[管理番号:521]
性別:女性
年齢:38歳
昨年2014年6月初旬に右乳癌で乳房温存術、センチネルリンパ節生検をしました。
病理結果
硬癌、腫瘍大1.0×0.4
ステージ1
グレード2
MIB-1LI? 10-20%
ER5+3? PgR5+3? ? HER2? 0
ly 1? ? v? 0
センチネルリンパ節 陰性? リンパ節転移 陰性
断端? 陰性
現在、放射線治療30回終了、術後4カ月後からノルバデックス内服開始、術後6カ月からゾラデックス開始しています。挙児希望で不妊治療していたため治療が遅れてしまいました。
昨年、10月に採血した時はCEA 1.0、CA15-3 8.5だったのが、先日の採血結果でCEA 1.3、CA15-3 9.1に上昇していました。ちはみに術全前はCEA 1.9、CA15-3 9.1でした。
ここ1ヵ月半前から右の肋骨も痛みがあります。(痛みは有るときと無いときあり、痛みが強くなってるわけではありません。)
また、手の指の関節のこわばりがあります。
骨シンチ等、画像の検査は7月に予約を入れました。
①骨転移の可能性は高いですか?
②手術の病理検査結果からはこんなに早く再発するのは考えずらいと思うのですが、再発することもありますか?
③腫瘍マーカーは上がったり下がったりすると聞きましたが、そうなんですか?
④病理結果のグレード2、ly 1、MIBー1LI10~20%ということがとても気になります。私はホルモン治療だけで大丈夫でしょうか?また、この病理結果より私は再発しやすいタイプの乳癌ですか?
⑤不妊治療をしていたため治療開始が遅れましたが、再発リスクは上がりますか?
また、不妊治療によるホルモン剤使用で(フェマーラも使いました)再発リスクは上がりますか?
よろしくお願いします。
(2015年6月の質問)
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1b(10mm), pN0, luminal A(Ki67 labeling index 10-20%)ですね。
正直なところ、私なら「再発を心配しません」
回答
「CEA 1.0、CA15-3 8.5だったのが、先日の採血結果でCEA 1.3、CA15-3 9.1に上昇していました。ちはみに術全前はCEA 1.9、CA15-3 9.1でした。」
⇒これは全く、問題のない数値です。
気にする必要は全くありません。(主治医に尋ねたら当然、そう言ったと思います)
腫瘍マーカーの「上がったり、下がったり」という表現も当てはまらない程度の変化です。
◎私の感覚では 「CEA 1.0, CA15-3 8.5」であれば「CEA 4.0, CA15-3 24」位になっても殆ど気にしません(この位の変動が『上がったり、下がったり』に相当します。)
腫瘍マーカーは「正常範囲内(CEAは5以内『喫煙者はもっと高いですが…』, CA15-3は25以内)」であれば、問題にする必要はありません。
「手の指の関節のこわばり」
⇒内分泌療法の副作用です。
再発の所見ではありません。
「右の肋骨も痛み」
⇒これも再発の所見ではありません。
おそらく、「咳のしすぎ」「打撲」などでしょう。
「①骨転移の可能性は高いですか?」
⇒可能性はかなり低い(殆どゼロ)です。
「②手術の病理検査結果からはこんなに早く再発するのは考えずらいと思うのですが、再発することもありますか?」
⇒殆どありません。
私の経験でも「pT1b, pN0, luminal A」での再発は無いと思います。
「③腫瘍マーカーは上がったり下がったりすると聞きましたが、そうなんですか?」
⇒正常範囲内で「上がったり下がったりする」事は良くあります。
ちなみに、質問者の「数値の変動」は「上がったり、下がったりにも当てはまりません」変化なしです。
「④病理結果のグレード2、ly 1、MIBー1LI10~20%ということがとても気になります。」
⇒「グレード2」はNG(核グレード)2の事だと思いますが、「あくまでも中間(1~3まであります)」です。
「ly1」も「0~3まである」ので、決して悪い数値ではありません。
「MIB-1 labeling index 10-20%」は明らかに低値であり、『間違いなくluminal Aであり、再発低リスク』となります。
「私はホルモン治療だけで大丈夫でしょうか?」
⇒pT1b, pN0, luminal Aで化学療法の適応は全くありません。
「また、この病理結果より私は再発しやすいタイプの乳癌ですか?」
⇒再発超低リスクと言えます。
考え過ぎです。
「⑤不妊治療をしていたため治療開始が遅れましたが、再発リスクは上がりますか?」
⇒このレベルでは「全く気にする必要ありません」
再発リスクも上がりません。
「不妊治療によるホルモン剤使用で(フェマーラも使いました)再発リスクは上がりますか?」
⇒閉経前乳癌に対する「アロマターゼインヒビターの使用」がどのような影響を与えるかは未知数ですが、「短期間」のようなので「再発リスクを上げる」事はないでしょう。
◎「腫瘍マーカーの(微)動」にしろ「ホルモン療法の副作用である関節痛」にしろ、全く「骨転移を疑う所見」ではありません。
安心していいです。
質問者様から 【質問2 再発とアルコール】
先生、詳細なご回答ありがとうございます。
先生のお言葉でとても安心し、明るい気分になり感謝しています。
ネットなどでアルコールは再発リスクを上げるというのを見たので、できるだけ飲まないようにしていますが、会社の付き合いなど、雰囲気的に断りずらくジョッキ2杯ぐらい飲んでしまうことがあります。もちろん毎日ではないのですが、これから飲む機会も増えてくるので、飲み会が憂うつです。
アルコールはどのぐらいの摂取なら問題ないですか?
また、注意した方がいい食生活があったらオシエテ下さい。
お忙しいところ申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
アルコール摂取と再発リスクですね。
回答
「アルコールはどのぐらいの摂取なら問題ないですか?」
⇒「所謂、「機会飲酒」くらいであれば大丈夫です。
1日あたりビール大瓶1本」を毎日摂取すると「乳癌リスクの上昇」と言われています。
「また、注意した方がいい食生活があったらオシエテ下さい」
⇒「大豆、イソフラボン」はリスクを下げるので「豆腐や味噌汁」を適度に摂取してください。
過剰に投与すると「かえってリスクを上げる可能性がある」ことには注意してください。
他はありません。
「健康な食生活」が一番です。