[管理番号:995]
性別:女性
年齢:41歳
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
お忙しい中ご回答いただき、ありがとうございました。
申し訳ありませんが、もう少しご質問させていただいてよろしいでしょうか。
「乳腺症は細胞診では細胞を採取することが困難」とありましたが、検体不適正になる確率が高いということでしょうか。また、確実な良性を判断しにくくなる(クラス3になる確率が高い?)ということでしょうか。
しこりの大きさにも関係しますか?
大きなによって適量の細胞が取れないかもしれないというのは、乳腺症だからでしょうか。
「検体不適正ならば、針生検で再確認してもらうと安心です。必要なしといわれる可能性もありますが・・・」とおっしゃいましたが、
針生検をしなくても6か月後の経過観察で様子を見ても大丈夫ということでしょうか。
改めて6か月後に検査をしても何ら問題がないということでしょうか。
診察していただいた先生に聞けば一番早いのかもしれませんが、甘えて質問させていただきました。
どうぞ、よろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「乳腺症に対する細胞診」ですね。
細胞診の何が問題なのか?
診断として「材料の絶対量が少ない」ことを挙げていますが、「細胞診をする側」から「苦労する点」をお話します。
○細胞診は「細い注射針」です。
本当に硬い組織(線維成分が豊富)を刺そうとすると「歯がたたずに、時に針が曲がってしまう」事があります。
しかも「せっかく苦労して硬い組織」を刺しても、「肝心の細胞成分が少ない」ので「細胞が少ない=検体不適性」となるのです。
つまり「硬い組織に対する細胞診」はまず①刺すのが大変(硬くて針が通らない)②細胞自体が少ないので「採取量が不十分となり易い」
以上2つの不利な点があるのです。
一方で「組織診などの太い針」は、「硬くても針が通る」し「線維が多くて細胞が少ない組織でも、大量に採取できるので、結果として細胞もきちんと採取できる」のです。
そして硬い組織の代表格が「線維化の強い組織の両横綱『乳腺症』と『硬癌』です。
♯乳腺症は、そもそも「乳腺に起こる線維化が本体」であるし、硬癌は「癌細胞がどんどん周囲の線維成分を引き込みながら大きくなる」のです。
回答
『「乳腺症は細胞診では細胞を採取することが困難」とありましたが、検体不適正になる確率が高いということでしょうか』
⇒その通りです。 冒頭に記載したように、「硬い組織は細胞診が最も不得意とするところ」なのです。
「確実な良性を判断しにくくなる(クラス3になる確率が高い?)ということでしょうか。」
⇒違います。
乳腺症で「クラス3となることはまず無い」でしょう。
「クラスⅢとなる」のは「乳頭状病変=乳管内乳頭腫、嚢胞内腫瘍など」です。
♯これらは「乳腺症とは真逆で」細胞成分が豊富です。
「しこりの大きさにも関係しますか?」
⇒関係しません。
しこりの「硬さ」に関係するのです。
「大きなによって適量の細胞が取れないかもしれないというのは、乳腺症だからでしょうか。」
⇒乳腺症は「大きくても細胞が取り難い」ですが、
特に「小さい」と「その分、含まれる細胞の量も少ない」ので採取しづらいのも事実です。
♯硬癌以外の「癌」や乳頭腫など「細胞成分が豊富」な腫瘍であれば、「小さくても、細胞が豊富」なので採取し易いです。
「針生検をしなくても6か月後の経過観察で様子を見ても大丈夫ということでしょうか。」
⇒私の「真意」は「乳腺症と間違われる可能性として硬癌」がある。
細胞診で検体不適性ならば「針生検した方が安心」というものです。
★「必要なしといわれる可能性もありますが」という理由は「以下の2点」です。
第1に「担当医が画像診断で癌を疑っていない」
第2に「小さな病変には細胞診で十分」と考える乳腺外科医が多い
「改めて6か月後に検査をしても何ら問題がないということでしょうか」
⇒私であれば、「5.5×6.0ミリ」の病変でも「確定診断にこだわり」ます。
私の本音として(もしも細胞診で検体不適性ならば)「6ヵ月後経過観察など不適切」と考えます。
ただ、「その大きさならば、6ヵ月後経過観察とする」医師が多いのも事実です。
それらの医師の感覚では「6ヵ月後に検査をしても何ら問題がない」となるでしょう。
○その意味では「一般論としては、問題無い」と言う意味での回答です。