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AC療法が効きませんでした

[管理番号:990]
性別:女性
年齢:38歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
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管理番号:1002「術前抗がん剤中の準緊急手術」

 
 
先生はじめまして。
7/2に右胸下部にしこりを発見し、
7/22に浸潤性入管癌、核グレード3、トリプルネガティブ、1.8センチだとわかりました。
7/22のMRIでは、右乳房B/D領域に2.1×2.0×1.9センチ、
CTでは、リンパ節軽度肥大とあり、
検査してリンパ転移はありと言われました。
医師からは術前化学療法を薦められ、
8/10にDose Dense AC療法を始めましたが、
8/24の超音波では腫瘤が2.8センチになっており、
抗がん剤はほとんどの場合、1回めから効いて小さくなるから、
私の場合は効いていないと思うと言われました。
(8/10の時点で、自分でも検査したときより大きくなっているのは実感していましたが、大きさを図ったりはせず、抗がん剤を投与しています。だから、子抗がん剤投与後に大きくなったかは不明です)
今回の抗がん剤はやめて、9/3に手術、
術後にTC療法を薦められています。
先生、Dose Dense AC療法を2回3回やっても、1回目で効果が出なければ、だめなのでしょうか。
現在は腫瘤がズキズキ痛み、2~3日前からどんどん大きくなっていると感じています。
また、このような場合の再発率はどのくらいなのでしょうか。
ACがだめだったのに、TCが効くなんてことはあるのでしょうか。
また7/28のCTでは
右肺S2のすりガラス影:経過観察をお勧めします→癌ではないと言われました
肝S8の低濃度腫瘤→超音波で白かったので血管腫と言われました
こちらも心配です。
本当に大丈夫なのでしょうか。
3歳と、10ヶ月の幼い子供がいます。
どうしても治したいので…
先生、私には、どんな治療がいいのでしょうか。
教えてください。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 術前化学療法を「そもそも選択した事が正しい事なのか」は私には疑問ですが…(それは、この際おいておくとして)
 今回担当医が「抗がん剤初回投与後、14日目で超音波測定している」ことには評価ができます。
 おそらく、点滴14日目というのは「白血球のチェックとして来院」したタイミングであり、もしかすると「質問者、ご本人」から『大きくなっている気がするので是非診てほしいと要求があったから』かもしれません。
 ただ、「術前抗がん剤後、3カ月も放っておく乳腺外科医が存在している」事を(このQandAを通して)知った以上、「今回の担当医は素晴らしい」と言えます。
 本当に危ないところでした。
 「Dose Dense AC」を施行して「14日目で明らかに増大」など、決して見過ごす事はできません。
 この事態に「2回目から効果がでるかもしれないから、継続して様子を見ましょう」とされたら、「大変なこと」になっていました
 
★抗がん剤が必ず効く訳ではないのです。
 「術前抗がん剤は非常にリスクを持った治療法」であることの認識が必要です。
 もしも、このまま「漫然と抗がん剤を続ける(仮にタキサンへ変更したとしても、タキサンが必ず聞くと誰が保証できますか?)場合」には『手術不能となる可能性』が十分にあったのです。

回答

「医師からは術前化学療法を薦められ」
⇒どういう理由でしょうか?
 術前化学療法の絶対的適応は「小さくして温存」しかありません。
 質問者は「1.8cm (MRIでも2.1cm)」なので、「そもそも温存可能な状態」でした。
 「乳房温存術」⇒「術後抗がん剤」 で何ら問題は無かった筈です。
 それを「トリプルネガティブは、どうせ術後に抗がん剤が必要なのだから、術前に行う事で薬剤の効果を見ましょう」とか「リンパ節転移もあるので、先に抗がん剤しましょう」とか言う理由でしょうか?
 
 「トリプルネガティブでは術前抗がん剤がいい」みたいな「根拠の無い話」がネット上ででているようですが、「術前抗がん剤をすることによるリスクについてきちんと説明していますか?」
 ★わかっていることは「抗がん剤は術前に行っても、術後に行っても効果は同じ」であることなのです。
 その大前提を忘れると、「抗がん剤は必ず効くもの」という「誤った信仰」により「時に手術不能となったり、時に抗がん剤中に転移を増大させる」悲劇が生まれるのです。
 
「抗がん剤はほとんどの場合、1回めから効いて小さくなるから、私の場合は効いていないと思うと言われました。」
⇒その通りです。
 「大きさに変化が無い」くらいなら、「ゆっくり効いてくるかもしれない」と考えることもできますが、「明らかな増大」では「無効である事は歴然」です。
 
「今回の抗がん剤はやめて、9/3に手術」
⇒迅速な対応で良かったです。
 8月10日の化学療法の「副作用からの身体の回復」を考えると「最低3週間」必要です。
 その意味で「9月3日手術」は大変良かったです。
 
 勿論、担当医も「緊急の意識」が強いのです。
 
「術後にTC療法を薦められています」
⇒妥当なところでしょう。
 トリプルネガティブにはいずれ、「アンスラサイクリン」と「タキサン」投与が推奨されます。
 「アンスラサイクリン系」が効かなかったとしても「タキサン」が有効である可能性はあります。
 
「先生、Dose Dense AC療法を2回3回やっても、1回目で効果が出なければ、だめなのでしょうか」
⇒当然、そのように考えます。
 「試してみる」などとは決して考えてはいけません。 あまりにもリスキーです。
 ★腫瘍を「体に置いておいたまま」「効かない治療をして、癌に時間を与える」事は、「百害あって、一利無し」なのです。
 
「現在は腫瘤がズキズキ痛み、2~3日前からどんどん大きくなっていると感じています」
⇒「術前抗がん剤が無効」な場合には、このようになります。
 でくるだけ迅速に(9/3手術と言うのは、本当に良かったです。これが病院の都合で10月とかになったら、大変なことになったかもしれません)摘出する事です。
 
「また、このような場合の再発率はどのくらいなのでしょうか」
⇒最大浸潤径やリンパ節転移の個数など不明なものが多いので「判断困難」です。
 ただし、「ACが効かなかった」ことが特殊な訳ではありません。
 もともと、「抗がん剤は効く人、効かない人の両方がある」訳だから、「過度に心配する必要」はありません。
 
「ACがだめだったのに、TCが効くなんてことはあるのでしょうか。」
⇒あります。
 アンスラサイクリンとタキサンでは「全く異なります」
 
「右肺S2のすりガラス影:経過観察をお勧めします→癌ではないと言われました 肝S8の低濃度腫瘤→超音波で白かったので血管腫と言われました こちらも心配です。本当に大丈夫なのでしょうか」
⇒大丈夫です。
 肺の「炎症性陰影」や肝の「血管腫」などは良くある所見です。
 質問者に「遠隔転移など無い」ことは間違いありません。(私の経験上)
 
「私には、どんな治療がいいのでしょうか」
⇒(担当医のいうように)手術をして、術後にタキサン(TC)を行うことです。
 
○治療法に何も迷う点はありません。
 トリプルネガティブ乳癌は(術前にしろ、術後にしろ)「アンスラサイクリン」と「タキサン」が推奨されます。
 結果として「AC(アンスラサイクリン)」⇒「手術」⇒「TC(タキサン)」となります。
 他に選択肢はないのです。
♯ 術後のタキサンとしては
①TC(ドセタキセル+エンドキサン)x4
②T(ドセタキセル単剤)x4
③weekly PTX x12
などの選択肢が考えられます。
トリプルネガティブに対しては③ > ②というデータがあります。
①と③の直接比較はありませんが、①を選択することは妥当だと思います。(①の方がエンドキサンも入るため)
※ちなみに、これら以外の抗がん剤は適応外となります。
 術後補助療法として用いる薬剤は「アンスラサイクリン」「タキサン」だけなのです。
 
 

 

質問者様から 【質問2 脊椎に痺れを感じています】

先生、早速の回答をありがとうございました。
昨日病院に行って、9/3の手術を決めてきました。
主治医の先生しか知らないので、完全に信じることができませんでしたが、
田澤先生と同様の判断ということで(術前化学療法が別としても)、安心することができました。
再エコーをして、新たに腫瘍の周りに、乳管内進展(?)が三つ(1.5センチ)あることがわかりました。
主治医の先生は経験もある方のようですが、私の癌のスピードには驚かれれていて、抗がん剤が効かなかったことも、少数派で驚かれていました。
温存と全摘出、どちらがいいかと聞かれ、全摘出をお願いしてきました。
私の胸は脂肪がほとんどなく、腫瘍が皮膚に突出し、
骨にも接しています。
腫瘍の部分が乳首の1~2センチ下で、きっとそちらのほうにも癌が行っているような気がするのでそうしました。
これについては先生はどう思いますか。
胸に脂肪がないので、
癌はその分どんどんリンパなどを通じて外へ流れていく気がするのですが、
先生、そのようなことはあるのでしょうか。
また接している皮膚や骨に癌が進行してしまうことはあるのでしょうか。
また、今の一番の心配は、脊椎です。
乳がんを発見したとき位から、
背中(脊椎?)、特に右側の範囲がしびれるようになりました、。
最初は、洗い物をするときなど、前かがみになる作業をするとしびれたり、違和感を感じていました。
最近は普通に座っていてもしびれたり、違和感をかんじます。
これは脊椎に転移しているからじゃないでしょうか。
特に背中の検査は行っていません。
心配で心配で、もう胸だけとっても無駄なんじゃないかと思ってしまいます。
先生の診た私の症例と類似している患者さんは
その後どうなったのでしょうか。
先生、私は生きられるんでしょうか。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
少し落ち着いてきたようですね。
何よりです。

回答

「腫瘍の部分が乳首の1~2センチ下で、きっとそちらのほうにも癌が行っているような気がするのでそうしました。これについては先生はどう思いますか」
⇒私も「乳房切除に賛成」です。
 腫瘍増大の状況では「手術可能な状態」というだけで良しとするべきです。
 「手術不能」となってしまうと、「取り返しのつかない状況」と言えるのです。
 この状況では「多くを望ます」安全第一と思います。
 
「胸に脂肪がないので、癌はその分どんどんリンパなどを通じて外へ流れていく気がする」
⇒脂肪は関係ありません。
 
「接している皮膚や骨に癌が進行してしまうことはあるのでしょうか」
⇒皮膚に関しては、リスクはあります。
 腫瘍直上の皮膚も一緒に切除するのが安全です。(必須ではないですが…今回はどうなのでしょう?)
 骨に関しては、全く心配ありません。
 「何年も放置した方」以外で「肋骨への直接浸潤などありえません」
 腫瘍が「余程、外側に位置していない限り」裏側には「大胸筋」があります。
 実際には「その大胸筋にさえ」直接浸潤する事は稀なのです。(それに比べれば皮膚はリスクがあります)
 
「これは脊椎に転移しているからじゃないでしょうか」
⇒その可能性は殆どありません。
 もともとcT1c, cN0なので、「骨転移」など心配する必要はありません。
 
「先生の診た私の症例と類似している患者さんはその後どうなったのでしょうか」
⇒数年前までは「とにかく、物凄い数の術前化学療法をしていた」ので、そのような患者さん(術前化学療法が効かずに準緊急手術となる)は沢山いらっしゃいます。
 その後も「再発無く、元気な方の方が多い」ですが、やはり「再発」された方もいらっしゃいます。
 ただし、(質問者のような)「そもそもが早期乳癌」という方は、予後はいいです。
 やはり、「再発する方」は「術前化学療法を開始する時点で、ステージが高い」方が多いのです。
 ○現在は「術前化学療法の適応」を本来の「小さくして温存」に限定していますので、無論そのような患者さんは皆無です。
 
「先生、私は生きられるんでしょうか」
⇒大丈夫です。
 前述したように、「そもそもが早期乳癌」なのです。
 「術前化学療法が効かなかった」からといっても「きちんと手術さえできれば」心配ありません。
 ○術後はタキサン(TC)を行ってください。
 
 

 

質問者様から 【質問3 術後の抗がん剤の開始時期】

田澤先生こんにちは。
田澤先生の転移などしていない、
予後は良好との言葉に力をいただいて、
9/3の手術も、それほど恐れることなく受けることができました。
本当にありがとうございました。
心配していた背中の痺れも、
ここのところほとんどなくなりました。
手術では、腫瘍直上の皮膚と
間近にある副乳も一緒に取りました。
手術時間は、予定では2時間半でしたが、
4時間以上かかりました。
術後の痛みなどは我慢できる程で、
元気に病院内を歩き回っています。
病理の結果はまだなのですが、
主治医の先生から、
通常は術後抗がん剤は1ヶ月後位から始めるが、
私の場合は早めに開始した方が良いと言われました。
これは手術をする前から言われていることです。
田澤先生なら、私のような場合、
術後どれくらいから抗がん剤(TC)を開始しますか。
教えてください。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 無事に手術ができて良かったです。
 術前抗がん剤が効かない場合の手術ということで、とても心配していました。
 「手術時間が長すぎる」のが少し気になりますが、(出血などしているのでしょうか?)
 まずは、良かったです。

回答

「通常は術後抗がん剤は1ヶ月後位から始める」
⇒そんな必要はそもそもありません。
 
「田澤先生なら、私のような場合、術後どれくらいから抗がん剤(TC)を開始しますか」
⇒「AC療法が効かなかったことを考えれば」術後1週間とします。
 
○術後補助療法は「腫瘍の増大」にびくびくする必要がないので安心です。
 その代わり、きっちりとやってください。



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