・ 乳管内に発生する乳頭状腫瘍
・ 増殖性が強く、(時に癌との鑑別のために)免疫染色を要することがある。
例)異型を伴う乳頭腫 intraductal papilloma with atypia
・ 画像
71y 10mm
45y 18mm
乳管内であることが、腫瘍(白っぽい)周囲の液体(黒)で想像できます。
44y 4mm
異型を伴う乳頭腫
・ 診断
① エコーで見える場合 通常の組織診(CNB / CELERO / MMTE)
② 分泌がある場合 ⇒ 乳管造影
乳管造影って、どんな場合に行うの?
乳頭分泌がある場合だよ。
ただし、「単孔性」であることが絶対条件なんだ。
単孔性って、どういうこと?
〇単孔性
乳管孔は十数個あり、それぞれが枝分かれしながら
独立し乳管系を作っている。
分泌している、その孔をブジ―で拡張し、
(拡張した乳管に)造影剤を入れるのです。
単孔性の意味は解ったけど、
何故、それが重要なの?(多孔性では意味がないの?)
よく、考えてほしいんだ。(物事はブラックボックスに入れちゃー、いけないよ)
腫瘍が原因である分泌(これを「乳管内病変による分泌」と呼びます)は必然的に単孔性となるよ。
えっ?どういうこと?
乳管内病変は乳管の1か所からできるからなんだ。
その乳管内で増殖しても「同じ乳管系の中」なので単孔性となります。
多孔性の場合には、それ以外の原因で分泌が起きているので気にしないようにしよう。
「それ以外の原因」とは?
1.乳腺症(に伴い、複数の乳管が閉塞したり分泌亢進で起こる)
2.高プロラクチン血症(これは分泌液性状がミルクとなります。)
どちらも、癌とは全く無関係
「単孔性」=「乳管内病変」ということ?
「単孔性」だけではなく「継続性」も重要なんだ。
一過性(2,3日出たけど、その後は出ないとか)は乳管内病変ではないね。
「単孔性」の「一過性」はどういうケースがあるの?
「ホルモン分泌」と関係しているケースが多いよ。
特に多いのが、「月経終盤の一過性」これは、月経に伴い「乳管上皮が剥がれて出血」するから
また、更年期の時期にはそれ(月経)との関連が解りにくくなるけど「継続しない」場合は大丈夫。
〇江戸川病院での診療風景
(江戸川外来にて)
半年前から分泌あるんです。
ただ(前医では)『エコーでもMRIでも所見がない。様子見るしかない』って、言われて。
了解しました。それでは診察しますね。
たしかに、単孔性ですね。
しかも量が多い。これは(癌かどうかは別として)乳管内病変だと思います。乳管造影したほうがいいね。
それって、どんな検査?
乳管を細い針金で広げて、(その乳管に)造影剤を入れて撮影します。
市川 注 5 )で(私が)土曜日に行っています。予約しますか?
注 5 )メディカルプラザ市川駅 総武線市川駅の向かいダイエービルの9Fにあります。
(メディカルプラザ市川駅にて)
痛いですか?
乳管の「太さ」によります。
最初から太ければ、ブジ―も軽く通るのでそれ程痛くないんだけど、
「細い」場合には、それを広げる際に若干痛みがあります。
ブジ―が入りました。これから少しずつ太いものへ入れ替えて拡張しますね。
(ブジ―を造影剤の注射器に入れ替えて)
これから造影剤が入りますねー。
(撮影後)
やはり、乳管内病変がありますね。
ここから分泌があるのです。
それって、癌なの?
それは、解りません。
病変が(ある程度)大きくなれば、エコーで視認できるようになるので、その場合には針生検などできます。
ただ、この段階(エコーで視認できない)で診断を確定するにはその病変を(乳管ごと)切除する乳管腺葉区域切除(手術)となります。
「大きくして(育てて)から、診断する」なんて、嫌だわ。
是非、手術お願いします。
★ 乳管内乳頭腫については下記コラムを参照してください。
『今週のコラム 36回目 もしも本当に「乳管内病変が存在」すれば、「浮きの方から沈んでくれる」ので心配ありません。』
『今週のコラム 62回目「乳管腺葉区域切除を施行した37症例中37例(100%)で有意義な治療だったと、私は自負しています』
『今週のコラム 96回目 (乳管内腫瘍が疑われる以上)乳管腺様区域切除をして診断的治療注」を行いましょう』
『今週のコラム 110回目 その成績(2017/1月~10月 乳管腺葉区域切除手術症例 46症例)について』
『今週のコラム 132回目 腺葉系は、十数個が重なり合っているので、そのうち1つを摘出しても変形しないのです。』
『今週のコラム 157回目 病理結果によっていろいろなcaseがあるので、一概には言えません』