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病理の検査結果について

[管理番号:3246]
性別:女性
年齢:49歳
初めて質問させていただきます。
乳ガンと診断されてから、先生の質問コーナーはよく見させていただいて勉強させていただいています。
3年前より、健康診断のマンモで再検査となり、エコー検査をしてひきつれのような所見があるという事で、乳腺針生検を2本取りましたが、
粗い石灰化が見られますが、上皮細胞に異形は乏しく悪性所見はありませんでした。
ところが、今年の5月(中旬)日、マンモ、エコー検査をしたところ少しエコーで見るところのひきつれた部分に変化が見られるという事でまた、乳腺針生検を2本取りました。
その結果、乳ガンと診断されました。
5月(下旬)日に、造影のMRIとCT検査を受けリンパの転移も写真では見えず
原発巣の大きさが1.0センチという事で、ステージ1という結果を受け6月(下旬)日乳房温存手術とセンチネルリンパ節生検を受けたのですが、今日の診察で病理の結果手術で摘出した材料から「非定型乳管過形成」という診断と言われました。
グレーゾーンの診断は難しく、針生検で最も変化の強い部分が採取されたため「乳癌(乳頭腺管癌)」と診断されたが、摘出した全体像で見ると、「非定型乳管過形成」のいちぶとするのが妥当なようです。
病変を摘出した事は、診断を付ける上で必要な事でしたが、
センチネルリンパ節生検は、結果として、余分な手術のいう事になりました。
と、言われ説明を受けましたが、また今日から1週間後に病理の先生などとの検討により、今後癌として治療するのかどうか診断を受ける事になっていますが、
1度「癌」と言われ、覚悟をして向き合おうと思った矢先、違うかもしれないという事で、頭が混乱しています。
100パーセントの診断がつかない事があるのでしょうか?
1週間後、癌であると言われても違うと言われてもにわかに信じ難く…混乱しています。
他の病院でも見てもらったほうが良いのか?
その場合、今の病院にある資料の細胞を病院として出してもらいるものなのか?
どうすればいのか、途方に暮れています。
ちなみに、手術で取った細胞の病理の報告書には、分割をし検索しました。
標本に病巣を認めます。
一見invasive ductal carcinoma,papillo-
tubular tayeを思わせる長径3㎜の病巣を認めます。
周囲には比較的大きなduatal hyperplasia~atypical ductal hyperplasia病巣を伴っています。
前者はdesmoplastic reactionが弱く、elastosisにより腺管がinvasion様に
変形している様に思われ、免疫染色でp63とCK5/6を検討しました。
p63
陽性細胞は少なくinvasion様ですが、CK5/6では多くの細胞がモザイク状に陽性です。
Carcinomaと断定できず、上記診断とします。
尚、p63の染色性が弱く、再検と他の抗体で検討いたします。
p63とα-SMAを検討しました。
p63の染色性が悪いのは検体を脱灰しているためで、α-SMAは比較的よく染まっています。
部分的に断裂していますが、carcinomaは概ね完全欠損であり、非carcinoma乳管と考え上記診断とします。
と、書かれています。
癌と言われたり、違っていたと覆ったり、さらに1週間後…と言われ、1週間後の結果を聞いてもなにかもやもやと不安が残る気がします。
お忙しいのに、すみませんがどうかご回答をよろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
結果として「癌では無かった」ことは大変幸いなことでした。
まずはこのことに喜ぶべきである事は間違いありません。
ただ一方で「センチネルリンパ節生検」は無用だったことになります。
○私がこのメール内容を見て最も重要なポイントは(乳癌と診断された)『針生検の病理』です。
今回のメール内容には「摘出標本を隈なく評価したけど(一見癌と間違われ易いが)
癌では無い」という内容はありますが、「針生検の見直し」がされているのか記載がありません。
本来ならば「針生検で癌の診断」⇒「手術標本で癌では無かった」となれば、『針生検で癌と診断したことの是非』が問われる筈です。
まずは「そこ」でしょう。
「100パーセントの診断がつかない事があるのでしょうか?」
⇒ありません。
 最終的に(癌と診断された)「針生検の標本」と(手術時の)「摘出標本」の両方で診断となります。
 つまり…
 「針生検で癌と診断したけど、見直してみたら過剰診断だった」となるか、(手術標本では確かに癌の病巣は無いが)「針生検標本では確かに癌が存在する」ので「癌病巣は非常に小さく、マンモトーム生検で撮り切れていた」というような判断になる筈です。
   
「他の病院でも見てもらったほうが良いのか?その場合、今の病院にある資料の細胞を病院として出してもらいるものなのか?どうすればいのか、途方に暮れています。」
⇒病理のセカンドオピニオンと言う方法があります。(当然、貸出に応じる義務があります)
★繰り返しますが…
 針生検の再評価が鍵です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

おはようございます。
管理番号3246で「病理の検査結果について」と質問をさせていただいたものです。
早速のご回答をいただき、ありがとうございました。
心細い中で、先生からの回答が心の拠り所になっています。
次回、診察時に針生検の時の標本をもう一度検査していただけての結果かどうかを確認したいと思います。
先生からのご回答の中で、ひとつは、「癌」ではなかったか、もうひとつは「手術標本では確かに癌の病巣はないが針生検標本では確かに癌が存在するので癌病巣は非常に小さくマンモトーム生検で全てが取りきれていた。」かと、ありましたが、私は針生検の後、すぐ「癌です」と言われたので造影のMRIとCT検査などはしましたが、マンモトーム生検はしていません。
今から思えば、自分の無知で疑いもしなかった結果が招いた事なんだなと、思い知らされています。
今更ですが、マンモトーム生検をしてもらっていれば、手術までしなくてよかったのか?と、後悔しています。
確か担当の先生にも、「針生検の時癌の病変が全て取れてしまい、手術て取った病変には癌の組織が残ってなかったのかもしれない。」とも、言われました。
が、この場合はやはり癌である事に違いはないので、「癌」としての治療をしていくべきなのでしょうか?
前回のメール送信の後、針生検の時の病理報告書の内容を田澤先生に見ていただき、術後の報告書と比べていただいていればよかったと気づきました。
自分なりに、読み解こうと調べましたが、やはりここには「癌」である。
と、いう様に書かれている様に思います。
先生の見解をお伺いできればと思います。
宜しくお願いします。
「針生検での病理組織検査報告」
invasive ductal carcinoma of the breast ;papillo-tubular type,nuclear grade
1,EIC(-)
乳腺core needdle biopsy材料です。
2本ありいずれにもcarcinomaを認めます。
papillo-tubular typeの
carcinomaで部分的にはsolid-tubular patternを示しています。
乳管内伸展はごく軽度です。
核異型度は2+1=3 grade3です。
ER 3b 90%以上、PgR 3b 90%以上、HER2 1+ 10%以上で軽度陽性
以上が書かれている全てです。
お忙しいところ、すみません。
宜しくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
前回コメントしたように『針生検の再評価が鍵』です。
今回のメールに記載されている「針生検の診断」には病理医が(癌と診断することに)「何ら迷っている様子」は見受けられません。
○ただし注目すべきは(手術標本で)「一見invasive ductal
carcinoma,papillo-tubular tayeを思わせる」という表現を用いていることです。
 つまり、(針生検の診断時には)自信を持って「invasive ductal carcinoma of the breast ;papillo-tubular type」と診断したものが「実は、一見そう思わせた
だけ」で『針生検の標本も(見直せば)実は癌では無かった』となる可能性が高いように思いました。
★手術標本での今回の結果をうけて(再度、針生検標本を再評価し)「針生検での癌という診断が覆るのかどうか?」なのです。