[管理番号:5399]
性別:女性
年齢:52歳
はじめまして
よろしくお願い致します。
両胸乳がんで温存手術をしました。
病理検査結果で
右は浸潤性入入管癌
ステージ1
腫瘍1、4センチ
グレード3
Ki56 32.2
リンパ管脈管侵略あり
ホルモン受容体陽性
HER陰性
左は、腫瘍1
グレード2
ki56 24
リンパ管脈管侵略なし
以下同じ
と言う結果で
治療は放射線25回
ホルモン治療5年間のほかにその前に抗がん剤治療を3.4ヶ月やるよう言われました。
私は抗がん剤はできればやりたくありません。
田澤先生のご意見を是非お伺いしたく宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
論点を整理しましょう。
術後薬物療法の適応は(早期だからとか、無関係に)あくまでもサブタイプで決まります。
質問者は(両側とも)ルミナールタイプであり、焦点は『ルミナールAなのかBなのか?』なのです。
右が32.2 左が24
どちらもグレーゾーンと言えます。 OncotypeDXしてみることです。
★OncotypeDXしないのであれば、(Ki67=32.2であれば)化学療法を勧めざるをえない(医師としては)のが事実です。
質問者様から 【質問2】
抗ガン剤使用について 5399
性別:女性
年齢:52歳
田澤先生
先日はお忙しい中回答いただきまして本当にありがとうございました。
抗がん剤を使用するかどうか本当に悩んでしまい、乳がんプラザの存在は大変心強く感謝しています。
抗ガン剤をやるかどうか担当の先生にもうお返事をしなければならないため、今日もう少し詳しく先生のご意見をお聞きしたく質問させていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
私の場合、放射線プラスホルモン剤だけと、
抗ガン剤もプラスした場合の再発転移率はどのくらいでしょうか?
グレード3、リンパ管侵襲、Ki67、32.2は、再発転移し易い癌なのでしょうか?
乳がんになった時点で肺に微小転移している可能性もあるとききましたが、抗ガン剤をやれば必ず無くなるのでしょうか?
担当医にオンコタイプDXは金額と日数もかかりあまり勧めないといわれましたが、できれば抗ガン剤をつかいたくないのですが、田澤先生でしたら、それでもよいとお考えでしょうか?
また転移をしてしまったら、その時点で抗ガン剤をしても手の施しようがなくなるのでしょうか?
お忙しい中と存じますが、宜しくお願い申し上げます。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
私の「今週のコラム」で取り上げるテーマの候補に『ルミナールタイプの場合の「抗癌剤の上乗せ」』があります。
近々とりあげようと考えています。
「私の場合、放射線プラスホルモン剤だけと、抗ガン剤もプラスした場合の再発転移率はどのくらいでしょうか?」
⇒質問者がルミナールAなのかBなのか不明なので「抗癌剤による上乗せ」も不明です。
つまり、ルミナールAならば0に近いでしょうし、Bならば10%以上となる可能性もあります。
統計的には(ルミナールAでもBでも)それに応じた治療(Aならばホルモン療法単独、Bならばホルモン療法+化学療法)を行えば、最終的に再発率は15%程度になるようです。
統計学的数字にはルミナールAとBが混ざっていることに注意が必要です。
「グレード3、リンパ管侵襲、Ki67、32.2は、再発転移し易い癌なのでしょうか?」
⇒上の数字をみてください。
適切な治療をすれば85%は再発をしないのです。(この数字が「再発し易い」と思いますか???)
「乳がんになった時点で肺に微小転移している可能性もあるとききました」
⇒全く意味不明です。
何故「肺」だけに限定しているのかが解りません。
頭を整理してみてください。
術後の再発とは、手術の時点で、どこか(肺とは限りませんが)に潜んでいた癌細胞が術後の治療で消失しない場合に増殖して起こるのです。(決して術後に新たに癌細胞が生まれるわけではありません)
そのような「微小転移が身体のどこかにあるかもしれない」として行う治療が術後補助療法です。
「抗ガン剤をやれば必ず無くなるのでしょうか?」
⇒冷静になって良く考えてみてください。
ルミナールBだとしても(抗癌剤をしても)15%再発するのですよ???
あくまでも「リスクを減らすために」行っているのであって、「絶対になくなる」わけではありません。(冷静になりよく考えてみましょう)
♯ちなみにルミナールAであれば、抗癌剤をやっても全く「リスク低減にならない」ということです。
「担当医にオンコタイプDXは金額と日数もかかりあまり勧めない」
⇒世界中のガイドラインがOncotypeDXを勧めて改訂されてきているというのに…
全くとんでもない見解です。
「できれば抗ガン剤をつかいたくないのですが、田澤先生でしたら、それでもよいとお考えでしょうか?」
⇒(前回、回答したように)OncotypeDXすべきです。
そうでなければ★OncotypeDXしないのであれば、(Ki67=32.2であれば)化学療法を勧めざるをえない(医師としては)のが事実です。(前回のコピペ)
「また転移をしてしまったら、その時点で抗ガン剤をしても手の施しようがなくなるのでしょうか?」
⇒根治を得るのは難しいという事です。(ゼロではありません)