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脇の下切除の手術予定

[管理番号:430]
性別:女性
年齢:34歳
マンモグラフィで脇下にしこりが見つかりました。
細胞診の結果、1度目は3bという結果で、2度目は数字は教えていただけませんでしたが「悪い物が出ているので切除手術をしましょう」ということでした。
帰宅してから「脇下」「腫瘍」で調べたところ、乳腺症というキーワードが多くひっかかり、生理との関連は詳しくはわかりませんが、細胞診1度目の日(しこりが見つかった日)から生理が始まり、2度目の日も生理中でした。
単なる乳腺症の場合でも細胞診で「悪い物」が出るということは、有るのでしょうか?
先生の誤診を疑っているわけではありませんが、間違いであれば良いなという気持ちと、単なる乳腺症で細胞診に引っ掛るようなことはないと専門家の方に言われれば、覚悟が固まるような気がして質問させて頂きます。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「脇の下のしこり」ですね。
 この場合には「脇に近い乳腺」ではなく、「リンパ節腫大」なのでしょうか?

回答

「悪い物が出ているので切除手術をしましょう」
⇒かなり「曖昧」な表現です。
 (リンパ節だとして)「癌が疑わしい」から(リンパ節に針生検をするのは怖いから)「摘出して組織診をしましょう」と言う事なのでしょうか?
 
「単なる乳腺症の場合でも細胞診で「悪い物」が出るということは有るのでしょうか?」
⇒乳腺症では「細胞診で陽性(Ⅴ? Ⅳ?)」が出る(その場合には偽陽性と言います)事は殆どありません。
 細胞診では、むしろ逆(偽陰性)の方があります。
 
「単なる乳腺症で細胞診に引っ掛るようなことはないと専門家の方に言われれば、覚悟が固まる」
⇒乳腺症では無いと思います。
 リンパ節であれば、「リンパ節転移」の可能性が高く、(脇に近い)乳腺のしこりであれば「乳癌」の可能性が高そうです。
 
★一度担当医に「リンパ節」なのか?「乳腺の腫瘍」なのか? 確認した方がいいと思います。(私は、リンパ節のような印象を受けていますが…)
 
 

 

質問者様から 【質問2 抗がん剤治療を勧められましたが・・・】

他の方のように専門的な単語で何一つ説明できていない質問に丁寧に回答頂き、
ありがとうございました。とてもうれしかったです!
先生の話では「おそらく副乳がんだろう」とのことで
先月乳房温存切除手術をしました。
病理検査の結果を本日聞きに行ったのですが、転移は無いが、再発予防のために
放射線治療、ホルモン療法、抗がん剤治療をしていきましょう、とのお話でした。
正直、手術して退院して、癌治療は終わったという気持ちでいたため
本当にショックでした。
混乱して自分の癌がステージでいうとどのくらいなのかということも聞き忘れてしまいました。検査結果で唯一覚えているのが「~が21%だから抗がん剤をしましょう。15%ぐらいなら良かったんだけど」というお話です。
何の数値かはわからないのですが・・21でも15でも大差ないように思うのですが大きく違うのでしょうか?
手術前に術後放射線治療は絶対に必要だということは言われていましたので
放射線治療は受けるつもりですが、抗がん剤は受けたくないと話したところ
先生も、付き添ってくれていた姉も、あり得ないという表情で呆れていました。
抗がん剤治療は絶対に再発しないと言い切れるわけではないもので
そのくせ副作用が強いこともあって、私は抗がん剤治療を受けたくないのですが
私の場合「乳頭からの出血(これはいまだ原因不明。今回のしこりとは関係ないとのこと)」があったこと、しこりが脇の下のリンパの多い部分であったことなどから
抗がん剤は受けたほうがいいと先生は仰います。
私の抗がん剤拒否という考えは浅はかすぎるでしょうか?
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 前回「脇の下切除の手術予定」として質問された方ですね。
 「副乳癌」ですか。
 かなり頻度は低いですが、確かに部位は「脇の下」となります。

回答

『「~が21%だから抗がん剤をしましょう。15%ぐらいなら良かったんだけど」』
⇒これはKi67の値のことです。
 これで状況が解りました。
 質問者は「ルミナールタイプ」です。(ホルモン療法も行うことより確認できます)
 その際に「ホルモン療法に加えて抗がん剤の適応があるか?」という点で『Ki67の値が指標』となります。
 ○Ki67が低いと「ルミナールA」となり 抗がん剤は不要となります
 逆に高いと 「ルミナールB」となり、「抗がん剤治療が推奨」されます。
 ただ、質問者の場合には『Ki67=21%でルミナールBとして化学療法を勧められている』ようですが、それは誤りです。
 昔はKi67の基準は14%とか20%と言われていましたが、いまでは20~30%にあります。
 担当医は(そのような考え方の変遷を知らないため)Ki67=21%でルミナールBとしているようですが、現在の基準からは「ルミナールAとして化学療法は不要」とするべき数値です。
 
「何の数値かはわからないのですが・・21でも15でも大差ないように思うのですが大きく違うのでしょうか?」
⇒Ki67です。
 これは「細胞分裂期の細胞の割合」を示します。
 つまりKi67=21%とは「癌細胞の21%が細胞分裂期にある」という意味です。
 ○上記で示した様に、現在の基準では21%はルミナールAとして化学療法不要と考えるべきです。
 
「放射線治療は受けるつもりですが、抗がん剤は受けたくないと話したところ先生も、付き添ってくれていた姉も、あり得ないという表情で呆れていました」
⇒担当医の認識不足です。
 
「抗がん剤治療は絶対に再発しないと言い切れるわけではないものでそのくせ副作用が強いこともあって、私は抗がん剤治療を受けたくない」
⇒抗がん剤を無理にする必要はありません。
 質問者は(乳房温存術だから)「温存乳房照射」と(ルミナールAタイプだから)「ホルモン療法」をすべきです。
 
 
○Ki67については担当医に、『St.Gallen 2015ではKi67の閾値は19%以下よりも20~29%とする意見が倍以上多い』ことを伝えて挙げてください。
 それでも「化学療法を勧める」ならば、根拠を示してもらうべきです。
 
 

 

質問者様から 【質問3 抗癌剤について】

回答ありがとうございます!
しつこくて申し訳ございませんが、再度ご質問させてください。
田澤先生からの回答で自信を持って再度の診察の際、
はっきりと抗がん剤はしませんと先生にお伝えしました。
が、私の場合は「しこりは切除したが副乳がんということがはっきりせず、
原発不明のため、抗がん剤はしておいたほうがいいと思う」と、
再度提案されました。
私の癌は初期だったのですか?と伺ったところ
「まぁ、しこりはそんなに大きくなかった(切除前の説明では3㎝程あるとのことで
した)し転移もなかったけど、どこから来てるのかわからない(最初の乳頭からの出
血との関係も不明)から・・」
その場ではかたくなに抗がん剤をしないことを主張することに集中していて
他のことに頭が回らなかったのですが
原発不明であるならば抗がん剤はどのような薬を使うのかお医者様はどのように判断
されるのでしょうか?
どこからの癌か不明だから念のため、という理由で抗がん剤を再度推され、もう一度
考えてきてくださいと言われました。
私は抗がん剤はしないと心に決めましたが、
乳がん患者を何人も診てこられたプロの先生に何度も「したほうが良い」と言われる

考えも揺らぎ、不安も募ります。
回答を下さることに甘えて何度も申し訳ございませんが
田澤先生であればこの原発不明の状況でどのような診断をされるでしょうか?
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 「副乳がんということがはっきりせず、原発不明のため」とは、何と根拠薄弱な「化学療法の勧め方」なのか?
 「意味があるか、どうかわからないので、やっておく」という考え方が許される時代では無い筈ですが…
○メール内容からすると質問者は「病理レポートを担当医からもらっていない?」よ
うに思いますがどうでしょうか。
 それであれば、重要なものなので当然「もらっておくべき」です。
 おそらく「病理レポート」には「乳癌の組織型」についての記載がある筈です。
 
 
○状況からは「乳腺の端」もしくは「副乳由来」の乳癌であると思います。
 その「腋窩の腫瘍がリンパ節でない限りは」その腫瘍が原発なのです。
 (病理レポートを見ていないので、不明ですが)「組織型として、どうしても乳腺
(もしくは副乳)由来とは思えない」病理像だった場合には「特殊型」となるだけで
「やはり、そこが原発なのです。
 

回答

「原発不明であるならば抗がん剤はどのような薬を使うのかお医者様はどのように判
断されるのでしょうか?」
⇒乳癌の抗がん剤を使用するつもりだと思います。
 組織型などから、必ず「病理医が原発巣についてのコメント」している筈です
 
「田澤先生であればこの原発不明の状況でどのような診断をされるでしょうか?」
⇒原発不明ではありません(上記)
 (リンパ節でなければ)腋窩の腫瘍は「原発」なのです。
 
 乳腺にあり「(リンパ組織で無く)乳がんとして矛盾しない」組織型であれば「乳
癌」であり、
 腋窩副乳にあり「(リンパ組織ではなく)乳がんとして矛盾しない」組織型であれ
ば「副乳癌」です。
 
★原発不明と言う表現は本来「腋窩リンパ節に転移性リンパ節があり、腫瘍が(乳腺
のどこにも)見当たらない」場合に用います。
 いわゆる『原発不明のリンパ節転移』です。
 その場合には「悪性リンパ腫など」全身疾患や他の臓器からの転移の可能性を考え
て通常「PET検査で全身検索」します。
 その上で、『腋窩リンパ節転移の原因となる腫瘍が全身に見当たらない』場合に
「原発不明」というのです。
 今回は「腋窩副乳にある腫瘍はリンパ節ではなく、癌」なのだから、原発不明ではなく、『腋窩の腫瘍が(間違いなく)原発』です。
 考え方が根本的に誤っています。
 
 

 

質問者様から 【質問4 病理レポート・・・】

回答ありがとうございます。いつも励まされます!
再度病院に行き「病理レポート」を頂けるか相談したところ
なんとなく濁されて・・・もらえませんでした。
その前に放射線治療を「もう少し通いやすところで受けたい」(結局最初に勧められた、担当の先生がやり取りしやすい病院で受けることにしました)
と、記入して頂いた紹介状に「病理レポート入れているんじゃないかな?」とのことで、
安心して帰ってから封を開けてみると簡易な説明しかないお手紙のみでした。
内容は「当初左乳がんは副乳を考えていましたが、病理結果では乳がんリンパ節とのことでした。」
というものです。
子宮たい癌の検診を受けてくるように言われた際に、婦人科の先生に渡したお手紙も同じものが入っており
その際その内容を盗み見していたので今回の診察の際に
「副乳がんではなく乳がんリンパ節とはどういう意味ですか?リンパの癌なのですか?」
と伺いました。
リンパの癌ではないが、だから原発不明なんです、というようなことをおっしゃられました。
そして別病院で受けた子宮たい癌の検査を担当してくださった先生が
私の担当の先生に「不明であるならPETをしたらどうですか?」という提案をしてくださっていたようで
「PETね、ちょうどしようと思ってたからしましょう。僕もそう思ってました」
と、仰いました。これを聞いて先生に不信感が。。。
私の顔を見るたび「お、抗がん剤する気になった?」と仰るので
抗がん剤しないと本当にダメなのではないかと、一度決めた決意が揺らぎます。
にも関わらず、PET検査の話はこれまで一度も出なかったのです。
抗癌剤に絶対的な自信があるのか、先生の考えがわからず不安です。
長文で申し訳ございませんが、最近さらに気になることがあります。
手術をした左側の乳房が右側より大きくなっている気がします。
左側の乳輪が常に固いです。乳首も常にはっています。
左側の乳房の一部がほんのり赤い気がします。
炎症性乳がん、パジェット病に当てはまりますか?
左脇のリンパをとったことが原因の浮腫みのようなものでしょうか?
 

田澤先生から 【回答4】

 こんにちは。田澤です。
 それにしても、病理レポートを渡さないとは非常識な医師です。
 しかし、今回のメール内容よりその理由が判明しました。
 「当初左乳がんは副乳を考えていましたが、病理結果では乳がんリンパ節とのことでした。」これは、とても重要な内容です。
 これで、「病理結果は180°ひっくり返りました」
 「腋窩の腫瘍」≠「副乳癌」と言う事です。
 「腋窩の腫瘍」=「乳癌のリンパ節転移」という内容です。
♯しかし、こんな「診断がひっくり返るような重大な事実を本人に内緒にする」事がありえるのでしょうか?
 
 そうすると、普通に考えると「左乳腺に癌があるのではないか?」となります。
 「左乳腺の精査」はきちんとされているのでしょうか?
 最低限「超音波」他には「MRI」もどうでしょうか?

回答

「手術をした左側の乳房が右側より大きくなっている気がします。」
⇒左乳腺の精査をきちんとするべきです(以前はしていますか?)
 「左腋窩の腫瘍が乳癌のリンパ節転移と判明」した以上、「左乳腺が鍵となります」
 ♯ただ、現実には「どうしても、左乳腺に原発巣を見つけられない」事もあります。
 
「左側の乳輪が常に固いです。乳首も常にはっています。」
⇒気になる症状です。
 乳輪下は「診断の盲点となり易い」部位なので、「再度チェックが必要」です。
 
「左側の乳房の一部がほんのり赤い」「炎症性乳がん、パジェット病に当てはまりますか?」
⇒炎症性乳癌ではありません。
 炎症性乳癌の「皮膚の赤み」は乳房全体であり、「皮膚肥厚を伴い」一目でわかります。
 パジェット病でもありません。
 パジェット病は乳頭そのものの「ビラン」です。乳頭そのものが「赤く、ジュクジュクするので」これも一目でわかります。
 
「左脇のリンパをとったことが原因の浮腫みのようなものでしょうか?」
⇒手術の精度にもよりますが…
 通常、腋窩の手術で「乳房の浮腫」はありえません。
 どういった手術をしているのかが不明なので、これ以上はコメントできません。
 
○今回の内容は「かなり衝撃的で、問題のある」ものです。
 いままで聞かされていた「副乳癌」と実は隠していた(それで病理レポートを頑なに拒否している理由がわかりました)事実は「腋窩リンパ節」では、全く意味が違います。
 「副乳癌」ならば、「左乳腺内に原発巣を探す必要は無い」わけですが、「腋窩リンパ節と判明した以上」全力で「左乳腺の精査が必要」となるのです。
 
★そのような「非常に大事な事実を隠して」曖昧なまま治療を強引に進めるのは、常識として考えられないことです。
 どうしても「病理レポートを渡さない」のであれば、「放射線科医から依頼してもらう」方法があります。
 「放射線科医から依頼」されておきながら、「それを拒否」することは不可能な筈です。
 
★「乳癌のリンパ節転移」という事実が判明した以上、やるべき事は「左乳腺内の徹底的精査」です。
 乳腺内を調べようともせずに「抗がん剤やっておけば、乳腺内に腫瘍があっても治療となるだろう」みたいな「適当な診療」をしているように見えます。
 
 

 

質問者様から 【質問5】

回答ありがとうございます。
ご多忙の中、たくさんの質問に回答されていらっしゃるのに
本当に何度も申し訳ございません。
>「腋窩の腫瘍」=「乳癌のリンパ節転移」という内容です。
とのことですが、術後の説明で「リンパ節転移」はしていなかったとのことでした。
それとはまた違うものなのでしょうか?
>「左乳腺の精査」はきちんとされているのでしょうか?
 最低限「超音波」他には「MRI」もどうでしょうか?
エコー、マンモグラフィと、左側は2年前に乳頭から出血した際に、
乳管内視鏡検査をしてくださいました。
>現実には「どうしても、左乳腺に原発巣を見つけられない」事もあります。
>「腋窩リンパ節と判明した以上」全力で「左乳腺の精査が必要」となるのです。
つまり、前回の手術で癌を取っていない、体の中にまだ残っているということでしょうか?
またどうしても原発巣が見つけられない場合、抗がん剤はしておいた方がよいと田澤先生は考えますか?
 

田澤先生から 【回答5】

 こんにちは。田澤です。
 担当医が(紹介状として記載した)内容の
『当初左乳がんは副乳を考えていましたが、病理結果では乳がんリンパ節とのことでした。』
  ↓
これが意味する内容は
○腋窩の腫瘍が、副乳に発生した乳癌(これを副乳癌といいます)ではなく、(乳がん由来の)『リンパ節だった』ということです。
◎私が推測する病理レポート
 腋窩腫瘍(副乳癌疑い)として提出された検体は、リンパ節の構造を持ち、腫瘍細胞により置換された転移性リンパ節である。
 その起源(原発)としては乳癌が最も考えられる。
 
 最終病理診断:転移性リンパ節(推定:乳腺由来)

回答

『術後の説明で「リンパ節転移」はしていなかったとのことでした。それとはまた違うものなのでしょうか?』
⇒(腫瘍自体が実はリンパ節転移だった訳ですが…)その周辺のリンパ節には「転移が無かった」という意味です。(つまりリンパ節転移は1個となります)
 
「前回の手術で癌を取っていない、体の中にまだ残っているということでしょうか?」
⇒(腫瘍そのものがリンパ節転移であった以上)原発巣がある筈なのです。
 
 「病理結果では乳がんリンパ節」となっている以上、左乳腺内に原発巣(数ミリ単位の事も多い)がある可能性があります。
 超音波やMRI(今回はMRIしていないようですが…)で見つけられない以上、『当然PETをして全身(左乳腺を含めて)検索が必須』となります。
 
「どうしても原発巣が見つけられない場合、抗がん剤はしておいた方がよいと田澤先生は考えますか?」
⇒まず①「左乳腺のMRIと超音波による徹底した精査」そして②「PETによる全身の精査」
 私にはどうしても「本来最優先されるべき」①②が無視され、『原発巣など苦労して見つけなくても、抗がん剤しておけばいいさ』という態度に見えます。
 
○今回の診療は「目に余る」ものであり、「説明を曖昧にしたまま」適当に「抗がん剤をしておけば文句は無いだろ」的な「前時代的な診療」です。
 まず第1に、「副乳由来の癌(副乳癌)」で無かった時点で、病理レポートを渡し、「腫瘍だと思っていたが、リンパ節だった」ときちんと説明すべき 
  ↓
 次に、「リンパ節転移だった」ということは、「原発巣を探さなくてはなりません。(病理レポートにあるように)乳腺由来が最も疑わしいので『まずは乳腺のMRIと再度乳腺超音波を行います』
 それと並行して(乳腺由来でない可能性も考え)『PETで全身検索』も行います。
  ↓
 その上で、『最終診断としては○○です。治療としては△△が勧められます。』となるべきです。
 
★このステップを踏まないままに「抗がん剤をすべきか?」などの議論は全く無意味です。
 
 

 

質問者様から 【質問6 斜台転移??】

いつも回答ありがとうございます。
『術後の説明で「リンパ節転移」はしていなかったとのことでした。それとはまた違うものなのでしょうか?』
⇒(腫瘍自体が実はリンパ節転移だった訳ですが…)その周辺のリンパ節には「転移が無かった」という意味です。(つまりリンパ節転移は1個となります)
この回答でようやく自分がどういう状況なのか理解できました。
左乳房の腫れについては先生に訴え、
炎症性乳がんかもしれないというと笑っていらっしゃったのですが、
触診で「確かに固くなってるな」ということでエコーと針生検をして頂きました。
またまた質問で申し訳ございませんが、どうしても不安でお伺いしたいです。
PET検査の結果で不安な結果がでました。
頭の骨に黒い影があるとのことでした。斜台という部分への転移の可能性があるとのことです。
乳腺外科の先生は「これが転移であればいよいよ危ない。余命何年という話になってくる」と仰っていました。
それを聞いて癌告知以来一番悲しく恐ろしくなりました。
来週脳のMRIの予定です。
田澤先生にお伺いしたいのは、
○その他への転移が見られないのに、斜台という複雑なところだけに転移しているということは有り得ることでしょうか?
○もし転移の場合、即治療(放射線治療になるだろうとのこと)に入った方が良いのでしょうか?
私自身自覚症状は全くないのですが、自覚症状が出てからでは遅いと先生は即治療に入る方針のようでした。
 

田澤先生から 【回答6】

 こんにちは。田澤です。
 原発巣不明の腋窩リンパ節転移(単発)でした。
 PETで全身検索を行ったのですね。
 正しい判断です。
 確認ですが、「PETでは斜台のみの所見」なのですね。
○斜台は頭蓋骨です。
 他の骨転移無しで、いきなり頭蓋骨転移など(私の豊富な経験の中で)見た事もありません。
 斜台転移の方はいらっしゃいましたが、「全身骨転移で長期コントロールをしていた方」でした。

回答

「脳のMRIの予定」
⇒脳といっても「頭蓋骨を目的としたMRI」ですね。
 斜台だけに骨転移するなんて見た事ありません。
 
「その他への転移が見られないのに、斜台という複雑なところだけに転移しているということは有り得ることでしょうか?」
⇒間違いだと思います。
 多発骨転移が無い限り「斜台にだけ骨転移は無い」と思います。
 
「もし転移の場合、即治療(放射線治療になるだろうとのこと)に入った方が良いのでしょうか?」
⇒「斜台に骨転移があると、周囲の脳神経の麻痺症状が心配となる」ので照射は第1選択です。
 
○もしもPETで原発巣不明(勿論、斜台原発などはありえません)ならば、いよいよ「左乳腺の精査、要経過観察」が必要となります。
 
 

 

質問者様から 【質問7 不安が一気に拭い去られました!】

ありがとうございます!
「いよいよ危ない、余命何年という話になる」という話を聞いてから
不安で仕方なかったので、こんなまだMRIの再検査も受けていない状態で質問しても
『可能性はゼロではない』というようなことしか、
田澤先生も答えようがないだろうと思いつつも、質問させて頂きました。
このような質問にも親身に丁寧に思いやりのある回答をくださり本当にありがとうございます。
田澤先生の経験では「見たことがない」という言葉を励みに、
無駄な癌を増やさないよう落ち込むのはやめて前向きに過ごしていこうと思います!
>確認ですが、「PETでは斜台のみの所見」なのですね。
斜台(斜台転移は乳腺外科の先生が仰っていました。放射線の先生は頭の骨の辺りに怪しいものがある、必要ならば脳外科に言ってもらわないといけないかもしれないと仰いました。)と、
手術をした左脇に腫れが見られるとのことでした。
>⇒「斜台に骨転移があると、周囲の脳神経の麻痺症状が心配となる」ので照射は第1選択です。
放射線以外の治療はどのようなものになるのでしょうか?やはり抗がん剤でしょうか?
ガンマーナイフというものも危険性に変わりはないのでしょうか?
>○もしもPETで原発巣不明(勿論、斜台原発などはありえません)ならば、いよいよ「左乳腺の精査、要経過観察」が必要となります。
PETでも原発部分はわからなかったようですが、原発を見つけるということを乳腺の先生は考えていないように思えます。
経過観察ということは予定されている放射線治療もホルモン治療も一旦中止して、様子を見てもいいということでしょうか?
最近、抗がん剤だけでなく放射線治療もホルモン治療も、原発が大きくなってから
もしくは私がまだ疑っている炎症性乳がんが決定的になってからでも遅くはないのではないかと考え初めています。
 

田澤先生から 【回答7】

 こんにちは。田澤です。
 骨転移がイキナリ「頭蓋骨の斜台だけに」起こるとは俄かには考えられません。

回答

「放射線以外の治療はどのようなものになるのでしょうか?やはり抗がん剤でしょうか?」
⇒これは質問者に勘違いをさせたかもしれません。
 「放射線が第1選択」とは「いろいろな治療法の中で1番いい」という意味ではなくて
 (他の治療を中断してでも)最優先で「放射線をかけるべき」ということです。
 ♯放射線照射の替りに「抗がん剤でもいい」ということは無いです。
 
「ガンマーナイフというものも危険性に変わりはないのでしょうか?」
⇒ガンマーナイフも「定位照射(ピンポイント照射)」であり「放射線治療のひとつ」です。
 「斜台のみに照射する」場合には、他の部位(脳など)に障害がでないように(照射は照射でも)定位照射(ガンマーナイフやトモセラピー)にするべきです。
 
「経過観察ということは予定されている放射線治療もホルモン治療も一旦中止して、様子を見てもいいということでしょうか?」
⇒これは違います。
 私が前回の回答で「経過観察」と記載した意味は「原発巣の候補として左乳腺を厳重に(最低限3カ月に1回の超音波)精査する必要がある」という意味であり、
 全身治療として(治療なしで)経過観察で良いという意味ではありません。
 ○原発巣が何であれ「ホルモン療法はするべき」です。(化学療法は保留とするにしても)
 
「抗がん剤だけでなく放射線治療もホルモン治療も、原発が大きくなってからもしくは私がまだ疑っている炎症性乳がんが決定的になってからでも遅くはないのではないかと考え初めています」
⇒これは誤りです。
 PETで原発巣が不明な以上、原発として「最有力候補が左乳腺(に潜んでいる癌)」であることは間違いありません。
 その意味では「ホルモン療法や放射線治療」をするべきです。
 ○また「炎症性乳癌」ですが、(それであれば、真っ赤になり「一目で」解ります)
 さすがに、それを担当医が見逃すなどは想像できません。
 
 

 

質問者様から 【質問8】

以前の斜台転移の疑いは晴れ、脳の腫瘍は良性のものであろう、ということになりました。
乳がんの治療ですが以前田澤先生からも
「ホルモン療法や放射線治療」はすべきというアドバイスを頂いていたにも関わらず結局考えた上でホルモン、放射線もお断りしました。
この度約9か月ぶりの術後外来に行ったときのことで質問です。
質問の前に愚痴になりますが
9か月ぶりの主治医は顔を見るやいなや「治療する気になった?しようよ」と言いました。
この一週間前にマンモとエコー専門?の先生に見て頂いた結果、
術後の左脇に以前からあった大きなリンパ(これは問題ないと言われました)のすぐ横に
同じぐらい大きい(1.6mmと記録されていたと思います)影があったので、
その結果をふまえてのことでしょうが
エコーの準備の為に服を脱いでいるときもカーテン越しに
「治療するやろ?」
「お父さん悲しむで。
僕が電話しよか?お姉さんにも電話しよか?」
と結局その日は最後まで延々言われ続けました。
マンモ、血液検査は以上なし。
その日は細胞をとって再度2週間後に行くことになりました。
エコーの画像について先生に「これはガンですか?」と聞いてみました。
先生は「ガンやろね」と呆気なく言い切りました。
やっと質問ですが田澤先生も間違いなく再度転移したものと考えられるでしょうか?
左側に浮腫等はまだ見られません。
しこりのようなものも(元元肥満なので肉厚でわからないだけかもですが)ふれません。
父親は先生の態度はお前を心配してくれているからだ、と言いますが・・・
 

田澤先生から 【回答8】

こんにちは。田澤です。
「先生は「ガンやろね」と呆気なく言い切りました。」
⇒どうやらエコー像からは、「転移性リンパ節の可能性が高い」ということのようです。
「やっと質問ですが田澤先生も間違いなく再度転移したものと考えられるでしょうか?」
⇒これは(遠隔転移再発ではなく)「局所再発」です。(もしも癌であれば、ですが)
 
 

 

質問者様から 【質問9】

いつも回答ありがとうございます。
細胞診の結果「陽性」とありました。
前回言葉足らずだったのですが、私はいまだ原発不明で
一年前の手術で左脇から切り取った部分も病理の結果「転移性のもの」
とのことでした。
今回も病理の医師によると「転移性のもの」という回答だったようです。
質問ですが、
○前回田澤先生の回答に局所再発とありましたが、原発不明でさらに今回も原発でないのであれば
局所転移ということになるでしょうか?転移が同じ場所に現れたものも再発と同じでしょうか?
○局所転移であればまた手術で切ることは可能でしょうか?
今のところ左側にリンパ浮腫の兆候はなく、
ひどい肩こりぐらいですが、再度手術で一部切り取ると左腕はさらにリンパ浮腫の危険が膨らむでしょうか
○手術後にも元々あった大きいリンパ(問題ないと言われていたもの)の、
すぐ隣に今回現れた同じような形の同じような大きさのものが悪性なら、元々のものも悪性ですか?と尋ねたら
「うーん、その可能性もあるかな」と先生は仰ったのですが、であればやはり手術ではなく化学療法が最適でしょうか?
またPETのような全身検査をした方がよいでしょうか?
○術後一年たつのに原発が見つからないままですが、
原発はずっと小さいままで周辺に転移を繰り返すという癌があるものなのでしょうか?
○田澤先生であればどのような治療プランを計画されるでしょうか?
 

田澤先生から 【回答9】

こんにちは。田澤です。
「○前回田澤先生の回答に局所再発とありましたが、原発不明でさらに今回も原発でないのであれば局所転移ということになるでしょうか?転移が同じ場所に現れたものも再発と同じでしょうか?」
⇒物事は「シンプル」に考えましょう。
 初回手術時に「残していたリンパ節に潜んでいた癌細胞」が増殖したと考えます。
 これが「局所再発」の考え方です。
「○局所転移であればまた手術で切ることは可能でしょうか?今のところ左側にリンパ浮腫の兆候はなく、ひどい肩こりぐらいですが、再度手術で一部切り取ると左腕はさらにリンパ浮腫の危険が膨らむでしょうか」
⇒手術で取るべきです(その話はでなかったのですか?)
 浮腫は大丈夫です。
「やはり手術ではなく化学療法が最適でしょうか?」
⇒考え方に「誤り」があります。
 もしも「そうなら」そのリンパ節も一緒に切除する(手術すれば当然そうなりますが…)というのが通常の考え方です。
「またPETのような全身検査をした方がよいでしょうか?」
⇒純粋な局所再発だと99%思いますが…
 この場合には「念のために確認」するのは誤りではありません。(ルーティーン検査とは異なり)
「原発はずっと小さいままで周辺に転移を繰り返すという癌があるものなのでしょうか?」
⇒質問者は勘違いしています。
 「転移を繰り返す」わけではなく、「もともとその部位に潜んでいた」ものです。
「○田澤先生であればどのような治療プランを計画されるでしょうか?」
⇒局所療法としては手術±放射線
 全身療法としては(そもそもホルモン療法をしていなかったようなので)ホルモン療法となります。