「一人称単数」とは世界のひとかけらを切り取る「単眼」のことだ。しかしその切り口が増えていけばいくほど、「単眼」はきりなく絡み合った「複眼」となる。そしてそこでは、私はもう私でなくなり、僕はもうぼくでなくなっていく。そして、そう、あなたはもうあなたでなくなっていく。そこで何が起こり、何が起こらなかったのか?「一人称単数」の世界にようこそ。
村上春樹の久しぶりの新患(短編集ですが)届きました。
この前書きを読んだだけで、「村上春樹、来たー」 この世界観とても好きです。
夏場は専ら、酎ハイでしたが涼しくなってワインが美味い季節です。
是非、BUTTERFIELDのMEURSAULTお勧めします。ラベルもカッコいい!
村上春樹とMEURSAULT 最強コンビですね。
乳プラ トップページ
いろいろなご意見、非常に参考になってます。
一度、持ち帰り管理者と「できること(閲覧スピードとの兼ね合い)」を確認しながら腰を据えて検討することにしました。
Key wordは、「シンプル」 「強い(熱い)メッセージ」 そして、その兼ね合いかな?
さて、最近のトレンド?は「腋窩鎖骨下リンパ節」です。
『前医でリンパ節郭清したけど、レベルⅢ(鎖骨下リンパ節)は標準治療でないから行わなかったと言われた。大丈夫?』と、いう方が先週だけでも複数(市川を)受診されました。
『レベルⅢは見えない』と担当医から言われたようですが、(私から言わせると)「見る気がない」のでは?
レベルⅢリンパ節は(そもそも)非常に小さいので、正常リンパ節はエコーで見ることはできません。(エコーで見える時点で「転移」と考えます)
〇 実際に、最近複数の「腋窩再発」の患者さん達を手術しています。
それで感じていることは?
前医(の画像評価)で、レベル1のみ再発とのことで、(前医では)レベル1のみ郭清する予定だった人でも
実際に私がエコーすると(エコーで)明らかに「RotterやレベルⅢ」に転移所見を認めたり、(エコーでは解らなかったが)鎖骨下まで郭清してみると実際に転移リンパ節があったりしました。
『レベルⅢを侮るな(特に腋窩再発では)』(それが、私が最近実感していることです。)
この流れで本編へ突入です。
〇 本編
nayk says:
癒着って、そもそもどうして起こるの?
癒着って、どういう状態なの?
癒着すると、どうして手術が難しくなるの?
どうして癒着が起こりどうして難しい手術になりどうして田澤先生は手術なさってるのかなーなんて、思いまして。
再発して手術出来る状態なのに、手術を断られた患者さんの参考にならないでしょうかね?
〇 画像
1.レベル1を郭清後、大胸筋を(その裏にある)小胸筋から剥がしながら持ち上げたところ
大胸筋の裏にあった小胸筋が、(大胸筋を捲り上げたことにより)露わになっています。
2.小胸筋の内側を外し、テーピングして外側に牽引
(小胸筋内側にある)レベル3を大胸筋は持ち上げてその外側から「覗き込んで」いる。
レベルⅢは小胸筋を外側へ牽引しないかぎり確実な郭清はできません。
ただし、この(大胸筋外側から)覗き込む視野では、腋窩静脈から外す操作には制限があります。
★ 制限とは、(正常に近い)リンパ節であれば、この視野から「簡単に」外せますが、
腋窩静脈に固定しているような「転移性リンパ節」は「外せない=取り残し」のリスクがあります。
3.(大胸筋を捲り上げて覗き込むのではなく)レベルⅢ直上で(その上にある)大胸筋を割って直視下とした視野
被さっている大胸筋を(その裏にある)小胸筋の真上で左右に割ることで(覗き込むのではなく)
真下にレベルⅢを確認できます。
腋窩静脈(レベルⅢの上にある青)から外す操作が安全に行えます。
今回の癒着を説明するために、先週レベル3郭清の手術もあったので(ほぼ毎週あります)術中写真を撮影してみました。(臨場感をだすために)
ここから『癒着」の説明にトライします。
まずは、この画面
ここでレベル1(リンパ節)を郭清するには、実際には
(腋窩静脈外すには)その間にある微小な血管やリンパ管を処理(結紮)しなくてはいけないし、(小胸筋から外すには)やはり、その間にある血管を丁寧に処理します。
すると…
血管やリンパ管を処理すると、そこには「線維性の結合組織」が増殖します。
イメージとしては骨折すると(それを接合させるために)前よりも太くなるイメージ
すると①腋窩静脈下の線維性の強固な癒着
②小胸筋外側との線維性の強固な癒着
③広背筋内縁との線維性の強固な癒着
実際に「腋窩再発」する場合には
レベルⅡ(小胸筋の裏)やレベルⅢとなります。
これは、①②による癒着で阻まれてしまうことが解ります。
「癒着」により、レベルⅡやⅢへのアプローチが阻まれている様子
普段から「小胸筋の外側からしかアプローチしない(レベルⅢ郭清できない)医師だと、
この「癒着の強固な壁」によりレベルⅡ以降の再発には対処できない(手術不能)となるのです。
私の場合には、ここで(外側からのアプローチはせずに)
内側からのアプローチを行います。
★ 小胸筋「外側」は癒着している(図②)が、「内側」は癒着無し。
つまりこれです。
小胸筋内側は(手術されていないので)癒着がなく無理なく剥がせるのです。
小胸筋裏側にあるレベルⅡは外側からでは①及び②の強固な「壁」ではじかれるが、
内側からなら(癒着していないので)初回手術のように簡単に郭清できるのです。
勿論この視野から、そのままレベルⅢも郭清します。
腋窩再発の「肝(キモ)」は(癒着していない)小胸筋の「内側」からのアプローチなのです。
ただ、小胸筋「内側」からのアプローチはレベルⅢ郭清していない限り通常行われず、
普段からレベルⅢ郭清をしていない医師には、とても難易度が高くなるのです。