[管理番号:624]
性別:女性
年齢:53歳
質問者様の以前の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号とさせていただきました。 |
以前、トリプリネガィブについて質問させていただきました。
先生のお答えで、安心して術前化学療法を受けることができました。
ありがとうございました。
今回は、手術をすぐに受けるべきか、薬を変えて抗がん剤をつづけるべきか、
先生の意見をお聞きしたいので、また質問させてください。
4月から3週間おきに、5-FUと エンドキサン、ファルモルビシンの点滴を受けました。
(1回目の治療で、痛みがほぼなくなり、腫れて熱っぽい感じもなくなり、とても楽になりました。)
合計4回の治療が終わり、主治医から、7月上旬に手術を、といわれましてた。
その時に確認した事は、ステージⅡ以上、グレードⅢ、リンパ転移はたぶんあり、腫瘍は小さくなっているが、ばらけているだけかもしれない、でした。
手術は転移のことを考えると、全摘のほうがよい。また術後同じ抗がん剤を3回行う、ということでした。
そこで、以前からセカンドオピニオンに行く予定でしたので、別の病院で診察を受けました。
そちらの先生は、今の抗がん剤がよく効いているから、転移を防ぐために、タキサン系のアブラキサンの薬を3週間おきに4回おこなって、手術をするのがよいのでは。ということでした。
トリプルネガィブであること、ki67が90%と高値であることなどを考えた場合、どちらが良いでしょうか?
また、血管痛がひどく点滴が苦痛です。ボタンみたいなものを、胸のあたりにつけることができると聞いたのですが、副作用みたいなものはあるのでしょうか?できれば、それもおしえてください。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
トリプルネガティブで術前化学療法としてFECを4回行ったのですね。
「腫瘍は小さくなっている」とあるので、「FECは(いくらかは)奏功した」との判断ですね。
回答
「トリプルネガィブであること、ki67が90%と高値であることなどを考えた場合、どちらが良いでしょうか?」
⇒問題は2つあります。「投与時期」と「投与薬剤」です。
○投与時期
手術が「全摘」と決まっているなら「術前に行う必要」は全くありません。
⇒術後にするべきです。
抗がん剤投与による効果は「術前でも術後でも同等」なのです。
○投与薬剤
FEC(アンスラサイクリン)を継続するのか?タキサンへ変更するのか?
⇒タキサン(アブラキサンよりドセタキセルもしくは毎週投与のパクリタキセルの方がいいと思います)にすべきです。
おそらく担当医は「FECが有効」だから、そのまま「あと3回」という意図だと思いますが、エビデンスとしては「FEC単独」よりは明らかに「アンスラ⇒タキサン」です。
◎つまり、私の回答としては、「このまま手術」⇒術後「タキサン(ドセタキセルx4もしくはパクリタキセル毎週投与x12)」がいいと思います。
「ボタンみたいなものを、胸のあたりにつけることができると聞いたのですが、副作用みたいなものはあるのでしょうか?」
⇒CVポートの事です。
上腕ポート(腕に留置するタイプ)もありますが、担当医からは「通常の鎖骨下静脈アプローチのポート」のようです。
これだと、副作用(というか合併症)は
①留置手術時
・気胸
・動脈出血
②術後
・創部感染
・違和感(皮膚がかぶっているので入浴の問題はありません)
これらがあります。
どれも、習熟した術者が行えば問題無く30分程度で「局所麻酔」下に行えます。
○ただ、抗がん剤治療があと4回(パクリタキセル毎週投与とすれば12回ですが)なので、今更という気もしますが…(ご本人次第です)
質問者様から 【質問2 炎症性乳癌】
早速にお答えをいただきありがとうございました。
先日のタイプ、ステージ、グレード、ki値のほかに今日炎症性乳癌であることを、知
らされました。
次々と悪い要素が出てくるようでとても不安です。
炎症性乳癌は患者数も少なく、とても治りにくいそうですが、本当ですか?
総合的に見て、今の段階で、生存率などがわかれば教えてください。
また、親がトリプルネガィブの場合、娘も乳癌になりやすいのですか?
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
本当に「624 手術と抗がん剤について」の方でしょうか?
どうも内容が異なる気がします。
「624の方」は「トリプルネガティブでステージⅡで術前化学療法としてFECを4回終了し、7月上旬に手術を」と言われていた筈です。
それが、突然「今日、炎症性乳癌である」ことを知らされる筈は無いと思います。
どういう事でしょうか?
炎症性乳癌は cT4dとなるので、『ステージⅢCとなる筈』です。「ステージⅡとして術前化学療法を受けていた」とは思えないのですが…
訂正のメールを頂ければ幸いです。
質問者様から 【質問3 炎症性乳癌】
この度も、迅速な回答をありがとうございます。
すこし、動揺しています。
ステージがⅢCになるとは・・・。
主治医からは、抗がん剤治療前は、ステージⅡといわれました。
セカンド行く前、(手術を7月に予定しているといわれたとき)確認した時はステー
ジⅡ以上といわれました。
セカンドに行ったときにその先生から、紹介状を見ながら、何度か炎症性乳癌という
言葉を聞きました。「あれ?炎症性?書き間違い?」と思い、
次の日が主治医の診察日だったので、「わたしは炎症性乳癌なのですか?」と尋ねる
と
「うん、皮膚面が少し色が変わっていたからね。」といわれました。
田澤先生の見解も参考させていただき、来週の手術を決心しましたが、
炎症性乳癌になると、状況は変わるのでしょうか?
患部に2週間ぐらい前から、違和感があり、とても不安です。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
驚きました。
「ステージⅡ」として術前化学療法をしていた筈」なのに「炎症性乳癌?」
これはかなり問題があります。
回答
『「うん、皮膚面が少し色が変わっていたからね。」といわれました。』
⇒これは、おそらく間違いです。
担当医は「炎症性乳癌」を正しく理解していません。
私が状況を想像するに、「腫瘍の影響で、その上の皮膚だけがやや赤く肥厚している」状況だと思います。
これは「炎症性乳癌ではありません」
単に「腫瘍により、その真上の皮膚が浮腫状になっているだけ」です。 そんな事は珍しくもありません。
【炎症性乳癌】
腫瘍細胞が、皮下のリンパ管に大量に入り込み「リンパ管が閉塞」する事で『乳房全体の皮膚が真っ赤』になります。
○誰がみても「これはただことではない」と気づくものです。
担当医だけが「皮膚の赤みに(微妙に)気付いていた」などという「微妙な所見」ではありません。
そもそも、『本物の炎症性乳癌(ここでは敢えて、本物という言葉を使いました)』は「手術不能」なのです。
とても「普通に、術前化学療法をして、さあ手術しようか?」という呑気なものでは無いのです。
「炎症性乳癌になると、状況は変わるのでしょうか?」
⇒どう考えても「炎症性乳癌」ではありません。
○炎症性乳癌も知らない乳腺外科医(見た事がなければ仕方が無いのかもしれません
が…)には困ったものです。
正直、私はあきれています。
★質問者は、気にせずに「手術」を受けてください。
質問者様から 【質問4 炎症性乳癌について】
624の娘です。
母の質問に対し、何度もお返事を下さりありがとうございます。
前回の質問でも炎症性乳癌について教えていただいたのですが、更にお聞きしたいことがあり、質問させていただきました。
まず皮膚の赤みについてなのですが、全体が真っ赤とまではいかないのですが、担当医だけが気付いていたわけではなく、娘の私が見ても左胸の乳房の左上3分の1ほどが赤くなり腫れていて、更に本人も熱感があると自覚していました。
それにほとんどの炎症性乳癌にはしこりがないようですが母にはありました。
私も診察についていき母と一緒に説明を聞いていたのですが、炎症性乳癌なのかという質問に対し、少し皮膚が赤くなっていたからある意味炎症性乳癌にも入るという微妙な説明を受けました。
また担当医は、今までも炎症性乳癌の患者はいたよとおっしゃっていました。
母は本当に炎症性乳癌ではないのでしょうか。
何度も申し訳ありませんが、娘の私としても担当医から話を聞く度に状態の悪いことが判明していくうえ、手術前の今になりこちらから尋ねて初めて炎症性乳癌と言われ、とても不安なため田澤先生に頼らせていただきました。
今回の質問にも答えていただけると幸いです。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
「ステージ2、トリプルネガティブとして術前化学療法を行っていた」筈です。
化学療法後には「手術」を前提としているようなので、「炎症性乳癌」ではありません。
今更、「炎症性乳癌」だと思っていました。というのは担当医の明らかな誤りです。
回答
「左胸の乳房の左上3分の1ほどが赤くなり腫れていて」
⇒炎症性乳癌ではありません。
炎症性乳癌は「癌細胞が皮下のリンパ管に入り込んで、リンパ液の鬱滞を起こす」ので乳房全体の皮膚が真っ赤となるのです。
おそらく「質問者の表現」からすると、たんに「腫瘍の皮下への浸潤、浮腫による」所見だと思います。
「少し皮膚が赤くなっていたからある意味炎症性乳癌にも入るという微妙な説明」
⇒これは担当医の誤りです。
良く理解していないから「ある意味」などという意味不明?なコメントとなっています。
「癌が直接皮膚浸潤などで周囲の皮膚が発赤している」ことと、「癌細胞がリンパ管に広範に入り込んでリンパ液の鬱滞を起こしたための皮膚の発赤=炎症性乳癌」との違いが解らない様では、困ったものです。