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術後の病理組織診断の結果で心配です

[管理番号:383]
性別:女性
年齢:58歳
2週間前に左胸外側下部の温存手術を受けました。
先日、術後の病理組織診断の結果を聞きにいき、以下の結果をもらってきました。
病理学的診断 Papillotubular carcinoma of breast ER(score 3b(100%))P&R(score 3b(100%)) HER2(-),Ki-67(10%)
所見 f,核グレード2(atyia 2, mitotic count 2),pT1,v0, ly0,浸潤層の大きさは1.2cmであるが、この周囲に乳管内伸展が著明であり、乳頭側にductal spreadingがあり乳頭側断端はtumorは陽性である。sentinelにmicro metastasisを認める。
また手術後すぐにセンチネルへの1mmの転移は見られたが微少であり、術前の画像診断では腋窩への転移は見られず郭清手術はしていないとの説明は受けています。
主治医の先生は以上の結果から、来週からの放射線治療は30回に増やすがあとは予定通りホルモン療法5年ということでその日からアリミデックスを毎日1錠服用しています。
 
そこで質問なのですが
(1)所見で見る限り断端は陽性だと思いますし(先生は乳頭側にギリギリのところまで伸びていたという説明)こういう場合は追加手術したほうがよいのではと思われるのですが、いかがでしょうか。
(2)核グレードが2でセンチネルリンパ節に微少でも転移がある場合は化学療法は必要ではないのでしょうか。
主治医はあなたの場合は抗がん剤はあまり聞かないタイプなので、再発、転移したとしてもホルモン治療で対応できるし、放射線を30回に追加することで再発率は10%未満に抑えることができるでしょうとおっしゃていますが、事前に早期がんで予後もよいと聞いていたので病理診断の結果で悪いことばかり考えてしまい、田澤先生にご意見を伺いたく質問させていただきました。長くなってしまいましたがよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 完全に理解しました。
 それでは状況確認の上、回答します。

状況確認

 浸潤性乳管癌(乳頭腺管癌) pT1c(12mm), pN1mi(1mm), luminal A, NG2, ly0, v0, surgical margin positive(DCIS)となります。
 

回答

「センチネルへの1mmの転移は見られたが微少であり、術前の画像診断では腋窩への転移は見られず郭清手術はしていない」
⇒ガイドラインに準拠した正しいやり方です。全く問題ありません。
 
「(1)所見で見る限り断端は陽性だと思いますし(先生は乳頭側にギリギリのところまで伸びていたという説明)こういう場合は追加手術したほうがよいのではと思われるのですが、いかがでしょうか。」
⇒これは結構難しい判断です。
 病理レポートの「乳頭側断端はtumorは陽性」という表現が判断困難です。
 「ごく微小(1~2腺管程度)の非浸潤癌」による断端陽性であれば、(今回のような)「Boost照射」でも十分だと思いますが、
 「比較的広範囲(数ミリ程度)」の断端陽性であれば、「追加切除が安全」と思われます。
※このあたりは、主治医に「確認」した方がいいでしょう。
 
「(2)核グレードが2でセンチネルリンパ節に微少でも転移がある場合は化学療法は必要ではないのでしょうか。」
⇒必要ありません。
 luminalAであり、微小転移であれば化学療法は必要ありません。また「化学療法をすることによる上乗せ効果」も期待できません。
 
●全身療法は「ホルモン療法単独」で全く問題はありません。
 「追加切除」するかどうかは、「断端の範囲」を参考にして「主治医と再度相談」した方がいいと思います。