[管理番号:2773]
性別:女性
年齢:50歳
田澤先生、初めまして、どうぞよろしくお願いいたします。
左乳癌(疑い)の診断で検査を受けている段階です。
二年に一度、健康診断を受けており、これまでの検診結果です。
2009年と2011年には治験に参加して欲しいとのことで、マンモの他に超音波検査をしました。
その頃から左乳房下内側にコロコロとした丸いしこりを感じていましたが、
ここ最近チクチクとした痛みがあったのと大きくなってきたように感じていた昨年の検診で要再検査となりました。
2009年 マンモ 異常なし 超音波(両側)のう胞
2011年 マンモ 異常なし 超音波(右)のう胞(左)乳管拡張
2013年 マンモのみ 異常なし
2015年 マンモのみ 石灰化 集簇性
2015年11月 地元の市立病院を受診(先生から渡されたものを書き写します)
検診マンモグラフィー(MMG) 異常で当科受診
左乳腺[L]領域に集簇石灰化あり、カテゴリー3(良性が疑われるが悪性も否定できない所見)の診断
当院で再検したMMGでも同様の所見
超音波検査(US)では明らかな悪性所見なし
念のため経過観察の方針
2016年3月 再検MMGで左乳腺[L]および[I]に集簇石灰化を伴う腫瘤影あり
カテゴリー4(悪性の疑い)の診断
USでも左乳房下内側部(B領域)に主瘤があり、カテゴリー4(悪性の疑い)の診断
細胞検査(吸引細胞診:ABC)を施行
悪性細胞を認め、乳癌(浸潤性入管癌・乳頭線管癌タイプ)を疑う所見があり
(下旬)日に全身CT、心電図、肺気量、血液検査をし、(上旬)日に乳腺MRIを受けました。
(中旬)日に乳腺専門の先生の診察予定、(中旬)日に主治医の外科の先生と今後の治療について話すことになっております。
受診して初めて知ったのですが、その市立病院には乳腺専門医が常駐しておらず、他の病院から来ていただいているそうです。
初診はその乳腺専門の先生に診ていただき触診もしていただきましたが、
気になっていたしこりについては大丈夫だろうとのことでした。
そして最初の検査結果をきくための予約希望日を別の先生に伝えたところ
「うーん、そうですね、まあいいでしょう」となんか歯切れが悪かったのは、
その日は乳腺専門の先生ではなく外科の先生だったからなのだと、あとから気づきました。
その後、主治医は外科の先生となり、とても説明は丁寧で信頼できる先生なのですが
(11月の段階で細胞検査をしなかったことを謝られました)
なにぶん乳腺専門ではないのが不安です。
Q&Aに外科医が診察するのは非常識とあり、このままこの病院で治療していいのかどうか迷っています。
細胞検査のあとコロコロとしていたしこりは分裂したようになり、
CTのあとあたりから左腕の付け根鎖骨の下あたりが重たく感じられ、
これが癌が飛び散った状態ではないのかと不安ばかり先立ち、
(中旬)日の検査結果を聞くのが大変怖いです。
なぜ、しこりを感じていた7・8年前に病院に行かなかったのか、後悔ばかりです。
癌の言葉に動揺して、まとまりなく長文の相談になってしまいましたが、
これだけの情報で田澤先生が思われる病状と今後の治療について、お聞かせいただけないでしょうか。
またこの病院での治療をどう思われますか。
病院の選択=命の選択にならないか大変不安です。
隣県のがんセンターへは電車で2時間、東北○○病院へはバスで3時間、県庁所在地のがん拠点病院へは車で2時間、仕事をしながら頻繁に治療に通えるのか不安でどうしてよいのかわかりません。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「主治医は外科の先生となり、なにぶん乳腺専門ではないのが不安」
⇒勿論、その地域の事情があるのは解りますが…
私の正直な感想は「Q&Aに外科医が診察するのは非常識」ということです。
一般外科医が「片手間に乳癌の診療を行う時代」は10年前に終焉しています。
「左腕の付け根鎖骨の下あたりが重たく感じられ、これが癌が飛び散った状態ではないのかと不安」
⇒それは考え過ぎです(誰しも、心配するのは仕方が無い事ですが)
「これだけの情報で田澤先生が思われる病状と今後の治療について、お聞かせいただけないでしょうか。」
⇒「2015年11月の時点で(癌と診断できず)経過観察となった」くらいだから、当然「早期」と思います。
今後の治療は「乳房MRIで拡がり診断」を行った上で「乳房温存術+センチネルリンパ節生検」となるでしょう。
そして術後は「サブタイプに応じた薬物療法+(温存ならば)放射線治療」となります。
「またこの病院での治療をどう思われますか。病院の選択=命の選択にならないか大変不安です。」
⇒転院すべきでしょう。
初期治療で誤ると「後手後手に回ってしまうリスク」があります。
「隣県のがんセンターへは電車で2時間、東北○済病院へはバスで3時間、県庁所在地のがん拠点病院へは車で2時間、仕事をしながら頻繁に治療に通えるのか不安」
⇒治療を分けて考えることです。
①手術
②(温存した場合の)放射線治療 (25回連日)
③ホルモン療法 (3カ月に1回程度の受診)
④(可能性は低そうですが)抗癌剤 (3週間に1回の点滴を数回)
○遠方の方で「当院で手術」をされる方の例では
①③は当院
②、④(もしも必要ならば)は地元の病院
というケースが多いです。
そのように考えると「東北○済病院」で手術⇒「地元で放射線」、そして3カ月に1回「東北○済病院に通院」という方法はどうでしょうか?