[管理番号:741]
性別:女性
年齢:47歳
乳がんと診断され治療方法について悩んでいます。
腫瘍の大きさが3.1㎝(ヒゲを含むと5.4㎝)
浸潤がん
核グレード:2
エストロゲン受容体:+
プロゲステロン受容体:+
HER2タンパク:-
ki67:36.0%
リンパ節転移有り
主治医の先生からは術前化学療法(タキサン系を3ヶ月、アンスラサイクリンを3ヶ月)で腫瘍を小さくしてあげたい、と言われています。
しかし、抗がん剤にかなりの抵抗があります。抗がん剤をやらないと全摘手術になり、リンパ節郭清はさけられないと言われています。
もちろん全摘手術にもかなりの抵抗があり、仕事上、リンパ節も切りたくありません。
抗がん剤をやるリスクとベネフィット教えてください。
またタキサン系の抗がん剤はかなり強いと何かで読みました。点滴ではなく、内服できる効果のある弱めの抗がん剤はありますか?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
cT2, cN1, luminal Bですね。
ルミナールBなので「術前抗がん剤」をしないとしても「術後に抗がん剤」はした方がいい(適応)と思います。
ただ、ルミナールタイプでは「抗がん剤の効果」がそれ程高くないので「術前化学療法で目的(小さくして温存)を達成できない可能性も大きい」ので「ルミナールタイプでの術前化学療法」は私は(積極的には)勧めません。
回答
「術前化学療法(タキサン系を3ヶ月、アンスラサイクリンを3ヶ月)で腫瘍を小さくしてあげたい」
⇒これは正しい「術前化学療法」の理由です。
本来「術前化学療法の適応」は「縮小させて温存を狙う」場合なのです。
「抗がん剤をやらないと全摘手術になり、リンパ節郭清はさけられない」
⇒一部、誤った理解があります。
抗がん剤で「小さく」したら温存できる事は事実ですが、
「リンパ節郭清」は「術前化学療法でリンパ節が縮小しても」行わなくてはならないのです。
大事な事は『リンパ節郭清は、化学療法前の状況を基準に行う』のです。
つまり「化学療法前にリンパ節転移有」⇒「化学療法後にリンパ節転移消失」しても「センチネルリンパ節生検の適応」はありません。必ず郭清しないといけないのです。
「抗がん剤をやるリスクとベネフィット教えてください」
⇒リスクは副作用ですが、ベネフィットは「予後の改善」です。
術前化学療法の場合は「温存の可能性がある」こともベネフィットです。
「タキサン系の抗がん剤はかなり強いと何かで読みました」
⇒タキサンの「全身倦怠や筋肉痛、痺れ」などの事を言っていると思いますが…
アンスラサイクリンの方が(吐き気など)酷く感じる方も多いです。
「点滴ではなく、内服できる効果のある弱めの抗がん剤はありますか?」
⇒唯一適応がある「経口抗がん剤」はUFTのみです。
しかし「効果」については強くはありません。
CMF療法という一昔前の点滴抗がん剤に対して「非劣勢」が証明されませんでした。
♯その他の経口抗がん剤(カペシタビンやTS-1)は「転移・再発」にしか適応はありません。
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |