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ASCOガイドライン2016の改定内容について

[管理番号:2845]
性別:女性
年齢:45歳
いつも分かりやすい説明、お忙しい中ありがとうございます。
以前にも何度かご質問し貴重なご意見頂いていますが、全く新たな質問の為以前質問した際の管理番号は未記入とします。
今回お伺い致したいのは、先生も今週のコラムで取り上げておられた
ASCOガイドライン2016の改定内容についてです。
こちらのサイトで新しい情報が出たのだと認識したので
いろいろネットで検索したのですがなかなか見つけることが出来ませんでした。
主にどのような内容だったのでしょうか?
またこのサイトの質問に対するご回答やコラムにも、LH-RHagonist皮下注射の適応条件にも改定があったとの記述。
私は44歳で他院で温存手術をしたステージ2AのルミナルAで抗癌剤なし、現在ホルモン治療中です。
以前こちらで質問させて頂いた際、先生のお答えは皮下注射はsoft試験の結果で適応外とのお返事で、
江戸川病院の同じような病期の方には勧めていないとのこと。
今回のASCOガイドライン2016の改定でご意見は変わるのでしょうか?
実は主治医からは当初勧められていたのですが私が躊躇したのと、
放射線治療やホルモン治療をするにあたって副作用を見る為に皮下注射は先延ばしになっていました。
その後定期健診で主治医から皮下注射の話しが出ないので
次回の検診で質問しようと思ったところ、
今回新しいガイドラインのことを知りました。
前回の検診では、もともと学生の頃から生理不順で毎月来ないこともあったのが
術後比較的順調に毎月来るようなり、
最近は生理はきても生理の量が少なく、生理期間もびっくりするぐらい短くなったことを伝えたところ、
それでいいとのコメントを頂いているところです。
皮下注射は現状した方がいいのか、ご意見お聞かせ下さい。
もし皮下注射をする際、1ヶ月用と3ヶ月用があるとのことですが、どの病院でもどちらでも選べるのでしょうか?また、3ヶ月おきが希望の場合、1番初めは1ヶ月用からなど決まりはあるのでしょうか。
お忙しい中大変申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

今日は。田澤です。
「こちらのサイトで新しい情報が出たのだと認識したのでいろいろネットで検索したのですがなかなか見つけることが出来ませんでした。主にどのような内容だったのでしょうか?」
⇒まさに「LH-RHagonistを上乗せすべきかどうか」についてです。
 「ハイリスクにはLH-RHagonistは併用すべきであり、low risikには併用すべきでは無い」と言う内容です。
 
 中身を細かくみると「化学療法を勧められないようなステージ1」には「LH-RHagonistはすべきではない」
 化学療法を勧めるような「2期3期」や「1期や2期でも化学療法を考慮するようなハイリスク」であればLH-RHagonistが勧められる
またこのサイトの質問に対するご回答やコラムにも、LH-RHagonist皮下注射の適応条件にも改定があったとの記述。
 
「私は44歳で他院で温存手術をしたステージ2AのルミナルAで抗癌剤なし、現在ホルモン治療中」「今回のASCOガイドライン2016の改定でご意見は変わるのでしょうか?」
⇒以前の管理番号が不明であり、ステージ2Aでも中身が不明なので回答ができません。
 
「皮下注射は現状した方がいいのか、ご意見お聞かせ下さい。」
⇒上記コメント通りです。
 
「もし皮下注射をする際、1ヶ月用と3ヶ月用があるとのことですが、どの病院でもどちらでも選べるのでしょうか?」
⇒「1カ月製剤」と「3カ月製剤」の「両方を仕入れている」病院と、「どちらか片方しか、仕入れていない」病院とあるとは思います。(一般的には両方を仕入れている病院の方が多いでしょう)
 
「また、3ヶ月おきが希望の場合、1番初めは1ヶ月用からなど決まりはあるのでしょうか。」
⇒いきなり「3カ月製剤から始める」施設は無いと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日質問させて頂いたのですが、その際私の情報記入が不完全で回答出来ないとのことがありましたので、
そこの部分につきましてのみもう一度ご連絡致します。
大変お忙しい中、お手を煩わせて申し訳ありません。
以前管理番号774 「SOFT試験の解釈」で皮下注射のことを質問させて頂いておりました。
病理結果はステージ2A、pT2(29㎜)、pN0、ly0、
v0、luminalAです。
また、管理番号966 「温存後の変形」でも質問させて頂きました際にお答え頂いているのですが、針生検ではER、PgRとも8の強陽性(病理結果はERが染色強度IS 1、陽性細胞数PS 4、トータル5でPgRが染色強度IS 3、陽性細胞数PS 5、トータル8 )、ki-67は15%(病理結果がでは3%程度)です。
ご質問した際、田澤先生からは手術標本で
の固定不足により染色性の低下が明らかなので針生検の結果の方が正しいのではないか?とのご意見を頂きました。
お答えを頂くのにどの情報まで記入したらよいかわからず、かりずらくなりまして申し訳ありません。
ASCOガイドライン2016の改定での皮下注射の考え方教えて頂けませんか?
またその際、もし今まで不必要だと判断されていた方が今回の結果で必要となったら、
追加されていく場合が多いのでしょうか?
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「病理結果はステージ2A、pT2(29㎜)、pN0、ly0、v0、luminalA」
⇒これは微妙なラインですね。
 ASCOのガイドラインですが、細かく規定している訳ではありません(主治医の裁量の部分を残しています)
 前回にもコメントしたように
 ①中身を細かくみると「化学療法を勧められないようなステージ1」には「LH-RHagonistはすべきではない」
②化学療法を勧めるような「2期3期」や「1期や2期でも化学療法を考慮するようなハイリスク」であればLH-RHagonistが勧められる
 つまり、質問者は①では無いが、②でもないと解釈します。
 私の解釈では、質問者のような「グレーゾーンはエビデンスがない」ので「敢えて規定しない=主治医の裁量」としているようです。
 
「ASCOガイドライン2016の改定での皮下注射の考え方教えて頂けませんか?」
⇒私が解釈するに…
1.明確に「ステージ1のlow risk群での投与は適応外」と認定した。
 これは(SOFT試験前までの)「何となく、閉経前だから追加しよう」という考えを「完全に否定した」と言えます。
 十分なlow riskでは用いてはならないのです。
2.②のように「化学療法を考慮する」状況(これをhigh riskと表現している)では(結果として化学療法を選択しなかったとしても)「LH-RHagonistはすべき」とした。
 これはSOFT試験での「化学療法後に月経が再開した者」というような
「化学療法を実際にした者」に限定せず、(結果として化学療法をしなかったとしても)「その適応に有るものにはLH-RHagonistすべき」としたのです。
3.年齢についてのコメントがありません。
 これは何故なのか解釈が難しい。
 このASCOの改訂には「SOFT試験以外の結果」も参考にしているので、それで外れてしまったのか?
    
 ○歴史的に言っても「抗ガン剤の適応基準から35歳未満などの年齢が過去にはあったが、無くなっていった」流れがあります。
 ただ、「若年者は卵巣機能が強い事は事実」だから、現時点では大多数の乳腺外科医が「35歳未満であれば、たとえ1期のlow riskでも 使用する」と思います。(40歳未満でも)
 
「またその際、もし今まで不必要だと判断されていた方が今回の結果で必要となったら、追加されていく場合が多いのでしょうか?」
⇒これはケースバイケースです。
 余程「これは!」という状況でも無い限り(特に質問者のようなグレーゾーンでは)変更なしでしょう。
 新規で「治療相談」する場合には考慮することになります。