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センチネル生検での腋窩郭清について

[管理番号:7272]
性別:女性
年齢:46歳
病名:浸潤性乳管癌
症状:

田澤先生
お世話になります。

ステージⅡaの乳がんと診断され、先日右乳房の全摘手術を受けました。

手術時のセンチネル生検では転移は認められないとのことで、腋窩郭清は行いませんでした。

本日病理結果の説明があり、リンパ節を顕微鏡で詳細観察したところミクロ転移を認めたとのことでした。
マクロ転移の可能性も否定できない
ことから、追加腋窩郭清を行うことが好ましいとの診断を受けました。
また、その他の病理検査の結果は以下の通りです。

・大きさ(浸潤型):3cm
・範囲:5.1cm
・核異型度:3
・組織異形度:3
・リンパ管・脈管侵襲:有
・Ki67:85.2%
・ホルモン感受性:有
・HER2/neu:有
・断端:陰性

そこで以下の2点について先生のご意見をお伺いしたいと思います。

・センチネル生検での転移が微小であった場合、腋窩郭清は省略可能との見解が一般的のようなのですが、上記理由で追加腋窩郭清を行うことはよくあるのでしょうか。
病理検査の結果からこの後、ホルモン療法、化学療法を行うことが決定しているのですが、それで何とかならないものなのでしょうか。

・核異型度、組織異形度が3であること、Ki67の値が異常に高いことが大変不安です。
やはり再発の可能性が非常に高いがんと考えてしまいますが、実際どうなのでしょうか。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「・センチネル生検での転移が微小であった場合、腋窩郭清は省略可能との見解が一般的のようなのですが、上記理由で追加腋窩郭清を行うことはよくあるのでしょうか。」
→「ミクロ転移を認めた マクロ転移の可能性も否定できない」という曖昧な表現に問題があります。

 あくまでも「ミクロ転移」ならば郭清省略でいいと思います。(ただ、術前に、その基準は合意しているのでは?)

「病理検査の結果からこの後、ホルモン療法、化学療法を行うことが決定しているのですが、それで何とかならないものなのでしょうか。」
→「局所療法(手術や放射線)」と「全身療法(ホルモン療法や化学療法)」は別です。

 「追加郭清が必要」だとは思いませんが、その理由は「局所の借りを全身で返す」ではいけません。

「やはり再発の可能性が非常に高いがんと考えてしまいますが、実際どうなのでしょうか。」
→違います。(あくまでも再発率はステージと関係します)

 Ki67の値は「化学療法が必要なのか?」とだけ、結び付けましょう。