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今週のコラム 477回目 「luminalAでは抗癌剤でcCRできない」に対する反証

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土曜日、屋上

スチーミー(ニンニク)に(セブンの)ローストビーフと揚げゴボウのサラダをワンプレートに。

冬なのに、炭酸をジョッキで飲めるのも、サウナスーツのおかげです。

と、いうことで(突然?)今年の私の漢字は「汗」です。

 

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私を「鉄人」呼ばわり?してくれたバームクーヘンマニアから戴いた

究極のバウム、その名もGARBA

バウムクーヘン評論家的に言えば…

同じ「しっとり系」でも「軽めの」治一郎に対して「濃厚な」GARBAと言えます。

♯やはり治一郎との比較が一番わかりやすい。

 

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そんな?GARBAの右には、これまた定番の一つとも言えるclub Harie

湖池屋の「スコーン」

♯チーズ味もバーベキュー味もどちらもgood

スコーンを見て居たら、小学校の頃の遠足のおやつを「ふと」想いだします。

今考えると「200円以内」って、駄菓子屋か! 水筒にジュース入れたら、その分も入れるのかどうか?なんて議論も…

あの当時、スナック菓子といえば(ポテチ以外では)「サッポロポテトバーベキュー味」が出た頃(ネットで見たら今年で50年とのこと)

身の回りでは(バーベキュー味以前の)「素の」サッポロポテト派とバーベキュー味派との間で派閥争いがあったような、無かったような…

それと、「ポポロン」とか…(あれは、たしか「それだけで200円上限」だったような)

ビー玉、ベーゴマ、風船ガムにそうそう、竹とんぼ、懐かしいなぁ…

でっかい夕陽を背中に背負って、影踏み遊びの子供が走る。

涙の乾いた~   思い出紙芝居より

 

 

○ 本文

QA 12312『遠隔転移のCCRについて教えてください』の中の引用

遠隔転移の場合の治療を希望しましたが、ルミナルAは抗がん剤が効かないからCCRは奇跡が起こらない限りないと思う。効かない抗がん剤期間に癌が大きくなるより、ホルモン薬で現状維持の方がいいのでは?と断られてしまいました。

⇒『今週のコラムで、具体例を挙げますので参考にしてみてください』と回答しました。

今こそ、その時です。

luminal typeであれば、(それが、AなのかBなのか?は全く気にせずに)

(骨転移などでは照射先行もあり)⇒抗癌剤⇒cCR⇒CDK 4/6 inhibitor + hormone

実際にこのような(cCRを持続している)ケースに、「果たしてluminalAは無い(少ない)のか?」そんな視点はありませんでした。

だから、今まで「luminalAでも抗癌剤が効くので抗癌剤すべき!」みたいなコメントはしたことがありません。

今回、このQでその担当医が「ルミナルAは抗がん剤が効かないからCCRは奇跡が起こらない限りないと思う」が本当なのか?

調べてみました。

 

どうやって調べたかって?

外来カルテ(電子カルテ)で、患者さんの備考欄に「palbociclib 100mg 5w」などとメモがある患者さんを、近い外来日から順にみて行き、カルテを覗いてみました。

そして、Ki67の数値で「この患者さんは(今まで特に気にしていなかったけど)初発時の病理でluminal AだったのかBだったのか?」と確認してみました。

すると、最初の数例で「Ki67低値=luminal A相当」の方が多いことに気付きました。

実際の比率を出すには、これを(現時点でcCR⇒palbociclibとなっている患者さん)全てで調べ上げる必要があるので、(それはいつかやるかもしれませんが)時間がないので現時点ではできません。

ただ、(記憶の中でも)50人以上いるそのような患者さんの最初の数例ですでにluminalA相当=Ki67低値の方が多かったことはお伝えしておきます。

具体的に画像とともに下に挙げます。

管理番号12312さんは「骨+肺」でしたので肺と骨で紹介します。

♯乳癌遠隔転移は骨が圧倒的に比率で多く、その次が肺ですが(何度もいうように)普通にカルテを遡るだけで下記症例(しかもKi67低値)が見つかります。

 

case 1 lung metastasis①

luminal type Ki67=13.8%

chemotherapy ECx8

 

 

before ⇒after

 

 

 

 

case 2  lung metastasis②

luminal type Ki67=6%

chemotherapy  ECx4⇒bevacizumab/paclitaxelx3 cycles⇒eribulinx4 cycles

 

before

after

 

 

 

case 3 bone metastasis

luminal type Ki67=20.2%

radiation⇒chemotherapy: eribulin x 8 cycles

♯骨転移の場合には照射先行も多い。

 

 

before

after

 

 

 

どうですか?

これでも担当医の言う『ルミナルAは抗がん剤が効かないからCCRは奇跡が起こらない限りないと思う』を信じますか?

 

♯「信じますか?」などと書いていると、まるで「私を信じてください。信じる者は救われます。」みたいな宗教的な文言のように見えますね?(そして、まるで私自身が教祖でもあるように…)

誓って言いますが…(無論、重々ご承知だとは思いますが)

私自身、完全に無宗教であり「私を信じてください」など一切ありません。

 

私には根拠に基づいた治療があり、そして実際に(上に挙げたような)成功体験が多数あるのです。

 

○その担当医には何故、その成功体験がないのか?何故その差が生まれるのか?

(当然?気になるとは思いますが)一番は、その症例数(経験)の差にあります。

乳がんプラザをやる前(10年以上前、江戸川に赴任するまでは)仙台で手術件数は多かったけど、再発症例が全国から集まるなんてことは当然なかった。

♯通常、自施設での再発患者さんの数には限りがあり普通に診療している限り、そのスペシャリストに足るだけの経験とはならないのです。

つまり、私は乳がんプラザをやることで(通常なら経験出来ない症例を)全国から集めているという事実①

もう一つは、最近「これが結構影響あるのかな?」と思っていることに、QAで(実際には当院で診療するに至らなかった患者さんを含め)想像以上に多くの再発患者さんの想いを受け止めて(その「想いの受け止め方」は十分ではないかもしれませんが)それに対して回答している。

それが、たとえば再発の場合でも『自分の目の前の患者さんだけでも、治せないか?何が最善か?』と自然に「諦めない姿勢」となっている事実②

 

私自身は、特に人格者でもないし普通の人間ですが、(乳がんプラザという)環境的に患者さんの「治したい」という思いに日常的に(言葉の選択は悪いかもしれませんが)曝されているので、(おそらく多くの医師以上に)「其の想いに応えてあげたい」という気持ちになっているのだと気づきました。

だから、その担当医のように最初から『ルミナルAは抗がん剤が効かないからCCRは奇跡が起こらない限りないと思う』という「諦めの発想」にはならないのです。