・ 原因 不明(自己免疫が関連していると推測されている)
・ 診断 しこりがあり炎症がある場合にはこれを疑い、組織診(MMTE)で確定診断となる。
・ 鑑別 癌との鑑別が重要
エコー像は(時に)癌と間違われやすい
典型的な肉芽像
癌に見える(間違いやすい)肉芽像
『今週のコラム 21回目 肉芽腫性乳腺炎 「画像上は癌が疑わしい」し、「炎症と言っても、膿もでない」』
『今週のコラム 22回目 万が一、癌だったでは済まされないのです』
『今週のコラム 28回目 癌の診療さえできない医師よりは、「まだマシ」かもしれませんが、癌の診療しかできない医師ばかりでは困ったものです。』
『今週のコラム39回目 1つの病院で肉芽腫性乳腺炎の患者さんが10名を超えているなんて、日本中どこを探してもあり得ないことです。』
『今週のコラム 42回目 肉芽腫性乳腺炎(前医での診療~当院初診まで)』
『今週のコラム 44回目 『これは肉芽腫性乳腺炎じゃないよ。 何故なら自分はそんなもの1回も見たことないから』』
・ 治療 volume reduction(肉芽の量を減らす事)
どうやって、肉芽を減らすの?
① MMTEで削る(初回は「確定診断も兼ねて」できるだけ削る)
② ステロイド(プレドニンを初回20-30mg 漸減していきます)
炎症なのに、「切開」とか「抗生剤」は不要なの?
「無菌」だから、抗生剤は無意味!!
切開しても何の解決にもなりません。
★極めて残念なことに、世間的には、これら誤った治療を永遠と行っているのが現状(患者さんが可哀想)
当院を受診される肉芽腫性乳腺炎の患者さん達は、前医で100%誤った治療(抗生剤+切開)をされています。
「実症例」
地元の病院で「肉芽腫性乳腺炎」って診断されたんだけど、全然良くならないの。
「ステロイド使わないんですか?」って聞いても、『使い方が解らないから』って不満なんです。
とにかく痛いし、膿も出るし本当に困るんです。
(北関東から)通院するのは大変だけど、治してください。
〇月△日(day 0) しこりを自覚
2日後(day 2) しこりに発赤が出現
day 5 前医を受診 CNB施行される
day 14 (CNBの結果)肉芽腫性乳腺炎と診断される 注 1 ) が、抗生物質を処方される 注 2 )
day 45 (悪化して)遂に自壊する。
day 46 前医を再診 切開排膿 注 3 )
day 48(当院day 0 )当院初診時の写真
(前医で処方されていた抗生剤は中止し)プレドニン20mg開始
自壊した皮膚欠損部は「グジュグジュして浸出液が多量に出てガーゼが必要
day 54(当院day 6)の写真
プレドニン20mg維持
(さすがに6日しか経っていないので)皮膚欠損部の大きさは変わりませんが、浸出液は著明に減少し乾燥しています。
痛みも無くなり効果を実感しています。
day 75(当院day27)順調に改善も、プレドニン20mg維持
day 103(当院day55)プレドニン15mgへ減量
day 131(当院day83)の写真
皮膚欠損部は無くなり、症状は殆どありません。
プレドニン10mgへ減量
day 187(当院day139)の写真
前医での切開跡だけで、炎症はすっかり改善しています。
プレドニン5mgへ減量
前医で切開されたことが残念だね(最初から当院で治療していれば…)
今後はどんな予定?
プレドニン5mgを半年⇒プレドニン5mgを隔日にして半年で治療終了予定です。
今後1年間も治療が必要なんだね。
患者さんは大変では?
それは違うよ。
当院での治療でいえば、最初の2か月位は痛みがあるけど、あとは症状ないし薬のむだけ(通院も3か月に1回⇒半年に1回だからね)
肉芽腫性乳腺炎と診断される 注 1 )
⇒きちんと病理医が「肉芽腫性乳腺炎」と診断してくれるとは限りません。
(8165さんもそうですが)「肉芽腫性乳腺炎」とまで診断されずに「炎症性細胞の浸潤」としか記載しない病理医もいます。
抗生物質を処方される 注 2 )
⇒ここが、とっても残念なところ。
せっかく(病理医が)肉芽腫性乳腺炎と診断してくれたのだから、きちんと治療してあげないと可哀想。
肉芽腫性乳腺炎は「細菌感染ではない」のだから、全く無意味なのです。
切開排膿 注 3 )
⇒全く無意味。
切開した挙句に「あれっ、膿でないなー」などと言われたりします。
肉芽腫性乳腺炎「そのもの」を知らない乳腺外科医は多いし、(もしも肉芽腫性乳腺炎という病名を知ってても)正しい治療法を知らない乳腺外科医は、もっと多い。
肉芽腫性乳腺炎には2つの側面があります。
1.確定診断されないが故に、「癌かもしれない」という不安が継続する。(8165さんのケース)
2.(何とか、ようやく)確定診断されても、正しく治療されずに放置されてしまう。(症例提示のケース)
⇒ いつまでも「浸出液」が出たり、「痛み」に悩まされたりします。
「癌でないから、私のしったことではありません」では困りますね。
★当院を受診するタイミングとしては(1の段階も多いけど)2の段階の方が多数派です。