[管理番号:4384]
性別:女性
年齢:36歳
田澤先生、はじめまして。
いつもこちらのサイトで勉強させていただいております。
36歳の妻は、乳がんと診断され、昨年秋に左胸を全摘し、リンパ節への転移も1か所ありリンパ廓清しました。
しこりは2cmを少し超える程度でステージはⅡB、トリプルネガティブとのことで現在化学療法中です。
2種類目の抗がん剤治療中に主治医から放射線治療についてどうするか持ちかけられました。
リンパ節への転移が1つのため、再発率の抑制に係る劇的な効果は得られないかもしれないが、何とも言えないため、希望に応じるとのことです。
これを踏まえ、田澤先生のQ&Aにより同様の状況について調べていた所、下記の疑問が生じたところです。
①管理番号553・4098・4313について、リンパ節転移は1~3個のケースの質問かと思いますが、放射線治療について管理番号553は「4個以上ほど絶対的適応はありませんが、1~3個でも十分以上に考慮すべき」管理番号4098・4313は放射線治療不要としています。
過去のご質問と重複する部分も多いかと思いますが、悔いなく治療をやりきりたい思いであり、妻の為に最善の選択をしたいと強く思っております。
不勉強により失礼な点がありましたらご容赦下さい。
宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
○乳房全摘後の照射ですね。
まず大前提として「乳癌診療ガイドライン」では
1.リンパ節転移1~3個:推奨度B
2.リンパ節転移4個以上:推奨度A
これがあります。
ただし、これは「かなり古いデータ」で、「全身療法が脆弱である時期」のものであることを指摘できます。
と、いうことで「きちんとした(現代の)全身療法を行うこと」を前提とすれば、
「リンパ節転移4個以上」で考えるべきでしょう。
○質問者はトリプルネガティブできちんと化学療法をしているのだから、「リンパ節転移1個で放射線照射は不要」と考えます。
質問者様から 【質問2】
質問NO.4384にて質問させていただいた者です。
先日はご回答いただきありがとうございました。
その後主治医に放射線治療を行わない方向で考えている旨伝えたところ、いくつか気になることがわかりました。
①センチネルリンパへの転移は1個で、術後は2mm程度と伝えられていました。
ただ、最近になってよくカルテを確認したら実際は転移数は
1個で変わりないものの、大きさは5mmだったとのことです。
(なぜ伝えられてなかったかは不明です)
②主治医は放射線による劇的な効果は不明としつつも、2cm強のしこりの周りに広範囲の広がりがあったため、放射線治療を行った方がいいとも考えているとのことです。
これを受け疑問がありましたので、今回田澤先生のご意見を伺いたいと思いました。
①センチネルリンパへの転移の大きさが、5mmだったことを受けても、やはりリンパ転移数は1個であるため、放射線治療は不要となりますか?
また、転移の大きさは再発リスクを高めてしまうのでしょうか?(今になって不安に感じています)
②しこりの周りの広がりは非浸潤がんであり、かつ全摘しているため、
再発リスクは無いと考えていたため、主治医の意見にやや戸惑っています。
また、主治医は時折『若いからやっておいた方がいいかも』といったことを言います。
非浸潤の広がりがあるため、また年齢が若いため放射線治療を勧めることについて、田澤先生のご意見を伺いたいです。
年齢が若いこと=再発リスクが高いようにも受け取れるため、こちらも不安を感じています。
放射線治療の適否はリンパ転移数によると信じていますが、なお確信を持っていたいためご質問いたしました。
何度もお手数をおかけして申し訳ありません。
よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「新しく判明した事実」ということですね?
ただ、回答に変更はありません。
「①センチネルリンパへの転移の大きさが、5mmだったことを受けても、やはりリンパ転移数は1個であるため、放射線治療は不要となりますか?」
⇒その通りです。
「また、転移の大きさは再発リスクを高めてしまうのでしょうか?」
⇒あまり変わりません。
少なくとも「放射線治療をすることによる再発率低減効果」は殆ど期待できないと思います。
「②しこりの周りの広がりは非浸潤がんであり、かつ全摘しているため、再発リスクは無いと考えていた」
⇒質問者のいう「再発リスク」とは、「局所再発だけ」のことですか?
「局所再発リスク」は、「ほぼゼロ」でいいと思います。
ただ、「遠隔転移再発はゼロというわけではありません」
○「局所再発」と「遠隔転移再発」は分けて考えましょう。
質問者の場合には
1.もともと「局所再発」リスクは「ほぼゼロ」であり、「放射線照射による、ここへの効果は無」と思います。
2.「遠隔転移再発」リスクは「ゼロではない」わけですが、「放射線照射による、ここへの効果も殆ど無」ということです。
「非浸潤の広がりがあるため、また年齢が若いため放射線治療を勧めることについて、田澤先生のご意見を伺いたいです。」
⇒「非浸潤癌としての拡がり」も「年齢の若さ」も、全く無関係です。
「年齢が若いこと=再発リスクが高いようにも受け取れる」
⇒そんな事もないし、また「だからと言って、放射線は(それに)有効ではない」ということです。