[管理番号:2665]
性別:女性
年齢:47歳
1月(下旬)日に両胸全摘手術を受けました。
病理検査の結果がでました。
右胸の結果
非浸潤性乳管癌
浸潤径:0.6㌢ 腫瘍全体(1.3×1.2×2.1cm)
波及度:f
核グレード:1
組織学的異型度:1
脈管侵襲:リンパ管 1y1
静脈 v1
リンパ節転移:なし(センチネルリンパ節生検)
切除断端:陰性
ホルモン受容体:ER + 90%
PgR + 40%
HER2: - スコア 1+
Ki-67: 5%
左胸の結果
浸潤性乳管癌
浸潤径:2.2cm (腫瘍全体2.2×1.8×1.5cm)
波及度:f
核グレード:1
組織学的異型度:1
脈管侵襲:リンパ管 1y2
静脈 v3
リンパ節転移:あり 3/19 センチネルリンパ節生検+腋窩リンパ節郭清
切除断端:陰性
ホルモン受容体:ER + 80%
PgR + 80%
HER2: - スコア 1+
Ki-67: 5%
〈今後の方針〉
化学療法
と言う結果がでました。
抗がん剤治療後、ホルモン剤治療になるのですが、私は喘息とアトピーがあります。
抗がん剤治療の説明で、アナフラシキーの症状が出る可能性があり、呼吸困難になった時は人工呼吸器をつけて、心臓マッサージをして、緊急処置を取ります。
それでも、意識が戻って来なければ、その時は…と説明を受けとても不安になってしまいました。
抗がん剤はやって見ないと判らないと言われ、とても迷っています。
ここまでのリスクを背負っても、抗がん剤治療をするべきなのでしょうか?
先生、お忙しいと思いますが、どうぞ宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
右
pT1b(6mm), pN0, NG1, luminalA(Ki67=5%)
左
pT2(22mm), pN1, NG1, luminalA(Ki67=5%)
「〈今後の方針〉化学療法]
⇒本当に「化学療法が適応」となるのか?
質問者は「間違いなくluminalA」です。
○論点は「luminal Aで化学療法が必要なケースは、どのような時か?」となります。
ここで以下2つを参考にしてください。
①St. Gallen 2015でのvotingでは「luminalAで化学療法の適応となるのはリンパ節転移4個以上が最も多い」
②SABCS 2015での発表で「リンパ節転移陽性もしくは腫瘍径5cm以上でも、化学療法によるbenefitは無かった」という報告
○私はというと、上記①②を参考にした上で「New Adjuvant.comでの上乗せの数字7%」から(化学療法は積極的には勧めず)「ホルモン療法単独」を選択します。
「抗がん剤治療の説明で、アナフラシキーの症状が出る可能性があり、呼吸困難に
なった時は人工呼吸器をつけて、心臓マッサージをして、緊急処置を取ります。」
⇒私は過去に「数千人の化学療法(術後補助療法も再発治療も)を行ってきました」が、かつて一度もそのような経験をした事はありません。(無論、その中にはアレルギーの有る人もいました)
「ここまでのリスクを背負っても、抗がん剤治療をするべきなのでしょうか?」
⇒リスクは殆どないとは思いますが…
上記理由から「積極的には」勧めません。