オリンピック終わりましたね。
吉田沙保里が銀メダル
あの霊長類最強と言われた吉田選手も負けることがあるなんて…。
傍国民放送、そこに試合後呼ばれインタビュー
悔しい思いを何とか整理して現れた吉田選手に対して
「どういう決勝戦でしたか?」
「力を出し切ることができましたか?」
「4年間の成果は出せましたか?」
吉田選手はみるみる泣き出しています。
おいおいおい。
そのインタビュー内容、何?
まるで「金メダルを獲った」時のために用意しておいた原稿を読んでいるの?
自分が何を言っているか解っているのか?
どう見ても、「力を出し切れなかった」から、負けて悔し涙を浮かべてることさえ解らない?
吉田選手をいじめている様にしか見えないインタビューに我慢できず、静かにテレビを消しました。
肉芽腫性乳腺炎
以前、お話した市川での肉芽腫性乳腺炎、最初の症例。
1年3カ月をかけましたが無事ご卒業。
ご本人の許可を得たので、実際の経過についてシリーズとしてご紹介します。
2015年1月
突然、左胸が腫れる。Aさん当時38歳
○実は、この年齢が非常に重要です。
38歳±3歳位に集中(当院の12症例の中で実に10例がこの範囲です)しています。
そこで、前医(千葉県の某有名病院)を受診されています。
その後の2カ月の診療期間中は、Aさんにとって「精神的にも肉体的にも」非常につらい経験でした。
画像診断を、片っ端から撮られます。CTやMRIなど(PETを撮られなかったのは、その病院にはPETが無いから? 無駄な被爆を避けることになり、それは幸いでした)
CT
著名な皮膚肥厚と肉芽(対側と比べてください) リンパ節腫大(赤矢印)
MRI
著明な造影増強効果を示すマスが(乳腺の上半分を占めるように)広範囲に拡がる。
担当医
「乳がんです。それも進行している。針生検します」
○針生検の結果は「炎症」
担当医
「炎症?おかしいな。炎症だったら、膿が出る筈だ。針生検の孔を広げて膿をだします。」
担当医は、そう言うと無理やり、針生検の孔をグリグリ広げようとします。
しかし、膿など出ません。
更に複数個所から針を入れてグリグリします。
「痛い。痛い…」
担当医
「膿出ないなー。本当に炎症か? やっぱり癌なのでは?」
「Aさん。組織診の結果は炎症となってるけど、癌の疑いも捨てきれません。本当に炎症ならば、抗生剤で良くなる筈だから、暫く抗生剤で様子を見ます。結局癌だったという可能性も、まだありますよ。」
しこりは一向に改善せず「熱も痛みもあり、(無理やり拡げられた)孔からは浸出液が出て」耐えられない日々でした。
○暫く抗生剤を使っても何の改善も無い(熱も下がらないし痛みも赤みも改善しない。)
担当医
「こんな炎症は無い。もしかして自己免疫疾患?」
「皮膚科を紹介します」
そこから「皮膚科での無意味でつらい検査」が続きます。
症状の改善もなく、「原因不明の奇病?」毎日毎日「痛く苦しい診療」が続きます。
2カ月もの、その苦しい日々に耐えかねてAさんが市川を受診されたのは3月でした。
2015年3月 当院初診
その日、Aさんは私に「切実に」訴えかけました。
「何とかして欲しい」
「もう前医に戻るつもりはない」
持参された大量の画像(CT, MRI,)や前医からの「紹介状」を見て、そして診察しました。
(前医で執拗に開けられた)複数個所の孔には肉芽が顔を出して、そこから浸出液が滲みでています。
超音波を見ると、典型的な「肉芽腫性乳腺炎の像」です。
大きな肉芽
矢印が皮膚に顔を出している部分
私
「これは、肉芽腫性乳腺炎です。 別に特別な疾患でも何でもありません。 少し長期にはなりますが、ステロイド投与で良くなりますよ。」
何の病気なのかも明らかにされず、前医での永遠とも思える(無駄な)検査の連続に疲れ切っていたAさんの瞳が光ったように見えたのは「照明の加減ではない」筈です。
次回は、その後の経過を超音波画像で紹介します。