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DCIS+リンパへ少し転移 抗がん剤は必要でしょうか

[管理番号:6355]
性別:女性
年齢:44歳
田澤先生、はじめまして。
先月、乳がんに罹ったことがわかってから、こちらのサイトでいろいろ勉強させていただいております。
現在、夫の仕事でマレーシアに住んでおります。
先月初めに左乳房にしこりを発見し、こちらの病院にて触診、エコー、マンモグラフィ、針生検を行ったところ、DCISが見られるとのことで、念のため全摘+バッグを入れての同時再建手術を行いました。
(4月(中旬)日に手術)
術後の検査結果では、しこり部分だけではなく、左乳房全体にDCISが散らばっており、
左乳房の皮膚や乳首は残してあるため、術後に放射線治療をした方がよいとのことでした。
また、がんの種類としてはルミナールAタイプとのことで、タモキシフェンを10年間服用と言われました。
そして、センチネルリンパ生検では術中には転移は見られなかったのですが、その後の
時間をかけての病理検査で4つのうち2つにDCIS(pre cancer)が見られるという結果でした。
それを受けて、放射線+ホルモン療法の前に抗がん剤を受けることを勧められました。
しかし、抗がん剤はがん細胞を攻撃する一方、正常な細胞まで傷つけるため、かえって
免疫力も落ち、また確実に効くかどうかの確証が得られないのではという懸念があります。
今現在はCTスキャンもクリアで、目に見えていないがん細胞を抗がん剤でたたくことで
転移・再発を抑えるということですが、提示された3つの療法で体にどれだけ負担がかかるのかを考えると、目に見える効果がわかればよいですが、実際どうなのか、という思いもあります。
一度日本の病院でセカンドオピニオンをとも思いましたが、やみくもに病院を選んでも
同じ見解しか得られないかもしれないと思っていたところに、たまたま検索でこちらのサイトを見つけました。
Q&Aで私と同じような内容で迷われてらっしゃる方のご質問と先生のご回答を目にし、このような形でご相談できるのであればぜひお願いしたいと思い、ご質問を送らせていただきました。
術後の検査結果をまとめますと以下になります。
浸潤径:2.5cm
Stage:2B
Grade:2
ER:Strong positive (score 3) in 100% of tumour cells (score 5). Total score=8.
PR:Strong positive (score 3) in 100% of tumour cells (score 5). Total score=8.
HER2:2+
Ki-67:Positive in 10% of malignant cells.
Left sentinel node:2 in 4 lymph nodes identified with micrometastases (detected on deeper levels with immunohistochemistry and size of micrometastatic foci ≦2.0mm)
Nipple Base:Consistent with low grade DCIS in a background of hyperplasia.
No
evidence of malignancy.
Left breast:Invasive carcinoma of no special type. Bloom and Richardson Grade 2. AJCC-Stage:pT2 pN0 MX. The tumour extends to superficial margin. The DCIS
component extends to the deep and superior margins.
質問1.
DCIS(非浸潤がん)をどのように捉えたらよいか教えてください。
pre cancerとこちらの先生はおっしゃいますが、いずれ浸潤がんに変わる確率は高いのでしょうか。
質問2.
DCISの場合、今回は針生検および術後の病理検査でわかりましたが、今後がんが転移・再発するとなると、どのような検査でわかりますでしょうか。
CTスキャンなどに映るでしょうか。
浸潤がんとなって初めて映るものでしょうか。
質問3.
私の場合、抗がん剤+放射線療法+ホルモン療法はすべて必要でしょうか。
先生のコラムやほかのご質問者の方へのご回答を拝見しましたところ、「ルミナールAでは抗ガン剤は不要。
『リンパ節転移の個数や腫瘍径にかかわらず、ルミナールAでは
化学療法によるベネフィットが無い』これはDBCG77B無作為化試験の結果がSABCS:San
Antonio Breast Cancer Symposium 2015で発表された内容です。」との記述を見つけ、
大変希望が持てました。
同じくルミナールAタイプの私にも当てはまると思ってよいでしょうか。
また、左胸の皮膚や乳首に関しては、もしDCISが残っていたとしても放射線療法で確実にがん細胞を死滅・ブロックすることができるものですか。
タモキシフェン服用でがん細胞のえさを遮断できるのであれば、もし全身にDCISが散らばっているとしても、それですべて解決できるのではと思うのですが、いかがでしょうか。
こちらでかかっているドクターは「プロテクトにプロテクトを重ねた方が安心」とおっしゃいますが、どこまで行うのが安心ゾーンでしょうか。
家族を説得するための判断材料として、私個人に対しての先生のご見解をお聞きできたらと思います。
質問4.
「抗がん剤+放射線療法+ホルモン療法」、「放射線+ホルモン療法」、「ホルモン療法単独」、それぞれの場合の転移・再発率、および5年10年生存率にどのくらい違いがありますでしょうか。
質問5.
抗がん剤を受けるとした場合、3週間ごとに6回、最初の3回はエピルビシン+シクロホスファミド、次の3回はドセタキセルと言われています。
こちらは私の状態で最適なものでしょうか。
もっと副作用などの負担が軽くて効果が期待できるものもありますでしょうか。
質問6.
今回、抗がん剤を受けずに放射線+ホルモン療法、もしくはホルモン療法だけを行った場合、その最中もしくはその後に新たに再発・転移が見つかった場合の治療法はどのようなものになりますか。
やはり一番は抗がん剤でしょうか。
質問7.
OncotypeDXをこちらのサイトで初めて知りました。
こちらマレーシアの病院でも検査はできるそうです。
ただ、私の場合はリンパに転移が見られるため、正確度が多少落ちるかもしれないとのことでした。
上記の質問から得られる回答からさらに迷いが生じたら、受けた方がいいかとも思っておりますが、ほかの質問者の方のご回答に、「Ki-67がグレーゾーンの場合にお勧めする」とありました。
年齢などにもよるかと思いますが、私はこのグレーゾーンに当たりそうでしょうか。
それとも受けなくとも結果は明白でしょうか。
質問8.
少し前のNHKスペシャルで「プレシジョン・メディシンが今後のがん治療の主流になる」という内容を観ました。
勘違いかもしれないのですが、乳がんにおいてはホルモン受容体の検査結果が分子標的薬の対象となりますか。
私の場合はルミナールAタイプですが、このタイプのがんに一番効果があるのはホルモン療法(タモキシフェン服用)ということになりますか。
その場合、
①タモキシフェンの服用期間が10年間というのは妥当でしょうか。
②質問6と重複しますが、もし今後再発・転移が見られたときにはホルモン薬の変更という選択肢になるということでしょうか。
それとも、抗がん剤になりますか。
また、現在のルミナールAタイプから今後サブタイプが変化するということもあり得るでしょうか。
(※ホルモン療法から抗がん剤が効くとされる状態に変わることはあり得るでしょうか。それはどのようば場合においてでしょうか。)
以上、書いているうちに新たな疑問がわいてきたり、この疑問が解決するとこちらの質問はなくなる、というように重複しているところもあり申し訳ありません。
抗がん剤を始めるとしたら今月末ぐらいからと言われていることもあり、疑問点はすべて解決してから治療法を決定したいと思いました。
先生のご見解をセカンドオピニオンとして大いに参考にさせていただきたいと思っております。
もし抗がん剤が必要となったら、副作用の程度にもよりますが、日本での治療も検討しなければと思っております(就学前の子どもがいるため)。
長文で申し訳ありません。
お忙しいところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
物事はシンプルに考えましょう。
そもそも、「リンパ節に転移があるから」とか「リスクがあるから」という理由で抗癌剤をした方がいいという認識に誤りがあるのです。あくまでも「効くものを行う」ということなのです。(これが、サブタイプに応じた治療という考え方なのです)
質問者の場合には「ルミナールA」だから「ホルモン療法(抗癌剤は無意味)」を行い、(リンパ節転移4個以上でないのだから)「放射線は不要」ということです。
「センチネルリンパ生検 4つのうち2つにDCIS(pre cancer)が見られる」
⇒この理解は誤りです。
 そもそもDCISは「乳管内」なので(リンパ節を含めて)「転移することはありえない」のです。
 実際に「size of micrometastatic foci ≦2.0mm」という表現となっています。
 ☆これは(非浸潤癌ではなく)「ふつうに、浸潤癌」です。
「それを受けて、放射線+ホルモン療法の前に抗がん剤を受けることを勧められました。」
⇒放射線も抗癌剤も不要です。(冒頭でコメントした通り)
「DCIS(非浸潤がん)をどのように捉えたらよいか教えてください。」
⇒癌が「乳管内に留まっている」状態です。(その状態では周囲の間質内に存在する血管やリンパ管へ入り込む事ができない)
「pre cancerとこちらの先生はおっしゃいますが、いずれ浸潤がんに変わる確率は高いのでしょうか。」
⇒日本では…
 そのような言い方はしません。
 「前癌状態」ではなく、(非浸潤癌は)「癌そのもの」なのです。  (某医師は「癌もどき」と表現していますが、非浸潤癌は癌なのです)
「質問2.DCISの場合、今回は針生検および術後の病理検査でわかりましたが、今後がんが転移・再発するとなると、どのような検査でわかりますでしょうか。」
「浸潤がんとなって初めて映るものでしょうか。」

⇒完全な勘違いをされているようです。
 質問者の病理では(DCISではなく)「浸潤癌:浸潤径2.5cm」となっています。
「私の場合、抗がん剤+放射線療法+ホルモン療法はすべて必要でしょうか。」
「同じくルミナールAタイプの私にも当てはまると思ってよいでしょうか。」

⇒冒頭にコメントしたように…
 ホルモン療法単独です。
「左胸の皮膚や乳首に関しては、もしDCISが残っていたとしても放射線療法で確実にがん細胞を死滅・ブロックすることができるものですか。」
⇒それは不明です。
 全摘なのだから本来、局所再発はあってはいけないものです。
 もしも、本当に乳頭側が心配ならば… 「放射線で誤魔化す」という発想ではなく
「再切除」も考慮すべきでしょう。
「もし全身にDCISが散らばっているとしても」
⇒まず、この発想が誤りです。
 DCISは「乳管内」なので、「全身に散らばる」という発想は誤りなのです。
「「抗がん剤+放射線療法+ホルモン療法」、「放射線+ホルモン療法」、「ホルモン療法単独」、それぞれの場合の転移・再発率、および5年10年生存率にどのくらい違いがありますでしょうか。」
⇒多くの勘違いがあるようです。
 そもそも「放射線」は局所治療だから「生存率には無関係」です。
 それでは、「抗癌剤」はというと…
 再三、以下のようなコメントをしています。
  ルミナールタイプで(AとBを分けていない)統計ソフトの数字は無意味であり、
  ☆私は(ルミナールタイプの方には)『ルミナールタイプではAなのかBなのかで、化学療法による上乗せが異なるので、其の上乗せの数字は不明です。もしも、それを知りたいのであれば、是非OncotypeDXしてください。』
「こちらは私の状態で最適なものでしょうか」「もっと副作用などの負担が軽くて効果が期待できるものもありますでしょうか。」
⇒そもそも…
 抗癌剤「自体」勧めません。
「その後に新たに再発・転移が見つかった場合の治療法はどのようなものになりますか。やはり一番は抗がん剤でしょうか。」「質問6と重複しますが、もし今後再発・転移が見られたときにはホルモン薬の変更という選択肢になるということでしょうか。それとも、抗がん剤になりますか。」
⇒再発した臓器によります。
 Life threateningでなければ「ホルモン療法の変更(ただし、閉経前の場合にはタモキシフェンから変更すべき薬剤がないので、分子標的薬の追加など)」という選択肢はあります。
 ただ、基本的には「抗癌剤が最も頼りになる」治療となります。
「私はこのグレーゾーンに当たりそうでしょうか。」
「それとも受けなくとも結果は明白でしょうか。」

⇒ルミナールAです。
 グレーゾーンはKi67が20-40と考えています。
 ♯ただ、「生存率」や「上乗せ」を知りたいのであればOncotypeDXしてもいいとは思います。
「私の場合はルミナールAタイプですが、このタイプのがんに一番効果があるのはホルモン療法(タモキシフェン服用)ということになりますか。」
⇒その通りです。
「①タモキシフェンの服用期間が10年間というのは妥当でしょうか。」
⇒始めから「10年」を意識する必要はありません。
 5年過ぎた時点で「もう5年飲むか?」その時に考えればいいのです。
「現在のルミナールAタイプから今後サブタイプが変化するということもあり得るでしょうか。」
⇒ほぼ、ありません。
「ホルモン療法から抗がん剤が効くとされる状態に変わることはあり得るでしょうか。それはどのようば場合においてでしょうか。」
⇒大きな勘違いがあるようです。
 術後再発予防として抗癌剤が「統計的に」有意差がない。(意味がない)ということと、実際に再発した場合に「その目に見える腫瘍にたいして抗癌剤が実際に効く」こととは意味が異なるのです。
 
 

 

質問者様から 【質問2 DCIS+リンパへ少し転移 抗がん剤は必要でしょうか】

性別:女性
年齢:44歳
田澤先生、先日は迅速なご回答をありがとうございました。
連休明けで質問や診察も立て込んでいらっしゃる中、丁寧にご回答いただき、感謝しております。
前回の質問では、こちらのドクターが「DCIS(pre cancer)」と言うものですから、
まずその根底からの認識を確認するために似たような質問をいくつもしてしまい、申し訳ありませんでした。
私の場合は、リンパ節に転移しているということは「浸潤がん」なのだということがはっきりいたしました。
また、ルミナールAタイプはサブタイプとして抗がん剤が効かないということを、自分自身の質問内で先生にご回答いただけたことでだいぶ心が晴れました。
ただ、もっと確固とした情報を得たいとの思いもあり、追加の質問をお願いできますでしょうか。
質問1.
私はルミナールAタイプ、とこちらのドクターにも言われておりますが、検査結果のHER2が2+となっています。
2+はグレーゾーンに当たるとも本で読んだのですが、私の場合、FISH検査で陽性か陰性かを調べた方がいいのでしょうか。
それとも調べなくとも、ほかの検査結果などから完全にルミナールAタイプでしょうか。
もし、HER2の2+陽性でしたら、今後ホルモン療法+分子標的薬(ハーセプチン?トラスツズマブ?)を受けるということでしょうか。
質問2.
先生が書いてくださっている
「『リンパ節転移の個数や腫瘍径にかかわらず、ルミナールAでは化学療法によるベネフィットが無い』(DBCG77B無作為化試験の結果がSABCS:San Antonio Breast Cancer
Symposium 2015で発表された内容)」ですが、こちらの原文やグラフなど、何か資料として一般人の私でも閲覧できるものがあれば教えてください。
検索してみましたら、そのサイト内の内容を閲覧するには登録が必要でした。
質問3.
前回、先生から「リンパ節転移4個以上でないのだから、放射線は不要」とご回答いただきました。
4個以下ですと、放射線を照射しても再発率を予防できるほどの意味がない、ということでしょうか。
質問4.
OncotypeDXについて、こちらのドクターにお聞きしてみましたら、以下の回答を得ました。
The only clinical trial for Oncotype Dx is in premenopausal women with ER+ node negative breast cancer. The results of a trial called RxPonder that is looking at using the test in node positive breast cancer will only be available in a
few years time. The result will be low risk, intermediate or high risk. If it is low or intermediate risk then the risk of relapse is very low in node negative disease and chemotherapy is not required. Chemo is advised in high risk disease .
リンパ節陰性の閉経前の女性、とありますが、私が見たOncotypeDXのサイトではリンパ節陽性でも受けることは可能、とありました。
どちらが正しいでしょうか。
リンパ節に転移が見られる場合はRxPonderという検査があるそうですが、これは数年後
に可能という解釈でよいのでしょうか・・・?
先週、先生からのご回答を得て、それを家族にも閲覧してもらいましたが、質問内容が
交錯していてわかりにくかったためか、本当にホルモン療法だけで大丈夫かと言われます。
先生の今週のコラム 131回目 「進行しているから」と言う理由で「効かない筈の治療に我慢する」それでいいのですか? (付記)「ホルモン療法と抗癌剤」は全く別の作用であり、「強い、弱い」ではないのです。
でも「ホルモン療法と抗がん剤」について取り上げてらっしゃって、今の私にはとてもタイムリーで頭が整理される内容でしたので、そのサイトを家族にも送ってあります。
先生にはこのような形でご質問を受け付けていただいて、海外にいる私としてはとてもありがたいのですが、今回のご質問でまだ私や家族が完全に納得するに至らない場合、
先生の病院に直接セカンドオピニオンを聞きにお伺いすることは可能でしょうか。
先の質問で書きました病理検査の結果も、必要そうなところだけわからないなりに抜き
出したものですので、もしかしたら先生がご覧になったらほかに治療決定の判断に重要な情報が載っているかもしれません。
先生は何度も同じことは言いません、というご姿勢かと思いますが、それは承知の上で申しております。
患者や家族というのは、同じことでも何度も聞いて確証を得たいのだな、ということを今回自分がこのような状態になって知りました。
お忙しいところ、このような内容でお手を煩わせてしまい申し訳ありませんが、先生のご意見によってさらに今後のことを決めていきたいと思っております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「私の場合、FISH検査で陽性か陰性かを調べた方がいいのでしょうか。」
⇒その通りです。
「もし、HER2の2+陽性でしたら、今後ホルモン療法+分子標的薬(ハーセプチン?トラスツズマブ?)を受けるということでしょうか。」
⇒誤りです。
 HER2陽性の場合には抗HER2療法(化学療法+トラスツズマブ「商品名:
ハーセプチン」)を行うと言う事です。(決してトラスツズマブは化学療法と併用無では用いてはいけません)
 ♯勿論ホルモン療法も併用です。
「一般人の私でも閲覧できるものがあれば教えてください。検索してみましたら、そのサイト内の内容を閲覧するには登録が必要でした。」
⇒ネットに掲載されているものでは満足できないということですね。
 原文を取得するのは「図書館」か「主治医に依頼」かどちらかでしょう。
「4個以下ですと、放射線を照射しても再発率を予防できるほどの意味がない、ということでしょうか。」
⇒その通りです。 (ガイドラインでは推奨度B) 4個以上だと推奨度A
「私が見たOncotypeDXのサイトではリンパ節陽性でも受けることは可能、とありました。どちらが正しいでしょうか。」
⇒勿論、「閉経前、リンパ節転移陽性でも可能」です。
 実際に私は、日本側の代理人に確認し行っているのですから。
「今回のご質問でまだ私や家族が完全に納得するに至らない場合、先生の病院に直接セカンドオピニオンを聞きにお伺いすることは可能でしょうか。」
⇒可能ですが…
 このQandAで納得してもらえなければ、直接セカンドオピニオンの場でも同じだと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問3 DCIS+リンパへ少し転移 抗がん剤は必要でしょうか】

性別:女性
年齢:44歳
田澤先生、お忙しいところたびたびのご質問で申し訳ありません。
前回、HER2の2+が陽性か陰性かの検査が必要かどうかご質問させていただきましたが、
実は診断結果の中にこれに関係すると思われる記載事項がありましたので、以下書き写してみます。
Validation by DUAL COLOUR SILVER INSITU HYBRIDISATION (DDISH) FOR HER2 GENE STATUS
20 cells enumerated in a suitable target area for presence of total number HER and Chromosome 17 signals.
Interpretation of ration of HER2/Chr17 counts:
Non-amplified:HER2/Chr17<2.0
Amplified:HER2/Chr17=or>2.0
Calculated HER2/Chr17 ratio=42/36=1.17
Result:HER2(C-erB2)gene is non-amplified.
質問1.FISH検査につきまして
①上記のHER2の検査結果ですが、これを見る限りですと2+の陰性ということかと思いますが、FISH検査とこちらの検査法(DISH法?)の根本的な違いなどはありますでしょうか。
②現在、こちらのドクターにFISH検査について問い合わせていますが、やはりFISH検査はやるべきでしょうか。
③また、もし2+の陽性ということになった場合、Ki-67の数値(私の場合は10%)に限らず抗HER2療法+ホルモン療法が必要になるということでしょうか。
質問2.放射線治療につきまして
再度となってしまいますが、ご質問させてください。
乳癌診療ガイドラインでは「リンパ節に転移4個以上だと推奨度A、4個以下だと推奨度B」とお伺いしました。
また、ほかの質問者へのご回答で「それはそもそも全身療法が不十分な時期のエビデンスです。
(現在の全身療法では、ベネフィットは殆どないでしょう)」とありました。
①リンパ節転移1~3個でも局所再発の危険度が高いとされる場合はありますか。
またそれは検査結果のどの部分で判断できるでしょうか。
②放射線治療は局所治療ですが、現在は抗がん剤やホルモン療法などの全身療法が進歩していて、リンパ節4個以下ですと全身療法のみで十分対応できる、と考えてよいでしょうか。
③私の場合は全摘ですが、上皮と乳首は残してあり、もしその部分に浸潤がんが潜んでいても、全身療法でたたける、という解釈でよろしいでしょうか。
④放射線治療による肺炎、二次がんのリスクは割合は少ないとはいえ高まるという認識は正しいでしょうか。
先日からの先生のご見解をお聞きして、HER2の2+が本当に陰性であればルミナールA確定としてホルモン療法単独で治療していきたいと思っています。
こちらマレーシアのドクターにもメールでいろいろ質問を投げかけているのですが、
選挙による突発的な連休もあってかすべてにすぐ回答が返ってくるわけでもなく、なかなか次に進みません。
今回のご質問でFISH検査が必要になれば行い、その結果如何によってホルモン療法単独
になるか、抗HER2療法+ホルモン療法になるかがクリアになるかと思います。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
①上記のHER2の検査結果ですが、これを見る限りですと2+の陰性ということかと思いますが、FISH検査とこちらの検査法(DISH法?)の根本的な違いなどはありますでしょうか。」
⇒ありません。
「②現在、こちらのドクターにFISH検査について問い合わせていますが、やはりFISH検査はやるべきでしょうか。」
⇒不要
「③また、もし2+の陽性ということになった場合、Ki-67の数値(私の場合は10%)に限らず抗HER2療法+ホルモン療法が必要になるということでしょうか。」
⇒陰性だから考える必要はありませんが…
 HER2陽性の場合には(Ki67とか、リンパ節とか核グレードとか、全てと無関係に)抗HER2療法の適応となります。
 唯一浸潤径5mm以下では適応がありません。
「①リンパ節転移1~3個でも局所再発の危険度が高いとされる場合はありますか。」
⇒ありません。
「リンパ節4個以下ですと全身療法のみで十分対応できる、と考えてよいでしょうか。」
⇒そもそも局所療法については腋窩郭清しているからいいわけです。
「③私の場合は全摘ですが、上皮と乳首は残してあり、もしその部分に浸潤がんが潜んでいても、全身療法でたたける、という解釈でよろしいでしょうか。」
⇒もしも乳頭に出てきたら…
 放射線では無く、「手術で再切除すべき」なのです。
「④放射線治療による肺炎、二次がんのリスクは割合は少ないとはいえ高まるという認識は正しいでしょうか。」
⇒二次がんは確率が低すぎるので、考える必要はありませんが…
 放射線肺臓炎は「ある一定の確率」でおこります。
これ以上に論点はありません。
それでも納得できない場合には、別のサイトのご利用を。