が必要なものなのですね。
(サブタイプが、トリネガなので、、がっつりと半年間抗がん剤を受ける気持ちで
挑んできたので残念ではありますが、今は,FEC4回を受けられたことだけでも、満足
しております。)
病理は,大きさ(浸潤径)1.1cmでした。(腫瘍径と、まちがって書いてしまいました。)
術式は右乳の温存手術,リンパ廓清をうけました。
放射線治療は、是非受けたいと思っておりますが,いまは、いづれ放射線のドクター
とも良く相談して受けてくださいと言われているところです。
今後、放射線のドクターには、半年くらい開けることを相談して、放射線は、みおくらず、
受けたいと,思っております。
今回、薬剤性間質性肺炎になり,とってもショックを受けております。
いまは、症状はおちついてるようなのですが、
今後の日常生活においても、風邪をひいたり、膀胱炎になって抗生物質を服用したり
することも、再燃のリスクになるのでしょうか。
自覚症状としては,空咳と、胸が押されてるような感じ、だけなのでしょうか。
ご多忙のなか、大変申し訳ありませんが、抗がん剤後の、間質性肺炎の再燃リスクつ
いても,是非教えてくださいませ。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
私が経験する「間質性肺炎」は「殆どが放射線照射後」なのですが、ただ「ここ江戸
川に来て、トモセラピーとなったことで殆ど起こらない」ことは実感しています。
そして次に多いのが「抗がん剤によるもの」となります。
私の経験上は「放射線照射に伴う間質性肺炎」は「再燃することもある」のですが、
「抗がん剤による間質性肺炎では(抗癌剤を再度使用しない限り)再燃は殆ど無い」
と思います。
回答
「今後の日常生活においても、風邪をひいたり、膀胱炎になって抗生物質を服用した
りすることも、再燃のリスクになるのでしょうか」
⇒(私の経験上は)「抗がん剤以外では」ほとんど影響無いと思います。
「自覚症状としては,空咳と、胸が押されてるような感じ、だけなのでしょうか」
⇒「息切れ」と「発熱」です。
原因不明の「微熱が継続」するような際には疑うべきです。
「抗がん剤後の、間質性肺炎の再燃リスクついても,是非教えてくださいませ」
⇒抗がん剤を再度使用しない限り、それ程無いと思いますが…
ただ、「放射線照射はリスク要因」とはなると思います。
しかし、放射線照射は「期待される効果とのバランス」からは行いたいところです。
質問者様から 【質問3】
先生,早速のご回答有り難うございました。
先生の患者様には,間質性肺炎は、ごく少ない事例だったのでございましょうか。
帯状疱疹の、患者様はいかがでございましょうか。
現在の状況です。
先ほど、2週間入院しました後、
1種間後の作日診察にいってまいりました。
間質性肺炎のX線とCRPは正常なので、
治っているということでした。
白血球は.2800、リンパ球は、20%でした。
そしておととい夕方から,左首のうしろに湿疹ができましたので
昨日、皮膚科にも受診しますと、帯状疱疹と診断されました。
1週間の点滴入院を勧められましたが、
FECによる血管炎で血管が痛く,大変なことになっておりますのと、
先ほどの2週間の入院の,精神的ダメージもあり,自宅服薬をえらびました。
自宅で,絶対安静だそうです。パソコンも禁止だそうです、
(ほんのすこしやってます、、、)
これから,痛くなるよ~~と言われて,怖くておびえていますが、
今は,大丈夫ですが,発疹が広がっています、、、
間質性肺炎につぐ、帯状疱疹、で、精神的に,まいっております。
先生が1245番「抗がん剤のマネージメント」で,コメントされていらっしゃいましたように、
FECのみの単独治療で終わることは,よろしくないかとおもいますが、
ドセ投与は,中止にいたしました。
放射線は、帯状疱疹治った後に,間を空けず早い目にうけるべき、、、
といわれてきましたのですが、、、
(トモセラピーは,1県に1台くらいですので、とても,
受けられる状況ではないのが、残念です。)
帯状疱疹は、抗がん剤で,体が弱ったところにでてきたのでしょうか?
これから,ものすごく痛くなるのでしょうか、,,
発疹が広がっていますが、自宅服薬でも,のりきれるでしょうか?
間質性肺炎になったことで、いつか将来、再発転移のときにも
抗がん剤の使用は,,やめておいた方が宜しいのでしょうか?
(使う勇気もないのではありますが、、、)
先生のご回答を,拝見したり、いただいたりしますことが、
辛い抗がん剤治療のはげみになります。
これからも、悩める乳がん患者達のために、いつまでも宜しく御願いいたします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「発熱性好中球減少症」「間質性肺炎」「帯状疱疹」と、実に大変な「術後抗がん
剤」となってしまいましたね。お気持ちお察しします。
回答
「先生の患者様には,間質性肺炎は、ごく少ない事例だったのでございましょうか」
⇒極めて少ないです。
しかも「抗がん剤が誘因」となったことは「全くない」ように思います。
私は今まで、膨大な数の術後抗がん剤患者さんを診てきていますので、「かなりの
低頻度」と言っていいと思います。
放射線照射による間質性肺炎(放射線肺臓炎と言います)は(これまた、少ないで
すが)ごくたまにあります。(1%以下です)
「帯状疱疹の、患者様はいかがでございましょうか」
⇒これは「間質性肺炎と比較すると」結構多いです。
ただ、「間質性肺炎とは比較するようなもの」ではありません。
今回は「抗がん剤による免疫低下が誘因」なのは間違いありませんが、健康な人で
も(疲れているときなどに)普通に罹患します(かくいう、私も学生時代に罹患しています)
「1週間の点滴入院を勧められた」ようですが、全く不要です。
普通に「内服薬で十分」です。おそらく「抗がん剤中であることを考慮して」だと
は思いますが、回復期であれば「全く問題ありません」
「帯状疱疹は、抗がん剤で,体が弱ったところにでてきたのでしょうか?」
⇒その通りです。
ただ(冒頭でコメントした通り) 抗がん剤を投与していないような健康な人にで
も起こりえます。
「これから,ものすごく痛くなるのでしょうか」
⇒痛みの程度は人それぞれですが…
私自身は「痛み止めを飲むほどでは無い」こんなものか。という程度でした。
「いつか将来、再発転移のときにも抗がん剤の使用は,,やめておいた方が宜しいの
でしょうか?」
⇒再発が無いことを信じるべきですが…
(万が一)再発した場合は注意が必要です。
ただ、「アンスラサイクリン」以外であれば、「少量で様子をみながら」投与でき
ると思います。
質問者様から 【質問4】
先生,早速のご返答ありがとうごさいます。
実に大変な「術後抗がん剤」との、先生の温かいお言葉にうるうるしました。
心にしみいります。
先生も帯状疱疹になられたとのこと,とても緊張感のある毎日だと思われます。
どうぞ再燃されませんように願っております。
現在、帯状疱疹は、痛みもほとんどなく、軽いだるさのみです。服薬のおかげか、
派手に真っ赤だった、30cmくらいの円形患部も、やや紫がかってきました。
このまま治ってくれますように,,,と思っております,
40歳から毎年,50歳からは隔年(国の方針) 市の検診でマンモをうけておりました。
もう大丈夫かと油断してた今年,エコーと針生検で告知となりました。
触診では,『小さいやん、早期発見できて良かったやん』とは、いわれましたが、
リンパ転移もありサブタイプも解り,抗がん剤決定となり、小さいしこりではありま
すが、暴れん坊みたいで、、 辛い治療突入となりました。
質問1
決して,なりたくってなった今回の3連続副作用ではございません。
告知前はバッチリメイクと腰までの黒髪,お洒落して仕事も遊びも満喫しておりました。
告知時も,髪を丸刈りにしたときも、泣きませんでした、
明るく,毅然と治療をうける気持ちでいっぱいでした。
ですが抗がん剤の蓄積される,3,4クールは、さすが辛すぎの毎日でおちこみました。
決して,なりたくってなった今回の3連続副作用ではございませんが、
『あなたの性格が暗いから,病気が病気をよぶのよ』でありますとか、
(私も患者の皆様も、言われて辛く感じたとことあると思うのですが,)
『気の持ちようが悪いからそんな病気になるのよ』と言われますと反論したいのですが
うまく言えません,先生は、いかが考えられますでしょうか。
質問2
病理では、断片陰性とは書いてあったのですが,病理の顕微鏡では、
断片近くに飛んでるがん細胞?があったそうです。
ですので放射線は,必ず抗がん剤から,間を空けず(無治療期間を短く)やるよう
に、といわれております。帯状疱疹が治ってから,放射線科の医師に相談して決める予定
になっておりますが、放射線医の指示にしたがってしまいそうです、、、、
(いまはもう、肺炎治ってるでしょといわれそうで、、、)
先生の半年後待って、と仰るご回答に添えなくなりそうで怖いのですが、、、
20件制限の貴重なスペースのなか、何度も申し訳ありません。
どうぞよろしく御願いいたします。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
「『あなたの性格が暗いから,病気が病気をよぶのよ』でありますとか、(私も患者
の皆様も、言われて辛く感じたとことあると思うのですが,)『気の持ちようが悪い
からそんな病気になるのよ』と言われますと反論したいのですがうまく言えません,
先生は、いかが考えられますでしょうか。」
⇒そんな事をいうような人は構わないでください。
病気になりたくてなる人はいません。
精神的に「本当に回復」するのには相当な時間が必要なのです。
実際に自分がならないと理解は決してできません(勿論私自身も、そうですが、沢
山の患者さんを見てきて知っているのです)
「放射線は,必ず抗がん剤から,間を空けず(無治療期間を短く)やるように」
⇒私は、「局所再発が非常に少ないもの」であることを経験から知っています。
私であれば「全く問題にしない」でしょう。
ただ「放射線科医ができると判断」した場合には、「きちんとしたフォロー」をお
願いする事です。
少しでも「気になる症状が有った場合には」休止も考慮すべきです。