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今までの経過と今後の治療について

[管理番号:3081]
性別:女性
年齢:51歳
2014年2月 48歳で右乳房切除術を施行し、現在はホルモン療法をしております。
当時はがん告知のショックなどで、落ち着いて治療などのことを考えられませんでした。
主治医を信頼していますが、田澤先生のご意見を伺いたくメールをしました。
Bt+SLNB  T1N0M0
病理検査の結果は、
乳頭腺管癌
g、f、s、t=1.5cm (腫瘍の大きさは1.5×0.5cm)
ly1、v0、n=0/2、NG2、
ER(強陽性)、PgR(強陽性)、HER2(1+)、FISH(-)、
Ki-67(25%)
2014年3月から、リュープリン3年、ノルバデックス5年の予定でホルモン療法を開始しました。
(閉経前)
その時に主治医から「ぎりぎりで抗がん剤は無し」と言われました。
なぜ抗がん剤をしなくても良いのでしょうかと伺ったところ、「リンパ節転移がないから」とのことでしたが、今になって何がぎりぎりだったのか疑問です。
Ki-67の値でしょうか。
田澤先生もホルモン療法のみとしますでしょうか。
現在は3カ月毎に問診、6カ月毎に触診、血液検査(腫瘍マーカーも)、
腹部エコー、1年毎にマンモグラフィーと骨シンチの検査をしています。
術前のCA15-3は8.8、NCC-ST-439が25と高値でした。
(田澤先生のサイトを拝見しますと、術前から腫瘍マーカーは高くないとのことですが・・・)術後はNCC-ST-439が4台に下がったものの徐々に増加していることが心配で、最近の値はNCC-ST-439 9、 CA15-3 7.7です。
術前の値まで上昇するまで様子を見ていて良いのでしょうか。
今現在の気がかりなこととしては、
1.腫瘍マーカーが微増していること
2.ホルモン療法の期間は5年で終了して良いか、今後の望ましい治療は何か
3.再発率はどのくらいなのか
ということです。
田澤先生のご意見はいかがでしょうか。
お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

今日は。田澤です。
pT1c(15mm), pN0, luminal(Ki67=25%)
十分な早期乳癌です。
○リュープリン(LH-RHagonist)の使用には?がつきます(SOFT試験の結果からも、ASCOの2016年のガイドラインからも不要に思います)
担当医は「閉経前は全例LH-RHagonistすべき」という考えか「Ki67=25%が気になった」かのどちらかなのでしょう。
 
「今になって何がぎりぎりだったのか疑問です。Ki-67の値でしょうか。」
⇒Ki67だと思います。
 
「田澤先生もホルモン療法のみとしますでしょうか。」
⇒私ならタモキシフェン単剤です。
 
「現在は3カ月毎に問診、6カ月毎に触診、血液検査(腫瘍マーカーも)、腹部エコー、1年毎にマンモグラフィーと骨シンチの検査をしています。」
⇒腹部エコーは無害だからいいとしても、「骨シンチは不要」です。
 
「術後はNCC-ST-439が4台に下がったものの徐々に増加していることが心配で、最近の値はNCC-ST-439 9、 CA15-3 7.7」「術前の値まで上昇するまで様子を見ていて良いのでしょうか。」
⇒NCC-ST-439など無用なマーカーです。
 測定しなければ「余計な心配をしなくて済んだ」というだけの事です。
 ○考え方としては「CEAやCA15-3が動いた時に、補助的に用いる」程度のものです
(CEAやCA15-3が動かないのにNCC-ST-439など気にしても無意味です)
 
「1.腫瘍マーカーが微増していること」
⇒全く無用な心配です(上記)
 
 
「2.ホルモン療法の期間は5年で終了して良いか、今後の望ましい治療は何か」
⇒早期だから「5年でもいい」とは思います。
 ただし、残りの3年間で閉経となったら、「アロマターゼインヒビターで5年」してもいいでしょう。
 
「3.再発率はどのくらいなのか」
⇒ホルモン療法単独(タモキシフェン)で14%となります。