[管理番号:2872]
性別:女性
年齢:37歳
2016.3/(上旬) 第一子出産 初産婦 37歳です。
症状は右乳首多分単孔性からの血乳で、
乳がん検診結果待ちです。
補足1、私は乳首が短く、赤ちゃんが吸いづらかったため、直接吸えるようになったのは4/(中旬)からです。
また、母乳量は少なく、ミルク9割、母乳1割程度です。
補足2 妊娠中2015.11月末に健康診断で超音波をやり、異常はありませんでした。
補足3 7年前に甲状腺の腫瘍を切除しており、2015.11月までレボチロキシン服用、手術から2016.2月まで3か月おきに通院し採血をし経過観察中でもあります。
2014年には胸のレントゲンもとり異常なし。
経緯
3/(上旬)-(中旬) 出産入院中、血乳→乳腺炎があり、ぱんぱんにお乳と副乳が張り、助産師さんのマッサージ、哺乳瓶乳首をあてて母乳を出し赤ちゃんに吸ってもらい、副乳は氷嚢で冷やし、数日でこれらは収まりました。
3/(中旬)に退院し4/(中旬)頃まで、赤ちゃんが乳首を直接吸えない状況だったので、哺乳瓶乳首や保護器を使い母乳を飲ませていたのですが、
3/(下旬)に試しに直接吸わせてみたところ、赤ちゃんが強く吸い付いてきて痛みを感じました。
そのあと(下旬)日に左→ピンクの母乳 右→出血がありました。
このとき、乳首表面が赤くなっていたので、外傷と見ていました。
(下旬)から4/(上旬)まで 様子を見てまた哺乳瓶乳首や保護器を使って授乳。
左→出血治る 右→出血あり
4/(中旬)からまた直接吸わせる練習を開始、軌道にのる。
4/(中旬) 1か月検診にて 医師に乳首から出血があると相談し医師が右乳首を絞ると出血があり、今までになく数滴出てきた。
外傷ではないと言われ、医師が乳首からの血液を乳がん検診にまわされました(ちなみにこの病院は医師が毎回違い、今回の医師は妊娠中から現在まで一度もあたらなかった初めての医師)。
私的には当初は左も出血があったつもりだったため、見てもらいましたがこちらは大丈夫とのこと。
乳がん結果を兼ねて乳腺外来で予約をとるよう言われる。
以降、不安な気持ちになり、左のみ授乳中、右は母乳が出なくなると怖いので毎日一回乳首をつまみ出血母乳をチェックしています。
出血は出たり出なかったりで、母乳のあと出たり、先に出血があって母乳だったりです。
乳がんの結果は5/(上旬)に聞きに行くのですが、
不安な気持ちで自信を持って授乳が出来ず辛いです。
先生のご意見アドバイス伺いたいです。
また、がんではない場合、母乳を増やすために産院でマッサージをしてもらうのは安全ですか?
それによりまた乳腺を傷つけるとかあるのでしょうか?出血が多くなければ吸わせて大丈夫というのは本当でしょうか?
長々すみません。
相談できる人がおらず、出産した病院医師もなんとなく不安でメールさせていただきました。
よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
初産、出産直後に「鬱滞性乳腺炎」典型的な経過と言えます。
経過からみて、全く心配ありません。
○人間の感覚として「体のどこかから血液が出る」と非常に慌てます。(本能と言ってもいいかもしれません)
過去に私も「夏場に激しい運動をして」血尿が出た事が有りました(汚い話ですみません)
ただ、今考えてみると「ミオグロビン尿」と言って血尿では無かったのですが、とにかく「大変、絶望的になった」ことを思い出します。話が脱線しました。すみません。
「血痰」「血尿」「血便」とにかく、「血」のつくものは「とても悪い兆候=恐怖」
と共に恐怖を覚えるものです。(さすがに鼻血は、それほど恐怖と結び付かない様ですが…)
ただし、「血性分泌」はそれらとは一切切り離してください。
別に「乳管から血液がでた」からと言って「取り返しのつかない悪性の変化が乳腺にできている」などと心配する必要はないのです。
それよりも「重要な視点」は「分泌そのもの」です。
「目に見えない様な微小な病変」が「乳管内にあるかもしれない」というサインなのかもしれません。
しかも、そのサインは「妊娠、授乳、卒乳後」とは無関係なものです。
何故ならば「それらの時期には、分泌を引き起こす別の理由が、立派にある」からです。『乳管内病変とわざわざ結び付ける必要はない』のです。
○それでも、「授乳中にたまたま乳管内病変があることもあるのでは?」
当然の意見です。
そこまでは否定するつもりはありません。
ただし、医師が行う「診断」の多くは「確率論が支配」しています。
例えば、「鼻血を出した小学生」に「鼻の奥に出血を引き起こす悪性腫瘍があるかもしれない」などと考える耳鼻科医」はいないし、
「中学生が咳をしていて血痰を出した」際に「気管支炎で気道が傷ついただけだと思うから様子を見ましょう」となるわけで、まさか「肺癌の可能性を考える呼吸器内科医」はいません。
(上の2例でも)確かに其々「可能性がゼロではない」ですが、
「確率的には非常に低率」であり、「他に疑うべき疾患(状況)の可能性が圧倒的に高い」場合に、わざわざ「非常に低率」な疾患を疑う必要はないのです。
「医師が乳首からの血液を乳がん検診にまわされました」
⇒勿論(専門では無い)婦人科の先生を非難するつもりはありませんが…
何の意味があるのでしょうか?
検査結果は「血液です」となります。
「血液だから???」 『あー、血液ですね』で、終わりです。
○必要なことは「何故、血液が出るのか?」なのであり、「血液であることは子供でも見てわかります」
「乳がん結果を兼ねて乳腺外来で予約をとるよう言われる。」
⇒「分泌液(血液そのもの)に癌細胞はありません」で、診察は終わりそうです。
「以降、不安な気持ちになり、左のみ授乳中、右は母乳が出なくなると怖いので毎日一回乳首をつまみ出血母乳をチェックしています。」
⇒冒頭でコメントしたように…
たまたま「乳管内病変が(授乳中、しかも初産の乳腺炎のあとに)存在する」などという「確率的に相当低い」ことを心配する必要はありません。
「出血は出たり出なかったりで、母乳のあと出たり、先に出血があって母乳だったりです。」
⇒特に多いのは
初産で「発達が不十分で狭い乳管」で「鬱滞性乳腺炎」を起こすと「乳管壁が傷ついて」血液そのものがでます。
「乳がんの結果は5/(上旬)に聞きに行くのですが」
⇒申し訳ありませんが…
大した結果ではありません。
「血液でした」「悪い細胞はありません」で終了です。
「母乳を増やすために産院でマッサージをしてもらうのは安全ですか?
それによりまた乳腺を傷つけるとかあるのでしょうか?」
⇒難しく考える必要はありません。
通常の手足の怪我と一緒です。
「有る程度治癒したら」大丈夫です。
「出血が多くなければ吸わせて大丈夫というのは本当でしょうか?」
⇒別に悪いものではありません。
☆乳頭分泌(血性も含む)で心配すべきは
①片側単孔性 たまたま「同時に複数の乳管に乳管内病変が出現」する可能性は「天文学的に低い」のです。
②妊娠授乳と無関係
③血液そのものではなく、通常は「茶色や黒っぽい」ことが多い。
これは「炎症を含めた外傷性のように急性」ではなく、「慢性的である」ことを示唆します。
④有る程度長期間続く 「急性のものではない」ので「長期間続きます」