[管理番号:1414]
性別:女性
年齢:54歳
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
田澤先生お世話になります。
前回の田澤先生のご回答も参考に考えた結果、今回は全摘のみを行い、再建はまた落ち着いてから考えることにしました。
手術は11月中旬です。
先日、術前の検査結果を聞き、以下の通りでした。
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■MRI検査
【所見】右乳腺B領域に、造影効果のある不整形結節が見られる。
※腫瘍は白く丸く映っており、周りにあまり広がっていないとのことでした。
■X
線一般撮影(胸部のみ)
【所見】胸部XP 肺野に特記すべき所見なし。胸水なし。CTR=41% 右側弯あり。
■採血結果
CEA:2.7
CA15-3:21
NCC-ST-439:8.5H
TPA:9ZG
HER-2:13.0 ※15.2以下が基準なので 陰性とのこと
以上の結果は、乳がんに関係ある数値と説明を受けました。その他諸々の項目は全て基準値以内で特に問題なしでした。
主治医からは『NCC-ST-439が8.5Hなのは基準よりは少し高いが、閉経前であれば問題ない』と言われました。
その時は、詳しく聞かなかったのですが、高いと何が問題なのでしょうか?
また、どれくらい基準より高いのでしょうか?
田澤先生も問題ない数値だと思われますか?
■病理結果
右乳腺生検検体3/3本
浸潤性乳管癌
【針生検】
組織型:2a3,scirrhoua carcinoma ※硬癌と説明されました
NA:2, MC:1→NG:1 ※核グレードは1
TF:3→HG:Ⅱ(6) ※組織グレードは2
in situ(-)
組織学的波及度:少なくともg(+).
TIL:0.
【免疫染色】
ER Allred score 8 = PS(5)+IS(3) (>95%) ※8点満点中8点でホルモン受容体と言われました
PgR Allred score 8 = PS(5)+IS(3) (>95%)
HER2:0(ごく少量弱陽性あり)
Ki67(増殖マーカー):5%程度(Hot spot) ※病院では20%を境界線にしているそうです。
AR(+,weak,80%程度),CK5/6(-),EGFR(-).
E-cadherin(+,>90%),34βe12(+/-,weak,cytomembrane,15%程度)
p53:3%程度(Hot spot)
【遺伝子検査報告】
検査項目:Her2/neu gene amplification(DISH法)
判定:増幅なし
HER2/CEP17 ratio:46/30=1.53倍
average copy number:2.3/cell
※Her2は陰性と言われました
既往組織診断:なし
腫瘍径:14mm×10mm×7mm
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主治医からは、術後はホルモン治療になります。
『現時点ではステージ1で、100%とは言えないが、95%は治るから頑張りましょう』と言われました。
今のところ、エコーではリンパ節転移が確認できないので、センチネル生検をしてリンパ節転移が見つかる可能性は10~20%程度で、
さらに、術後に放射線治療が必要になる可能性は5%くらいとのことです。
以上の結果から、田澤先生も同じような見解ですか?
私の場合、今回手術と治療をしたら今後の再発率(遠隔含め)、5年後、10年後の生存率はどれくらいですか?
サブタイプを聞くのを忘れてしまったのですが、ルミナールAということで大丈夫でしょうか?
抗がん剤をやらなくて済むということで、非常に安心をしたのですが、術後の病理結果が変わる可能性はどれくらいありますか?
また、病理結果がどのように変わったら抗がん剤をやらなければならなくなりますか?
ルミナールAのままでもKi67が高くなってしまった場合(病院で基準にしている20%を超えた場合)は抗がん剤をやらなければならないのでしょうか?
その場合、抗がん剤をやるのとやらないのとでの上乗せ効果はどれくらいですか?
HER2が0でも、「ごく少量弱陽性あり」とあったり、15.2以下が基準のところ(割とぎりぎり?の)13.0だったので、術後病理結果が変わるのでは?と心配です。
術後HER2が陽性になる可能性はどれくらいありますか?
組織グレードが2であったのも少し気になります。
それから、私は少し子宮筋腫があり、54歳で最近は更年期なのか生理不順になってきたものの、まだ閉経前です。
今後のホルモン治療はどのような薬を使用することになるのでしょうか?
閉経前と閉経後では使用する薬が違うと勉強したのですが、私のような年齢的に微妙な時期の場合、
田澤先生ならどのような治療をされますか?
また、ホルモン受容体の場合、大豆製品やざくろ、アーモンド、わかめなどは控えた方が良いのでしょうか?
癌と診断されてから、気休めですが、にんじんやレモンで作った酵素ジュースを朝晩500mlくらいずつ飲むようになりました。
体に逆効果になったりはしませんか?
主治医には、バランス良く食べ、普通に生活して大丈夫ですよと言われたのですが、
女性ホルモンを刺激したりしない方が良いのか気になりました。
お忙しいところ申し訳ございませんが、ご回答よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
手術方針が定まり良かったです。
ただ、病理結果及び血液検査をみると「日本では適応とならない検査」が散見されるのが気になります。
以前「乳頭を残すのは日本ではあるが、アメリカではあまり多くないと言われました」という記載がありましたが、「アメリカ在住」なのでしょうか?
HER2タイプでもないのに「血中HER2測定」をしていたり、免疫染色でHER2陰性なのに「HER2-FISHを行っている」ことは非常に違和感があります。(日本であれば、保健で切られる筈です)
質問者自身にとって不利益となる訳ではありませんが…
回答
「NCC-ST-439:8.5H」「高いと何が問題なのでしょうか?また、どれくらい基準より高いのでしょうか?」
⇒これは腫瘍マーカーの一つです。他にはICTPなどがあります。
特に「NCC-ST-439やICTP」は個人によりバラつきが大きい腫瘍マーカーなので、
「その値自体は大した意味もない」ものです。(全く、気にする必要はありません)
腫瘍マーカーは「CEAとCA15-3だけ」で十分です。
○実際問題としては「手術の時点では正常値」なので、質問者の基準値として
(CEA:2.7 CA15-3:21)が、術後経過観察の中で「大きな変化が無く推移すること」が重要なのです。
今の時点で「高いとか低いとか」いうべきものではありません。
♯「血中HER2」は本来「HER2陽性」タイプでのみ意味のある数値です。ルミナールタイプと解った以上、今後測定するべきものではありません。
「田澤先生も問題ない数値だと思われますか?」
⇒上記コメント通り、全く問題ありません。
腫瘍マーカーが初期治療の段階で異常値などありえないのです。
あくまでも『自分の基準値』として、『今後』CEAとCA15-3の値(CEA:2.7
CA15-3:21)の推移を見ていく事が重要です。
「以上の結果から、田澤先生も同じような見解ですか?」
⇒全く同様です。
cT1c(14mm), cN0, cStage1, luminalAです。
「今後の再発率(遠隔含め)、5年後、10年後の生存率はどれくらいですか?」
⇒再発率は探せませんでしたが…
5年生存率は96.8%
10年生存率は93.1%
程度となります。
「サブタイプを聞くのを忘れてしまったのですが、ルミナールAということで大丈夫でしょうか?」
⇒その通りです。
「術後の病理結果が変わる可能性はどれくらいありますか?」
⇒殆ど無いと思います。
「病理結果がどのように変わったら抗がん剤をやらなければならなくなりますか?」
⇒「リンパ節転移4個以上」とか「手術標本でKi67を測定したら20以上」とか、あまり無さそうです。
「ルミナールAのままでもKi67が高くなってしまった場合(病院で基準にしている20%を超えた場合)は抗がん剤をやらなければならないのでしょうか?」
⇒「ルミナールAのままでKi67が高くなる」ことはありえまえせん。
ルミナールAの定義の中に「Ki67低値」が入っているのですから…
Ki67が高い場合(施設基準を上回っている)には「ルミナールBとなり抗がん剤の適応」がでてきます。
「その場合、抗がん剤をやるのとやらないのとでの上乗せ効果はどれくらいですか?」
⇒10年生存率で3%の上乗せがあります。
『HER2が0でも、「ごく少量弱陽性あり」とあったり、15.2以下が基準のところ(割と
ぎりぎり?の)13.0だったので、術後病理結果が変わるのでは?と心配』
⇒全く気にする値ではありません。
HER2は『完全に陽性細胞がない』ことはむしろ稀であり、完全な「陰性」といえます。
血中HER2は「そもそも適応外」であり、問題外です。
「術後HER2が陽性になる可能性はどれくらいありますか?」
⇒ありえません。
0%です。
「今後のホルモン治療はどのような薬を使用することになるのでしょうか?」
⇒タモキシフェンです。
タモキシフェンしかありえません
「閉経前と閉経後では使用する薬が違うと勉強したのですが、私のような年齢的に微妙な時期の場合 田澤先生ならどのような治療をされますか?」
⇒(私なら、とかではなくて)厳密な基準があります
そもそも閉経とは「月経が1年以上見られない」事です。
つまり、「閉経後のホルモン療法」は(年齢にかかわらず)「1年以上の無月経を確認した上で使用すべき」なのです。
○質問者の場合は「最近は更年期なのか生理不順になってきたものの、まだ閉経前」とあるので、「閉経前のホルモン療法=タモキシフェン」以外にはありえないのです。
「また、ホルモン受容体の場合、大豆製品やざくろ、アーモンド、わかめなどは控えた方が良いのでしょうか?」
⇒全く不必要です。
特に大豆イソフラボンは「乳癌にはいい」というのが乳癌学会の見解です。
「にんじんやレモンで作った酵素ジュースを朝晩500mlくらいずつ飲むようになりました。体に逆効果になったりはしませんか?」
⇒逆効果でもないでしょう。
担当医のいうように「健康的な生活」が一番です。
質問者様から 【質問2】
田澤先生
お世話になっております。
11月中旬に右胸全摘の手術を行い、あれから約5ヶ月が経ちました。
(アメリカの病院ではなく日本の病院です)
幸いにもセンチネルリンパ生検の結果はリンパへの転移はなく、最終的にステージⅠで術後はホルモン治療のみ行っています。
いくつか質問がありますので、またお答え頂ければと思います。
①現在、フェアストンというお薬を1日1錠朝食後に飲んでいます。
主治医からは、「閉経前のため、閉経がいつなのかを確認することが重要なので、
ホルモン剤で生理が止まらない程度の薬である」と説明を受けています。
そのためか、のぼせや発汗など気になる激しい更年期障害のような副作用はあまり感じません。
田澤先生は以前の質問で、「タモキシフェンしかありえません」とお答え頂きましたが、
私が常用している「フェアストン」は商品名であり、同じ効果のものですよね?
②最近、生理周期が長くなったり、生理の日数も長くなったりします。
3日目くらいまでは普通の経血量で、徐々に減っていき、いつもなら6日目くらいで終わるのですが、
その後も8~9日目くらいまで、茶褐色の経血が少しだけあったり、お腹が少しどんよりと重いような痛いような感じがしたりします。
手術前は生理周期が短かったのですが、このように生理周期が長くなったり、生理の日数が長くなるのは、服用しているフェアストンの影響でしょうか?
それとも、私自身の更年期障害の症状なのでしょうか?このような症状は婦人科で相談したほうが良いのでしょうか?
③手術後に出た病理診断報告書の内容から、今後の治療方針(主治医からはホルモン治療のみと言われています。
何年かは今の所不明。)、
今後の生活で気をつけるべきことなどがありましたら、田澤先生のご意見をお聞かせください。
【病理組織診断】
Invasive ductal carcinoma of the right breast,total mastectomy.
-Rt.B area, 1.2×0/8cm,2a3,f(+),margin unkwnon,1y1,v0,n(0/4=0/4+0/0).
-ER8=5+3,PgR8=5+3,HER2:1+,Ki67:10%程度
【所見】
右乳腺全摘検体:14.2×13.2×4.0cm大、皮切13.0×4.2cm大
■主病変
Rt.B area,Bt+SNB→Fr(-)→Ax(略)
断片(#13):標本上は深部剥離断片に乳管内病変の露出がみられるが、肉眼的には筋膜が認められ、腫瘍の露出はないと判断する。
腫瘍径:1.2×0.9×3.5cm, 浸潤径(#8):1.2×0.8cm
組織型(規約17th):2a3,scirrhous carcinoma
組織型(WHO 4th):Invasive carcinoma of no special type.
UICC 7th:pT1c,pN0
NA:2,MC:1→NG:1
TF:3→HG:Ⅱ(6)
組織学的波及度:f(+),脈管侵略:1y1(HE,#12),v0(HE)
in situ(+):solid,cribri-comedo.
EIC(-),Comedo necrosis(+),石灰化(+,分泌型),TIL:2(#8)
背景乳腺症(+)
fibroelastotic stroma(+)(#8)
■免疫染色:(#8)
ER Allred score 8 = PS(5)+IS(3)(>95%), PgR Allred score 8
=PS(5)+IS(3)(>95%),
HER2:1+(弱陽性10%程度,in situで中等度陽性像あり),MIB-1(Ki67):10%
程度(Hot spot)
■リンパ節:(0/4=0/4+0/0)
1.術中迅速診断(0/4)(P15-016000);SLN1(-),SLN2(-),SLN3(-),SLN4(-
),SLN5(-)リンパ節組織なし
2.通常診断(0/0)
■既往組織診:P15-016000(Gef),P15-02951(Rt.B,CNB,借)
■コメント:比較的限局した硬癌の所見#13で標本上は深部剥離断片に乳管内病変の露出がみられるが、肉眼的には筋膜が認められ、腫瘍の露出はないと判断する。
④病理組織診断の1y1は、リンパ管侵略があったということかと思いますが、3ではないので予後を心配するほどではないですか?
リンパ管侵略を経て、リンパへの転移が起こるのでしょうか?
また、HER2:1+(弱陽性10%程度,in situで中等度陽性像あり)とありますが、ホルモン治療だけで大丈夫でしょうか?予後を心配する必要はないと考えて良いのでしょうか?
それから、コメント欄に「比較的限局した硬癌の所見#13で標本上は深部剥離断片に乳管内病変の露出がみられるが、肉眼的には筋膜が認められ、腫瘍の露出はないと判断する。」とありますが、
深部剥離断片に乳管内病変の露出が認められるとはどのようなことですか?浸潤部分が大きくなり、ステージの判定がⅡaになるということですか?
筋膜が認められない場合はどういうことなのでしょうか?
⑤エビオス錠等の栄養系サプリや更年期障害を和らげる漢方薬の服用は、フェアストンの効果を阻害してしまいますか?
そういったものを服用するときは逐一主治医に確認をしてからのほうがよろしいですか?
お忙しいところ申し訳御座いませんが、ご回答よろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
pT1c(12mm), pN0, luminalA, NG1
早期癌です。
「私が常用している「フェアストン」は商品名であり、同じ効果のものですよね?」
⇒違います。
フェアストン(トレミフェン)は(タモキシフェンと同様に)SERM(selective
estrogen receptor modulator)ですが、全く異なる薬剤です。
しかも「閉経後」の適応です。
「生理の日数が長くなるのは、服用しているフェアストンの影響でしょうか?」
⇒間違いなく影響しています。
フェアストンもタモキシフェン同様に「生理を止める(というか、卵巣機能を直接
抑性する)働き」はありませんが、それでも(年齢的に)「もともと不安定となって
いる卵巣機能」に結果として影響を与えるのです。
「それとも、私自身の更年期障害の症状なのでしょうか?」
⇒年齢的には、もともと卵巣機能自体も弱ってきていた筈ですが…
今回のエピソードは明らかに「フェアストンによる影響」なのです。
「このような症状は婦人科で相談したほうが良いのでしょうか?」
⇒不要です。
婦人科に行っても「年齢的なものに、薬剤の影響」と言われるだけです。
「今後の生活で気をつけるべきことなどがありましたら、田澤先生のご意見をお聞か
せください。」
⇒特にありません。
最終月経から1年で「閉経」となります。
それを過ぎたら「アロマターゼインヒビター」に「切り替えて5年」です。
「④病理組織診断の1y1は、リンパ管侵略があったということかと思いますが、3では
ないので予後を心配するほどではないですか?」
⇒その通りです。
「リンパ管侵略を経て、リンパへの転移が起こるのでしょうか?」
⇒理屈ではそうですが、「現に、リンパ節転移が無かった」訳ですから、気にする必
要はありません。
「また、HER2:1+(弱陽性10%程度,in situで中等度陽性像あり)とあります」
⇒完璧な陰性です。
「ホルモン治療だけで大丈夫でしょうか?」
⇒抗ガン剤を勧めることは(どう考えても)ありません。
「予後を心配する必要はない」
⇒その通りです。
「深部剥離断片に乳管内病変の露出が認められるとはどのようなことですか?」
⇒これは単純に、摘出した乳腺の中で「裏側(大胸筋があります)近くまで癌組織
(乳管内癌=非浸潤癌としてですが)の進展があったということです。
「浸潤部分が大きくなり、ステージの判定がⅡaになるということですか?」
⇒「乳管内病変=非浸潤癌としての拡がり」ですから「浸潤径とは無関係」です。
「筋膜が認められない場合はどういうことなのでしょうか?」
⇒もしも「乳腺の奥ぎりぎりまで癌が進展」していても、(そのすぐ裏にある)大胸
筋膜まで切除されていれば、「確実に取り切れている=マージン陰性」と証明できま
す。
○それに対して、今回のケースで「大胸筋膜が認められなかった」場合には「断端
陽性の可能性が残る」ということを意味しています。
「⑤エビオス錠等の栄養系サプリや更年期障害を和らげる漢方薬の服用は、フェアス
トンの効果を阻害してしまいますか?」
⇒無関係です。
「 そういったものを服用するときは逐一主治医に確認をしてからのほうがよろしい
ですか?」
⇒漢方やサプリなどは気にする必要はありません。
それ以外の「得体のしれないもの=変なキノコなどや(怪しげな)免疫賦活剤など」の場合には相談しましょう。
質問者様から 【質問3】
田澤先生、お世話になっております。
前回はお忙しい中、ご回答ありがとうございました。
また少し疑問点がありますので、お答えいただければ幸いです。
①現在の生理不順等は、フェアストンの影響が出ているとのことでしたが、タモキシフェンへの変更を主治医にお願いすべきでしょうか?
②そもそも閉経前と閉経後の薬なので比較してはいけないのかもしれませんが、タモキシフェンはフェアストンより効果的なのでしょうか?効果的な場合、再発率などはどれくらい違うのでしょうか?
また現在フェアストンでは、ほてりなどの辛い副作用は特にでていませんが、タモキシフェンだと強い副作用が出たりしますか?
タモキシフェンも閉経後に使うという表を見たのですが、その表は誤っているのですよね?
また、『ホルモン治療にはタモキシフェンまたはフェアストンを使用します』とだけ書いてある文章を読んだこともありますが、フェアストンが閉経後に使用するものと明記されていないので、なぜ閉経前はタモキシフェンの使用をしたほうが良いのかを知りたいです。
③フェアストンは閉経前の私には効いていなかったのでしょうか?
飲み始めてから4ヶ月経ちましたが、今からタモキシフェンへ変更しても遅いのでしょうか?
④田澤先生から教えていただいた治療法をまとめると、現在閉経前なのでタモキシフェンを使用し、生理が来なくなって一年経ったらアロマターゼインヒビターに切り替えて5年間という理解で良いですか?
閉経後に、フェアストンのような抗エストロゲン剤をアロマターゼインヒビターと一緒に併用する場合もあるのですか?
⑤『閉経前の場合は、注射薬(ゾラデックス、リュープリン)卵巣機能抑制も併用します。
手術による卵巣の切除、卵巣への放射線照射があります。 』という文を読んだのですが、
私は54歳なのでもともと卵巣機能が低下し始めているから、この治療法を特に説明および実施していないのでしょうか?ちなみに、母は57歳で閉経したらしく、遺伝的なものがあるなら、まだ閉経まで2~3年ありそうです。
⑥前回の質問に対するご回答で、お恥ずかしながら理解しきれなかったのですが、病理結果のコメント欄に『比較的限局した硬癌の所見#13で標本上は深部剥離断片に乳管内病変の露出がみられるが、肉眼的には筋膜が認められ、腫瘍の露出はないと判断する。
』と書かれているという
ことは、マージンをしっかり取って全摘できたと考えて良いのですよね?
大胸筋は取っていないと思いますが、大胸筋膜?まで切除されているのかがよく分かりません。
⑦私の場合、『早期のほうで、たちの良いほうの癌です』と説明を受けているのですが、田澤先生の経験で、私のような症例で再発した人はいますか?いる場合、術後何年後くらいに再発する方が比較的多いですか?
⑥一般的にどのような検査を何ヶ月間隔で受けて、医師は再発がないかどうか、薬が効いているかを判断するのですか?
まだ術後今のところ血液検査と傷口チェックだけです。
血液検査で薬の効き具合を把握しているのでしょうか?
それから、子宮体癌と頸癌の検査は1年に1回で大丈夫ですか?
また、今後何年間続けていけば大丈夫ですか?
お忙しいところ恐縮ですが、ご回答よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「①現在の生理不順等は、フェアストンの影響が出ているとのことでしたが、タモキ
シフェンへの変更を主治医にお願いすべきでしょうか?」
⇒生理不順にかんしては、「タモキシフェンに変更」しても同様だと思います。
「タモキシフェンはフェアストンより効果的なのでしょうか?効果的な場合、再発率などはどれくらい違うのでしょうか?」
⇒比較試験ではないので不明です。
「また現在フェアストンでは、ほてりなどの辛い副作用は特にでていませんが、タモキシフェンだと強い副作用が出たりしますか?」
⇒同じ「抗エストロゲン剤」なので、変わらないでしょう。
「タモキシフェンも閉経後に使うという表を見たのですが、その表は誤っているのですよね?」
⇒タモキシフェンだけが「閉経前後、両方で適応がある」のです。
閉経前に適応
タモキシフェン LH-RHagonist
閉経後に適応
タモキシフェン
トレミフェン(フェアストン)
アロマターゼインヒビター(アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール)
フルベストラント(但し再発のみに適応)
「なぜ閉経前はタモキシフェンの使用をしたほうが良いのかを知りたいです。」
⇒薬剤には「適応症」があります。
トレミフェン(フェアストン)の添付文章(ネットから簡単に手に入ります。というか、そもそもトレミフェンを内服しているのであればついてますよね?)を見てください。
適応症に「閉経後乳癌」となっている筈です。
適応症をとるための臨床試験で「閉経後乳癌」で申請したからと聞いたことがあります。
「③フェアストンは閉経前の私には効いていなかったのでしょうか?」
⇒術後の補助療法は「あくまでも再発予防」だから、誰にも「効果のほどは不明」なのです。
「飲み始めてから4ヶ月経ちましたが、今からタモキシフェンへ変更しても遅いのでしょうか?」
⇒それは構いません。
「④田澤先生から教えていただいた治療法をまとめると、現在閉経前なのでタモキシフェンを使用し、生理が来なくなって一年経ったらアロマターゼインヒビターに切り替えて5年間という理解で良いですか?」
⇒その通りです。
「閉経後に、フェアストンのような抗エストロゲン剤をアロマターゼインヒビターと一緒に併用する場合もあるのですか?」
⇒ありません。
「私は54歳なのでもともと卵巣機能が低下し始めているから、この治療法を特に説明および実施していないのでしょうか?」
⇒LH-RHagonistの適応がないからしていないのだと思います。
「35歳未満」とか「化学療法後、月経が再開した」とか「ハイリスク」などの適応基準があります。
「マージンをしっかり取って全摘できたと考えて良いのですよね?大胸筋は取っていないと思いますが、大胸筋膜?まで切除されているのかがよく分かりません。」
⇒「肉眼的には筋膜が認められ」という表現からも、おそらく術中に(術者が)「腫瘍が筋膜に近接している」から「筋膜まで切除した」と解釈できます。
「田澤先生の経験で、私のような症例で再発した人はいますか?いる場合、術後何年後くらいに再発する方が比較的多いですか?」
⇒症例数が多いので、余程の早期(pT1aやpT1bなど)で無い限り「あらゆるパターンの再発」を経験しています。
ルミナールタイプは「術後3年以上先」が多いです。
「⑥一般的にどのような検査を何ヶ月間隔で受けて、医師は再発がないか」
⇒一般的な検査などは有りませんが…
腫瘍マーカーを3カ月に1回測定すれば十分です。
「薬が効いているかを判断するのですか?」
⇒「術後の補助療法」では「薬の効果判定は不能」です。
「血液検査で薬の効き具合を把握しているのでしょうか?」
⇒「薬の効き具合の把握は不可能」です。
ただ結果として現時点で「再発していないかのチェック」しかできません。
「それから、子宮体癌と頸癌の検査は1年に1回で大丈夫ですか?」
⇒頸がんは別として
タモキシフェンを内服している場合には1年に1回「子宮体癌の検診を」した方がいいでしょう。
「今後何年間続けていけば大丈夫ですか?」
⇒タモキシフェンは内服終了してからも「体癌のリスクは残る」ので「タモキシフェン終了後も継続」した方がいいです。(何年という基準はありません)
質問者様から 【質問4】
術後のホルモン治療について
性別:女性
年齢:54
田澤先生
いつも大変お世話になっております。
先日、定期検診に行って参りました。
血液検査の結果で気になるところがありましたので、度々で申し訳ござ
いませんが、田澤先生の見解を教えていただければと思います。
よろしくお願いします。
エストラジオール(E2)の数値が4/18の血液検査の結果、1084という高い
数値でした。
主治医には、『女性ホルモンの分泌が多く、卵巣の働きが
活発だということで、この数値がこれだけ高いということはまだ生理が
続くということです。
高い数値なので予想外でしたが、癌の再発のリス
クは低い数値よりは高まる可能性もありますが、全員が再発する訳ではないので、特に問題はありません』と言われました。
そこで、質問です。
①この数値は、単なる女性ホルモンの分泌量を検査して、閉経したかを確認しているだけで、がん細胞が活発化している(再発している)のが分かるのではないのですよね?
②現在、フェアストンを飲んでいますが(8月の検診までフェアストン服用のままになりました)、このように高い数値では、効いていないのでしょうか?
③エストラジオールが高いと再発のリスクは低い人に比べてどれくらい高いのでしょうか?
④術後1ヶ月の時の12月の血液検査では、エストラジオールは51(卵胞刺
激ホルモンFSHは14.0)でした。
2月の血液検査では検査項目に入っていなかったので、今回が2回目の数値(卵胞刺激ホルモンは6.8)です。
エストラジオールが前回の約20倍というのと、正常値は多い時期でも200~300
くらいのようなので、異常に高い数値が気になります。
なぜ、こんなにも数値が高くなってしまったのでしょうか?
フェアストンの影響でしょうか?それとも、術後だから前回が低くなっていただけでしょうか?
今回の血液検査は、子宮体がんの検診後6日目に行ったのですが、検診がかなり痛く、検診後に少量の出血が数日続き、下腹部の鈍痛があったので、そういった影響で高い数値がでたということは考えられますか?
また、私は軽度の子宮筋腫もありますが、そういった影響もありますか?
⑤もし、私の平均的な数値がこのように高い場合、そのせいで乳がんになてしまったのでしょうか?こういう体質は娘にも遺伝しますか?
⑥エストラジオールを下げるために出来る別の治療法はないのでしょうか?また、日常生活で出来ること(食べ物やサプリ、運動等)はないのでしょうか?
田澤先生であれば、私のような患者の場合、どのような治療をしますか?
⑦前回質問しましたが、フェアストンの影響で生理不順や生理期間が長くなると田澤先生にお答えいただきましたが、やはり主治医にも『影響はでてしまうので、激しい副作用でない限りいたしかたないですね』と言われました。
これは、治療している限り我慢するしかないのですよね?
生理がだらだら長いと、子宮に異常があるのかと心配になるのですが、うまく付き合っていくしかないのですよね?
⑧最近は、3ヶ月に1度の検診(2月、5月、)で、血液検査および触診をしていますが(次回は8月)、主治医から『8月で乳がん発見から1年が経つので今後の検診について次回相談しましょう』と言われました。
田澤先生先生は、どれくらいの期間ごとに術後何年まで、どんな検査をしていますか?
ご回答よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
女性ホルモンの値(エストラジオール)はあくまでも「閉経状態かどうか?」のための値であり、それ以外の何物でもありません。(余計な心配はしないようにしましょう)
「①この数値は、単なる女性ホルモンの分泌量を検査して、閉経したかを確認しているだけで、がん細胞が活発化している(再発している)のが分かるのではないのですよね?」
⇒その通りです。
全く無関係です。
「②現在、フェアストンを飲んでいますが(8月の検診までフェアストン服用のままになりました)、このように高い数値では、効いていないのでしょうか?」
⇒全く無関係です。
抗エストロゲン剤は「卵巣からのエストロゲン分泌を抑制しているわけではありません」(つまりエストロゲンの量とは無関係です)
エストロゲンの作用を抑性しているだけです。
「③エストラジオールが高いと再発のリスクは低い人に比べてどれくらい高いのでしょうか?」
⇒不明です。
単に、抗エストロゲン状態の持続が「乳癌のリスク要因」となっていると考えられている(晩婚少子化がリスク要因となっている根拠)だけです。
「なぜ、こんなにも数値が高くなってしまったのでしょうか?」
⇒想像の域をでませんが…
年齢的には「卵巣機能が不安定」となっているから、その影響ではないでしょうか?
気にすることではありません。
「子宮体がんの検診後6日目に行った」
「そういった影響で高い数値がでたということは考えられますか?」
「私は軽度の子宮筋腫もありますが、そういった影響もありますか?」
⇒子宮とは無関係だと思います。
エストロゲンは卵巣から分泌されるのです。
「私の平均的な数値がこのように高い場合、そのせいで乳がんになてしまったのでしょうか?こういう体質は娘にも遺伝しますか?」
⇒それは全く不明です。
あまり関係ないでしょう。
「⑥エストラジオールを下げるために出来る別の治療法はないのでしょうか?
また、日常生活で出来ること(食べ物やサプリ、運動等)はないのでしょうか?」
⇒(卵巣機能を抑性する薬剤である)LH-RHagonistを用いれば下がりそうですが、その必要はありません。
閉経すれば、エストラジオールは自然に下がります。
「田澤先生であれば、私のような患者の場合、どのような治療をしますか?」
⇒治療はしません。
エストラジオールはあくまでも「閉経かどうか」みるためのものです。
「治療している限り我慢するしかないのですよね?生理がだらだら長いと、子宮に異常があるのかと心配になるのですが、うまく付き合っていくしかないのですよね?」
⇒その通りです。
治療には「副作用もある」ものなのです。
「田澤先生先生は、どれくらいの期間ごとに術後何年まで、どんな検査をしていますか?」
⇒術後1年過ぎると採血は「半年に1回」とすることが多いです。
あとはマンモグラフィーを1年に1回撮影するだけです。
○ホルモン療法が終了すれば、1年に1回採血+マンモとします。
質問者様から 【質問5】
田澤先生、以前はご丁寧にご回答いただき、大変お世話になりました。
右胸の全摘手術術後約1年半が経ち、現在はフェアストンのみで治療を行っております。
実は、1月に左胸にも小さなモヤモヤした画像のものがあると主治医から言われました。
その時は主治医から『まだ気にするほどのものではないので(私が経過観察するので)、そんなに深刻に心配しないでね』と言われました。
そして、先日定期検診で行った際も、やはりまだその腫瘍?のようなモヤモヤした画像のものはあるとのことでした。
大きさは大きくなっていないし、右胸に比べたらごくごく小さいものなので、今検査するほどのものではないとのことでした。
もし、悪性が強く疑われる場合ならすぐに生検するから心配は不要とのことでした。
主治医はベテランで、私も信頼しているのですが、やはり左胸にも何かがあるということが気になってしまい、田澤先生にご意見を伺いたく存じます。
①田澤先生は画像を見ていないので答えにくいかもしれませんが、この段階で生検は受けなくても良いと思いますか?
血液検査による腫瘍マーカーの変化は今のところありません。
左胸には、水泡や乳腺症のあとのようなものがあるとは右胸の手術前から言われていましたが、少し気になるモヤモヤがあると言われたのは、1月が初めてでした。
田澤先生でも、生検をしないケースはありますか?ありましたら、どん
な場合ですか?
なぜ主治医は経過観察にしていると思われますか?
現在はエコーだけで観察していますが、マンモグラフィーを受けたら分かる等、他の検査をおすすめしますか?
②詳しくは組織を検査しないと分からないのは承知ですが、1月から大きさに変化がないということは、右胸と同じルミナールAの可能性が高いですか?
③この段階で生検すると、もし癌だとしたら、生検によって周りの組織に癌が少し広がる可能性があるのでしょうか?
④もし癌だとして、今の段階で非浸潤であれば全摘?温存?手術すれば、ルミナールA以外のザブタイプでも治療は手術だけで済みますか?
また3ヶ月後の検診の時に、進行して後悔したらと思い始めました。
⑤腫瘍自体が小さいままでも、リンパに転移することもありますよね?
⑥娘がおりますが、両側乳がんになってしまった場合、やはり家族への遺伝性は強いのでしょうか?
質問が少し変わりますが、、、
⑦フェアストン単剤治療ですが、生理が8ヶ月ほど止まっていますが血液検査ではまだ閉経ではないそうです。
これはフェアストンの影響だと
思われますが、このままの薬で大丈夫でしょうか?
以前タモキシフェンの方が良いのでは?と主治医に相談しましたが、子宮体癌のリスクが低いのはフェアストンとのことで、簡単に言うと化学記号がほんの少し違うだけだから、薬の効果は大丈夫と言われました。
⑧もし左胸のものも乳がんの場合、ザブタイプが一緒であれば、フェアストンを飲んでいることで、進行を抑制したり、消滅させたりすることができるのですか?
お忙しいところお手数おかけしますが、ご回答よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答5】
こんにちは。田澤です。
まず重要なことは、ホルモン療法中(フェアストン)なので「3カ月に1回」受診しているわけです。
それならば「毎回(3カ月毎)担当医自らが超音波チェック」していれば問題ありません。
もしも「今検査するほどのものではない」というのであれば、きちんとチェックしてもらいましょう。
「①田澤先生は画像を見ていないので答えにくいかもしれませんが、この段階で生検は受けなくても良いと思いますか?」
⇒きちんと「担当医自身が3カ月毎に経過観察する」という条件付きであれば、いいでしょう。
「田澤先生でも、生検をしないケースはありますか?ありましたら、どんな場合ですか?」
⇒画像上、良性とほぼ断定できるケースです。
「なぜ主治医は経過観察にしていると思われますか?」
⇒「大きさは大きくなっていないし、右胸に比べたらごくごく小さいものなので、今検査するほどのものではない」ということのようです。
「現在はエコーだけで観察していますが、マンモグラフィーを受けたら分かる等、他の検査をおすすめしますか?」
⇒しません。
もしも「エコーで気になる」のであれば、(無駄なMRIなどをせずに)「速やかに組織診すべき」です。
「1月から大きさに変化がないということは、右胸と同じルミナールAの可能性が高いですか?」
⇒そもそも「癌と仮定」することは(癌で無いと主張する)担当医に失礼では?
「③この段階で生検すると、もし癌だとしたら、生検によって周りの組織に癌が少し広がる可能性があるのでしょうか?」
⇒全くありません(考え過ぎです)
「④もし癌だとして、今の段階で非浸潤であれば全摘?温存?手術すれば、ルミナールA以外のザブタイプでも治療は手術だけで済みますか?」
⇒そもそも「癌と仮定」することは(癌で無いと主張する)担当医に失礼では?
「また3ヶ月後の検診の時に、進行して後悔したらと思い始めました。」
⇒そんなに悩むのであれば、「組織診」してもらいましょう。(1年悩むよりも10分の検査の方が365x24x6倍マシです。計算してみてください)
「⑤腫瘍自体が小さいままでも、リンパに転移することもありますよね?」
⇒考え過ぎです。
「⑥娘がおりますが、両側乳がんになってしまった場合、やはり家族への遺伝性は強いのでしょうか?」
⇒先走り過ぎです。
「仮定のまま」話を勧める事には、全く賛成しません。
「生理が8ヶ月ほど止まっていますが血液検査ではまだ閉経ではない」
⇒そもそも閉経とは「最終月経から1年以上」経過していることが必要です。
「これはフェアストンの影響だと思われますが、このままの薬で大丈夫でしょうか?」
⇒フェアストンは適応外です。(閉経後乳癌の適応です)
「もし左胸のものも乳がんの場合、ザブタイプが一緒であれば」
⇒「もしも」と「あれば」など、「過程が多すぎ」です。
冷静になりましょう。