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術後抗がん剤治療の必要性及びレジメン内容、RSスコアの判断基準。ミレーナ抜去の必要性について

[管理番号:8424]
性別:女性
年齢:44歳
病名:右乳癌 Stage IIA, Luminal Btype
症状:
投稿日:2020年3月30日

面談要旨
右乳癌 pT1cN1aM0 Stage IIA, Luminal type

【手術の説明】
術式(乳房)
皮膚温存乳房全切除術
(リンパ節)
腋窩郭清

乳房再建
広背筋による自家組織再建

【病理結果説明】
漫潤癌→浸潤性乳管癌
組織学的異形度→2
核異形度→2
腫瘍の大きさ(浸潤経)→2.6( 1.6 )cm
リンバ節転移→陽性(転移個数:2/11)
脈管侵襲→なし
術前化療療法の効果→術前化療なし
Stage→T:1 N:1 M:0 stage 2A
サブタイプ ルミナルBタイプ
ホルモン感受性→あり
エストロゲン受容体 >90% allred score:8
プロゲステロン受容体>90% allred score:8
HER2→なし
ki67→26.4%

質問お願いいたします。

病理結果は上記の通りです。

ここのQ&Aを知り勉強させて頂き、
OncotypeDxをやろうと決心しました。

低リスクならば、抗がん剤治療なしで決定中間リスク以上であれば、抗がん剤治療に挑もうと思っております。

①RSスコアが25以下であれば抗がん剤治療の必要なしとのお答えを見ました。

そのエビデンスとなるコラムなどが見つけられずどういった理由なのかを知りたいです。

②中間リスク以上であれば抗がん剤治療するにあたり、
主治医から当病院ではAC療法一択である、との返答でした。
私はルミナルBタイプです。

先生のコラムとQ&Aを拝見すると、

SABCS 2007でTC>ACが示されて以降、(非アンスラサイクリンレジメンである)TCが一般化されています。
とあります。

その際にはTC療法を希望し、治療を受けたいと要望しますが
病院施設により、受け入れられないといったことはあるのでしょうか。

その際にはセカンドオピニオンを希望し転院という事になるのでしょうか。

③ホルモン感受性がER+ 90%PgR+90%との事でミレーナを術前に抜去するよう主治医からの指示がありました。

ミレーナはPgRを微量ずつ放出している事もあるのですが、その判断は合っていますか。

元々、月経過多により挿入しましたが、
正直なところQOLの観点からも抜去はしたくなかったのですが詳しく説明はありませんでした。

先生のご判断を教えて下さい。

お忙しいところ恐れ入りますが
ご返答頂けますと大変嬉しいです。

どうぞよろしくお願い致します。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「①RSスコアが25以下であれば抗がん剤治療の必要なしとのお答えを見ました。
そのエビデンスとなるコラムなどが見つけられずどういった理由なのかを知りたいです。」

⇒まず『今週のコラム 188回目 このデータを見ても、まだ「リンパ節転移があると(ルミナールAでも)化学療法が必要だと思いますか??」』のグラフを詳細に観察してください。
 RS:18-25が抗がん剤無でも十分に予後がいいことが解りますよね?

 そして更に『今週のコラム 143回目 「リンパ節転移無」においては51歳以上ではRS26から、50歳以下ではRS21から化学療法によるbenefitがある』をご参照ください。
 pN0が対象ですが、pN1でほぼ同じことになるであろうと言われています。
 因みに50歳以下では21~25で化学療法benefitがあるとの結論ですが、これは「化学療法による卵巣毒性」の効果だといわれており(抗がん剤ではなく)LH-RHagonist併用することで同等となります。

「その際にはTC療法を希望し、治療を受けたいと要望しますが病院施設により、受け入れられないといったことはあるのでしょうか。」
⇒現実にあります。

「その際にはセカンドオピニオンを希望し転院という事になるのでしょうか。」
⇒そのようにする人もいらっしゃいます。

「③ホルモン感受性がER+ 90%PgR+90%との事でミレーナを術前に抜去するよう主治医からの指示がありました。
ミレーナはPgRを微量ずつ放出している事もあるのですが、その判断は合っていますか。」

⇒禁忌ではありません。
 逆に(黄体ホルモンが)タモキシフェンによる子宮体癌のリスクを抑える効果があります。

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

タモキシフェン服用中のミレーナ使用について
性別:女性
年齢:44歳
病名:右乳がん:全摘+広背筋により再建
症状:
投稿日:2020年5月20日

田澤先生、こんにちは。

乳がんプラザで勉強をしたのち、
オンコタイプDXを受け、RSスコア11で低リスクとして結果が出ました。

結果、当初勧められていた抗がん剤治療を回避し
ホルモン治療のみとなりました。
服用はタモキシフェンをまずは5年ということで処方されて現在服用中です。

前回の質問で、ミレーナ抜去について伺いました。
以前より月経経血過多であり、痛みも激しいことからミレーナを挿入し生活の質もだいぶ改善され生活をしておりましたが
手術にあたり主治医よりミレーナの抜去を命じられました。

指示に従い抜去はしましたが、やはり経血量がかなり多くシーツを汚してしまうほどになってしまいました。

ミレーナの禁忌をみたところ、

2.3 黄体ホルモン依存性腫瘍及びその疑いのある患者[ホルモン依存性腫瘍の悪化のおそれがある。]

とありましたが、婦人科の医師に確認したところ
子宮にのみ作用する薬剤であり血液にのるものではないとの回答でした

禁忌に書かれている
黄体ホルモン依存性腫瘍及びその疑いのある患者とは、子宮がん、子宮頸がんなどの婦人科系のホルモン依存性がんであるという理解でよろしいのでしょうか。

田澤先生であれば、ミレーナ挿入については
どのような見解を持たれていますでしょうか。

私の同病である友人も同様の悩みを抱えており、どこにも回答がなく困っております。

大変お手数をおかけいたします、ご教唆よろしくお願いいたします

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「黄体ホルモン依存性腫瘍及びその疑いのある患者
とは、子宮がん、子宮頸がんなどの婦人科系のホルモン依存性がんであるという理解でよろしいのでしょうか。」

⇒婦人科系の癌については(専門外なので)コメントできません。

 ただ、乳癌は無関係です。

「田澤先生であれば、ミレーナ挿入については
どのような見解を持たれていますでしょうか。」

⇒前回のコピペ

 禁忌ではありません。
 逆に(黄体ホルモンが)タモキシフェンによる子宮体癌のリスクを抑える効果があります。

 ★ つまり乳癌で止める理由がない(私は「構いませんよ」という立場)ということです。