[管理番号:6235]
性別:女性
年齢:43歳
去年12月に右乳房内側のシコリ約2センチを針生検し非浸潤癌とADH鑑別困難となりマンモートーム生検で非浸潤癌の結果となり2月に手術しました。
術前色々な検査をし造影C Tで内側のシコリ2センチの他に石灰化、乳頭近くに小さなシコリもみつかり悪性所見を疑う所見でした。
温存手術を進められましたが全摘を希望し手術して頂きました。
術後の病理検査、仮診断では非浸潤癌疑いと乳腺症の結果。
所見、全体的には硬化性腺症や乳管過形成などの乳腺症が目立つ乳腺組織です。
一部でコメド壊死を伴わない乳管内癌を疑う像が見られます。
免疫染色を行い良悪性の鑑別をします。
明らかな浸潤癌や脈管侵襲は認められません。
切除断端はいずれも陰性。
リンパ節に癌の転移は認められません。
病理診断は乳腺症と乳管内乳頭腫症とでました。
所見、全体的には硬化性腺症や乳管過形成などの乳腺症の像が目立つ乳腺組織ですが、拡張した乳管の一部で上皮細胞の充実性増殖や密な乳頭状増殖がみられます。
免疫染色にこれらはC K 34B E 12陰性ですが、C
K5/6ではニ相性が見られました。
従って、乳管内乳頭腫症および範疇と考えます。
明らかな悪性所見は見られません。
リンパ節に癌の転移を含め悪性所見は認められません。
マンモートーム生検で非浸潤癌と出て手術して術後の病理検査で乳頭内乳頭腫となることはあるんでしょうか?
結果は良かったのですが病理診断をもう一度、特別免疫染色で再検査して貰った方がいいでしょうか?
乳管内乳頭腫症が異形乳頭内乳頭腫ADHだったのではないかと不安になります。
非浸潤癌だったら全摘後はホルモン治療をすると言われていましたが、乳管内乳頭腫症だったので治療はなしです。
乳管内乳頭腫症が本当はADHだったら数年後、私は局所再発や遠隔転移などになってしまうのでしょうか?
全摘しましたが、マンモートームの傷が残っています。
そこから再発や転移したりしませんか?
非浸潤性乳管癌で手術したので病理検査で乳管内乳頭腫症と診断されても私は非浸潤性乳管癌の0期になるんですか?
病理検査のセカンドオピニオンをした方がいいですか?
浸潤癌や脈管侵襲やリンパ節、陰性だった事、信じていいのか毎日不安で夜も眠れません。
返信よろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
まず、全体を通して…
こういったケースは時々ありますが、「そこまで、しなくても良かったか! (それとも)癌が疑われていた以上、それでいいのでは?」というところが論点であり、
(結果として全摘している)質問者が「局所再発や遠隔転移を心配」しているのには驚きました。(『えっ?そこかい。』と突っ込まれますよ)
「マンモートーム生検で非浸潤癌と出て手術して術後の病理検査で乳頭内乳頭腫となることはあるんでしょうか?」
⇒それは、しばしばあります。
乳管内乳頭腫は、(病理診断で)癌に間違われ易い(今回のケースではマンモトームで癌の診断が出ている以上、癌はマンモトームで取りきる程度の大きさだったと考えるべき)のです。
「結果は良かったのですが病理診断をもう一度、特別免疫染色で再検査して貰った方がいいでしょうか?」
「病理検査のセカンドオピニオンをした方がいいですか?」
⇒何の目的で?
これ以上しつこく追加監査をして…
(結局)摘出標本に「癌」と呼べる程度の病変と判断したとしても、「手術で全摘している」のだから、(見つかるとしても、「低異型度の非浸潤癌」程度なのだから、)いずれ根治ですよ?
★状況から「浸潤癌はありえない」のだから、「異型病変の範囲内(癌とは呼べない)なのか、非浸潤癌としてもいいのか?」しつこく調べても、(どちらでも)全摘しているのだから根治なのです。
「乳管内乳頭腫症が異形乳頭内乳頭腫ADHだったのではないかと不安になります。」
⇒??
ADHだとしても、全摘なのだから「いずれ根治」ですよ?
何か勘違いしていますか?
★ADHは「病変全体を評価してみると、癌と言えるかもしれないから、病変全体を評価すべき」というものであり、(質問者のように)「全摘して(病変どころか)
乳腺全体を評価してのADHであれば(ADHの診断でさえありませんが)それは癌ではないので何ら問題ありません。
「非浸潤癌だったら全摘後はホルモン治療をすると言われていました」
⇒そもそも、これが『大間違い』です。
非浸潤癌で全摘は根治であり、そこに薬物療法(ホルモン療法)を行うなど言語道断です。
★過剰診療にもほどがある。有害事象が出た場合(たとえば子宮体癌など)「全く、申し開きもできない」とんでもないことです。
「乳管内乳頭腫症だったので治療はなしです。」
⇒当たり前です。
「乳管内乳頭腫症が本当はADHだったら数年後、私は局所再発や遠隔転移などになってしまうのでしょうか?」
⇒??
発想が「どこか、おかしい」
通常、(冒頭でもコメントしましたが)このケース(術前組織診断では癌の診断だったが、手術で良性)では、『ここまで、しなくて良かったのでは?手術しなくても良かったのでは?』と悩む人が殆ど(過去のQandAでも、「そちら側」は何回か登場しています)です。
質問者のように「再発、転移を心配する」など、奇想天外な発想です。
★さすがに、(非浸潤癌全摘でもホルモン療法をしようとするような)過剰治療推奨医師でさえ、「再発や転移を心配」することはない筈です。そうではなく、「良性と出てしまうと、患者さんが(手術をしたこと自体に)納得してくれるかな?」と、『そっちを心配』している筈です。
「全摘しましたが、マンモートームの傷が残っています。そこから再発や転移したりしませんか?」
⇒奇想天外な発想です。
「非浸潤性乳管癌で手術したので病理検査で乳管内乳頭腫症と診断されても私は非浸潤性乳管癌の0期になるんですか?」
⇒このケースでは…
マンモトームで(非浸潤癌疑いではなく)「非浸潤癌が確定」しているようですから、「マンモトームで取りきれるほどの小さな非浸潤癌だった(手術で摘出したが、それ以上の病変は無かった)」と考えるべきです。
「浸潤癌や脈管侵襲やリンパ節、陰性だった事、信じていいのか毎日不安で夜も眠れません。」
⇒発想がおかしい。
「癌と言っていいレベルなのかどうか?」というレベルの話であり、論点は「そこ」ではないのです。
全く無駄なことで悩んでいます。今すぐ忘れてしまいましょう。(根治)